HALO:IF battlefield of SPARTAN   作:コレクトマン

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第九章 ラルゴの情熱

 

 

クローデンの森での敵本拠点を制圧してから数日が経ち、ある昼の会議室にて第7小隊とスパルタン部隊のメンバーが集められていた。

 

「あーあ、腹減ったぜ。ったく、こんな昼飯時に召集なんてよ……」

 

「もう……ラルゴはお腹が減るとすぐ機嫌が悪くなるんだから」

 

「………」

 

アリシアたちは隊長たちを待っている中、シャーラはこの世界の歴史の書を読んでこの世界の歴史を学び、知識を収集していた。

 

「今戻った。待たせたな」

 

「すまない、待たせてしまったかな?よし、作戦会議を始めよう」

 

会議室のドアからウェルキンとカイトがやって来て、今回の会議が始まった。

 

「最近、市場の食品の価格が高騰しているのを知ってるか?」

 

「そう言えば、軍の食堂で働いている方が野菜の値段が高くなったと言っていました」

 

「俺とウェルキンでその市場を調べてみたんだが、市場の人から聞いたところ、厄介なことが判明した」

 

「カイトさんの言うように、野菜の高騰の原因は野菜の生産地からの輸送経路を帝国軍が押さえているのが原因らしい」

 

ウェルキンたちが言った直後、ラルゴは血相を変えて怒りの表情となった。

 

「何だって!?」

 

「野菜って言われてもなぁ……いまいち危機感が湧かないね」

 

「お前、野菜の力を嘗めるなよ!」

 

「なっ、何だよ!急に!」

 

いきなりラルゴの表情が変わった事に一同は驚きを隠せないでいた。それ所か、ラルゴはそのまま話を続ける。

 

「野菜の中にはな、体を作る為の栄養素がたっぷり詰め込まれてんだ!子供の成長を助ける役目もするし、人間の体は野菜で作られてると言っても過言じゃねぇんだ!」

 

「本当かよ……?」

 

「いや、あながち間違いではないぞ。どの世界でも野菜は栄養食品として重宝されている。病気になりにくくする為の免疫力にもなるし、血液もサラサラになるし、カロリーも低い。日頃、普段の人達が健康でいられるのは野菜のお陰と言ってもおかしくない。……まぁ、ラルゴのいう人間の体は野菜で作られてるってのは大げさだが、人間の必要な栄養素を含まれていることは確かだな」

 

「お前、何気に良いこと言うじゃねえか!」

 

ラルゴはカイトが野菜の良さを分かっていることに気分が良くなった。そんなラルゴの上機嫌を後回しにしてカイトはそのまま説明を続ける。

 

「問題は、その輸送経路を帝国から奪還しないと何時まで経っても野菜の高騰は続く一方だ。だからこそ、俺たちに輸送経路の奪還任務が下された」

 

「という訳で、今回の第7小隊とスパルタン部隊の任務は輸送経路を阻む敵の排除となる」

 

「よっしゃ!帝国のヤツ等に野菜の恨みを思い知らせてやろうぜ!」

 

「野菜の恨みって……何だかおかしくない?」

 

「アリシア、あまり気にしすぎるな。ラルゴは野菜に対する情熱を異常なほどにもっているだけだ。一応言っておくが、現地では集落の住民を戦闘に巻き込む恐れがある為、今回は大規模な部隊展開を行う事が出来無い。よって、ウェルキンは戦車から降り偵察兵として潜入する。また、大人数でもダメだから、少人数の歩兵部隊で行く事となっている。最終目標は街に待機している敵戦車2台を破壊だ」

 

そう伝えた後にカイトたちは今回の任務に参加させるメンバーを伝え、身支度を行うのだった。

 

 

 

____________________________________________

 

 

 

夜も深まり深夜のヴァーゼル郊外、村を占拠し巡回をしている帝国兵がいた。

 

「うぅ・・・・・・寒いな、トイレトイレ」

 

春と言えど、まだ夜は寒い。そんな時期に尿意を感じた帝国兵が草陰に隠れて用を足そうとしていた。

 

「ふぅ……。ここ最近、()()()()の噂が絶えないな。ここに現れなきゃいいんだが……」

 

間にあったのか、草陰に隠れて用を足ながらもある噂のことを考えていると、突然何かが頭をつかみ、そのまま横180度に回され、首を折られて倒れる。暗闇に隠れ気配すら察っすることをさせずに目標を沈黙させたのはカイトであった。カイトのハンドサインで残りのメンバーに巡回兵を片付けたことを伝える。今回参加したメンバーは、第7小隊からアリシアとラルゴ、スパルタン部隊からはホーマーとイーディ、ウェルキンとカイトを含めて計6人が集まった。

 

「帝国の野郎共め、野菜の恨みを思い知らせてやる!」

 

隠密行動をしているのにもかかわらず、ラルゴは声を上げて言う。

 

「しいっ、静かに!敵に見つかってしまうぞ。今回、こっちは少人数での潜入作戦だ。一人でも倒れたら作戦失敗なんだからね」

 

「あぁ、ウェルキンの言う通りだ。ここは静かに行動するんだ。出来る限り私情を抑えろ」

 

「分かってるよ。よーし、久々に腕が鳴るぜぇ!」

 

「はぁ……本当に分かってるのかなぁ」

 

「言うだけ無駄か……出来る限り隠密で行くぞ」

 

カイトの指示で壁を這うように移動し、なるべく足音を鳴らさないようにして移動していると曲がり角に着いた。カイトが角から僅かに頭だけ出し、前方を確認すると・・・・・・2人の帝国兵が焚火の近くで暖をとっていた。それを見て、カイトは身を戻し無線を入れる。

 

《前方に二人。ウェルキンにアリシア、二人同時に狙うんだ。撃ち漏らしは俺がカバーする》

 

「「了解…!」」

 

ウェルキンとアリシアはガリアンで狙い、引き金を引いて狙撃する。二人の帝国兵はウェルキンたちに気付かぬまま頭部を撃ちぬかれる。障害を排除した後にカイトは先行して再び敵を把握する。

 

「敵を確認。あれは……対戦車砲か?わざわざ一般人に向けて放とうとしているとしたら問題だな。…だが、使いようによっては使えるな」

 

敵の対戦車砲を見たカイトはウェルキンたちに対戦車砲以外の兵士を片付けるように指示をだした後、対戦車砲を扱う兵士にそっと近づき、ナイフで一気に息の根を止める。

 

対戦車砲の無力化に成功した目標である敵戦車を探そうとすると、敵戦車二台を発見すると同時に戦車へと兵士が集まっていた。どうやらウェルキンたちの銃声に耳が入ったようで警戒態勢に移行したようだ。その証拠に戦車の放熱板が今頃で青く発光していた。

 

「案の定、隠密はここまでが限界か。……各員、敵はこちらに気付いたようだ。予定道理戦車を最優先に破壊するぞ。ラルゴ、そっちはどうだ?」

 

《問題ねぇ、ちょうど戦車の側面に回れた。ここいらで野菜の恨みを一発お見舞いしてやるぜ!!》

 

「了解だ。後の一台はこちらで処理する」

 

そう言ってカイトは先ほど無力化した対戦車砲を利用し、その照準を敵戦車の放熱板に向けるのだった。まさか敵は味方の対戦車砲によってやられるとは思いもしないだろう。

 

「帝国野郎め、野菜の恨みを思い知りやがれ!!」

 

ラルゴが対戦車槍をラジエーター向けて発射。それは狂うことなくラジエーターに命中し爆散した。戦車を破壊されたことに帝国兵は混乱が生じた。

 

「て…敵か!?どこからだ!?」

 

「落ち着け!敵は対戦車兵だ!対戦車槍が放たれた方向を……」

 

部隊長が兵士たちを落ち着かせ、襲撃したラルゴを特定するよう命令する前に別方向から砲撃音が響くと同時に戦車が爆散する。一体なにが起こったのか分からなかった部隊長はその砲撃音がした方に目を向けると、そこには対戦車砲を使うカイトの姿があった。カイトを目撃したことで部隊長や他の兵士たちが青ざめた。

 

「ま…まずい、灰色の悪魔だ!全員撤退だ!奴がいる限りこちらに勝算はない!?」

 

スパルタンであるカイトがここにいることは封鎖線を築いた帝国兵でも思わなかったようだ。戦車を失うと同時に灰色の悪魔であるカイトの出現によって抵抗は無意味と知り、撤退するほかになかった。敵が撤退する様子を見たウェルキンたちは作戦は無事に成功するのだった。

 

 

 

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輸送経路の奪還に成功したカイトたち。その後は避難していない住民達を安全圏までに逃がし、巡回も含めて警戒した。

 

「よしっと……これで野菜不足も解消されるね」

 

「今すぐは無理だが、二~三日もすれば野菜の輸入が緩やかになるだろう」

 

「おう。俺の実家はな、農園を経営してたんだよ。だから今回の事も他人事じゃねぇ気がしてなぁ。小せぇ頃から、収穫や出荷作業の手伝いをしてたから、野菜に囲まれて育ったんだよ。野菜はよ、本当に優秀な食べ物なんだぜ?摂れば摂るほど健康になれるんだからな」

 

どうやらラルゴの野菜への情熱の源は、小さい頃にラルゴの実家の農園の経営が英きょぷしていたようだ。

 

「僕もそう思うよ。野菜の栄養は他の食物では補えないものが多い。それにさ、野菜を食べる事は体に自然の力を取り込んでいるのと同じだと思うんだ」

 

「自然の……力?」

 

「うん。野菜ってさ、土壌や日光、微生物等の自然の力を直に受けて育っているだろう?それを食べるって事は、自然の力を直に取り入れてるって事になるんじゃないかな」

 

「……はっはっは!!そんな大層な野菜の解釈、初めて聞いたぞ!いやぁ、隊長!お前中々見所あるぜ。気に入った!」

 

「はは、ありがとう。そう言って貰えると嬉しいよ」

 

ラルゴは上機嫌になった後、照れくさそうに話す。

 

「……なぁ隊長。それとスパルタンの隊長。つまんねぇ話かもしれないが聞いてくれるか?」

 

「構わない」

 

「俺はよ、潰れちまった実家の農園を立て直して野菜専門の農園を作りたいと思ってるんだ……いつも弾丸をぶちかましてるムサイ男が野菜作りなんて……笑っちまうだろ?」

 

ラルゴは戦後のこと考えており、どうやら野菜専門の農園を作ることが目標の様だ。別にラルゴの言うそれが笑ってしまう理由にはならない。

 

「いや、野菜作りにムサイ男が作るとかそういうの関係ないと思うぞ?事実、野菜作りにはそれなりの体力がいるからな。それに、野菜は種類は多数あるから知っている奴が多いことに越したことはない」

 

「僕もカイトさんに同意だよ。野菜好きのラルゴなら、おいしい野菜を作ってくれそうだ」

 

「もし農園を始め、野菜が収穫出来る様になったら、俺達に食べさせてくれないか?」

 

「おう!何時でも食べさせてやるぜ。ただし、収穫作業は手伝えよ。収穫の時は俺が隊長だからな。思いっ切り扱き使ってやるよ!」

 

「うへぇ……」

 

「野菜の収穫自体は初めてだからな。その時は収穫方法の指導を頼む」

 

「おう!その辺は任せておけ!…はっはっは!今日は気分が良いぜ!野菜万歳!」

 

ラルゴの機嫌はまさに最好調に達していた。カイトはヘルメット越しだったので表側に表情をうまく隠しながらも戦後についてのことを考えていた。カイトは元々UNSCの最強の兵士であり、兵器であるスパルタンとして戦い続けた。だが、そんなスパルタンが戦う理由が失われたら果たして残るのは一体何なのか見当もつかなかった。

 

前の世界と決別したはずだというのに、未だに前の世界の未練が残っているカイトはどうすればいいのか悩みの種となったのだ。それが次の任務であるバリアス砂漠のある遺跡で思わぬ遭遇を果たすことをカイトは知る由もなかった。

 

 

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