デジたんに自覚を促すTSウマ娘の話   作:百々鞦韆

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ジューンブライドネタ……?
四六時中やってますよ、んなもん(適当)


マリンブルーの瞳に溺れて

「夏だねぇ……」

 

「夏ですねぇ……」

 

「夏やなぁ」

 

「ゴルシちゃんって関西人だったの?」

 

「まあ、どっちかっつーと?」

 

「どういう意味、それ……」

 

「何か分かんねーけど、関西っちゃ関西だな」

 

せやかてゴルシちゃん。

君の出身地はゴルゴル星だったはずだが。

なぜ関西の因子を継承している?前世の電波でも受信したのか?

 

「とにかく、夏とくりゃあ、アレだな。うん。海」

 

「デジたんの水着!?」

 

「早えって、反応が。落ち着けよ、アタシまだ海ってワードしか出してねーぞ」

 

「最近は水泳トレーニングの回数も増えてますけど、基本は学校指定の水着、いわゆるスク水ですからねぇ。もちろんソレも大変垂涎ものであることに変わりはありませんが……。でゅふふふ……」

 

「デジたんのヘソ……」

 

「部位を指定されると、気持ち悪さが増すよな。いや、カンストしてっから大して変化はねーけどよ」

 

ヘソって素敵だよなぁ。

こうして自分で息をしている間は絶対に使わない器官なのに、こうも人を魅了できる。もしかすると、かつてそこにあった生命の胎動に魅せられているのかも。なんて考えてしまうほどには、僕はヘソが好きだ。

 

あぁ、デジたんの、という枕詞がつくが。

勘違いする人はいないだろうが、僕はデジたんの全てが好きなのであって、その気になればデジたんの解剖学的嗅ぎタバコ入れについてだって5時間語れるのだから。

 

「海、いいなぁ。海開きもやって来たことだし、今年も行きたいよね。トレーナーさんを脅……お願いして、海トレーニングをやろう」

 

「オロール?今なんつった?脅す〜……とは言ってねぇよな、アタシの気のせいだ、だからその仄暗い目はやめろ。ちゃんとハイライト灯せって。脅迫の予行演習をアタシでやるんじゃねぇ」

 

「わかってくれて嬉しいよ。僕は今までそんな過激な手段を取ったことがないからねぇ」

 

「エェ……」

 

僕はトレーナーさんを脅したことなんてないなぁ。

大体、彼と僕の立場は、いわば教師と生徒。脅そうなんて考えない。僕はどこにでもいる普通のウマ娘(デジたん基準)だから、脅し用の武器などももちろん持っていない。

 

……まあ、必要ないから、というのもあるが。

人間とウマ娘、どちらが強いかなんて一目瞭然。

軽く拳を握り、脚に力を込めれば、大抵の人間は脅せゲフンゲフン。

 

「ん?つーか、トレーナーに車回してもらってもよぉ、全員乗れるか?」

 

「そりゃあ乗れ……いや、どうだろ」

 

ウマ娘のアニメを見た記憶を辿って、車で移動するシーンを思い浮かべて、無論乗車可能である……と一瞬考えた。しかし、僕とデジたんがスピカに加入している謎世界線では、どうなるか。

 

「まあちょい詰めればいけるか。もしキツかったら、グランドゴルシちゃん号も出せば何とかなるわな」

 

「そうだね、詰めれば……って、えぇっ!?何ソレ!?グランドゴルシちゃん号って何!?君、まさか車持ってるの?」

 

「どうだろーな?だが、グランドゴルシちゃん号の定員は約50人だぜ」

 

「分からん……。まさか軍用の輸送ヘリ?」

 

ゴルシちゃんならワンチャンあるな。

 

「まあ、海行くくらいならネオゴルシちゃん号で事足りるかもな」

 

「ネオ……?」

 

「ネオゴルシちゃん号はまだ構想段階なんだけどな。具体案としては、まずオロール、お前が搭乗者を肩車する。んで、搭乗者はデジタルをひっかけた竿を持つ。んで、あとはもう、デジたんを追っかけ続ける変態の動力で、ばーっと……」

 

つまりは、四足歩行の方の馬を、にんじん付きの竿で操るような、よく見るアレか。そしてこの世界に馬はいないので、もしかするとそのアイデアはゴルシちゃんが初出であるかもしれない。

 

「なかなか素晴らしいアイデアだ。僕のトレーニングにもなるし、乗る人を目的地まで送り届けられる」

 

「あのぅ、あたしの人権が保障されてない気がするんですけど……」

 

「気のせいだよ。それに、もし君が搭乗者にぞんざいに扱われようものなら、僕がソイツを死ぬより惨めな目に遭わせるから」

 

「すぐそうやって暴力に訴えるの、やっぱ手慣れてんだろ。お前が裏社会とのパイプ持ってても、アタシは驚かねーわ」

 

「いやいや、僕はむしろそういう輩を見かけたら、1発蹴っ飛ばして更生させるタイプのウマ娘だよ」

 

デジたんが生きるこの世を、犯罪の存在しない美しい世界に。

新世界の神を崇め、その名のもとに世直しを。ちなみに神とは言うまでもなくデジたんだ。

 

「過激な思想の波動を感じる……」

 

「気のせいだよ。それより、皆にこの話を言いに行こう。成長期のうら若き女子学生たちには、服のサイズを変える機会も多いわけだし、早めにね。それと、トレーナーさんがガソリン代を払えるかどうかも気になるところだし……」

 

「また金欠かよアイツ。何に使ってんだ、マジ」

 

彼の財布から羽ばたいていった価値のある紙切れの行方だが、おおむね僕たちウマ娘のために使われていることは予想がつく。

しかし、トレーナーという職業のお賃金は相当なもの。とすると、僕らが普段何気なく使っている器具や、湯水のようにとは言わないまでも、毎度のように飲んでいるプロテインだとかは、やはり超高級品だったりするのだろうか?

 

「うん、数年間鍛えてきたこの身体を試すときだ。とりあえず離岸流とバトってみようかな」

 

「おう、まあちょうどいい負荷じゃね」

 

「本来であれば止めるべきなのでしょうが、どうして、こう、危機感がまったく感じられない……」

 

まあ離岸流とバトるくらいみんなやってる。

ウマ娘なら常識ってヤツだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「トレーナー?もしかして、車変えたのかよ?」

 

「ああ。スピカも想像以上の大所帯になったからな。こんなこともあろうかと、貯金出血大サービス。めでたくミニバンからミニが外れたってわけだ」

 

バン、とは、元は隊商を意味するキャラバンの短縮形で、今ではもっぱら貨物運搬車をそう呼ぶ。昔の隊商じゃあ、荷物を運ぶのはラクダなどの耐久力がある動物で、ウマ娘はもっぱら先導役だったとか。まあ、いるだけでも抑止力になる存在だ。さぞや頼もしかったろう。

 

それはともかく。

トレーナーさんの新車は、いわゆる国産バン。すると車種は限られてくるが、まあ、見てくれは完全に街中でよく見かける商用車だ。

 

「大丈夫かよトレーナー?金欠になって土しか食えない、とかじゃねーよな?」

 

「おまっ、俺をなんだと思ってるんだ……。今までで1番ひどくて、せいぜい野草だ」

 

「美味しかったです?」

 

「目をキラキラさせて聞くなって。悪意が透けて見えちゃってるぞ」

 

「悪意なんてないですよ。今度野草を摘んできてあげましょうか。トリカブトとかイヌサフランとか」

 

「毒草!お前やっぱり俺のことバカにしてないか?」

 

バカになどしていない。

野草はなかなか美味いものだ。

それに例えば、幼いデジたんが花の蜜の香りに心を馳せる絵面を想像してみろ。トぶぞ。

 

「とにかく、さあほら、乗った乗った!もたもたしてると、遊べる時間も減ってくぞ!」

 

トレーナーさんが急かし、スピカの面々は車内に足を踏み入れた。

 

「おぉ、10人くらいなら乗れちまうな。つかトレーナー、この車黒塗りにして窓もフルスモークにしちまおうぜ。んでアタシたちはグラサンとマスクで顔隠してよ……」

 

「いいね。勧誘が捗る」

 

「現状、スピカの加入手段が『拐われる』しかないというのも、なかなかおかしな話ですわね」

 

拐う……?何の話だ?

 

「頼むから、一線を越えるなよ……?俺は教え子がお縄についたなんて話聞きたかねぇぞ」

 

「大丈夫ですよ。何かあったらマックイーンにでも揉み消してもらえばいいし」

 

「メジロ家は反社会組織じゃありませんのよ?」

 

「そうだったのか。僕は普段の君の振る舞いを見て、てっきり裏社会と付き合いがあるのかと……」

 

「何をおっしゃって?私がいつそのような素振りを……、そのような、素振り……。おかしいですわ、自分でも心当たりが」

 

「アタシの目を割り箸で刺した時は、正直ビビったぜ。ちょっとからかっただけなのに、本気で抉りにきてたからな、あの手つきは」

 

思えばこのマックイーンというウマ娘、ゴルシちゃんの謎耐久力をいいことに暴虐の限りを尽くしているような気がしないでもない。プロレス技など日常茶飯事だ。

 

「まあ安心しろ。トータルの犯罪歴で言えば多分そっちの変態のが上だ」

 

「ほっ、よかったですわ……」

 

「いやいやいやなんで安心してるのよ、皆。そもそもの話が済んでないわよ。まずその変態をどうにかするのが公序良俗的にやるべきことじゃない。いや、どうにかできないのはアタシだって分かってるけど」

 

「あー、要するに、安心しちゃダメって言いたいのか?でもよ、スカーレット。抗えないものを認めることも時には大事だぜ……」

 

「どうしたのよ、ウオッカがそんな弱腰なんて。何かあったの?」

 

「俺はさぁ……。誰よりもカッコいいウマ娘になりたいんだ。そのために、いつかダービーにだって出る。けどな?別に言われて悪い気はしねぇんだけど、その。かわ、可愛……。とかなんとかずっと言われてると、なんつーかムズムズするっつーか!とにかく!この世で1番恐ろしいのは悪意のない邪悪だってことを思い知ったぜ」

 

スピカ随一のピュアガールを可愛いと呼ばずして何と呼ぶのか、僕には分からない。

 

「涙は海がかき消してくれるさ、ウオッカ。さあ、今はそんなこと考えずに、楽しもう」

 

「主にお前のせいだからな!?そっと肩を支えるんじゃねーよオロール!?」

 

解せぬ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウニダーっ!」

 

「お?マジで?どこ?」

 

「……いや、なんでもないや。このネタが通じるわけなかった」

 

それに、実際にテイオーに会ってみたが、案外大人びた部分もある。間違ってもアプリ版のように私服が女児みたいなウマ娘ではない、と思う。アニメ版の貫禄だろうか。

 

「海だーっ!」

 

「あー、なるほどな。なんだよ。今更ダジャレなんか言わなくても、お前は常にフルスロットルでボケてんだろーが。エアグルーヴのやる気を下げるだけだからやめとけ」

 

「あ、そっちのネタは通じるんだ……」

 

謎は深まるばかり。

 

ふと、砂を踏む音が背後から聞こえる。

振り向くと天使がいた。

 

「お、おぉ……!眼福、眼福……!」

 

「どう思うゴルシちゃん。自分のことを棚に上げる人ってのは」

 

「つまり、デジタルの水着姿も眼福ってわけか?知らねーよ、勝手にやってろ」

 

美しい。

彼女はファッションモデルなどではないから、無論立ち振る舞いについて何か特別な意識をしているわけではない。わけではないのに、どうしてか美しい。そこにいるだけで。水着という露出の多い格好をしているのに、淑やかさすら感じる。

 

「よしっ、とりあえず僕はデジたんを見て魂が壊れそうだ。しばらく耐えるから、その後で離岸流を探しに行こう」

 

「ツッコミどころが多い!」

 

はぁ、尊い尊い尊い尊い尊い。

 

「ダメだ、もう僕を砂に埋めてくれ。しばらく大地に還りでもしないと落ち着けない気がする」

 

「あー、もうアレだ。この際全部ぶち撒けろ。せっかく海来てんだしよ、もうはっちゃけとけ。ただしアタシの近くじゃないところで」

 

「……言ったね?なら気遣い無用だ!僕は今日リミッターを外すッ!」

 

「ファッ!?ちょっ、ゴルシさぁん!?なんてことを!?オロールちゃんの目の色が変わってますよ!?アッこれ覚醒(はい)ってるヤツだ!アッというかなぜあたしの方にアッいきなりあたしを抱えてなにをアッアッ!?アッ!?アーッ!?」

 

自分でもどこまで行こうか決めていなかったが、ひとまず僕はデジたんと共に走ってみた。

人がまばらな砂浜で、デジたんの瞳のように青い海に膝を沈めつつ、ようやく足を止める。

 

「ハハハッ……。あぁ、直で肌に触れるくらいじゃ今更動じないつもりだったけど。水着の魔力のせいかな。さっきから心臓がはち切れそうだ」

 

「多分それ、覚醒(はい)ってるせいで身体が悲鳴を上げてるんだと思う……」

 

「いやいや、そんなことないよ。最近僕は週5で領域(ゾーン)覚醒(はい)ってるんだけど、実際慣れてきたんだ。今は2000mくらいならずっと覚醒(はい)ってられる。この程度じゃ息切れも起きない」

 

「そんなに強い心臓なのに、あたしを見るだけでそんなに……?」

 

「ふふっ。ホント、存在自体が奇跡だよね。こんなにも僕の心臓を鳴らすなんて、君が僕の生死を左右してると言っても過言じゃないくらいだ」

 

「せ、責任重大……」

 

責任、という言葉だけで表せるほど、僕の愛は軽くないぞ。

 

「ふぅー、頭冷やそうかな、さすがに。このままじゃ神経が焼けそうだ。ねぇ、君も泳ぐよね?」

 

「あっ、うん。せっかくの海だしね」

 

僕とデジたんはそのまま身体を水に沈め、大きく深呼吸をした。

 

……同時に、ある考えが思い浮かんだ。

 

「やっぱり頭を冷やすのは後にしよっかな。今、すごい試したいことを思いついた」

 

「なに?」

 

「それはね……」

 

わざとらしく溜める。

次に口を開いた時には、僕の顔は自然とどこか自慢気な笑顔になっていた。

まあ、いいアイデアを思いついてしまったのだ。仕方あるまい。

 

「海上を走ったらいいトレーニングになるんじゃないかな!?」

 

「確かに!」

 

ノータイムで返ってきたデジたんの答えは、彼女も典型的なヲタクらしくロマンチストの癖があること、主に僕のせいで思考が若干脳筋と化していることを証明していた。

 

「よし行こうっ!今なら多分15m!練習すればもっと走れるはずだっ!」

 

僕の目は、おそらくまだ妖しい輝きを放っている。

 

「いっそのこと、水上に直立するくらいは習得したいですなぁ……!」

 

デジたんも、もしかしたら僕に当てられているのかも。

 

だが、悪くない。

無意識のうちに、意中の人の行動を真似してしまう、という話はよく聞くし、これもその類だろう。そういうことにしておくと僕は嬉しくなるから、つまりそういうことだ。

 

青い海の中でもハッキリと分かるほどの碧い瞳が、僕を先ほどから捉えている。

 

「よし、じゃ、皆のところまで競走でもしようか」

 

「フッ、負けませんとも!」

 

水飛沫の中、笑い合う2人のウマ娘。そう聞くと随分幻想的な風景に思えるが、やっていることはガチムチバトル漫画に出てくるような海上走行である。

 

いや、むしろそれこそ文字通り幻想的かもしれない。

 

デジたんも普通に海の上を走っているけど、可愛いしなんでもいいや。




深夜テンションで書いてるせいで毎回よう分からんことになってるなぁ……(他人事のような語り口)

ウマ娘、人間にとっての毒草も割とムシャれる可能性アリ。
例えば、テングダケは毒キノコですが、その毒成分はとんでもない旨味を秘めてるのだとか。
ウマ娘、耐毒性能にものをいわせて美味いものをたらふく食ってきた説を提唱します(適当)
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