憑依したらクレイマンだった件 (微量の転スラネタバレ注意)   作:謎のコーラX

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今回は短めです


20話 ゲールという存在

「おや。ミリムちゃんではないか。()()()みたいに元気そうでなりより」

 

「お前誰だ?ワタシの知り合いにお前みたいなやつはいないぞ。それよりもなんだその力、ワタシの竜眼(ミリムアイ)でもわからないなんて異常だぞ」

 

ミリムは先程までカリュブディスの戦いを遠くから見ていた。

 

あの三龍がまさか魔王級だとは、いつか戦ってみたいなと、心を躍らせていた矢先、あのゲールという存在の登場だ。

 

ミリムが言っていた通り、ゲールがカリュブディスの進化?というのはなんとなくわかったが、殆どが何も見えず、ギィでも見れるこの竜眼が、機能していない、異常事態であり、ミリムはすぐに行動に移った。

 

やはり間近で見てもゲールという存在は異質に視認される。

 

頑張れば見えそうになるが、頭に久方ぶりの頭痛というものが響き、より警戒心が強くなる。というか魔王(おもちゃ)から敵にランクアップした。

 

「カリュブディスだった者。今はアニス様からゲールという名前を頂いた者です」

 

「ふーん」

 

ミリムは吹っ飛ばされ尻餅をついているアニスを見る。やはり竜眼は機能し、かなり強い魔王というのがわかる。しかし前まであったクレイマンの魂が消えている。城を見るとその魂がそちらにあり、クレイマンが復活してるのだろう。

 

アニスが普通であることがわかり、改めてゲールを睨む。

 

「名付けでそうなる度合いのものでないぞ。隠していることがあるなら全部吐くのだ」

 

「はは、たぶん理解できないと思いますよ。それに――」

 

瞬間、ゲールの言葉を遮り、ミリムは全力で殴りかかる。

 

覚醒魔王でもその一撃は致命傷の一撃だが、ゲールは反応したのか、それか自動なのか、黄衣がミリムの拳を防ぎ、爆発音のような衝撃が遠くのアニス達にまで届いた。

 

「……はは、久しぶりだぞ。手が痺れるなんてな」

 

ミリムは反撃を恐れてか退き、殴った黄衣には破れたような様子はなく、ミリムは更に久しぶりな敵に、野性的な笑みが浮かべ、その姿を変化させる。

 

鎧姿となり、髪も幼さを強調させるツインテールがうなじ近くまで下がり、額からは龍の角、背からは翼が生え、手には魔剣天魔が握られる。

 

戦闘形態。カリオンとフレイは見るのは初めてであり、他の者も同様だ。皆が驚きやこれから何が起こるか恐怖してる中、アニスは転生したらスライムだった件を読んでいたため知っていたが、直で見れて興奮している。

 

「吾輩、いつ敵対するって言ったんだろうな」

 

「ゆくぞ!」

 

ゲールの言葉が耳に入っていないのか、飛翔し、奥義を放つ態勢に入る。

 

「喰らうがいい!ドラゴ――」

 

「待て待て待てぃ!」

 

ミリムが今放たんとした直前、アニスがゲールとミリムの間に割って入る。

 

「何放とうとしているんですか!私達まで消すつもり?」

 

「し、しかしそいつは……」

 

「私の部下ということになっている。ならここはミリム、貴方ではなく私がやるべきことではないか?」

 

「……むぅ、わかったのだ」

 

ミリムは戦闘形態を解き、ゲールを睨みながらもアニスに任せるようにゲールから離れる。

 

アニスはゲールのほうへと視線を向けると、跪くゲールの姿が目に入った。

 

「えっと、貴方は何者なんだ?」

 

「はっ、我が主よ。吾輩はゲール。カリュブディスより進化した者です」

 

「さっきお前のことに対する世界の声で、()()って聴こえたんだが?」

 

「ほう、やはり我が主です。()()()世界の声を耳にしましたか。ですがここでは進化であります。どうかご理解を」

 

アニスはとりあえず、解らないであるためそれに使う思考は放棄し、いま重要なことを質問する。

 

「……いろいろと聞きたいことが、とりあえず敵対はしない、私の軍門に下るでいいんだな?」

 

「はい。吾輩、敵対など考えてはおりませんゆえ。どうかこの力、存分にお使いくださいませ」

 

「お、おう。とりあえずそれでいいか……はぁ、何かヤバいの生み出してしまったな」

 

こうして、カリュブディス、もとい謎の存在、種族を後で聞いたところ、亜竜魔人(デミドラゴノイド)と口頭で説明した。アニスは一回バロールにも質問したが同じ内容が返ってくるだけだった。

 

異常な進化?をしたゲール。その謎は意外と早くに解決されることになる。

 

 

誰にも、ミリムにさえ気づかれずにカリュブディス戦の様子を見ていた者がいた。

 

それもそのはず、空気中の微細な水分を瞳と見立てて見てるのだから。

 

映像を見ていると、ゲールがこちらとの視線が合う。

 

●◆■▲(ミツケタ)

 

「ぬおっ!?」

 

ゲールがそう言葉かも怪しい声を発すると、映像は真っ黒に変わり、映像が途切れた。

 

「くく、ははは!まさかオマエが復活するなんてね。余の力に干渉したってことは、やっぱ本当にオマエってことで良いんだよね」

 

玉座の上で、腹を抱えながらザパァは大笑いをする。それをザパァの眼下のギルギルとドラドラはただ跪きながら耳を傾けている。

 

「リムルに喰われたときは残念だったけど、しょうがないと思って流したわけだけど、()()()()は面白いね。いやホント、何回も似たような光景見せられるより断然いいね」

 

深海、というよりはザパァの領域には時間の概念はない。そもそもそうしなければ深海の魔物達が地上に侵攻しに行くためだ。

 

地上とは隔絶された世界であり、一体一体がAランクオーバー、弱肉強食の世界というのは変わらないが、質が段違いであり、ザパァがいなければ地上が危ぶまれる、それが深海という場所だ。

 

「さて、楽しんでもいられないかな。ナイアの動向も気になるし、ギィにも迷惑はかけられん。そろそろ呼ぼうかな」

 

ザパァは再びアニスを水晶から覗き見る。ゲールによって魔素がだいぶ取られている様子で、ベッドで寝ている様子だった。

 

「うーん、これはまだもう少し先かな。余も含め予想外の登場なわけだし……いや、まさか()()が絡んでいるのかな。ま、良いか、ゆっくりと待つことにしよう」

 

水晶の映像を一旦消し、ザパァは目を瞑り、その時を待つ。

 

「待つのには、慣れているからね」

 

 

ミリムのユニークスキル、竜眼(ミリムアイ)

 

それはあらゆる物事、事象を看破し、遠距離からでも監視されているのがわかる強力なスキルであり、ある程度の実力なら測れるようになっているが、一つ弱点が言うなら、()()()()()()()()()()は目に入らないというのがある。

 

ミリムに都合が悪い。それは食事にピーマンが混ざっている、気に入らない人物がいるなど、かわいい理由だけに適用、というのが普通だろう。

 

しかし、知ってはいけない、あるいは知ると前述の通り都合が悪いという場合にも、看破できないということもあるのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最後は拡大解釈です。それに都合が悪いものは見えないというのも本筋のやつではないし。
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