HALO:IF battlefield of SPARTAN   作:コレクトマン

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第十章 忌まわしき存在

 

 

バリアス砂漠にて、ガリア公国の戦車たち砂漠の中を駆け抜けて行く。ウェルキンたち第7小隊とカイトのスパルタン部隊は、到着したと同時に敵がいないかを探していた。その時にラルゴはカットされたスイカを頰張りながらここの砂漠にある岩や穴、地面の状態につぶやいた。

 

「しっかし、ここは凄ぇとこだな。岩は穴ぼこだらけだし、地面はひび割れだらけだしよ」

 

「大昔、ここには古代の都市があったらしいんだ。今は不毛の砂漠になってしまっているけどね」

 

「古代の都市…か」

 

カイトはこの不毛の砂漠を見てコヴナントのガラス化のことを思い出していた。ここにはコヴナントはいないと分かっていても忘れられない記憶でもあった。

 

「アタイ、知ってるよ!『ダルクスの災厄』って奴だろ。大昔のダルクス人が、邪法の力とやらで都市を丸ごと焼き払ったって言うじゃないか」

 

「どうやったら、こんだけ広い場所を丸ごと焼いたり出来るんだ?分かんねぇなぁ」

 

この辺りは結構な砂漠となっており、所々に鋭い岩場が多く残されている。それだけダルクスの災厄の規模が大きかったのだろう。今回の作戦で、取材という形で同行したエレットが問いに答えた。

 

「イサラは歴史的根拠の無い風説って言ってたけど?」

 

「あいつら、昔からラグナイト掘りの仕事とかやらされてるだろ?アタイ等も知らない怪しいラグナイトの技術とかを知ってるんだよ、きっと」

 

そうロージーが言うも、カイトはそれを否定した。

 

「いや、それはないな。例えそれがあったとしてもだ。ダルクス人が世界を壊す前提で兵器を作ったとしたらこの世は混沌になっていただろう。特に、未来の人間が古代ダルクス人が作ったオーパーツを目当てにな」

 

「それはちょっとありえそうで怖いわね?」

 

「…それと、この世界の伝承では突如と現れたヴァルキュリア人による介入によって戦争は終結したんだよな?俺なりにある一つの仮説を立てたんだが、実はそのヴァルキュリア人が戦争の主犯で、その罪をダルクス人に押し付けたとすれば……」

 

「はぁ?つまり、こう言いたいのかい?『ダルクスの災厄』を引き起こしたのはヴァルキュリア人だって言いたいのかい?」

 

「あくまで仮設だ。もしそうだとしたら、力ある者は力なき者達によって恐れられ、迫害されるだろう。それも理不尽な理由でだ。そのヴァルキュリア人が力ある者だと仮定すれば、己の力を正当化させるための準備としてダルクス人を標的にしたんだろう。……まぁ、あくまでも仮説と仮定の話だけどな」

 

カイトの言うヴァルキュリア人の仮説と仮定の話を進めている中、ラルゴは今回砂漠での任務は一体何なのかウェルキンに問いだしていた。

 

「しかし隊長さんよぉ、こんな砂漠まで連れて来て……今回の任務は一体何なんだ?」

 

「このバリアス砂漠の遺跡周辺に帝国軍が駐留しているという情報が入ったんだ。情報の信憑性を確かめるのが今回の第7小隊及びスパルタン部隊の任務となる」

 

「こんな場所で一体何やってんだか……帝国のやる事は、訳分かんないよ」

 

ロージーの言う通り、この砂漠を占領する帝国軍の動きは些か妙に感じられる。カイトは帝国軍の動きに不信感を抱く。そんなロージーの言葉にエレットも答える。

 

「鋭い!確かに、何か秘密があるのよ。こんな場所を占領するなんて、無意味だもんね」

 

「……待って!方位040に敵戦車発見!距離800!敵歩兵も複数確認!戦闘体勢に入っている模様!」

 

すると、先程から望遠鏡で覗いていたアリシアが敵部隊がいた事を確認した。敵の出現に全員の顔付きも鋭くなった。

 

「お待ちかねの敵さん登場か」

 

「第7小隊、戦闘隊形に展開せよ!」

 

「スパルタン部隊、戦闘準備!ここから仕掛けるぞ!」

 

それぞれ戦闘隊形に展開し、バリアス砂漠に点在する帝国軍に対して攻撃を開始するのだった。

 

 

 

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その一方で、ギルランダイオ要塞の作戦司令室でグレゴールとイェーガーはいた。グレゴールは何やら思い悩んでいた。

 

「ふぅむ……」

 

「そんな険しい顔をして、どうしなすった?」

 

「貴様か……何でも無い」

 

「おいおい、そう邪険にしなさんなって。何か気になる事でもあったのかい?」

 

「……マクシミリアン殿下の事だ。戦略的価値の無いバリアス砂漠などに自ら進軍なされたのが気になってな」

 

グレゴールはマクシミリアンがセルベリアと共に戦略的価値の無いバリアス砂漠に進軍したことに不可解を抱いていた。イェーガーはセルベリアがマクシミリアンと同行したことに関して心当たりがあった。

 

「セルベリアを連れて行ったからには、恐らくヴァルキュリアに関連した事だろう」

 

「殿下は些かヴァルキュリアの力に固執し過ぎるきらいがある」

 

グレゴールが言うようにヴァルキュリア人の持つ『力』にマクシミリアンが目を付けて以来、ヴァルキュリアの力に固執し過ぎるようになった。イェーガーはマクシミリアンが力に執着するのもわからなくもなかった。

 

「まあ……マクシミリアンが執着するのも分からなくは無い。『ヴァルキュリアの力』はヨーロッパを……いや、世界を制する事が出来る程強力な力だ」

 

「あの様な力に頼らなくとも帝国の軍事力を持ってすれば、ヨーロッパの支配は容易い事だ」

 

「より強い力を持った方が道程はそれだけ短くなる」

 

「ふむ……」

 

イェーガーの言うようにより強い力を持てば道程は最短になる。その反面、より強い力にはより強い反動がある。それをどう受け止めるのかが重要でもあった。

 

「それに俺は……祖国の復興をマクシミリアンに賭けているからな。奴にはガリア戦線を勝利で飾り、帝国の地位を確固たる者にして貰わなければならん。まぁ……砂漠の土産話でも楽しみにしていようじゃないか」

 

少しずつ帝国軍も勢いを増そうとしているのであった……。

 

 

 

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ウェルキンたちが戦闘を始めてから数十分が経ち、敵が防衛する本拠点を確保し、バリアス砂漠を制圧するのだった。バリアス砂漠を制圧した際に、警戒の為に周辺を歩いていると巨大な建造物と遭遇したのであった。

 

「何だ?このバカでっかい建物は……」

 

「砂漠のど真ん中に、こんな物があるとはね……」

 

「遺跡……か。こんな砂漠に遺跡があるとは意外だな?」

 

ラルゴ、ロージー、カイトの順にそれぞれ感想を述べていると第1小隊の隊長であるファルディオが待っていた。

 

「よう、待っていたぞ」

 

「ファルディオじゃないか。君も来てたのかい?」

 

「ああ。俺は大学で考古学を専攻してただろ。だから遺跡内部の偵察と調査を命じられたんだ」

 

「なるほど、考古学系ならお前の専門分野だからな」

 

恐らく、ガリアを中心にした歴史と一つ関係のあるものなのだろう。何故帝国軍がバリアス砂漠に進軍した理由が分かるかもしれない。

 

「それにしても不思議な形をしているよね。こんな建物、初めて見たよ」

 

「僕は何処かで見た事があるんだよなぁ。うーん……何処だったかなぁ……」

 

「この遺跡は何千年も昔にヴァルキュリア人の手で造られたと言われている」

 

「ヴァルキュリア人……」

 

「そうだ。数千年前、その名をヨーロッパの歴史に突然現した古代の民族だ。当時の文明では考えられない程の高い技術、そして「神の力」を持っていたと言われている。だが、その後ヴァルキュリア人達は歴史の中から突然、消えてしまったんだ」

 

「へえ、そうだったんだ」

 

「神の力……ねぇ」

 

ファルディオの言うようにそんな大きく言う程の力なのだろうか?とカイトは疑問に思うと同時に戦闘前にロージーたちに話した古代ダルクス人とヴァルキュリア人の過去についての仮説と仮定がどうにも引っ掛かり、何か見落としているのではないのかと考えていた。その時にウェルキンは遺跡を見てから考え続け、ようやく何かを思い出した。

 

「……そうだ!思い出したぞ!!」

 

「な、何よウェルキン!?いきなり大声出して……」

 

「ツノオウムガイだ!この遺跡、ツノオウムガイに似てるんだ!」

 

ウェルキンの癖がまた出たのか、遺跡の形を聞き覚えのない貝類の名前と似ていると言い出した。

 

「……ツノ、オウムガイ?何それ?」

 

「知らないのかい?水中に住む頭足類だよ。巻貝の様な形状の殻を持っている生き物さ。この遺跡、その殻と形がそっくりなんだよ!もしかして……何か関係があるかもしれないよ!」

 

「ウェルキン……あなたって……」

 

「駄目だ……あまりついてこれない」

 

ウェルキンの自然博士は止まらず、もはやカイトは匙を投げるくらいに思考がついてこれないでいた。

 

「ん、どうかした?」

 

「いえ……何にも」

 

結局、ウェルキンは通常運転という事を改めて認識しながらも遺跡の内部へと侵入する事にした。

 

「よし、遺跡内部を調査してみるか。帝国のバリアス駐留のヒントがあるかもしれない」

 

「僕とカイトさん、アリシアはファルディオと共に遺跡内部の調査に行って来る。ラルゴ、ロージー、イサラ。君達遺跡周辺部の偵察を頼む」

 

「分かりました。兄さん、気を付けて下さい」

 

「イーディ、スパルタン部隊の指揮はお前に任せる。ラルゴたちと同様に遺跡周囲の偵察を頼む。シャーラ、念のためにお前も同行してくれ」

 

「了解ですわ!」

 

「……!」

 

6人は遺跡の中へと入り込んだ。しかし、ウェルキンが入る前に既に入っている人物がいた。

 

 

 

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……その遺跡の最奥ではマクシミリアンとセルベリアが遺跡にある壁画を見つけ、セルベリアが壁画に書かれている文字を解読していた。

 

「セルベリアよ。余の探し求めていたものの答えはあるか?」

 

「封じられし古代の力の在り処を……ここに示せ」

 

「セルベリア、何とある?」

 

「………大地を焼きし「聖槍」は……ランドグリーズの地に封じられたり……「守護者」は聖槍を封じし柱を築き……永代に渡ってこれを守護するものなり」

 

「そうか……やはりヴァルキュリアの聖槍はランドグリーズにあったか!」

 

目的の物がランドグリーズにあると確信を得たマクシミリアン。対してセルベリアは聖槍についてどう使うつもりか見当もつかなかった。

 

「しかし殿下……どうやって聖槍を制御なさるおつもりなんです?」

 

「フフフ……案ずるな。槍に乗せて走る「ネズミ」が間も無く完成する。これで我が野望は夢から確信へと変わった。余はヨーロッパに君臨する王となるのだ」

 

マクシミリアンの野望は帝国の動きと同時に次第にその姿を現すのであった……。

 

 

 

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遺跡内部に入ったウェルキン達。そこはまるで神秘的な空間でもあった。

 

「うわぁ……遺跡の中にこんな場所があったんだ……」

 

「びっくりしただろ?俺も初めてここに来た時は随分驚いたものさ」

 

「しかし、何処からも光が差し込んでいないというのに、どういう事だ?」

 

「確かに……私も気になっていたわ」

 

「この遺跡自体がラグナイト含有率の高い石で作られている。明るいのはその為だ」

 

「へぇ、そうなんだ」

 

全員が探索している中、ウェルキンが何かを見つけた。どうやら壁に描かれた壁画と文字を発見したみたいだった。

 

「これは……何か文字が書いてある様だけど……」

 

「古代文字の様だな……ランツァート少尉、この文字は?」

 

「それは古ノーザン文字だな」

 

「古……ノーザン文字?」

 

「古代ヨーロッパで広く使われていた文字さ。遺跡の碑文等で良く見られるんだ」

 

「ファルディオはこの文字、読めるの?」

 

「ああ。大学で去年習ったばかりだがな。どれどれ……ええと……」

 

ファルディオはライトで照らしながら、壁に書かれている文字を解読し始めた。

 

「ふむ……概ね、ヨーロッパに古くから伝わる「ダルクスの災厄」についての記録だな。かつて、ラグナイトから力を引き出す技を得たダルクス人は地上を我が物にしようとし……邪法の力で100の都市を焼き払い、100万の人と家畜を殺した……この地も、ダルクス人によって焼かれた都市の一つである……とある」

 

「ダルクス人の邪法の力……」

 

「そんな古代ヨーロッパ史に忽然と現れたのが「ヴァルキュリア人」達だった。ヴァルキュリア人は蒼く輝く聖なる槍を手に取り、ダルクス人達に戦いを挑んだという。所謂、「古代ヴァルキュリア戦争」だ」

 

「古代ヴァルキュリア戦争……か」

 

古代戦争を聞いたカイトは、自身の立てた仮説が徐々に真実味が増してきた。アリシアは古代戦争について聞いた覚えがあった。

 

「小さい頃、絵本で読んだ事ある……でもそれって、御伽噺や神話じゃないの?」

 

「この遺跡を始め、ヨーロッパ各地にはヴァルキュリア人が存在した痕跡は数多くある。民族考古学においては、ヴァルキュリア人は実在した……という説の方が最近は有力なんだ」

 

「流石ファルディオ、詳しいなぁ」

 

「その古代戦争にヴァルキュリア人は勝利し、敗北したダルクス人は大陸各地に散って行った。結果、ヨーロッパを救ったヴァルキュリア人は救世主として現在も信仰の対象となっている。反対にダルクス人は「大地を焼いた民族」として、延々と迫害の歴史を歩み続けて来た。土地を持たない彼等は、ラグナイト掘り等の重労働に使役される事を余儀なくされた」

 

「工業に関する仕事に携わるダルクス人が今でも多いのは、そういう事なんだ」

 

「そうなんだ……そう言えばイサラも、イサラのお父さんも技師だったね……」

 

「なるほどな……何となくこの世界の情景が見えて来た様な気がした。ダルクス人とヴァルキュリア人……そしてダルクスの災厄……現状においてヴァルキュリアはプラスとして見られ、反対にダルクス人はマイナスとして見られている……という訳か」

 

カイトは自身の立てた仮設を口にしない方がいいと判断し、ウェルキンたちに合わせるように納得するふりをするのだった。

 

「さてと、俺の特別講義はこれで終わりだ。帝国軍の立ち入った痕跡が無いか調査を続けよう」

 

そうして調査が再開され、更に最奥に進むと奇妙な壁が存在していた。

 

「ファルディオ、これは何だい?」

 

「『ヴァルキュリアの螺旋』だな」

 

「ヴァルキュリアの……らせん?」

 

「碑文には、ヴァルキュリア人は蒼く輝く聖なる力を持っていたと記されている。この螺旋のレリーフは無限に生み出されるヴァルキュリアの力を象徴したものらしい」

 

「へぇ……そうなんだ」

 

そうウェルキンが納得する中、カイトはこのヴァルキュリアの螺旋に何かしらの違和感を感じていた。

 

「『ヴァルキュリアの螺旋』か。しかし、何か違うのは気のせいか?

 

「しかし帝国兵の姿は無いし、立ち入って何かをした痕跡も無い。帝国軍がバリアス砂漠に駐留しているのは、ここが目的って訳じゃないのか」

 

「みんなを待たしているし、そろそろ戻ろうか?」

 

「ああ……そうだな」

 

「この壁、何か妙だな……ん、アリシア?」

 

その時にアリシアはヴァルキュリアの螺旋に手を触れると、ヴァルキュリアの螺旋は螺旋状に回転し、穴が開いたのだ。流石のアリシアもこれには驚きを隠せず、戻ろうとしたファルディオたちもヴァルキュリアの螺旋が消えていたことに驚いていた。

 

「アリシア、何かしたのかい?」

 

「分からない……手を触れたら扉が勝手に開いて……」

 

「…………」

 

「奥に続いているみたいだ」

 

「バリアス遺跡に深部があったとはな。これは歴史的発見だぞ」

 

「……進んでみる?」

 

「勿論だ」

 

「シャーラ、ライトを付けていくぞ」

 

「……(こくりっ)」

 

ライトを頼りに進んで行くウェルキン達。その先には螺旋の様な階段が続いていたのであった。

 

「わぁ……何だここは!?」

 

「ずっと下まで続いているみたいだけど……」

 

「警戒しろ、もしかしたら敵がその下に潜んでいる可能性も高い」

 

カイトの言葉に思わず警戒する全員。それもそうだろう、その可能性もあるのだから。ファルディオを先頭に進んで行く一向だったが……。

 

「こ……これは!そんな……」

 

「ここにも碑文が記されているのか。(ファルディオの奴、何を驚いているんだ?この古ノーザン文字に何か秘密が書かれているのか?)」

 

「それでファルディオ、何て書いてあるんだい?」

 

「い、いや……この文字はオレにも読めないな……」

 

どうも先程からファルディオの様子がおかしい事に気付くカイトとシャーラ。すると、アリシアが何かの気配を感じ取った。

 

「ウェルキン……誰か……いる」

 

「誰だ!」

 

ライトを向け、銃を構えたまま待っていると、そこにいたのは負傷した一人の帝国軍兵士と研究者の屍があった。アリシアは思わず手で口を押えた。その負傷した帝国兵は辛うじて生きていたが、研究者の方は何かしらの刃物によって貫かれたのか、傷口から多量出血で死亡していた。

 

カイトがウェルキンたちに警戒するようにハンドサインで指示をだし、シャーラと共に負傷した帝国兵に対して応急処置を施して事情聴取を行った。

 

「ここで何があった?」

 

「お前は……ガリアの、灰色の悪魔か?…ははっ!どうやら、俺のお迎えが死神だとは……」

 

「そういう事を聞いているんじゃない。お前はここで何をしていたんだ?」

 

「俺はそこの博士の護衛を担当していた。他にも仲間がいたが、バラバラになり……この洞窟内じゃ無線が使えない。生き残ったのは俺たちだけ」

 

どうやらこの帝国兵士はそこで屍となっている研究者こと博士の護衛をしていたが、何者かの襲撃に合い、仲間と博士を失って今ギリギリのところで生き延びていたという事になる。

 

「ちょっと待って……他に誰かいるわ」

 

「他に…だと?」

 

アリシアはその気配のする方に向かい、探しに行った。直ぐ近くなので見つかるのも時間の問題だ。そう考えている時に螺旋階段の方から足音が聞こえてきた。その足音の正体はマクシミリアンとセルベリアだった。

 

「……ほほう、ここを訪れている者が他にもいるとはな。どうやってここまで来たか知らぬが、この神聖なる場所に貴様等は場違いだ」

 

「場違い……か。確かにこの神聖なる場所に部外者である俺たちは場違いであろう。だが、それはここにいる帝国兵とお前たちも場違いとでも言えるが?」

 

「貴様……!」

 

「止せ、セルベリア。確かに貴様の言う通り一理ある。ここに来る者など、余程酔狂な奴しかおらぬからな。それと……報告にあった灰色の悪魔とやらは貴様か」

 

「まさかその様に噂が広まっているとは思いもしなかったが、概ねその通りだ」

 

コツコツとその横を通り過ぎようとした所、ファルディオが何か思い出したかの様に言った。

 

「お前は……マクシミリアン!?」

 

「マクシミリアンって……まさか、敵の司令官の……!?」

 

「いきなり総大将がここにいるとはな……!」

 

この時にアリシアは真っ先に銃口を二人に向けようとすると、別の足が聞こえる。アリシアは足音のする方に目を向けると、そこには小さな女の子がいた。

 

「えっ……女の子!?」

 

「ほほう、随分とここを訪れている者が多いようだな」

 

「……マクシミリアンだったか、ここは一旦彼女やこいつらを地上に出た後、雌雄を決するのはどうだろうか?お前とてこの神聖なる場所を血で汚したくはあるまい」

 

「貴様の言う通り、貴様の命など惜しくは無いがこの場所を血で汚したくはない」

 

「なら、一時的な停戦でいいか?お互いに地上に上がるまでの間だ」

 

「無論それで構わん。急く事もあるまい。外で雌雄を決しようぞ」

 

こうして一時的な停戦で地上に出るまでは遺跡内での戦闘は避けられた。ここでカイトは安堵し、アリシアの方を見ると、シャーラと共に隠れていた女の子を確保し、落ち着かせていた。

 

「大丈夫、私たち敵じゃないよ」

 

「~~~っ!?」

 

女の子はやけに抵抗していた。まるで何かから逃げている途中のような感じだった。

 

「アリシア」

 

「大丈夫、ウェルキン。ほら、大丈夫。何もしないから……ね?」

 

アリシアは何とか女の子に落ち着くように説得する。するとようやく女の子が口にしたと思ったらカイトにとってありえない言語が出てきた。

 

[奴らは、まだここにいるわ]

 

それは惑星リーチの住人が使うリーチ語だった。何故彼女がリーチ語を知っているのか謎だったが、それ以前に彼女の言う奴らと一体何なのか?

 

その答えが強固なアーマーで固められた異形の者が、突然何の前触れもなく天井から三体も飛び降りてきた。カイトはこの世界に存在しない筈の異星人こと多種族同盟コヴナント軍の最強の種族と言われ、その強靭な肉体と戦闘能力で多くのUNSC軍を苦しめた存在『エリート』である。

 

「ゼロット……!!」

 

しかもそのエリートはただのエリートではなく、特殊部隊の中で上位クラスの存在『ゼロット』でもあった。

 

 

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