HALO:IF battlefield of SPARTAN   作:コレクトマン

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第十二章 バリアスの決戦

 

遺跡に立てこもる異星人をカイトに任せて砂上に出たウェルキンたち。砂上では既に全員が戦闘準備していた。

 

「戻りました!バーロット大尉、状況は?」

 

「ギュンター少尉か!よく戻ってこられた。今から現在の状況を説明する。帝国軍の総司令官・マクシミリアは巨大戦車に搭乗し、わが軍の本拠点へと進撃中だ。なんとしても、わが軍の本拠点が落とされる前に巨大戦車を撃破せねばならない」

 

エレノアは地図に巨大戦車の進撃予測ルートを描き、ウェルキンたちに説明を続ける。

 

「本作戦の目的は、「敵巨大戦車の撃破」である。敵の巨大戦車の側面には、複数の機銃座が設置されており、猛烈な追撃が予想される。うかつに接近せず、戦車砲や対戦車兵でひとつずつ機銃座を破壊していくように。また車体の前後には、破壊不可能な大口径砲が搭載されている。攻撃範囲はこのとおりだ」

 

地図の上に敵巨大戦車と思われる図面を置き、ペンで敵巨大戦車の攻撃範囲を描く。攻撃範囲は広く、うかつに射線上に入らないようにしなければとウェルキンたちは気を引き締める。

 

「図の攻撃範囲の位置で止まっていると非常に危険だ。位置取りには気を付けろ。……ところで、カイト中佐は一体どこかしら?ギュンター少尉と共に行動していたんじゃあ?」

 

エレノアにカイトのことを聞かれてウェルキンとアリシアは何と返せばいいのか困っていた。正直にカイトは遺跡にいた異星人と戦っていると言っても信じてもらえる可能性は低い。そんな時にシャーラはエレットにメモ帳とペンを貸してもらい、急いでメモ帳に記入し、それをエレノアに見せる。

 

『カイトは今、遺跡内にいた敵勢力の相手をしている。私たちはカイトの命令で先に地上に戻ってきた。カイトは敵を殲滅し終え次第、そちらに戻ると言っていた』

 

「そうだったの。…分かったわ。では、カイト中佐を抜きに作戦を開始する。心してかかるように。以上!」

 

そうしてエレノアの号令を合図にウェルキンたちは急ぎ持ち場につくのだった。シャーラはエレットにペンとメモ帳を返した後にすぐイーディたちのもとに駆け寄るのだった。

 

 

 

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戦車に乗り込んだウェルキンは、第7小隊に号令を掛けて出撃する。

 

「目標は敵巨大戦車!あれを止めるぞ!第7小隊、出撃する!」

 

「カイトさんがいなくとも、私たちでやってみせますわ!スパルタン部隊ことイーディ分隊、出撃しますわ!」

 

全員は気を引き締め、マクシミリアンが指揮する帝国軍と戦いを開始した。一方のマクシミリアンは帝国軍の大型戦車“ゲルビル”でガリア軍の拠点を一つ一つ踏み砕くように進撃する。

 

「フフフ……ガリア軍よ、見るが良い。この大型戦車“ゲルビル”の雄姿を」

 

『殿下、私は神殿東部の敵部隊にあたります。掃討し次第、そちらに援軍に参ります』

 

「うむ、余だけでもこちらは十分だろうがな。ガリア軍の拠点を、ゲルビルで粉々に踏み砕いてくれよう。…それとセルベリアよ、例の帝国兵はどうなった?」

 

『残念ながら、既に異形の者によってことが切れていました。しかし、調査してたであろう書類を確保しました』

 

「ご苦労。引き続き神殿東部のガリア軍の撃退せよ」

 

『はっ!殿下のご期待に応えてみせます!』

 

その頃、ウェルキンたちは改めて敵巨大戦車の実物を見て驚いていた。

 

「参ったな……あの重装甲だと俺の対戦車槍でも恐らく貫通しねぇな」

 

「あの巨大な主砲が気になるね。戦車の正面には回らない方が良さそうだよ」

 

「まずは様子を見よう。きっと何処かに、弱点がある筈だ」

 

そうしてウェルキンたちはゲルビムや帝国兵と交戦するのだった。ゲルビルがゆっくりと進んで行く。銃座からはダダダダダッ!!と射撃する音が流れ、そのまま拠点の方へと向かおうとしている。

恐らく、今の現状ではどんな攻撃でも通用しないだろう。スパルタンのカイトのシールドでさえ何十発も当たればどうなるかわからない。ウェルキンはエレノアに言われた通り先ずは機銃座を破壊することを優先するのだった。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ………!!!!とキャタピラと重量感ある地鳴りのような音をまき散らしながらも前進するゲルビム。その前方にはガリア軍の拠点があった。それを虫が付いた感覚で拠点を踏み砕きながら前進する。

 

「フフフ……拠点など、わざわざ占領する必要も無い。このゲルビルで、ことごとく踏み砕いてくれる」

 

「くそっ……マクシミリアンめ!拠点を踏み潰すつもりか!」

 

『ギュンター少尉、良く聞け。砂漠には神殿の破片が散乱している筈だ。不安定な破片を攻撃出来れば、破片が倒れて敵戦車の通行を妨害出来るかもしれない』

 

「なるほど……やってみます!」

 

『神殿東部の部隊は苦戦している。不思議な力を使う女兵士に手が付けられない。このままでは、撤退も止むを得ない状況だ』

 

「……分かりました。こちらは何とか踏ん張ってみます。よし、戦車の進路上の破片を倒して少しでも戦車が拠点に着くのを遅らせるんだ!」

 

「応っ任せろ!」

 

ラルゴは対戦車槍を不安定な破片に向けて発射する。弾頭はガレキに直撃し、そのまま崩れてゲルビムの新路上をふさぐのだった。しかし、それをまるで意味をなさないかようにゲルビムの上部主砲が放たれる。主砲が撃たれ、戦車の通り道上にあった遺跡の破片が一瞬にして飛び去った。ラルゴの対戦車槍やエーデルワイスの砲撃でも数発撃たなければ崩れないのに、ゲルビルの砲撃でその破片が粉々になった。この恐ろしさには、ウェルキン達を戦慄させた。

 

「くっ……何て強力な主砲なんだ!どうやったら、あの戦車を止められるんだ?」

 

「兄さん、あれを見て下さい!」

 

イサラの言葉にその方向を見ると、ゲルビルの上から何か光る四角い物が出て来た。そこから少しだけだが、煙の様な物が出ている。

 

「何だ、あれは……戦車の上から、何かが出て来たぞ」

 

「あれは、ラジエーターです。加熱したラグナイト機器の放熱装置です。恐らく、あの主砲を発射した際の熱を発散しているのでしょう。兄さん、あのラジエーターを攻撃すれば戦車本体にも損傷を与えられるかもしれません」

 

「分かった、やってみよう。主砲を発射した直後に出て来るラジエーターを攻撃だね」

 

「ラジエーターは戦車の高い位置に出て来るので、戦車側面の梯子を登る必要がありそうです」

 

「よし、戦車の残りの銃座を破壊しつつ、歩兵を戦車に登らせる作戦で行こう!」

 

露出したラジエーターを歩兵に攻撃させる作戦で攻めることにしたウェルキン。その時にシャーラは手榴弾を手に、梯子に登らず地上からラジエーターにめがけて投げ込む。手榴弾はラジエーター内に入り込み、そして爆発して一つの破壊に成功する。残りは空冷却が完了したのか戦車内に収納されるのだった。アリシアもシャーラの投擲力に改めて驚いていた。

 

「凄い!あんなところから入れ込むなんて!」

 

それを指でピースサインを作って答えるシャーラ。何かとシュールである。

 

「良いぞ!残るラジエーターはあと2つ!みんな、気を抜くな!」

 

『ギュンター少尉、、神殿東部の第1、第3小隊には被害が大き過ぎる為に退却命令を出した』

 

『ウェルキン……こちらファルディオだ。すまん、あの女に手も足も出せなかった。奴は古代の盾と槍を持っていた。正に、伝説のヴァルキュリアのいでたちだ」

 

『恐らく、敵の部隊は間も無くそちらに援軍に行く可能性が高い。まともに戦っても勝ち目は無い。急いで、敵の戦車を撃退するのだ!』

 

「分かりました!皆、ラジエーターの破壊を急ぐんだ!」

 

そうしてゲルビムの手法が放たれると同時にラジエーターが露出し、今度はラルゴが梯子で登り、対戦車槍で二つ目のラジエーターを破壊するのだった。後は最後のラジエーターを破壊すれば巨大戦車が停止するその時に、東方向から第1、第3小隊が抑えていた帝国軍がマクシミリアンの援軍としてやってきたのだ。それもセルベリアを筆頭にしてだ。

 

「マクシミリアン様……今こそ、ヴァルキュリアの力をここに!」

 

セルベリアがヴァルキュリアの力を発動し、帝国軍に命令する。

 

「進撃開始!ガリア軍を殲滅せよ!」

 

「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」

 

セルベリアの命令を合図に、帝国軍は進撃を開始した。最悪の形で増援と戦うことになったウェルキンは冷静に状況を確認しつつも対処するのだった。

 

「くっ……ついにヴァルキュリアの援軍が来てしまったか。まともに相手しても歯が立たないだろう。みんな、残り1つのラジエーターを集中して叩け!」

 

「ん……?おい何か聞こえないか?」

 

ラルゴの発現にウェルキン達は耳を済ませてみる。するとキュラキュラッ……!!と戦車のキャタピラの音が聞こえてきた。しかし、それはガリア軍の戦車でも帝国軍の戦車のキャタピラ音ではなかった。その方向を見ると、そこに見えたのは……

 

「な、何だありゃ!?」

 

「……っ!?」

 

そこに現れたのは、スコーピオン戦車を操縦するカイトと、他のスパルタン二人ことマースィとグリーンの姿があった。

 

「ウェルキン、待たせたな。これよりスパルタンも戦闘に参加する」

 

「カイトさん!?その戦車は一体?」

 

「説明は後だ。マースィ、グリーン。気を引き締めろ、敵が来るぞ」

 

「わかってるさ!それよりも、あの蒼白く光っている女兵士はどうするんだ?」

 

「彼女は俺が対処する。マースィ、操縦を変わってくれ。グリーン、お前は機銃だ」

 

「あっはい、了解であります!」

 

スコーピオンの操縦をマースィに変わり、カイトは背中に懸架している日本刀の打鉄を抜き、セルベリアに向かって走り出す。スコーピオンを任されたマースィは操縦して帝国軍の戦車たちを相手にするのだった。

 

「行くぞグリーン!奴らにこのスコーピオン(タンク)の恐ろしさを教えてやろうぜ!」

 

「あーっと…ほどほどにお願いします?…おわっと!?」

 

マースィはスコーピオンの主砲である戦車砲“M512滑腔砲”を敵戦車に向け、戦車砲から“90㎜タングステン弾”が発射される。それを受けた敵戦車は、装甲がまるで意味をなさず貫通し、爆散する。

 

「ハッハァ!90㎜のタングステン弾の感触はどうだ?」

 

「う…うわぁっ!?せ…戦車だ!ガリアの新たな戦車が出たぞ!」

 

「落ち着け!相手が戦車なら弱点を狙え!」

 

帝国軍の対戦車兵と戦車がスコーピオンを破壊すべく行動するが、スコーピオンの砲塔旋回速度が異常に早く、戦車砲による砲撃で対戦車兵を蹴散らすのだった。この世界の戦車が使う対歩兵用の迫撃砲ではなくカイトの世界のタングステン弾を使用している分、帝国兵にとって過剰な威力であった。更には機銃座にいるグリーンの迎撃により歩兵が近づけないでいた。

 

帝国軍の戦車も砲撃で破壊を試みるもスコーピオンのセラミックチタン外装甲による高い防御力で敵戦車の砲撃を弾いてしまう。

 

「タンクならゴーストに負けやしないし、タンクならハンターにだって負けやしない!正にタンクは無敵だぜ!こりゃあ……やめられないな!」

 

「だ…ダメだっ!?こちらの攻撃が通じない!?」

 

もはやスコーピオンの独壇場であった。調子に乗ってきたマースィは今度はゲルビムに照準を向けるのだった。

 

「今度はデカ物か。だったらこいつでも食らえ!」

 

ゲルビムに向けて砲撃をするマースィ。90㎜タングステン弾がゲルビムの装甲に直撃した瞬間、ゲルビム内ではかなりの衝撃が襲い掛かった。

 

「ぐぅっ…!?…被害報告!」

 

「正面下部の装甲小破!」

 

その報告に敵戦車長は唖然となる。このケルビムにダメージを負わせたのだから。豪華な椅子に座っていたマクシミリアンもこの報告には驚く、ケルビムの正面装甲は新型戦車である『ヴォルフ』の砲弾ですら弾き返すのだから。

 

「正面装甲に傷を負わせるだと……」

 

マクシミリアンの頬に冷や汗が流れる。決して侮っていたわけではない。しかし、まさか戦車を隠し持っていたことは誰も予想が出来なかった。更にはあの戦車を操縦しているのはカイトと同じ超兵士という名の悪魔であることだ。

 

「他の戦車は無視して構わん、あの戦車の破壊を優先しろ」

 

マクシミリアン直々の指示であった。ケルビムがスコーピオンに釘付けの間にウェルキンたちの部隊は遺跡の方へと移動しながら帝国兵と戦闘をしていた。

 

 

 

____________________________________________

 

 

 

スコーピオンをマースィ達に任せた後にセルベリアに向かって走り出すカイト。進路上の敵をマグスを片手に敵を迎撃し、一点突破を図る。

 

「来るぞ!灰色の悪魔だ!!」

 

「奴の狙いは大佐だ!大佐には指一本触れさせるな!」

 

「いや、これでは部隊の被害が拡大するだけだ。私が行く。お前たちは引き続きガリア軍を殲滅せよ!」

 

そしてセルベリアも動き出した。これ以上の味方の被害を出さないために、向かってくるカイトを迎え撃つのだった。

 

そして、ヴァルキュリアの槍と日本刀の打鉄が打ち合い、カイトとセルベリアは互いに距離を取る。

 

「ヴァルキュリア……か。スパルタンと似たなにかと考えていたが、その蒼白いオーラ……ラグナイトと関係ありそうだな」

 

「貴様が何者であれ、悪魔であれ、マクシミリアン様の邪魔をする者は例え何であろうと排除するのみ!そこを退けッ!!」

 

「悪いが、お前を通せば味方に被害が出るからな。ここで足止めさせてもらう!」

 

そう言ってカイトはナイフシースからナイフを取り出し、刀とナイフの二刀流でセルベリアに攻める。対するセルベリアはヴァルキュリアの槍と盾でカイトの攻撃をいなし、カウンターに槍で突き刺そうとするが、カイトの並外れた反射神経で躱され、再び刀と激しい剣戟を繰り広げる。これを見ていた帝国兵とガリア兵は敵対していたにもかかわらず、カイトとセルベリアの戦いに見惚れていた。帝国の戦乙女(ヴァルキュリア)に対してガリアの悪魔(スパルタン)。この二人の戦いは、後の歴史に“バリアスの決戦”と名を遺すのだった。

 

この戦いの様子をゲルビム内にいるマクシミリアンも遠くから見ていた。特に、カイトの人間から逸脱した動きに興味を示したのだ。

 

「素晴らしい……ヴァルキュリアの力を持つあのセルベリアと同等とはな。奴は確か……“スパルタン”と呼ばれているようだな。あれも余の計画に必要な存在かもしれぬな」

 

現在のゲルビムは既にウェルキンたちとマースィが操縦するスコーピオンの攻撃により最後のラジエーターが破壊されたところだった。ゲルビムが完全に機能が停止し、もはや巨大な鉄くずと化すのだった。

 

「もはやゲルビムはここまでか……。だが、想定以上に収穫はあった」

 

ゲルビムが破壊されたことを察知したのかセルベリアから通信が入る。

 

『殿下、お怪我はありませんか!?』

 

「撤退だな……セルベリアよ、この結果を元にマーモット計画も修正せねばならぬな」

 

『今はそれよりも安全な所へ!我が隊が護衛致します!』

 

マースィのスコーピオンとの共闘で最後のラジエーターの破壊に成功したウェルキンたち。

 

「やった!ついに敵戦車を撃退したぞ!」

 

『ギュンター少尉、よくやった!神殿東部の残存部隊もそちらに合流する!』

 

「兄さん、敵の部隊が後退を始めました」

 

「よし、追撃を開始する!敵の総司令官を逃すな!」

 

ここからガリア軍の猛攻が始まった。ガリア軍の猛攻により逃げ出す帝国兵達。しかし、一部には殿を務める部隊もあった。

 

「食い止めろ!何としてもマクシミリアン殿下の退路を確保するのだ!」

 

「了解!……うわぁっ!?」

 

ガリアの戦車砲から放たれた砲撃に一瞬たじろいでしまう。そんな中、セルベリアはカイトと戦いながらも司令を出していた。

 

「逃げるな!戦列を立て直せ!くぅっ!」

 

「戦いの中でよそ見は命取りだ!」

 

「貴様……!」

 

「今だ!撃てーっ!」

 

ウェルキンの砲撃がセルベリアに向けて飛んで行く。そのタイミングが分かったのか、カイトはアーマーロックで身を固めるが―――

 

「はっ!」

 

セルベリアはヴァルキュリアの槍と盾でウェルキンの砲弾を弾いて防ぐのであった。あまりにも常識から外れた光景を目にしたウェルキンたちは驚きを隠せないでいた。

 

「せ……戦車砲を弾き返しちゃったよ……」

 

「そんなバカな……!?」

 

カイトはアーマーロックを解除して一旦ウェルキンたちと合流するためにこの場を離れようとする間際に一度セルベリアの方を見た。セルベリアもこちらを見るカイトに目線を合わせる。

 

「予想以上に厄介な力だな……そのヴァルキュリアの力ってのは」

 

「ふ……ガリアにも骨のある部隊がいる様だな。それも、ヴァルキュリアと同等の力を持つ貴様もな」

 

「それはある意味お互い様だ」

 

「ふ……全軍撤退!マクシミリアン様を傷付けるな!」

 

そう言いながら帝国軍は去って行ったのであった……。ヴァルキュリアの戦いでカイトはコヴナントのエリートを想定して戦ってみたが、アレは別次元のものだった。幸いなのは、ヴァルキュリアの槍から放たれる光弾はプラズマ弾と同じ原理だったのかシールドで受け止めきることが出来たのだ。もしこれが高出力のビームかレーザーだったら話は別だ。そうなればエリートではなくハンターとして想定しながら戦う必要がある。そんな考えを抱きながらカイトはウェルキンたちと合流するのだった。

 

 

 

____________________________________________

 

 

 

帝国兵を追い出したものの、やはり今回の出来事について大きく衝撃を受けていた。特に義勇軍の被害が甚大であることだった。

 

「帝国軍にはどうにか辛勝したが、俺達義勇軍にも大きな被害が出てしまったな」

 

「バリアスに敵の総司令官が現れるとは思って無かったよ」

 

「総司令官と言えば……マクシミリアンと一緒にいた女の人……一体何だったの?とても同じ人間とは思えなかった……」

 

「蒼き光に護られし槍と盾を両の手に……如何なる矢をも弾き返す……」

 

「……え?」

 

ファルディオが伝承のなにかをつぶやく。その言葉にカイトはこの世界の伝承について思い出した。

 

「それは、さっきの伝承についてか」

 

「ああ、伝承の中でヴァルキュリア人はそう記されている」

 

「まさか、あの人が……でもヴァルキュリア人って大昔の人でしょ?今も生きてるなんて……」

 

「俺だって伝承を鵜呑みにしている訳じゃない。一般的な考えから外れている事も理解している」

 

「だが、僕達が見たのは、紛れも無く伝説のヴァルキュリアだった……」

 

「うん……」

 

ヴァルキュリアの力は想定以上に厄介な存在でもあった。

 

「例えそうであったもだ。俺達は俺達で勝つ為に、生き残る為に戦ってんだ。今更ここで怖気付くなんてらしくない。どの道、あのヴァルキュリアとはまた戦うことになる日が来るかもしれない。その前に俺たちは出来ることを行おう。それが今を生きるために必要なことだ」

 

「そうだな……僕達も頑張らないと」

 

その後にカイトはエレノアのところに立ち寄り、遺跡にて起きた出来事を説明すると同時に異星人であるコヴナントの死体は表に公表すべきではないことを進言する。そして新たにスパルタン二名と戦車をエレノアを通してスパルタン部隊に編入するのだった。

 

 

 

____________________________________________

 

 

 

戦闘が終わって、一時的に落ち着いた所でウェルキンたちは、遺跡で見つけた少女の事情聴取をしていた。しかし、少女は遺跡から出てから沈黙を決め込んだままだった。

 

「参ったな……隊長が遺跡から連れてきた子は黙り込んだままだし、うんともすんとも言いやしねぇ」

 

「しかもアタイたちの知らない言葉で言ってくる分、何語なのか分かりやしない」

 

「うーん……カイトさんなら、彼女の言語を知っているかもしれないけど……」

 

「……彼女の方はどうだ?なにか進展はあったか?」

 

行き詰まったウェルキンたちに偶然にもカイトがここにやってきた。

 

「カイトさん。実は……」

 

ウェルキンは現在の状況を説明した。カイトはウェルキンの説明で今の状況を把握することが出来た。そしてカイトは少女に近づき、落ち着かせようとするが、少女は嫌そうに振り払った。

 

「名前は?家は近くか?」

 

「………」

 

カイトは敵対心はないことを証明するためにヘルメットを外し、リーチ語で話しかける。

 

[俺はカイトだ]

 

[……ラミアよ]

 

[ラミアか、いい名前だ]

 

カイトが少女ことラミアと同じ言語を発したことにウェルキンたちは驚いていた。

 

「カイトさん、この子の言葉が解るの?」

 

「あぁ、この言語はこの世界には存在しない言語だからな。…それはそうと、そのアクセントはもしかして……ショプロンか?」

 

「アデル…」

 

アデルという言葉にカイトは、遺跡にあった研究者の亡骸のことを言っているのではないのかと察することが出来た。

 

「アデル……。それって、遺跡にあった研究者の遺体のことか?彼とは知り合いか?」

 

「父よ……」

 

「っ、[気の毒に……]気の毒に……」

 

その後、ラミアはカイトに少し心を許したのか彼女と研究者が何故バリアスの遺跡にいたのか詳しく聞いてみたところ、どうやら研究者はこの世界の住人ではなく、カイトの世界の住人だそうだ。何故その研究者がこの世界に来たのか詳しく聞きたいが、割愛する。

 

研究者はバリアスの遺跡で古代ヴァルキュリア文明以外の文明が存在することを発見し、その調査に来ていたようだ。しかし、その調査で運悪くも帝国軍とゼロットに遭遇してしまい、研究者は娘を安全な場所に隠してゼロットから守り通したそうだ。己を犠牲にして……

 

ラミアの肉親である父親が異星人(化け物)によって殺され、心に傷を負ってしまう。それ以来、ゼロットに見つからないよう隠れ続けている時に偶然にもカイト達に見つかり、そしてゼロットも再び姿を現したのだ。

 

ここまでがラミアが知る情報のすべてであった。情報を聞き出したカイトは、ラミアをそっと立たせて、この場を後にして彼女を正式に義勇軍が保護するのであった。今も最後の一体であるゼロットは地上に出ているため、次に出会ったときは必ず仕留めると心に誓うのだった。

 

 

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