憑依したらクレイマンだった件 (微量の転スラネタバレ注意)   作:謎のコーラX

34 / 38
AIノベリスト初使用回。一応チェックはしたつもり。


30話 魔王討伐の裏側で

テーブルを囲み、その部屋にはアニスにカリオンとフレイ、そしてミリムがそこには集まっていた。

 

話す内容は今回成功した魔王誕生について、ミリムはそれをウキウキとした様子でアニスの報告を待っていた。

 

「それで? どうなったのだ!」

 

待ちきれないといった感じで身を乗り出すミリムの様子に苦笑しつつ、アニスは報告を始める。

 

「結論から言うならば成功しましたよ。ただ……」

 

「ん? ただ、なんなのだ?」

 

言い淀むアニスの言葉にミリムは訝しむ。

 

「いえ……なんでもありません。ともかく無事魔王が誕生致しました。もちろん前にも言ったリムルがです」

 

「おおー! それはめでたいな!!

無邪気に喜ぶミリムだが、すぐに表情を引き締めて問うてきた。

 

「しかし、魔王種とはいえ魔王の誕生か。ふふふ……」

 

ミリムが何か企んでいるが、既にアニスには考えがあった。ミリムにとっていい考えが。

 

アニスがそれを口にする前に、今まで沈黙していたカリオンが口を開いた。

 

その顔は不敵な笑みを浮かべている。

 

「なぁ、なら俺の部下をそのリムルってやつのところに行かせられないか?」

 

「ふむ……確かに可能ではありますが、何か考えがあるんですね?」

 

この魔王誕生計画の前に、アニスはジュラの大森林の不可侵条約を解除している。ラミリスとディーノ、そしてミリムの自身を加えた四人の賛成で受理され、いつでもジュラの大森林に入れる。

 

ちなみにラミリスとディーノには魔王誕生計画は話していない。

 

「ああ。俺はそいつを部下にして、鍛え上げるつもりだぜ」

 

やはりかとアニスは納得すると同時に呆れたように溜息をつく。本来の目的は教えていないとはいえ、やはり直情的な考えだ。

 

「貴方らしいといえばそれまでですけどねぇ……。まあ良いでしょう。好きにしなさい」

 

「おう! 任せろ!」

 

「ただし、部下にはやり過ぎないようにお願いしますよ」

 

釘を刺すアニスだったが、カリオンは聞く耳を持たないようで、「大丈夫だ!」と野性的な笑みで言いながら部屋を出て行った。

残された三人は同時に溜息をつく。アニス的には本来の流れから外れていないため、むしろ喜ばしい提案だった。部下には悪いとは思うが。

 

「……一応監視にミュウランを向かわせます。それとミリム、貴方も行きたそうにしていますね」

 

「うぐ!……だって仕方ないではないか! あのリムルとかいう奴に興味あるのだ!!」

 

「はいはい。わかりましたから大人しくしててくださいね」

 

はしゃぎ回るミリムを見て、アニスは苦笑しながら宥める。

 

「全く……これじゃどっちが年上なのかわからないですね……」

 

「あー!疲れたー!」

 

そのような大声と共に、アインが扉から姿を見せる。

 

その顔には疲労の色が見えていた。

そんな様子を見て、アニスは苦笑しつつ労りの言葉をかける。

しかし、次の瞬間には表情を引き締めて問うてきた。

 

「お疲れ様の様子だけど、ただの監視では無かったようですね。何がありましたね?」

 

「あぁ、大将、実は――」

 

 

今から数時間前、リムルがオーガディザスターを討伐、捕食していた時間、オーガの里の牢で、里長は静かに他のオーガ達と共に助けを待っていた。

 

だが、一向に助けが来る気配がない。息子は何をしているのかと、無事なのかと思い、焦燥感を覚え始めた頃、唐突に牢の鍵が開けられた。いや、切り裂かれた。

そして、現れた人物を見た里長とオーガ達は絶句した。

 

「こんにちは、皆さん。今日はいい天気だねぇ。こんな日に外に出れないなんて、本当に可哀想だよねー」

 

鎌から鮮血を溜らせながら、赤いドレスの人間の少女は何気なしに、まるで友人と世間話をするような愉しげな表情と雰囲気を出しながら、隠す気のない殺気を漂わせて語りかけてくる。

 

「あ、貴女は一体誰ですか?」

 

里長が声音が震えつつ問い掛けると、クイーンはケラケラ笑うと答えてくれた。

 

「あはははは! あー、面白い! 貴方達が誰かって質問だっけ? うふふ、いいよ、答えてあげる」

 

そう言うと、楽しげな様子のまま、その顔からは想像出来ない程の威圧を放ち、告げた。

 

「わたくしはクイーン。一応は東の帝国に属しているのかな?そこでわたくしは拷問殺戮解剖を嗜む者だよ?あ、君らを殺すのは遊び半分だけどね」

 

「ひぃ!」

 

恐怖に染まった声を上げるオーガ達に、クイーンは優しく微笑みかける。

 

「うふふ、安心してよ。別に取って食おうとか思ってないんだ。ただ、ちょっとだけ聞きたいことがあるんだよ。あのさ――」

 

そう言いながらクイーンは鎌を笑顔を保ちながら鎌をオーガの長へと振るう。その首を狩ろうとするそれは――届くことなく、赤い雷によって弾かれた。

 

「随分と……気色悪い雰囲気出してんじゃねぇか。お前」

 

「あら、これは失礼しました。でも、いきなり攻撃してくるとは思わなかったですわ。貴方、何処のどなた?」

 

「俺はアイン。こいつらの監視を任されていた者だ。」

 

その言葉に、そのドラゴニュートの姿に一瞬驚いたような表情を浮かべるもすぐに元の表情に戻り、その瞳には先程までの狂気はなく、ただただ無邪気に好奇心に溢れていた。殺気は倍になっているがまるで子供のように目を輝かせて、鎌を構える

 

「へぇ……監視役ね。つまりこの里のオーガ達を皆殺しにしても文句言わない立場の人ね?」

 

その瞬間、アインの身体から魔力が立ち昇る。その顔にはクイーンと似た笑顔が浮かんでいる。

 

「あぁ、そうだ。だが、お前が俺より強ければの話だがな!」次の瞬間、二人は同時に動き出した。

 

「はあああっ!!」

 

先に動いたのはクイーンだった。その手に持った鎌で斬りかかるが、それをアインは片手で受け止めるとそのまま掴んで振り回す。

 

「きゃっ!?」

 

悲鳴を上げつつも空中に飛んで着地すると、今度は鎌を横薙ぎにして放つが、それも受け止められてしまう。

 

「どうした!そんなもんかよ」

 

挑発するように言うと、それに反応するかの様に笑みを深くしながら、鎌をられたまま、クイーンは距離を詰めて殴りつける。

しかし、それを軽々と避けるとは蹴りを放つ。だが、それは手で防がれてしまい、逆にアインは反撃を受ける。

 

「ぐっ!」

 

「あはははははは!!!やるじゃない!貴方も鬼人なの?」

 

「違う!俺はドラゴニュートだ」

 

その返答にクイーンはわかっていたかのように笑い出す。

 

「あはははははは!!!!!やっぱりそうよねー!貴方、他とは違うドラゴニュートだよね。変異種ってやつ?」 

 

「……知らん」

 

「え?知らないの?まあいいわ、それよりさ……」そう言うと、再び鎌を振るい、届く前にアインは赤い雷を手から放射し迎撃する。雷と鎌がぶつかり、火花と共に二人の距離は離れる。

 

クイーンは衝撃でよろめき、わざとらしく頬をふくらませる。

 

「うわっとと、危ないじゃん。急に何するの?」

 

「そっちこそ、勝手に話を進めるな。ここに来た要件を言え」

 

「え?無いよそんなの。魔物じゃまったく満足できなかったから手頃なオーガぶち殺したくてきただけだよ」

 

クイーンはキョトンとした顔で言う。その様子にアインの顔に青筋が浮かぶ。

 

「やっぱお前嫌いだわオレ」

 

「わたくしは貴方のこと大ッッ好き♡」

 

二人の間に凄まじい魔力と殺気が渦巻き、周囲の空間を歪ませていく。

 

「……死ねェ!!!」

 

アインはクイーンに向かって飛び込むと同時に拳を繰り出す。

 

クイーンはそれを鎌の柄の部分で弾き、そのまま鎌を振り上げるが、それを察知していたのか、アインは既に後ろに跳んでおり、回避する。

 

クイーンはその様子を見て楽しそうな笑顔を浮かべながら舌なめずりをする。

 

「うふふ、本当に面白いわね貴方。今まで戦ったドラゴニュートは全然相手にならなかったけど、貴女なら退屈しないで済みそうだわ」

 

「そりゃ光栄だ。で?もう終わりか?」

 

「まさか!ここから本番よ!!」

 

クイーンは再び鎌を構えて走り出し、それに合わせてアインも駆け出す。そして、お互いの距離が縮まった瞬間、クイーンは鎌を横に振るが、それに合わせるように拳を突き出す。

 

二人の攻撃がぶつかる瞬間、クイーンの動きが静止されアインも動きを止めてしまう。

 

(クイーン。遊びすぎじゃないかな)

 

「……ちぇ、これで終わりですか」

 

クイーンは脳内の声の帰還の意味を持つ言葉に従い、牢から出て、帰ろうとする。

 

「まて!何帰ろうとしてるんだ」

 

アインの問いに、クイーンは我慢するように口元を震わせながら答える。

 

「門限ってやつだよ。まったく、これからが愉しいってときに水をさされたね。じゃね、アインくん。また会える日を楽しみにしてるねー」

 

そう言ってクイーンはまるで吸血鬼のように蝙蝠が現れて、覆い隠すと、散ったその時には姿は無かった。

 

「……何だったんだよ。本当に」

 

 

 

「……なるほど、そんなことがあったわけね。で、その男は何なんです?」

 

アニスにそう言われて、男は姿を見せる。

 

「はじめまして。儂はオーガの里長をやっていた者です。アイン殿に無理を言って、儂のみ貴方様の配下に加えりたく参じました」

 

 

一瞬アインを睨みつけた後、アニスは里長に問う。

 

「……ほう、それは何故だ?」

 

「儂は弱い。だからこそ、息子達と離れ、強くなりたいと思い立った次第です」

 

「ふむ……」

 

アニスは思考する。

確かにオーガとしては強い。進化して、鍛錬を積めば少なくてもアインと並べるほどには。

 

しかしそれが何時になるかはわからない。それならば、ここで手っ取り早く強くさせるべきかもしれない。

 

名付け。それで何処まで強くなるかで配下にするか決めても良いだろう。

 

「わかりました。では名付けによってどれだけ強くなるかで決めさせてもらいます」

 

「おお!!ありがたき幸せ!!」

 

「では、名前を決めましょうか」

 

アニスが考える素振りを見せる。

 

「では、貴方の名前は……。赤陽です」

 

その瞬間、アニスから多量の魔素が族長に流れていき、進化が始まる。

 

ベニマルと似た進化であり、体躯は小さくなり、野性味が薄れた丹精な顔立ちに、しかし違う点もある。

 

角は炎のような模様がつき、魔素量はアインに近いレベルにまで上がっている。

 

「……お眼鏡に叶いましたか?」

 

「ふむ……うん、合格だよ。赤陽、思っていた以上だよ」

 

こうして、アニスはオーガの里長、セキヨウを配下に加えた。予想外ではあるが、これだけの強さなら鍛えれば十分戦力に入るだろう。

 

アインにはセキヨウの指南役をしてもらい、命令外すぎることを行った罰を与えられることとなるのだった。




(´・ω・`)思ったより最初からまともな文面が多くてびっくりしたわ。キャラクターノートとか脚注を使用したとはいえ。

あ、次、転スラとしての時間軸が結構飛びます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。