憑依したらクレイマンだった件 (微量の転スラネタバレ注意)   作:謎のコーラX

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割と時間が取れたので2日連続投稿です。




15話 議題は増える増える

「ほう、そなた、わらわのことを知っておるようだな」

 

「えぇまぁ。本当の魔王ってことくらいですかね」

 

「る、ルミナス様、余、いえ私は――」

 

「黙れ、わらわはこやつと話しておるのだ。今日はもう帰れ」

 

ルミナスの言葉に苦々しい表情をしながらも、命令に従い扉からそそくさと帰っていった。

 

ルミナスはロイを見送った後、アニスの顔をじろじろと回りながら見始めた。

 

「なるほどのぅ、素体がクレイマンというだけの別物であるな。あのロイを圧倒したんじゃ、これなら魔王に名乗っても問題はないの。ギィよ、わらわはこやつを認めるが、そなたはどうじゃ?」

 

ギィはルミナスはそう言われると、指を鳴らし、再び空間が元に戻る、そして円卓に十人分のそれぞれの好みの飲み物が置かれる。

 

「良いだろう。アニス・クレイマン、貴様を正式な魔王として認めてやる。文句のあるやつはいるか!」

 

全員が賛成の意思を見せ、ギィは置かれたワイングラスを掲げる。

 

「新しい強者である魔王に、乾杯!」

 

 

菓子を摘みながら、飲み物を片手に魔王達の宴(ワルプルギス)続く

 

「さて、今回の魔王達の宴(ワルプルギス)の議題、アニスの品定めが終わったわけだが、これだけでは短いな。何か意見のあるやつはいるか?」

 

「あら、なら私から提案……というよりお願いがあるのだけど」

 

フレイは手を挙げ、ギィの許しを待っている。

 

(んー?なんだ……あれ?)

 

アニスは菓子を食べ、飲み物を口に入れてその話に耳を傾けるが、その言い方に何かデジャブを感じている。

 

(確かこの先は……)

 

「いいぜ?言ってみろよ」

 

「今日この場を以て――私は魔王の地位を返上させてもらうわ。そしてアニスに仕えることを認めてもらいたいの」

 

思わずアニスは飲み物を豪快に吹き出し、特別にこの場に残り、隣に立っていたアイリーンも咳き込み、ウルティマは大笑いをしていた。

 

「は?はぁぁぁ!?なんでそうなるんだよ!」

 

アニスは驚きのあまり敬語を忘れ声を荒げる。

 

その台詞は本来ミリムに対して使われる百年後の転スラの内容だ。まさか自分に来るとは思ってもいなかった。

 

フレイはその様子に満足そうな表情をしている。

 

「あら、そういえば言ってなかったわね」

 

「いきなりだな。理由はなんだ?」

 

フレイはギィの問いに静かに理由を述べる。

 

「二度、私はアニスの戦いを見て思ったの。私は魔王として弱すぎると思うのよ」

 

「いやでもさ!フレイさんは空が得意なわけで、そこまで卑下するのは」

 

フレイは首を横に振る。そしてアニスが自分が言った言葉も転スラでダグリュールが言った言葉に似ている。

 

「民を守れなかったときに、『空ならば破れなかった』では魔王は務められないわ。どうしょうもない実力差のある相手には策も有利な状況も無意味ですしね。だから、ね、アニス、私は貴方の配下につくと決めたのよ」

 

フレイは立ち上がり、アニスのほうへと歩いていく。

 

そのまま間近まで来ると、胸が見えそうなほどしゃがんだ。アニスは目を手で隠し、顔を赤くしてあわあわとしている。

 

「どうかしら、この提案受けてくれないかしら?」

 

「い、いやいや!私じゃなくてもミリムとかでも良いでしょうに!」

 

「なんでワタシに飛び火するのだ!?」

 

「駄目よ。私も最初こそあの憎たらしいクレイマンだと思っていたけど、アニス、貴方は信用できると判断したわ。それにカリュブディスをなんとかしてくれるのでしょう?」

 

「むぐぐ」

 

目を隠しながら考え込む仕草をするアニスに、フレイは楽しそうにそのまま近づこうとするも、アイリーンから無表情で放たれる妖気(オーラ)に当てられ大人しく離れる。

 

「ワタクシは認めてませんけど?」

 

「あら、それは残念」

 

フレイとアイリーンがバチバチと火花が散りそうなほど睨み合っていると、やっと話せると思い、息を吐いて席を立ち、カリオンが話し始める。

 

「ちょっと待ってくれや。その話なら俺様も言いたいことがある。アニスに負けた俺が魔王を名乗り続けるのはおこがましいってもんだ。だから俺も魔王の地位を返上させてもらいたい」

 

「お前もかよ。別にあんなの小競り合いでしょう?」

 

「小競り合いでも、だ。ギィ、認めてくれるよな?」

 

「本当に良いのか?お前なら後二百年で覚醒すると思って期待していたんが」

 

「期待はありがたいが、身を振り方は自分で決めるさ」

 

「……まぁ良いだろう。たった今よりフレイとカリオンは魔王ではない。アニスに仕えたいと言うなら自分達で説き伏せるといいさ」

 

カリオンとフレイはギィの許しをもらい、再びアニスへと視線を向けた。

 

「本気か?お前らを道具のように扱うかもしれないぞ?」

 

アニスのその台詞に、カリオンとフレイは一笑に付す。

 

「あの国が人を道具にするやつの光景か?」

 

「仮にやるとしても危険はなさそうな使い方しそうね」

 

「ぐぅ……」

 

このまま畳み掛けようと、フレイは言葉を続ける。

 

「それに今ジスターヴって人材不足なんでしょう?一気に解決できるいい案だと思うのだけど」

 

「――あー!わかったわかったよ!勝手にすればいい!」

 

「ありがとう、アニス」

 

「これからよろしくな!」

 

二人はそれだけ言うと、二人は領土運営の話まで円卓の部屋から出ていくことになった。

 

残ったのは八人、アニスは既に気づいているが言わずにいる、むしろこのまま終わって欲しいまである。

 

「あ!これで八人になっちゃったね」

 

「おまっ!」

 

ウルティマが何気なくそう口にし、他の魔王達は雷が鳴るかのような衝撃が受け、空気が変わり、皆悩むこんだ。

 

「ごっめーん」

 

ウルティマは悪びれることなく無駄に可愛い声と仕草で謝る。

 

各々意見が飛び交い、纏まりそうに無い様子で、アニスはここで終わらせようと、

 

「あの、ここはもう切り上げて領土問だ――」

 

「そういえば名前決めならアニス様がよくしてましたよね」

 

他の問題を進めようとしたが、アイリーンの言葉で静まり返る。

 

「お前もかぁ!」

 

「えっ!ワタクシ何か失言でもしましたでしょうか?」

 

こっちはガチで悪気のない発言だったらしいが、ギィはその言葉を見逃さず、優しい笑顔でアニスを見てくる。

 

「今日の主役として立つ魔王、アニスよ。君に素晴らしい特権を与えよう」

 

「あ、いりません辞退します」

 

「……つれないことを言うなよ」

 

ギィは再び指を鳴らすと、今度はアニスがギィのところまで転移し、ギィの体に落ちていき、逃げれないように抱きしめられた。

 

「これは大変名誉なこんとなんだよ。それによ、お前が人数減らしたのが原因なんだから、責任取って名前をつけろよ?」

 

耳を甘噛し、半ば脅迫のそれに身震いし、なんとか離れようとするが、力が強く無理な様子だ。

 

「ギィ・クリムゾン、アニス様をお離しください」

 

アイリーンはギィのところまで移動し、アニスを勢いよく掻っ攫った。

 

「た、助かった……ギィ、その件、どうせ断るの無理だろうから受けますよ。まぁ名前も決めてますし」

 

「おぉ、そうかそうか!で?なんて名前なんだ」

 

アニスは元の席に座り、一呼吸ついて後、パクリそのもの名前を告げる。

 

八星魔王(オクタグラム)。文句は受け付けませんよ」

 

リムルが本来つけるはずの名前を今自分がつけることにアニスは罪悪感を覚える。

 

しかし自分の頭ではこれ以上の名前は思いつかないため今は来てないリムルのごめんと思いながらこれで通すつもりだ。

 

反応はそらそうだと言う感じで好評なようで、アニスはほっと胸をなでおろす。

 

「良いだろう。これより我らは、八星魔王(オクタグラム)だ!」

 

 

「それでは、八星魔王(オクタグラム)の皆様をご紹介いたします」

 

青髪の悪魔が紹介しようとするが、アニスがそれを止めた。

 

「ちょっと待ってほしい。今言うのはなんですけど今の私に人形傀儡師(マリオネットマスター)ってどう思います?」

 

「あー、確かにな。人を操るって感じじゃねぇよなお前」

 

ギィの同意に続いて他の魔王も今のクレイマンであるアニスには合ってないという意見が出てくる。

 

「じゃああたしがつけてあげるわ!」

 

「はは、聞くだけ聞いてあげます」

 

「そうねぇ……菓子王!」

 

「誰がパティシエだ。却下です」

 

「だめかぁ」

 

ラミリスは菓子を頬張って残念そうな表情であぐらをかきだした。

 

「じゃあ次俺」

 

「はいディーノくん」

 

ディーノの自信満々の表情で自身の考えたアニスの二つ名を言う。アニスは期待していないが。

 

「ふっふっふ、傀儡国ジスターヴにちなんで、傀儡王(マリオネットロード)なんてどうだ?」

 

「なるほど、読みが傀儡(かいらい)の王だしわかりやすぎる。却下」

 

「えー!そりゃ無いぜ」

 

「ぷー!、そんなの採用されるわけないじゃない」

 

「あぁん?お前も不採用だったろ!」

 

ディーノとラミリス、不採用組が言い争いになり、他の魔王から聞こうとするが、十大魔王が思いつかずに時間が経ち、人間に付けられた経緯があり、やはりと言った感じでだんまりを決め込まれている。

 

そんな終わりが見えない状況に、アイリーンが意見を投じる。

 

「あのー、ではワタクシから一つ思いついたのですが、よろしいでしょうか?」

 

「おっ?どうした話していいですよ。権利は魔王だけのわけではないですし」

 

「では……王の尊称の、人形聖王(ドール・オブ・マジェスティ)というのはどうでしょう?」

 

「へぇ……いいですね」

 

アニスからの賛成を貰い、アイリーンは破顔する。他の魔王もその名前に賛成の様子だ。

 

「それでは、改めて紹介へと参ります」

 

ようやく、青髪の悪魔が紹介を始めたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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