目ん玉取れるまで見つめたいよ()
ウマ娘が最高の舞台で歌って踊る新シナリオ、デジたんはきっと涎が止まらなくなってるんでしょうね。
お前もステージに立つんだよ!!!
「というわけで発信機の位置情報は僕のスマホから確認できる」
「……は?」
「え?ゴルシちゃん、話聞いてた?」
「いやいや待て待て待て。『面白いものが見れるから来い』ってお前に呼び出されて、百抹の不安を感じながら来てみたってのに、いきなりそんなこと言われても分からねーぜ。で、なぜかナカヤマもいるしよ」
「よぉゴルシ。コイツと私はちょいと賭けをやってるとこなんだ」
「は?」
レース遠征から帰還してすぐのことである。事前に感謝祭の準備もあらかた済ませてしまったし、端的に言えばヒマだったので、なんやかんやでナカヤマさんと賭けをすることになった。
「なあマジでなにしてんのお前ら。発信機ってなんの話だよ?また犯罪紛いのことをしてるんじゃ……」
「そんなことない!至極真っ当な理由、正当な捜査のための使用だよ」
「へぇ?」
「ねえ、黒沼トレーナーって人……。ブルボンさんとかのトレーナーさん。分かる?」
「ああ、あの人か。知ってるぜ」
「そう、僕はその人にGPSトラッカーを付けた」
「なんで???」
「いや、面白そうだったから……」
「意味分からんわ!つーかお前、中京から帰ってきたばっかだろ!もっとこう、レースの反省とか、デジタルとライバル関係を認め合うとか、シリアスな事をしろよ!」
「君に言われたくないなぁ!?シリアス展開にギャグを割り込ませるのは君の専門分野だろ!あとデジたんとはライバルじゃなくて互いに愛を誓い合った……」
「だーうるせぇ!アタシは、あれだ。シリアスにギャグを差し込むときも、空気は読んでる。ちょいと場が張り詰めたときなんかにフザケてよ、雰囲気を和ませつつ、イイ話風にまとめるっつーのかな。そんな感じだ……。って何言わせてんだよ」
「君、ホント優しいよねぇ。って、話が逸れすぎた。今回、当の黒沼トレーナーにGPSを仕掛けた理由、それは……」
「焦らすな、早よ言え」
「ズバリッ!『カタギかな?ヤーさんかな?スリル満点ドキドキ判定会!』を開催するからさっ!」
「何を言ってるんだお前は」
一応説明しておくが、カタギとは堅気、要するに裏社会と関わりのない一般人のことである。いわゆる頬に傷のある人間と対比する際に主に使われる言葉だ。
「簡単に説明すると、黒沼トレーナーが普段どんなことをしてるのか、関わりの薄い僕らはもちろん知らないでしょ?だから今日、彼の日常に密着して、カタギかどうか確かめるんだ!」
「いやカタギだからあの人。大体、中央のトレーナーになるくらいなんだ、頭も良いし、経歴もキレイに決まってんだろ」
「本当にそうかな?ゴルシ。私はソッチのスジのヤツらと卓囲んだことだってある。私は詳しいんだ、だから分かる。あの人は間違いなくカタギじゃねぇ……!」
「お前多分漫画の読みすぎだ。もうカ○ジとかドン○ツとか読むなよ」
「ふっ、最近はガキの頃に読んでたア○ギを読み返してるんだ。やっぱ面白ぇな」
「すげー幼少期だなオイ。もう根っこから博徒かよ」
ナカヤマさんのギャンブラー気質は異常なほどだ。マックイーンにスイーツを渡したり、デジたんに尊みを供給するのと同じ要領で彼女に賭けを持ち掛ければ、とりあえず何でもやってくれる。
「あ、この際ゴルシちゃんも一つ賭けてよ。例のごとく景品はにんじんゼリーさ。さあ張った張った!黒沼さんがカタギかそうじゃないか!ちなみに僕はもちろん彼には裏の顔があると思ってる」
「どっちも同じ方に賭けんじゃねーよ!賭けになってねーぞ!そしたらアタシ、カタギだって方に賭けるわ!」
「へっ、逃げたな、ゴルシ。こういうのは派手な方狙ってこそだろうが。その点、お前のルームメイトはおもしれーヤツじゃねーの。度胸がある。コイツを独り占めするなんてずるいぜ。これからもツラ貸してもらうからよ、妬くんじゃねーぞ?」
「えっ、はっ、ナカヤマ……!?お前っ、マジ……!ありがとう、ありがとうナカヤマ!ホンット、ありがとうな……!」
「お、おう……?思ってたのと違うリアクションだな」
「このクソ変態がアタシの側にいる時間が短くなることほど嬉しいことはねぇ。ナカヤマぁ、アタシお前のこと好きだわ」
お?ゴルナカかぁ?
というか、こんなところで不用意に尊みの波動を出したら……。
「……ぁぁぁぁあああっ!ウマ娘ちゃんのプレシャスなシチュが拝めると聞いてきましたッ!」
「やあデジたん。黒沼さんってカタギだと思う?」
「……はい?」
◆
「今んとこ、普通だな。いつもみたいに担当ウマ娘のトレーニングしてるみたいだ。ひぇー、相変わらず厳しいなあの人」
「そうだね……。で、なんで君がここにいるんだいウオッカ」
「え?いや、たまたま通りすがったら、なんか面白そーなことやってたからよ。それに、ぶっちゃけ気になるじゃん。あの人、なんかただならぬ雰囲気纏ってるし、なんかカッケーし……」
というわけで、デジたん、オロール、ゴルシちゃん、ウオッカ、ナカヤマさんの上記五名は、現在黒沼氏の素性調査の任に就いている。
「見たとこ、まだ普通のトレーナーさんって感じだね。さすがに見える場所に墨は彫ってないみたいだし……」
「お前はマジであの人をなんだと思ってんだよ。背中に龍だの般若だの拵えてるわきゃねーだろ」
「いやあ、まだ分からない。実際そのスジじゃあ『府中の龍』とか呼ばれてるかもしれないよ?」
「なわけねーだろ!でも、なんだ、その、ヤケにしっくりくる通り名だな……」
「そういえば、あたし、聞いたことがあります。かつて界隈では知らぬものがいないと言われるほどに名を馳せた『マスターマインド』というラッパーのことを!話に聞いたその容姿と、黒沼トレーナーさんの容姿、なんだか似ているような……」
「ラッパー!?ったく、どんどん話がデカくなってくな。でも、確かに黒沼サンってなんつーか謎の多い人だよな。スパルタ気質のトレーナーだってこと以外、アタシら何も知らねーしよ……」
「なあゴルシ?やっぱりあの人はただもんじゃねぇ。仮に今はカタギだったとしても、間違いなく裏の世界には関わってるはずだぜ」
ちなみに、僕とナカヤマさんとウオッカ、そしてデジたんがスジモン派。ゴルシちゃんがカタギ派である。
「すっげー……!やっぱり引き締まった身体だな!人間だってのに、そこらのウマ娘より強そうだぞ!」
「僕には見える……!あの服を一枚捲れば、きっとそこら中に銃創やドスの痕が残ってるんだ!」
「んなわけねーだろ、さすがに」
「こればっかりは私もゴルシに賛成だ。あの人が傷を負うはずがないからな」
「あ、確かにそっか」
「納得すんなよ」
あの人、なんだかドスで刺されても銃で撃たれても、牛丼なんかを食べるだけで治りそうな雰囲気がある。
「しかしスパルタってのは本当だね。もう何本坂路走ってるのかな、あの娘。黒沼トレーナー、眉一つ動かさずにえげつないメニューのトレーニング指示してるよ」
「で、受けた方も眉一つ動かさずに脚動かしてる。ありゃサイボーグだな……。つかアイツ、ブルボンじゃねーか」
「ほえー、あれが……。なるほど噂通り、スパルタと坂路の申し子ってわけだ」
ミホノブルボンといえば、サイボーグのあだ名の通り、どんな辛いトレーニングも機械の様にこなしてしまうことで知られている。とはいえ、実は雷が鳴ったら尻尾を取られるという迷信を信じており、いまだに雷が大の苦手であるとか、部屋の留守番をうさぎちゃん人形に任せているとか、可愛い一面も持ち合わせているのでこれまた隙がない。好きだなぁ。
「僕には分かる……。彼女は一見無愛想だけど実際は人肌を求めてるんだ。お堅い口調も、幼少期からあのスパルタを仕込まれたものだから人付き合いが少なかったんだろう……」
「ふーん……?そういや、お前はどうなんだよ?」
「え?何、どういう意味?ゴルシちゃん」
「お前もアレと似たようなもんじゃねーか。話に聞く限りじゃ、ガキん頃はずっと野山を走り回って、しまいには熊蹴り飛ばしたとか言ってなかったか?」
「熊……?」
スピカメンバーではないナカヤマさんは訝しむ。
まあ、うん。そうだな。
小学校に通っていた頃は、なまじ僕の精神が幼くなかったので同級生と話が合わず、結果的にひたすら走っていた。
つまり、僕も他人のこと言えないじゃん?
「ほら、僕の場合、人付き合いのやり方は覚えてたし。熊蹴ったのは、まあ、ウマ娘だし……。とにかく!今はデジたんがいるから!正直言うと、今まで友人なんて片手で数えられるくらいしかいなかった僕が、トレセン入ってデジたんに会ったらどうなると思う?こんな可愛い上に性格も良い子、惚れるしかないじゃん?」
僕が生まれる前から彼女を知っていて推していたことを抜きにしても、間違いなく惚れる。
「オロールちゃん……」
「ヤッベェんだよなあコイツ、ホント。何がヤベーって、デジタルのヤツ、満更でもないのが一番ヤベー」
「んー?頬を赤らめちゃってどしたの?可愛いね」
と言うと、デジたんは少しあたふたしだした。
「エッア゛ッ!?コホンッ……!とっ、とにかく!今の話を聞くと、オロールちゃんとブルボンさん、なんだかウマが合いそうですね?」
「まあ……。確かに、僕はトレーニングや走ることは好きだからね。スズカさんほどじゃないけど」
「スズカとお前はベクトルが違うだけだろ。日も昇らねぇうちから都外行こうとするヤツと坂路何十本も走ってるヤツ。本質的に違いはねぇ」
「いや、僕が朝練するときはちゃんと朝食に間に合うようにしてるし……」
デジたんが絡まなきゃ、僕はわりかしマトモなんだぞ。
そういえば、スズカさんとブルボンさんはなぜかアイドルユニットを結成したりするよな。逃げ切りシスターズだったか。
ゴルシちゃんに何か言い返してやろうと考えていると、こちらに近づいてくる足音がひとつ。
「……何か御用でしょうか」
「あっ……?あ、ブルボンさん!すみませんね、視線が気になっちゃいますかね?それなら僕らすぐ退散するんで……」
「本日のトレーニングメニューは終了しました。マスターから疲労回復に努めるように言われていますので、問題はありません。それよりも、貴女方は私に何か用件があったのでは?それとも、マスターに何か用がおありですか?」
「いや、用というか……」
若干言い淀む。だが、すぐに僕はちょっとした思いつきを試すことにした。
「ねえブルボンさん。黒沼トレーナーさんってカタギだと思います?」
「ステータスを取得……不明な感情です。これは、好奇心?」
◆
「トレーナー業務が終わった途端に街に繰り出したわ……。それもこんな繁華街に。どこへ行くつもりなのかしら?」
「この辺治安良くないからね……。これで裏社会の人間説がちょっとアガッてきたんじゃない?ていうかなんでいるのさスカーレット」
「たまたま通りすがったらアンタらが集まってたから気になったのよ。ヤケにコソコソしてるし、ナカヤマ先輩やブルボン先輩もいるじゃない」
随分と大所帯になってしまった。ウオスカ、僕、デジたん、ゴルシちゃん。ナカヤマさんとブルボンさんもいる。
「……マスターは最近、何か私に隠していることがあるようです。以前情報の取得を試み質問を行いましたが、いなされてしまいました」
「へぇ。ちなみに、彼の隠し事について、ブルボンさんはどんな予想をしてるんですか?」
「はい。マスターはおそらく……!ガン◯ムに乗っています!」
「おいやめろってお前マジでさぁ!?ボケがこれ以上増えたら収拾つかねーんだって!」
「ガン◯ム……?根拠はなんです?」
「ありません。ただ、そうだったらいいな、と私が思っただけです」
「ブルボン……?お前そんなボケたキャラだったの?」
「コミュニケーションにおいて、『冗談』は、親睦を深めるための手段として用いられることがあると記憶しています」
「お、おう……。お前意外とキレあんな」
ガン◯ムねぇ。あの人はどっちかというとトランスフ◯ーマーって感じだ。
「あのぅ、皆さん……。あたしたち、相当マズいことしてるんじゃないですか?学生だけで繁華街に行って、その上寮の門限も守らず……」
「大丈夫だよデジたん。変装してるし」
「その変装が目立ってるじゃん!ゴルシさん、何なんですこのチョイス!グラサンとマスクでどうにかなるわけないじゃないですか!日も暮れてるのにグラサンしてるウマ娘集団、怪しすぎます!」
「ウマ娘集団ってだけで目立つんだ。顔隠しときゃなんとかなるって。多分な」
「エェー……適当……」
学園にバレたらタダでは済まないが、これくらいの危ない橋は何度も渡っているので大丈夫だ。多分。
生徒会長様は優しいのでなんとかなる。多分。
「あっ、黒沼さんが建物に入ったわよ!看板を見る限り、あそこはバーのようね」
ふと見ると、ウチのトレーナーさんの馴染みの店であった。あそこはトレーナー御用達の店だったりするのだろうか。
「仕事終わりはお気に入りの店で一杯、ってヤツかな。オシャレだなぁ」
「ックゥー!なんつーか、『漢』って感じだな!」
「よし、ちょっと中見に行ってくる」
「あ、オロール。アタシも連れてけ」
「え?どうして?大人数で押しかけるわけにはいかないし、僕一人で十分だよ」
「あぁ、一応賭けだしよ。公平な視点が必要だろ?」
「公平な視点?どういうこと?」
「お前ら全員、黒沼さんがカタギじゃないって方に賭けてんだろーが!アタシ以外全員!ないとは思うが、一応不正防止のために、カタギ派のアタシもついてく」
そうそう。なぜかブルボンさんも「マスターには裏の顔がある気がします」とか言って、スジモン派だった。スカーレットはウオッカと同じ方には賭けないだろうと思っていたが、全然そんなことはなかった。黒沼さんを何だと思っているんだ。いや、僕もだけど。
◆
『
『こちらウオッ……HQ。対象の様子は?』
『席についたが、酒を頼んでない。ひょっとすると誰かを待ってるのかもしれねぇな』
『了解、引き続き警戒を。HQ、アウト』
ゴルシちゃんが言った通り、黒沼さんは誰かを待っているらしい。時計を気にしたりしている。
しかし、彼の風貌といい、オーラといい、やはりカタギの人には見えない。なぜそんな胸元の開いたシャツを着る?僕らも他人のことは言えないが、なぜ夜なのにグラサンをする?
ちなみに今のゴルシちゃんもカタギに見えない。変装のためにグラサンをかけている上、バーの雰囲気に調和した黒ジャケットのおかげで、完全にマフィアである。
「……オイ、誰か来たみたいだぜ。黒沼さんの待ち人かもな」
ドアの開く音。次いで入ってきたのは、仕事帰りといった様子のロマンスグレーな男性。ふむ、ヤのつく人ではなさそうだ。
するとやはり、黒沼さんの隣にその人物は座った。
「アタリっぽいな」
聞き逃さぬよう、ウマ耳を澄ませる。
彼らは挨拶を交わし、それから二人とも酒を頼んだ。
……どこかで見たような気がするぞ、あの人。記憶を掘り返してみよう。
「あっ!」
「何だよ急に!オイ、静かにしろ……!」
「ご、ごめん。でも分かったんだ!あの人が誰か」
「ほう?」
「……お医者さんだよ。ウマ娘専門の」
アニメ2期でちょこっと登場した、主治医じゃない方のお医者さんだ。テイオーにお注射をかました人である。「折れてます」の人だ。
「でもどうして黒沼さんと……」
「とりあえず、話を聞こうぜ」
誰なのか分かったところで、改めて聞き耳を立てる。
「……ブルボンは、もう大丈夫か」
「ええ、幸いにも軽いソエです。その調子でしたら問題ありませんよ。ただあの子は骨が丈夫じゃありませんから、今後も気をつけませんと」
「……そうか」
何やらブルボンさんのことを話しているらしい。
「……スパルタ式は確かに結果を残せます。ですが、リスクもある。黒沼さん、あなたには重い責任がのしかかりますよ」
「ああ。分かってる、無事之名馬だろう。だが三冠制覇はアイツの夢なんだ。そのためなら俺は、鬼にだってなる」
「……あなたのウマ娘を想う気持ちはとっくに伝わってますよ。だから、これ以上私がとやかく言うわけにもいきませんね」
「フッ、そうか」
ふむふむ、なるほど。
一旦話を整理しよう。
ブルボンさんが言っていた黒沼さんの隠し事とは、十中八九この医者との会合だろう。しかして動機は担当ウマ娘への熱い想い。ケガのケアについて、専門職に相談していたということなのだろう。
めちゃくちゃいい人じゃないか。
なんだろう、軽い気持ちで賭けとかやってた自分が恥ずかしくなってくる。
黒沼さんのスパルタトレーニングは、見る人によっては時代遅れのように思えるだろう。
ちょっぴり古臭くて、不器用。
だがそれがいい。
「イイハナシダナァ」
「おい終わらそうとすんじゃねえ。これで分かったろ、あの人は絶対にカタギだ。賭けはアタシの勝ちでいいな?」
「ん?ああ、いいよ別に。もうそんなことどうでもよくなっちゃった。僕は今、何か大切なものを知ることができたような気がする……」
精神は肉体を超越する、とは、他ならぬ黒沼さんの言葉である。気持ちさえあれば不可能はない、というぶっ飛んだ理論だが、僕はそういうのが大好物だ。
「ああやって、競走ウマ娘のことを本気で応援してくれるような人たちのためにも、僕たちは走るんだ……」
「あー、えっと。とりあえずアタシの勝ちだかんな?にんじんゼリーちゃんとおごれよ?」
「想いの力……。きっと一番大切なことだ」
「話聞けよ。あ、にんじんプリンもプラスでいいか?」
「うんうん、なんだっていいよ……。僕は今感動して機嫌がいいからね、なんだっていいさ」
「やりぃ、得した」
僕は今黒沼さんの因子を継承するのに忙しいのだ。目先の物欲に駆られるゴルシちゃんと違って、僕は自己の研鑽に余念を欠かさない。
「……なぁオロール、なんか、視線を感じねーか?」
「ん?」
「いや、具体的に言うと、黒沼さんがこっち見てるよーな気がすんだよ」
「え?ああ、ホントだ……」
って、待て。
この状況、大変マズイのでは?
「オイお前ら、少し聞きたいことがあるんだが?」
終わった。ケジメつけなきゃ。
さようなら僕の小指。
「筋肉の付き方が普通のウマ娘とまったく違う上、どうにも若いように見える……。まさか、トレセンの生徒か?」
「え?イヤー、アハハー、若いように見えますぅ?ありがとうございますぅ!それに、私実は筋トレが趣味でぇ、スタイルには気を使ってるんですよぉ!トレセン学園の生徒さんと間違われるだなんて、お世辞でも嬉しいわぁ、アハハー!」
「む、すまない。勘違いだったか。どうも気を張りすぎていたようだ」
よかった、黒沼さんが誤魔化しに弱くて。
僕の小指は守られた。
ふと思いましたが、うちの子、TS要素めっちゃ薄いですね。まあ設定ガバガバのまま書いてるからそうなるのも必然というか()
最近はTS関連の需要を満たそうと自分用にオリ小説を書いてデュフデュフしてるので、また更新が遅くなってます()