憑依したらクレイマンだった件 (微量の転スラネタバレ注意)   作:謎のコーラX

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(´・ω・`)途中から更新が滞ってすみませんでした


番外 大晦日のクイズ大会

年末も年末、三十一日。 

 

魔石を使用したコタツの中で、みかんを頬張りながらウルティマはダラダラとし、アイリーンは座椅子に腰掛けながら本を読み進めている。

 

この二人にとって大晦日とはそんなものだった。

 

「……」

 

しかし、今年の二人は少し違うようだ。いや、いつも通りの小さな争いなわけだが。

 

さっきまでだらけきっているはずの二人が真剣な眼差しで五十年前にミュウランとジスターヴの研究員達の研究の結晶であるテレビを見つめていたのだ。

 

なんでも魔法の水晶を画面に使っており、値段は下手な下級貴族の財産に匹敵するという最高級品だ。

 

内容はと言うと――アニス主催のクイズ大会だ。

 

『では問題です』

 

テレビの画面から声が流れてくる。

 

『ある男がいました。男はある日突然、妻を失いました。男の妻が死んだ理由はなんでしょう?』

 

「うわ思ったより愉しそ――げふん、クソ重いのが来たわね」

 

「……ふむ」

 

アイリーンが本を閉じて腕を組む。

 

隣に座っていたウルティマが身を乗りだして、テレビを見やる。

 

そして数秒後、ウルティマが答えを口にする。

 

「病気?」

 

『病気ですか?』

 

『正解!』

 

回答者の答えに、クイズ番組の司会者が笑顔を浮かべて拍手をする。

 

「へぇー意外と簡単だったじゃない?これなら私でも解ったかも」 

 

「そうですね、これは簡単な部類に入りますね。ま、アニス様が考えたにしては簡単すぎる気はする答えですがね」

 

『では●●さんには●●ポイント加算されます。それでは次は計算問題です』

 

太鼓のドドンという音と共に、次の問題が提示させる。かなり複雑な数式であり、参加者には数学を得意とする者がいるにも関わらず、頭を悩ませながら紙に書いて答えを出そうとしている。

 

「うーん、これは僕でも少し」

 

「●●●ですね」

 

アイリーンはそれを暗算で答えを口にし、ウルティマも流石に冷や汗をかき、驚いた様子を見せる。

 

「いや、早すぎない?」

 

「ウル、貴方は?」

 

「あ、うん、同じく●●●だけど」

 

『答えが出揃いました!答えは――●●●!』

 

アイリーンが答えた数字と同じであり、回答者には一人も正解は出ていなかった。

 

「残念でしたね。ワタクシと貴方でとりあえず一つですね」

 

「むぅ……」

 

「ふふっ」

 

「……次!」

 

その後も問題は一進一退に答えていき、最後の問題へと差し掛かった。

 

『では最終問題です!これはアニス様が問います』

 

『えー、アニスです。では問題です。二人の友達がいました。二人は最初こそ険悪な雰囲気を出していてましたが、時間が経つにつれ仲良くなっていきました。二人は共に強く、切磋琢磨していき、いつしか楽しげに戦い合いました。さて、一人は長年の経験、一人は類稀なる才能、どちらが勝ち越すか、お答えください』

 

「……」

 

「……」

 

二人、アイリーンとウルティマは沈黙し、考えにふける。テレビで答えが出る直前、アイリーンとウルティマは同時に答えを出した。笑みを浮かべて。

 

「「それは無い」」

二人は同じ答えを言ったことに驚き、顔を見合わせる。

 

「……なんだ、もしかしてワタクシとずっと拮抗してるのがお望みですか?」

 

「そのほうが楽しいからね」

 

「同意見です。で、答えは……」

 

『えー、正解者0ですね。では優勝者を発表します、優勝は――』

 

アニスは指を弾き、アイリーンとウルティマは地面が消えたかと思うと、テレビの向こうの会場まで転移させられていた。

 

「え!あ、アニス様?」

 

「なに?覗き見が趣味だったのかな?」

 

「仕方ないだろう。貴方達が一番正解率が高かったんだから。では優勝賞品だ、受け取るといい」

 

集まった人々からの若干のブーイングを無視して、アニスは二人に優勝賞品を渡したのであった。

 

 

「……さて、そろそろか」

 

アニスは鐘の前で、配下達と共に新年を迎えようとしていた。

 

「……何故、この服なのか」

 

アニスの服装は似合いはしてるが女物の着物だ。新年に着るものだがメイド達にこちらを勧められ、嫌嫌ながら着てきた。

 

「はぁ、まぁいいか」

 

時計が進む。

 

3 2 1――

 

「ハッピーニューイヤー!」

 

皆に教えたその声が響き渡った。

 

新たな年の始まり、アニスは近々くるリムルの物語に、心を躍らせるのであった。

 

 

 

 


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