目が爬虫類みたいなのもすき。
…でも石は貯めたいからなぁ…。
悪魔「へへっ引いちまえよ、石なんざどうせすぐ貯まるぜ?」
天使「それはいけませんね。効率が悪い。とっととiTunesカードを買ってくればよいのです」
…よし、引くか!
いわゆる薫風、というやつだろうか。
五月らしい青々とした空気が一瞬僕を包む。
「ポオゥッッッ!!!」
その爽やかな空気を吹き飛ばしてくれたのは、キングオブオタクこと我らがデジたんである。
今日はとある理由で練習場に足を運んだのだが、デジたんは観客席に一歩踏み入った途端からずっと奇声を上げている。彼女はその凄まじい観察力を全て推し活に振り切っているので、尊い光景を見つけることに余念がない。
「見ましたかぁ今のッッ!チームメイトが口をつけているボトルを素早くとって、彼女にからかうような笑みを向けてから中のドリンクを一口……!そしてボトルを返してすぐ、何かを隠すように背後を向き…バッチリ真っ赤に染まったお顔を手で押さえてらっしゃるあのウマ娘ちゃんッッ!!…はーっ!なるほどねっ!もうこれそういうことですよねっ!何ですかそれちょっともう殺傷力高すぎてェ……あっあっあっあっ…」
「あれかな。構ってほしくてちょっかいかけたけど、やった後に恥ずかしくなって……あ、死んでる…」
相変わらずいい顔で尊死するなぁ。今日もデジたんは絶好調だ。
しかし今はそれよりも優先すべきことがある。
「ほら、しっかり見ないと。チーム選びの参考にするんでしょ?」
「ええ、ええ…そうですね…チームを選ぶにはまずそれについていろいろ知らないと…。ッハッ!?もしあたしがあのチームに加入したら、常にウマ娘ちゃんの崇高なやり取りを眺めていられる…!?いやしかし、あたしなんかがいると他の子たちが練習に集中できなくなるかも…!うぅ…でもデビューは諦めたくないっ!あたし、どうすればぁぁ〜ッ…」
トレセン学園では、ウマ娘は基本的にどこかのチームへ所属することになる。
チームには一部例外を除き、基本的に五人以上のウマ娘が所属していて、そこでは専属トレーナーによる指導を始めとした様々な恩恵をウマ娘は受けることができる。レースへの出走登録ができる、というのもその一つ。
つまりデジたんが今、デビューは諦めたくない、と言ったのは、チームに未所属のままだとレースに出られないからである。
「はぁ…どこかにあたしみたいなオタクにぴったりなチームがあったりしませんかねぇ〜…」
「デジたんならどのチームでもうまくやれそうだけど…慎重に選んで損はないからね」
戦場を選ばない変幻自在の脚質なんて、どのチームにも欲しがられる逸材だろう。しかしそれは選択肢が多すぎる、という意味でもある。デジたんはかなり迷っているようだ。
僕は…確かに一応芝もダートもイケるし、幅広い距離適性を持っていると自負はしているが、デジたんには及ばない。
それに、僕はデジたんと同じチームに入ると決めている。迷いなんてものはない。
「いずれにせよ、まだ時間はあるし。ゆっくり考えればいいよ。…悩んでる顔がものすっごく可愛いから、できればあと半年は悩んでほしいかな…ふふっ…」
「…っ!…いやっ、早めに決めます!迷いは自分を殺すことになりますからねっ!ええっ!」
「あ、そう…」
後ずさりされた。かなしい。
◆
「チーム、かあ…」
授業終わりのチャイムがなったあと、廊下に出てからふと思わず独りごちる。
先日デジたんとチームの話をしてから、常にそのことが意識の片隅にチラつく。
なんだかんだ言って、もうトレセン学園に入って一ヶ月は経つ。同学年にも、既にチームに所属している子がいる。
とはいえ、僕はデジたんのチームに入るつもりなので、別にそのことで焦ったり、悩んだりはしない。むしろワクワクしている。
気になるのは自分のことではなく、前世で見たチームのこと。
学園内ではしょっちゅうチームリギルの名を聞く。
トレセン学園最強と名高いそのチームは、いわばアニメで主人公達が属していたチームスピカのライバルポジのチームである。
一期主人公のスペシャルウィークや二期のトウカイテイオー、あとお馴染みゴルシちゃんの属するスピカは、放任主義のトレーナーのもと自由でのびのびとした気風なのに対し、リギルは合理的で厳しい指導を行うトレーナー、東条ハナのもとで統率がとれた強豪揃いのチーム。
正反対のチーム。トレーナーもまた正反対の性格なのだが、その実互いにとっての一番の理解者同士でもある…いやあ、いいよねぇ。
具体的には、一緒に飲みに行って愚痴りあったりとかするシーンがアニメで描かれているのだが、そのときのお互いへの信頼感というか…言葉には表せないエモさがあってよいのだ。
僕はウマ娘が好きだ。それはウマ娘という種族だけでなく、前世の記憶を持つ僕にしかない意味を持つ言葉だ。
つまり、トレーナーも尊いよねっ!と、僕は言いたい。
まあ、デジたんはスピカやリギルに所属しないだろうから、僕もその二つに入ることはないけど。でも生で見たいな。アニメで見た数々の尊みシーン。
…うーん、ゴルシちゃんをうまく使っていろいろ仕込めば……
「…ねえオロール。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「ふふ…生スピカ…っんあっ?…スカーレット。どうしたの?」
僕に声を掛けてきたのは、チームスピカのツンデレ枠ことダイワスカーレット。その後ろにはウオッカもいる。
「アンタが今呟いてたことについて意見を聞きたいんだけど…チームについて、いろいろと…」
「チーム…って、どうしてまた僕なんかに?」
「えっと…それは…たまたまよ…」
僕が尋ねると彼女はどきまぎとし始めた。赤みが差した頬をこちらに向けつつ、指を落ち着きなく動かす様子はとっても可愛い。すき。
「っはー…スカーレットはな。どーもこの先も優等生キャラを通そうとしてるみてーで。クラスで俺以外に唯一その本性知られてて、その上無駄に良い頭を持ってるお前に、自分のチーム選びのアドバイスを貰いたいんだとよ」
「あっ、ああ…なるほどねェッ…!」
なんだこの尊い生き物。クラスでは優等生で通そうとするその可愛らしいプライドと、レースで一番になりたいという猛々しいプライド、その間で板挟みになって僕のところにやってきたわけだ。
それをウオッカに指摘され、今もみるみる顔が真っ赤に染まっていく。…始まるな、これ。尊いやつが。
「ち、ちょっとウオッカ!?急に何適当なこと言ってんのよ!」
「へっ!その反応、図星なんだろスカーレット!本音で話せるお友達が他にいないからこうやってオロールのとこまで来てんだ、違うか?」
「むぁーっ!…友達いないって?それはアンタの方でしょ!?アンタは変にカッコつけて不良ぶってるから、そもそもクラスに話せる相手がいなくてあたしに付いてきたんでしょ!」
「うぐっ…!だっ、黙れよ!このバカ!アホ!」
「そっちこそ図星じゃない!このおたんこにんじん!」
……!
キッ、キターーー!やっぱり僕、いや僕らの期待を裏切らない!この最強ケンカップル!互いにヒートアップしてにじり寄るから、今はもうまつ毛すら触れ合いそうなほどに顔が近い…!
しかもしかもだ!おたんこにんじん…!まさか生で聞けるとは…。なんなんだよ、そのおたんこにんじんって…!可愛すぎるだろ!罵倒の語彙が絶望的に足りてない、足りてないよスカーレット!
…と、感動している場合ではない。こんな往来で、しかも僕のそばで痴話喧嘩されると目立ってしょうがない。ひとまず二人を止めよう。
「落ち着いて、二人とも。…僕に用があるっていうのに、ケンカされちゃかなわないよ」
「あっ…ごめんなさい。…そうよ、本題があるっていうのに、まったくウオッカは…」
「ああっ!?そっちが先につっかかってきたんだろスカーレッ……」
「まあまあ。もうその辺にして。…で、チームについての話だよね?」
熱くなりかけているウオッカをたしなめつつ、話を軌道修正する。
二人のチーム、ねえ。
ぶっちゃけ僕が何をするでもなく、二人の入るチームはもう決まっている。アニメでは二人はスピカのメンバーとして登場した。
…常に互いを意識し合い、己のため互いのため、真剣に練習へ取り組み、あと多大な尊みを供給してくれる彼女達は、スピカにはなくてはならない存在として描かれていた。
いつ頃の出来事かは知らないが、二人は今後確実スピカに入ることになる。…『ナウイあなた チームスピカに入ればバッチグー‼︎』とかいうポスターに惹かれて。
なら、僕がとやかく言う必要もあるまい。
「…チーム選びに慎重になるのも大事だけど、最後に決めるのは自分だから、自分の直感に従えばいいと思うよ。僕が言えるのはそれだけ」
「えらくシンプルな結論ね。あたしとしては、もっとこう…性格やら脚質やらを分析した上での考察とかを期待してたんだけど…」
「…己の道を行くッ!って感じか…。なんかカッケーな、それ!」
「そういうこと。自分の道はシンプルに、自分で決めるのがベストだと思うよ」
例のバブリーなポスターに惹かれるような自らの謎センスに従えばいい。やっぱりスピカはこの二人がいないとね。
…にしても、本当に謎だ。謎センスだ。スピカは好きだが、トレーナーやこの二人のセンスだけはよく分からない。
「…まあ、ありがとう。アンタの言う通りにしてみるわ…。直感に従ってみる」
「俺もなっ!自分の手で未来を掴むッ!くぅー!クールだぜぇ!…それじゃあな、オロール!」
「うん、じゃあね」
去りゆく二人の背中を見ながら、僕は自分の中で沸き起こる感情をだんだんはっきりと感じていた。
…スピカ、見てぇ!!
よし!ゴルシちゃんのとこ行こーっと!
◆
「というわけで…やってきました部室前ー…なんてね」
隣にデジたんがいないので、僕の声は風に流されて消えていった。
彼女は今トレーニング中だから、僕はひとりスピカの部室付近で息を潜めている。
トレセン学園のチームの部室は本校舎とは別の場所にあり、チームごとに小屋が割り当てられている。
そのため僕は近くの茂みに潜んで、スピカの誰かが通りかかってくれるのを待っているというわけだ。
…スピカは現在どういう状態なのだろうか。
アニメでは、物語が始まる以前のスピカの様子が描かれていた。
トレーナーの放任主義…人によっては指導放棄とも考えられるそれのせいで、スピカのメンバーが次々に辞めていったのを僕は知っている。
そして、そんな中たったひとり、トレーナーの元を離れなかったゴルシちゃんのことも。普段はあんなにハジケてるのに、やるときはやってくれるのがゴルシちゃんクオリティだ。本当に普段のクレイジーっぷりからは想像もできないくらいイケメンになる、それがゴルシちゃん。すき。
さて、今の僕の現実には確かにスピカというチームが存在しているわけだが、一体どんなことになっているのやら。
やっぱり、チームのメンバーはゴルシちゃ____
「おおっ、いいトモだな…。っ!これはっ…!すごいっ、すごいぞこの脚っ…!ふっくらと柔らかく、それでいて素晴らしいポテンシャルを感じるっ…!芝でもダートでも関係なく走れる…とんでもない原石だっ!」
「……」
ふぅ…落ち着けよオロールちゃん。クールになるんだ。
…僕はこの人を知っている。トモを触りながらやたらと詳しく説明してくる変態なんてこの人以外いないだろう。
スピカのトレーナーだ。
「…な、なあっ!君、名前を聞かせてくれないかっ!?」
真剣な声色で僕の名を尋ねてきた。
しかしその手は未だに僕の脚をさすさすといじっている。
…どうしてくれよう。
なんだろう、見てる分には良かったけれど、こうして実際にやられると分かる。確かに後ろ蹴りを食らわせたくなる手つきだ。
アニメではたまに…いや、しょっちゅうウマ娘に蹴られていたがピンピンしていたし…やるか?
いや、ウマ娘の脚力は強すぎる…万が一を考え…ここは!
「セェイッ!!」
脚を掴まれたまま強引に後ろへ跳躍ッ!そのままトレーナーの首を足で挟み、さながら肩車のような状態へッ!
しかし勢いは殺さずに、そのまま後ろへ倒れ込み地面に両手をつけるッ!そしてそこからバク転をするように軸回転ッ!まだ彼は僕の足を掴んでいるッ!したがってスムーズにその体が宙へと舞うッ!
「食らえッ!レッグバックドロップッ!」
「ちょわぶあぁあッッ!!!」
ふっ…キマった…!
最後の方は足で彼の肩を支えたので、残ったのはせいぜい鼻血が出るほどの顔面の痛みと一回転の恐怖だけだろう。大きな怪我はないはず。
「ぬおおおお…!!」
うん、まだピンピンしてるみたいだ。
呻きながらゆっくりと起きあがってくる。…ゾンビみたいだな。
「っふう…!なるほど…!蹴りじゃないパターンは初めてだっ…」
「蹴られたことあるんだ…」
コイツ本当に人間か?怪しい。
どうも何回も蹴られているような口ぶりだ。
鼻も数秒前まで血が出ていて赤くなっていたのが、血は止まり肌色も普通になっているし、いつの間にか飴まで咥えている。やはり人間をやめないとトレーナーにはなれないのだろうか。
「あなたは吸血鬼ですか?それとも闇の一族とかですか?」
「急になんだよ!?人間だ俺は!?…チームスピカでトレーナーをやってるもんだ。で、お前さんの名前は?」
「オロールフリゲートといいます。オロールとでも呼んでくださいアメ男さん」
「じゃあオロー…待て、今アメ男さんって言ったか?」
「はい、言いましたね」
アニメでスピカのトレーナーの本名は明かされていないし、目の前の彼も名乗らなかった。僕はスピカに入る予定はないのでトレーナーとは呼べないし、かといってスピカのトレーナーと呼ぶのは長すぎる。
じゃあこの人いっつも飴咥えてるし…アメ男とかでいいんじゃないかなって。うん。
「まあ呼び方はこの際どうでもいい。…なあオロール、お前さんチームスピカに……」
「入りませんよ?」
「…そこをどうにかぁっ!!」
最後まで言いきらないうちに、彼はばっと膝をついて頭を下げた。必死の形相で頼み込んでいるところ申し訳ないが、僕はスピカには入らない。
…この人、さっきからリアクションがいちいち面白いな。
「…ごめんなさいっ!あなたの気持ちには答えられませんっ…!僕は生徒で、あなたはトレーナーっ…。こんなこと、ホントはいけないんですよっ!」
「人聞きの悪い言い方をするな!?そもそもただのチームの勧誘だから、何も問題はァゴッフアァッッ!?!」
突然彼は真横から衝撃を受け吹っ飛んだ。きりもみ回転しながら赤のラインを空中に描き、そしてドスンと落ちる。
先ほどまで彼が土下座していた場所には、今しがたドロップキックをかました芦毛のウマ娘がひとり銀の髪をたなびかせて立っている。
「おいトレーナー!お前とうとうやりやがったな!いたいけな少女に手を出すなんて…。そんなやつだとは思ってなかったのによ…!見損なったぜ…。おいアンタ、大丈…」
こちらを見て突然固まるゴルシちゃん。気のせいだろうか、どんどんその顔から血の気が引いているようにも見える。
「やあゴルシちゃん。なかなかキレのいいキックだね」
「げっ、オロール!お前だったのかよ…」
げっ、とはなんだよ。
「なんだお前ら、もう知り合いだったのか…。ならゴルシ、お前からも言ってやってくれ。コイツにはぜひともウチのチームに来てもらいたいんだ」
「…おいマジかよトレーナー?もう少し下調べとかした方がいいと思うぜ…?それにオロールは絶対ウチには来ねぇだろうよ」
その通りゴルシちゃん。伊達に同室やってないよ。僕のデジたんへの思いをしっかり分かってくれている。
「ゴルシちゃんの言う通りですよ。…かなり激しくて、いやらしい手つきだった…けど、あなたが嫌いになったわけじゃない。ただ、僕のやりたいことはスピカではできない。それだけなんです」
「おい言い方っ!ゴルシがまた蹴る構えとってるから!あれ結構痛いんだからな!?」
「…言葉をよく選べよ変態トレーナー。じゃなきゃこのゴルシちゃんキックが火を噴くぜ!」
ウマ娘の力は洒落にならないはずなのに、結構痛い、で済むのかこの男。やはりただものじゃない。
「はあ…まったく…。わかったオロール。無理強いはしない…が、その気になったら俺のところへ来てくれ。いつでも受け入れるから」
くだらないやり取りのあと、彼はポリポリと頬を掻きながら言った。…でもスピカには入らない。代わりに外側から眺めさせていただきたい。
「…その気にはならないでしょうけど、ゴルシちゃんを始めとしたウマ娘を拝むためここに来る予定ですので、よろしくお願いします」
「お、拝む…?」
「意味はそのうちわかるぜトレーナー。…オロール。そういえば言ってなかったことがある」
「…言ってなかったこと?」
ゴルシちゃんは僕の言葉にうんと頷き、神妙な顔つきでスピカの部室へと歩いてゆき…ドアを開けた。
「ウチのチーム、今アタシだけなんだわ」
「Oh…」
誰もいない部室の中から、寂しい風が僕の方へ吹いてくる。
今のスピカは、もう皆辞めてしまったあとのようだ。
…なるほど、確かにこれは土下座して頼み込みたくもなるよ。
◆
「なあ、オロール…」
夜、僕らの自室にて。
それまで僕の方を向いて黙っていたゴルシちゃんの、月明かりに照らされた唇が動き、僕の名を紡いだ。
ちなみに今のゴルシちゃんは頭のアレを取り、髪を下ろしている。それと黒タンクトップ。
「さっきも言ったけど、スピカには今アタシしかいない。…このままウマ娘が来なきゃチームは潰れちまうんだよ。だから…」
ゴルシちゃん…。
一人になっても残り続けるほどだ。本当にスピカが好きなんだな。
僕の中で彼女の聖人度がどんどんと上がっている。最近はなぜかハジケてないし、なおさら。
しかし、そんなゴルシちゃんには申し訳ないが、僕はやっぱりデジたんと同じチームに入りたい。
「…ごめん。でも、あんなにいい人がトレーナーをやってるチームだから、絶対に加入希望者は現れるよ。断言する。…ちょうどそうなりそうな子を二人知ってるし」
ウオッカとスカーレット。
今日会話した僕の勝手な想像だが、彼女たちはそろそろスピカに入ってくれることだろう。
「…そうか。ならアタシも一番先輩になるワケだ。シャキッとしねーとな!そっちの方がゴルシちゃんらしいぜ!」
「うん、やっぱりゴルシちゃんは笑顔が一番似合うよ」
…僕はスピカに二人が入ることを知っているから、危機感などは持ち合わせていない。
むしろ今考えていたのはゴルシちゃんのこと。
…なんだこの女神。
一筋の月明かりにちょっとだけ照らされた絹みたいな銀髪に、桜の花弁と見紛うほどの唇!
その上、黒のタンクトップを着ているからコントラストでよりその尊い顔面が引き立たされる!美しすぎる!
シリアスな顔をしていただけにいっそう神々しく輝いていて、僕の目はもう焼け落ちそうだ。
笑顔とはまた別の魅力が僕を狂わせる。
あー、最高!同室が神々しすぎる美貌の持ち主で最高!
ゴルシちゃんがすきです。
でも髪下ろしゴルシちゃんはもっとすきです。