憑依したらクレイマンだった件 (微量の転スラネタバレ注意)   作:謎のコーラX

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(´・ω・`)いろいろと詰め込んだ


8話 人は簡単には変わらないものだ

俺は山浪幸永(コウエイ ヤマナミ)

 

裏世界では人身売買で富を得た最強にイケてる男さ。

 

ある夜の話、俺はいつも通り調教のために誘拐したガキ(商品)をなぶっていると、後ろから刃物で刺された。

 

相手は一年前に変態の富豪に売り飛ばしたガキだった。他にもいろんなガキがいて、俺はそいつらに滅多刺しにされてしまったんだ。

 

可哀想だろう?俺はただ自分の幸せのために行動していただけなんだからな。だから俺は願った、絶対に逆らうことができなくする力が、そう願うと、俺の頭に声が響いた。

 

《確認しました。ユニークスキル、『征服者(セイスルモノ)』を獲得……成功しました》

 

その声と同時に俺は何処かに飛ばされた。場所はわからないが、とりあえずあれだけ傷ついた俺の体は今にも死にそうな様子で、これではヤバいと思っていると、目の前の金髪の兄ちゃんに必死に頼むと、滅茶苦茶嫌な顔をしていたが俺に精霊をくれた。

 

名前は土の騎士(ウォーノーム)っていう名前の通りの騎士の姿の精霊で、なんでも上位精霊っていうやつらしい。

 

金髪の兄ちゃんはこいつに身体を与えたつもりだったようだが、そうはいかなかった。俺はウォーノームを精神で屈服させると、そいつは俺の所有物となった。

 

そのまま俺は金髪の兄ちゃんから立ち去り、傷跡はあるが命は精霊のおかげで助かった。

 

その後は様々な場所で仲間(道具)を集め、征服者っていうスキル名から俺はその偉業が大好きな偉人、クリストファー・コロンブスからコロンブスっていう奴隷商団を作り上げた。

 

魔王(化け物)以外には俺に勝てるやつはおらず、魔物も人間も魔人も全て屈服させて、俺の商品にしてやった。

 

俺はこの世界で成り上がり、幸せを勝ち取ってやる。どんな手段を使ってでもなぁ。

 

 

中庸道化連へのコロンブス捜索依頼から三日後、クレイマンはラプラスからコロンブスを情報を応接室で聞いていた。

 

「へぇ、意外と近いところに潜伏していたんですね。まさか洞窟を作っていたとは……ありがとうございます。ラプラスさん」

 

「ええってことよ。報酬もたんまり貰ったからな」

 

「えぇ、それじゃあ私は作戦を」

 

「待てや。一つ聞きたいことあるんや。それからでもええやろ?」

 

クレイマンは少し不満そうな顔をしつつ、半分ソファーから立ち上がっていた足をソファーに戻した。

 

「気になっていたことがあったんや。お前、なんのためにこの国を良くしていたんや?それにアイリーンさんやあのドラゴニュートのこともや」

 

「それはこの国が最悪な環境だったから良くなれば私も楽になりますし、クレイマンみたいなヘマはしたくありませんので。まぁ自分のためですね」

 

クレイマンは笑いながら語った。ラプラスはそれを聞き、しばし沈黙の後に大きくため息を吐き、立ち上がった。

 

「つまり、この国はお前にとっての足枷か、それに優しい対応は全て自分のためと、取り繕うことのない、まさに偽善者の鑑やな……お前、人を信用しとらんな?」

 

「え?いや信用してますよ?こうやってアイリーンに仕事を任せたりしてますし」

 

「それは人の善意を枷にして働かせているってちゅうんや。お前自身、何もしとらん。その信頼に答えようともしとらんのや」

 

ラプラスは座っているクレイマンを見上げながら話す。クレイマンはそれに何も返さず、ただバツが悪そうにラプラスから視線を反らしているだけだ。

 

「……呆れたわ。お前気づいていないんかもしれんが、ワイが知っているクレイマンとそう変わらないんやで?ただ支配のやり方が変わっただけでな。いや、自分でも疑問に思ってる分クレイマンより悪いな」

 

クレイマンはただそれに驚くような顔をして、より顔を下に沈めるだけだ。

 

ラプラスはそれだけ言うと、扉のほうに歩を進め、最後に、

 

「お前は悪人ではないのはわかっとる、だが善人でもないんやな」

 

そう言ってラプラスはクレイマンの怒りの表情を見た後、机の叩く音を聞いて去っていった。

 

ラプラスはティアとフットマンと合流し、街の中を歩きながら話していた。

 

「確かに街は良くなったが、アイツが上司じゃあ街のやつらもアイリーンさんも可愛そうやな」

 

「そうだねー。アイリーンちゃん、そろそろヤバそうなんだけど、それをアイツには話すなって今日来たときに口止めされてしまったんだよね。アタイとしては早く開放されてほしいよ」

 

「ほほ、あれほど優秀な人材が無くなるのは損失ですね。何か方法がないんでしょうかね」

 

三人はアイリーンのことを話しながら、街の外に向かっている。

 

「……今回のワイの一言で、何かアイツに変化が起きていることを願っとるわ」

 

 

「ふーん、ここがその隠れ家ね」

 

アイリーン、ヴィオレ、そして三人のドラゴニュート達はある岩の前に来ていた。

 

ジスターヴには北端に位置する岩山地帯があり、その中の一つにあるらしく、地図に印を付けたこの場所に洞窟があるはずだが、目の前にあるのは岩の壁だけだ。

 

「ガセ?」

 

ヴィオレの言葉に、アイリーンは首を振る。

 

「いえ、違うと思います。ほらここ」

 

アイリーンは不自然に空いた岩の隙間に手を入れ、突起物を押し込むと、塞がれていた岩の壁が扉のように開き、入口が現れた。

 

「おや?こういうこともわからないんですか?」

 

「なわけないじゃーん。流石にボクでもこんな小細工わかってるよ」

 

「あらそうですか。ふふ」

 

アイリーンとヴィオレの会話に含まれた圧に、三人のドラゴニュートは顔を引きつらせていた。

 

アイリーン達は洞窟に足を踏み入れ、暗い内部を魔法で照らしながら進んでいく。岩肌も無駄に綺麗なもので、明らかに不自然なほどに人為的な作りとなっている。

 

ラプラスの話ではボスは精霊使役者(エレメンタラー)というのは本当なのだと、アイリーンは考えた。

 

魔物も人間も現れず、ヴィオレは鼻歌を歌いながら歩いていき、アイリーンも邪魔するように音程を外した鼻歌をしていると、広い空間にたどり着いた。

 

「♪〜あ、どうやら分かれ道に来たみたいだね」

 

「♫〜あぁ、そうみたいですね。どうしましょうか?」

 

分かれ道は三つあり、アイリーンはすぐに分担を決める。

 

「……そうですね。右はワタクシ、真ん中は貴方達ドラゴニュート、左はヴィオレ、貴方が行ってください」

 

「はーい、じゃあ競争だね!」

 

ヴィオレはまるで遊びに行くような楽しげな動きで左の道にスキップで向かった。

 

それをアイリーンはため息を漏らしながら、右の道に歩いていく。

 

「はぁ、まぁ良いでしょう。貴方達、一人たりとも逃がすことないように。逃したら訓練メニュー増量します」

 

それだけ言うと、アイリーンは右の道の暗闇に消えていった。

 

三人は暗闇の中にいたが、自身の身体を輝かせ、明かりを確保し、三人は大きく息を吐いて、緊張から開放された。

 

「はーー。やっとあの二人から開放されたぜ。さて、多分いるんだろうなこの先には」

 

アインは拳を突き合わせ、武者震いをしている。

 

「えぇ、不自然なくらい一人も現れませんでしたから、どれかがハズレで、行き止まりにたくさん人をとかありえますね」

 

ツヴァイは不安そうに腰をつけたクレイマンから託された剣を優しく撫でる。

 

「あ、あまり油断してはいけないよ?ジブンらが当たりの可能性あるから」

 

ドライはいつも通りの声音で槍を構えた。

 

三人にはクレイマンから魔法武器(マジックウェポン)が与えられている。その中でツヴァイはヤムザが持っていた剣、氷結魔剣が与えられ、ドライには普通の鉄の槍と鏡身の腕輪(ドッペルゲンガー)を、アインにはそういう小細工は必要ない、平凡な篭手の魔法武器(マジックウェポン)が与えられている。

 

三人はその武器に見合った働きをすべく、洞窟の奥へと進んでいく。

 

しばらく何もなく進んでいくが、徐々にある臭いが香ってくる。血だ、三人はこの先に何かあると身構え、再び広い空間に出た。

 

そこは明かりが十分届いた空間で、まわりには首輪をつけた人間や亜人に加え、魔人が憔悴仕切った様子で檻に入れられ、中心には女を侍らせた大柄の傷跡だらけの男が玉座に座り、それを護るように部下らしき魔人や人間が立っている。

 

「ほう、宝石みてぇなドラゴニュートだな。こいつは高く売れそうじゃねぇか」

 

玉座に座っている、明らかにリーダー格の男は指を鳴らすと、背後から何処からか現れた魔人達が退路を断ち、部下の魔人と人間達がドラゴニュートの三人を囲んだ。

 

部下達は下卑た笑みを浮かべてツヴァイを舐めるように見ている。それをツヴァイは不快な顔をしつつも、腰の剣を抜いた。冷気が発せられるその剣は離れた位置の部下達にも届き、肌寒そうに震えている。

 

「来なさい下郎ども、一人たりとも生かして帰さん」

 

「へっ、舐めるなよ!俺は上位魔人だ、武器がどんなに強かろうと俺らの敵じゃないな!」

 

一人のゴリラのような筋骨隆々の魔人がツヴァイに飛びかかる、その拳で殴りかかり、ツヴァイはその剣で拳を斬ろうと振るったが、ガキンという音が響き、斬れることは無かった。

 

「残念だったな、俺の拳は魔鉱石なみの硬度だぜ」

 

「そ、だからなに?」

 

「は?」

 

筋骨隆々の魔人は突然拳から感覚が消えたことを認識する。ツヴァイがピンッと指を魔人の腕に弾くと、腕はひび割れていき、粉々に砕け散った。

 

「超低温をくらったんです。脆くなるのは当然ですよね。まぁ今回は腕のみの魔素を凍らせたんですけど」

 

「お、俺の腕が――」

 

ツヴァイは魔人が叫ぶ前に首を切り飛ばし、血液は流れず、断面は凍りついていた。

 

ツヴァイは頭を踏み砕き、他の部下達に剣を向け、睨む。

 

「次は誰です?」

 

「う、うぉぉぉぉ!」

 

他の部下達も一斉に襲いかかる。人間の部下は精霊に变化し、魔人も人間の姿から化け物へと変わる。

 

「アイン、ドライ、やりますよ」

 

おう(は、はい)

 

ドライはドッペルゲンガーで分身し、その高速の動きで部下を穿ち、切り裂いた。

 

アインもその拳で岩のような皮膚の魔人の身体を砕き、赤い雷が発生する。

 

ものの数分で部下達は全滅し、残ったのはリーダーらしき男だけとなった。

 

「さて、残りは貴方だけですね」

 

「やるな……なぁてめぇら。俺の部下にならないか?報酬は弾むぜ?」

 

「それを受けるほど憎悪は軽くないんですね。大人しく命をよこしなさい」

 

「言うねぇ。なら屈服させるまでよ」

 

男の身体が変化する。土が盛り上がり、固まっていく、その手には右手に剣、左手に剣を持った巨体の騎士へと変わった。

 

「ウォーノーム!アイン、ツヴァイ、こ、こいつはヤバいですよ」

 

「博識だなぁ。ふふ、これからお前らの主人の名前を教えてやる。俺はコウエイ!いずれこの世界の王になる男さ」

 

コウエイは剣を構え、三人のドラゴニュートに向かっていく。

 

ドライの高速の動きでのヒットアンドアウェイの槍も通さず、ツヴァイの氷結もまるで意に介さない。アインの拳も盾で防がれ、三人はウォーノームのコウエイの剣を一振りで吹き飛ばされ、実力の差をこの数秒の攻防で思い知らされる。

 

「どうした?これでは準備運動にもならんのだが?」

 

「はは、やべぇな。こんなに強いものなのかよ」

 

アインは若干心が折れそうになるのを踏ん張っている。

 

ツヴァイもドライも勝てそうにないことを知り、思考を回し、チームワークで勝とうと考えているが、思いつかないでいる?

 

「さぁ、俺に屈服しな!」

 

コウエイは征服者(セイスルモノ)を発動させる。その効果は精神にせよ肉体にせよ、相手が自分に屈した場合、問答無用に隷属させるもの。これはコウエイが死なぬ限りは如何なる行動ができず、まさに奴隷へと墜とすユニークスキル。

 

しかし、その発動は敵わない。

 

ドカーン。壁が爆音と共に破砕され、一人の少女が姿を見せる。

 

三人はその姿に安心を覚える。

 

「やっほー、どうやら君達が最初だったみたいだね」

 

ヴィオレだ。ヴィオレは一瞬で三人の元までたどり着き、ゴミのように空間の端へと投げ飛ばした。

 

「こんなのに苦戦していたの?流石に弱すぎない?」

 

三人はあの上位精霊にそのような軽口を叩けるヴィオレに尊敬と畏怖を覚える。コウエイはヴィオレの正体にすぐに気づき、笑い声をあげる。

 

「ははは!上位魔将(グレーターデーモン)かよ!なら俺に勝てる道理はないな!ガキ!今なら優しくしてやるよ」

 

「は?何こいつ、随分と頭が高いね。死にたいの?」

 

ヴィオレは嫌な顔をしながら、コウエイへと近づいていく。

 

コウエイは勝ちを確信している。本来精霊は悪魔に強いという相性が存在する。そう、()()()()

 

「しねぇ!」

 

コウエイは剣を振り下ろす、それをヴィオレは余裕で回避し、一瞬でウォーノームの胴体を破壊、核を奪い取った。

 

「――は?」

 

「うん、やっぱり若すぎる、蓄積がまるでなってない雑魚。君、ボクをなめすぎだよ」

 

ヴィオレは核を破壊し、コウエイはウォーノームを失い、人間となると、精霊で命を繋いでいた身体が衰えていくのを感じる。

 

「あ?、ぁぁぁぁぁ!?」

 

コウエイは現実を受け入れられず、錯乱した様子で玉座裏の道へと逃走していく。

 

コウエイはふらつきながらも走っていき、出口に差し掛かると一人の男が待ち構えていた。

 

「じゃ、邪魔だァァァ!」

 

「待っていましたよ。では、拘束しますね」

 

 

クレイマンはコウエイを捕まえ、すっかりおじいちゃんとなったコウエイに支配の心臓(マリオネット・ハート)をかけた。

 

アイリーンは奴隷を救い出し、残りの部下もヴィオレが殺し尽くし、これにて奴隷商団コロンブスは壊滅したのであった。

 

アインがコウエイを抱え、ドライが元奴隷の先導、ツヴァイは最も前で警戒している。

 

アインはヴィオレに感謝を述べる。

 

「いやぁ、助かりましたよヴィオレさん、俺達なら死んでましたよあいつには」

 

「君達が弱すぎってだけだよ、クレイマン様も後処理って感じの活躍素晴らしかったです!」

 

「はは、皮肉ありがとうヴィオレ」

 

「……終わりましたね」

 

アイリーンはアイン、ツヴァイ、ドライを見ていた。まだまだだがこの先自分がいなくても活躍できる才能を感じていた。最後の問題も解決し、アイリーンは笑顔を見せる。

 

「ねぇ、君も何か言ったら――」

 

ヴィオレはアイリーンのほうへと視線を向けると、そこには――笑顔で倒れるアイリーンの姿があった。

 

「アイリーン!!」

 

ヴィオレの叫びの後、アイリーンは意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




こういうギスとか暗めな話ってなろうでは一気に投稿して解消する必要あるとかなんとか知らんけど。

自分は無理っす(´・ω・`)
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