憑依したらクレイマンだった件 (微量の転スラネタバレ注意)   作:謎のコーラX

30 / 38
(´・ω・`)あ、わかっていたけどクソ長い章になりそう


26話 無血決着に向けて

「ふーむ……」

 

アニスは自由組合本部の自室で、ツヴァイからの報告を聞いていた。

 

無事にオーガ達は鬼人へと進化した。しかし問題はもう一人の報告。

 

「つまり、リザードマンは敵になったと」

 

「は、はい。ジブンが助けに行かなければ、逃げていたあの二体のリザードマン、本人らが言うには首領の息子とその妹らしいです……はぁ、アニス様の命令があったとはいえ、気が滅入りました」

 

リザードマンのところの監視は、ドライが行っていた。

 

ハズレくじだと本人は心底嫌そうにしていたのがアニスは思い出す。アイン、ツヴァイ、ドライは元はそのリザードマンであり、今回の場所とは違うが、リザードマン達に売られ、日々奴隷として人間から虐待を受けながら暮らしていたため仕方ないところではある。

 

錆びた鱗。今までそんな種が生まれたことはなく、実力も他のリザードマン達に比べて劣っていたため、人間に売り渡されたのであった。弱肉強食の世界だったためか、それともリザードマン達が悪かったのか、既に本人らは気にしてはいなかったが、それでもリザードマンは嫌なものは嫌ということだ。何処か人間のような思考にも思える物言いだ。それに魔物がそんなことをするのか?という疑問はある、しかし本人らがそう言ってるので、今は置いておくとしよう。

 

「で、そのリザードマンは?」

 

首領の息子と妹、アニスの転スラの記憶が確かなら、それは後のガビルとソウカだろう。ここで失うには惜しい、ドライはその質問に答える。

 

「リムル?というアニス様が言っていたスライムのところに捨ててきました」

 

一応そうなってくれて、アニスは安心する。しかし油断はできない。何せ相手はオーガ、同胞が相手なのだ。オークとは違い、簡単には殺すことはできないだろう。

 

「それはまぁ良かった……でだ。鬼人達も考えるだろうが、コウガって言う鬼人を倒すことになるだろうが、相手は同胞。大技はまずうてない相手だ、リザードマンも含めてね。だからリムルが出す作戦は――」

 

 

 

 

「――空から探す?」

 

「あぁ、俺は飛べるからな。そのほうが見つける時間が早まるだろう?」

 

何時もの一番広い会議室で、ベニマルはリムルの策を他の配下達と共に聞いていた。

 

リムルが考えた策は簡単だ。自身が空から戦況を観察し、魔力感知で最も魔力がある者、今回の首謀者、元はベニマルの友人だったというコウガを探す。他の者は防衛と地上からコウガを見つけだし、見つけたやつから攻撃を開始する。

 

それ以外は極力殺さないように立ち回る必要があり、ソウエイの報告ではゴブリンや知性の無い魔物など多種多様で、一大勢力ができつつあるらしい。

 

総数は約五万。とてもまともに相手はしてられない。いやいや参加させられている魔物ばかりというのもあって、殺すのは躊躇させられる。

 

しかし、ベニマルは言う。

 

「……もし、ここにいる同胞が、リムル様達が殺されそうになれば、我らは非情に徹してでも仲間を討ちましょう」

 

「いいのか?」

 

「はい。戦場で死ねるなら彼らも許してくれるでしょう。それに元より魔物の世界は弱肉強食。死んでも自身が弱いだけと……まぁそうは言いますが、できるなら俺達だって殺したくないですよ。最速でコウガを見つける。この戦争はそれにかかっていると言っていいでしょう」

 

ベニマルの意思はかたい。他の者も同じ心持ちのようだ。

 

「……わかった。俺も全力でコウガを探すことにする。で、ソウエイ、そのコウガってやつはどんな姿だったんだ?」

 

「はい。ベニマルのような髪型をした金髪で、2本の黄色の角を生やしたやつです。見つければすぐにわかるかと」

 

「名前の通り黄色ってわけか。よし!皆、悔いのないように万全の準備を整えるぞ!」

 

配下達はそれを受け、各々がやるべき準備を行い出した。

 

ソウエイの見立てでは、湿地帯で戦うのが良いとのこと、森では見つけようにも木々が邪魔であり、空からも同じである。

 

決戦は五日後とふみ、リムルは気を引き締めるのであった。

 

……二匹のリザードマンはと言うと、ちゃんと拾われておら、今は疲れからか眠っている様子だ。

 

ソウエイが最初に見つけ、あるうわ言を耳にしていた。

 

『手が……手に……口が……仲間が……喰われた』

 

ソウエイがそれを聞いてリザードマンは気を失っている。

 

ソウエイは一抹の不安を覚える。いったいコウガの身に何が起きているのか。それは戦場にてわかることだろうとそれを押し込め、仲間やリムルにもそれを話すが、やはりわからないものはわからない。

 

この戦い、一筋縄ではいかないだろう。

 

 

「はー……暇」

 

ウルティマは庭園の真ん中にある椅子に座り、テーブルに置いてあるジュースをストローで口だけで吸っている。

 

このところ、何十年もまともな戦いはなく、犯罪者の殺す時はウキウキとやってはいるが、最近は犯罪者も少なくなっている。楽しい時が短くなり、今はアイリーンと共に休んでいる。そのアイリーンはというと、静かにテーブルの反対側で読書をしていた。

 

「ねー、なんかこう大きなこと無い?」

 

「無いですね。というか貴方一応検事総長やってますよね。仕事しろ」

 

「えー、だってもう終わっちゃったんだもん。ねぇ、暇つぶしにアニス様の行っているっていう魔王計画に」

 

「駄目です」

 

「まだ言ってないけど?」

 

「引っ掻き回しに行くつもりでしょう?それに平和はいいことですよ……まぁ、ワタクシも暇だとは思ってますが」

 

ウルティマは検事総長に対して、アイリーンは国王補佐兼最高裁判所長官、言ってしまえばこの国の司法で一番偉い人物だ。

 

アイリーンもウルティマにあぁは言ったが、自分も仕事を終わらせているとは言え、暇そうにしている。

 

ウルティマはアイリーンのその言葉に嬉しそうに顔をニヤけさせる。

 

「いいねー、だいぶ悪魔寄りになってきたんじゃない?平和を暇だと言えるなら」

 

「嫌ですねホント。あぁ、昔はワタクシも清廉潔白でしたのに」

 

「え?」

 

「な・に・か?」

 

ウルティマの心からの疑問の声に、アイリーンは圧のある微笑みをウルティマに向ける。

 

「い、いや、何も?」

 

ウルティマは口角を引きつらせ、あまりしない怒らせない対応をとっている。

 

「……本音を言うとですね。アニス様だけ楽しそうなことしてるのがずるいなって思ってます」

 

「あ、やっぱりー?よーし、ボク達も関わっていいか本人に進言しにいこうか!」

 

嬉しそうにウルティマは飲み干したジュースを捨て、立ち上がった。

 

アイリーンは普通なら止めるべきだが、自身も本を閉じて、立ち上がる。

 

「まぁ、ワタクシ達の手助けが必要になるかもですしね。行きましょうか」

 

「お?今日はノリいいねリーン。よーし、出発!」

 

二人はいつも通り、仲は良さげであった。

 

 

ウルティマはアイリーンに影響されて丸くはなったが、本質は何一つとして変わってはいない。丸くなったのはアイリーンやアニス、それ以外の配下や民には猫をかぶることが多く、殺すのを愉しそうにやっている。

 

しかしアイリーンには原初達同様にたまに本性を晒し、止められるとちゃんと止まるところは、変わっているとは言えるだろう。アイリーンもそのウルティマも受け入れている辺り、懐の深さは底なしである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ようやくは次は戦闘回できそう
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。