憑依したらクレイマンだった件 (微量の転スラネタバレ注意)   作:謎のコーラX

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(´・ω・`)前の話につけとけよっていう批判は受け付けてます


7話 優秀なやつはちゃんと伸ばそう

――正直、あそこまで脅すつもりは無かった。

 

クレイマン、もといリョウマは罪悪感を覚える。

 

本当に食事に誘うために呼んだのだ。中身が違うことを伝えるつもりは最初からあったが、まさか業視者(ミサダメルモノ)にあの三人から殺意が出てくるとわかって焦った。アイリーンがやりそうな気配もあったのもあるが、まさか疑心を超えて殺意に行くとは考えていなかったのだ。

 

なんとか危害を加えないようにしたが、このままではこれからする話に切り込めない。食事ともう一つ、中庸道化連に依頼を頼もうと思っていたが、これではいけないと、まぁ可能性の話だが、この話をしようと、言葉を続ける。

 

「さて、先程も言ったのだが、私はクレイマンの身体……そして()()を持っているわけだ、この意味がわかるかな?」

 

「……なんや?」

 

確実に嫌われたドスの利いた声がラプラスから発せられる。クレイマンは精神が強くなっても、やはり嫌悪は心に痛いものだ。

 

「もし、私のクレイマンの記憶を別の誰かに移すと、どうなるかな?」

 

「そりゃあクレイマンが……あぁ、なるほどな。だがそんなことが可能なんか?」

 

その話を聞いて、ラプラスの声が若干上がったような気がした、クレイマンは机の下で拳を固め、ガッツポーズをとった。

 

妖死族(デスマン)ならもしかすると可能だと、私は思っています。私も元のクレイマンがこのまま消えるのは違うなって憑依した時から思っていましたし。確約はできませんが、本来のクレイマンを貴方達に再び会わすと、誓いましょう」

 

「……まぁ、ええやろ。とりあえずは少しくらい信用したるわ」

 

フットマンとティアはまだ不服そうな雰囲気を出しているが、不信感はあれど殺意が消えたのがわかり、クレイマンは心から安心する。

 

「ありがとうラプラス、いやラプラスさん。とりあえずカレー、食べましょうか」

 

その後、フットマンがカレーを三杯食べ、中庸道化連の三人が満足した辺りで、クレイマンはやっと本題にうつった。

 

「で、こんな言い争いをするために私、貴方達を呼んだのではありませんよ?一つ依頼をしたくて呼んだわけです」

 

「ほー、依頼ってどんなんや?」

 

「人探し、というより団体探しですね。相手は……コロンブス」

 

その名を聞き、中庸道化連の三人は身体をビクッと震わせる。

 

「えらい大物やな。例の問題の多い奴隷商団やろ?そいつらをどうするつもりなんや?」

 

「最近雇用したドラゴニュート達に因縁があってね。その団長さんに報いを受けさせたいわけで。場所がわからないからここは中庸道化連に依頼しようと思ったわけです。依頼料は弾みますよ?」

 

ラプラスはティアとフットマンと話し合い、結果は了承ということで頭を縦に降った。

 

「ええやろ。コロンブスを見つけてやるわ。じゃあワイらはこの辺で失礼させてもらおうか」

 

中庸道化連の三人は立ち上がり、何の妨害もなく扉から出ていく。

 

「三日で見つけてやるわ。まぁゆっくりと待ってればえぇよ」

 

ラプラスは最後にそう言ってこの場から立ち去っていった。

 

 

波乱の食事が終わり、アイリーンと三人のドラゴニュートは訓練場に足を運んでいた。クレイマンからの命で三日でなんとか戦えるようにしろというもの。無茶のように聞こえるが、アイリーンは了承し、三人のドラゴニュートもやる気に満ちていた。

 

「はっ!」

 

「ふむ、まぁ悪くない太刀筋。ただまだまだすきが大きいようですね」

 

アイリーンはツヴァイの上段の木剣を避け、つま先をツヴァイの腹に突き刺した。

 

「がはっ!」

 

血は出てないが鋭い一撃をくらい、ツヴァイは腹を抱えてうずくまった。

 

「おらぁ!」

 

次にアインは拳を突き出すが、アイリーンは難なく避けるどころか背後に回り、足払いの後、倒れたアインの顔面すれすれに拳を突き出した。

 

「狙いが甘い。ただ殴るだけならゴロツキでもできます」

 

「や、やぁ!」

 

ドライの気合の無い掛け声とは裏腹に、その槍の代わりの長い木の棒は速く、鋭くアイリーンの心臓目掛け放たれ、殺意すら感じられる。

 

しかしアイリーンはそれを二本の指で軽く止めて見せ、そのまま棒ごとドライを引き寄せ、背中での攻撃、いわゆる鉄山靠(てつざんこう)と呼ばれる三人の中で初めて技を使い、ドライは強い衝撃と共に後方に飛んでいき、地面をゴロゴロと転がり、壁にぶつかると、大きく息を吐いた。

 

「はーー。あーあ、やっぱり敵わないかぁ」

 

「驚いた。貴方が一番戦い慣れしてるようですね」

 

「こ、これでもリザードマンの頃はそれなりの戦士として頑張ってましたからジブン」

 

ドライはそんなことを言いながら棒を支えに立ち上がる。

 

「やるなぁ。これはオレら三人がかりでやらんと勝てなさそうだ」

 

「少し不本意ですがそうでしょうね。卑怯とは言わせないですよ?」

 

アインとツヴァイも立ち上がり、三人はアイリーンを三角の形で囲んだ。アイリーンはそれを鼻で笑った。

 

「戦場で卑怯はありませんよ?良いから喋ってないで来なさい。相手は待ってくれることなんて無いんですから」

 

「言ったな!なら行かせてもらうぜ!」

 

三人は一斉に駆け出し、攻撃してくるが、アイリーンは余裕の動きで避けていき、むしろ他の二人に当たりそうになっている。

 

「くっ、邪魔ですよアイン!」

 

「あぁん?お前が邪魔なんだよ!」

 

「ふ、二人共、喋っていると舌噛むよ?」

 

そう言いながらも三人の動きで段々と洗練されていき、アイリーンが避けたところに攻撃、避ける先に攻撃して妨害など、アイリーンは避けるのが難しくなっていっている。

 

「やりますね。ではこちらもこうげ」

 

突如、アイリーンの視界が揺れる。バランスを崩し、三人はその隙を見逃さず、攻撃を加えようと三方向から攻撃を仕掛ける。

 

「……油断大敵ですよ」

 

アイリーンは崩れた体制からなんと片脚で跳躍して見せ、三人の攻撃は空を切り、逆にバランスを崩した三人にアイリーンは360度回転の回し蹴りをいれ、そのまま三人は地に伏した。

 

「相手がどんな体制からでも攻撃は起こりえます。隙をうくのは大切ですが、相手の反撃も考えて行動するように」

 

「わ、わかったよ……アイリーン様、どうしてそんなに強いんですか?」

 

ドライの質問に、アイリーンは答えにくそうに頭をかき、苦笑しつつその質問に答える。

 

「はは、それはワタクシにもわからないんですよ。いつの間にかできていたので。

 

まぁ才能と言えばいいんですかね?じゃ、ワタクシは今日はこの辺で、クレイマン様に貴方達の実力の報告に行ってきます。後は自主トレなりチームワークの改善なりしててください」

 

アイリーンはそう言って入ってきた扉を開き訓練場から出ていった。

 

扉を閉め、しばらく歩いた辺りで、誰もいないことを確認するとアイリーンは片膝をつき、苦しそうな表情で大きく息を吐いた。

 

「……あぁくそ。思ったより早かったようですね。ですが、ワタクシはまだ()()()()なんです。まだもう少し持たせない――と」

 

身体を支えきれず、倒れそうになるが、何かが支えとなり、倒れずに済んだ。

 

「大丈夫?」

 

その声にアイリーンは聞き覚えがあった。

 

「ティアさん、でしたか」

 

顔を上げるとそこには涙を流した仮面をした少女、ティアがいつの間にか立っていた。

 

「……改めて見ると、やっぱりアタイ達に似てるけど違うみたいだね。似せているだけの別物って感じ」

 

「そこまでわかるんですね……ありがとうございます。だいぶ安定してきました」

 

アイリーンは立ち上がり、何もなかったかのような微笑を浮かべた表情でティアの横を通り過ぎていく。

 

「気になって見に来たけど、相当無理な進化をしたのがよくわかる身体してるね。()()()()ってところだよ?」

 

「はは。それだけあれば十分ですよ」

 

アイリーンは自分の胸に触れる。心臓の鼓動が弱まっている。自身の最後が近いことを確認し、覚悟を決めた瞳で主人、クレイマンの元に向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




環境改善編も中盤ですね。
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