HALO:IF battlefield of SPARTAN   作:コレクトマン

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第十三章 森林の包囲網 前編

 

 

バリアス砂漠から撤退したマクシミリアンは、一度ギルランダイオ要塞の執務室で帝国軍が交戦したカイトたちスパルタンの情報をまとめていた。一人の兵士曰く、“アレは人の皮を被った化け物”、もしくは古代ダルクス人が作った“古代超兵器の鎧を纏う兵士”などと帝国兵士はカイトのことを恐れられていた。

 

だが、マクシミリアンにとってあのスパルタンという存在はバリアス砂漠の遺跡で遭遇した異形の者たちと同じ繭のような何かを纏っていることをマクシミリアンは目視しており、その結果カイトの纏う鎧はあの異形の者たちと()()()()を使われているのではないのかと考察する。

 

「あの異形の者といい、スパルタンといい、余の障害になることは変わりはしない。だが、あの技術は何処の国でも確立しておらず今の世の人々では理解するには不可能なほど先の世代の技術……差し詰めオーバーテクノロジーと呼称するべきか。それにセルベリアから回収してもらった書類によると、どうやら古代ヴァルキュリア人以外にも古代ダルクス人以外の他の文明が作り出したと思われる超技術の塊ともいえる遺跡が存在するとはな」

 

マクシミリアンの手にはセルベリアが回収した報告書であろう“古代超文明フォアランナーについて”の詳細が書かれた書類の方を目を通していた。読めば読むほど、古代ダルクス人よりも高度な科学技術が存在していたことにマクシミリアンの期待が大きく膨らむ内容だった。

 

「あのような技術の塊が何故この世界に存在するのかわからぬが、マーモット計画に必要な技術が眠っているようだな。幸いにも、帝国領にもそれと似た遺跡が存在すると聞く。ならば、その遺跡にある技術を応用すれば余の計画は早く進む。……そのためにも貴様の知識を貸してもらうぞ」

 

「勿論です。あなたには私を自由にしてくれた恩がありますので」

 

そのマクシミリアンの瞳の奥には密かに復讐の炎らしきものが揺らいでいた。マクシミリアンの過去に何かあったのか、そしてこの執務室にマクシミリアン以外の声がし、その声の持ち主は一体何者なのかここにいる帝国兵には知る由もなかった。

 

 

 

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バリアス遺跡で帝国軍部隊を撃退した第7小隊とマザーベース隊は首都ランドグリーズに向けて行軍していた。とは言え、バリアス砂漠で戦っていた時は夕方頃だったので、今は暗い森の中を進んでいる最中であった。因みに遺跡で発見したスコーピオンをダモン率いる正規軍が押収しようとしたが、エレノアが発見したカイト達でしか動かすことが出来ないと進言し、ダモンは納得いかぬまま押収を諦めた。その結果、新たに遺跡で保護し、配属されたスパルタンのマースィがスコーピオン操縦することとなり、グリーンは戦車の機銃座担当として配備されることなった。

 

この暗過ぎる状況の中、何か潜んでもおかしく無い。念の為偵察兵を送ってその先を確認しようとしたが、未だに帰って来る様子が無い。カイト達のヘルメットバイザーに内蔵されているナイトビジョンで周囲を警戒していた。

 

「この暗さ……どうも嫌な予感がする……」

 

「おい、隊長。幾らなんでも偵察の帰りが遅いんじゃねぇか?」

 

「ウェルキン……もしかしたら、敵が潜んでいるかもしれない」

 

「ああ」

 

「…おい二人とも、あまり前に出すぎるな」

 

警戒しながらもウェルキンとアリシアが前に出て周囲を見渡す。その時にカイトがウェルキン達のいる場所が危険だと注意を言いに来ていた。その後にはイーディの姿もあった。

 

「アリシアさんも、こんな危ないところより安全な所にいた方がいいですわ」

 

イーディもアリシアのことが心配だったのか、カイトに付いてきたのだ。4人が戻ろうとしたが……

 

 

ボンッ……!

 

 

「ん?」

 

ラルゴが何か発射する音を聞いた。というよりは聞こえたに近い。

 

「…!?まずいっ!」

 

「ふぇっ!?か、カイトさん!?」

 

その音にカイトは気付き、咄嗟に近くにいたイーディを庇った。その瞬間……

 

 

ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……ドンッ!!!!

 

 

「うわぁ!」

 

「きゃあ!」

 

その時、丁度崖際の手前辺りでウェルキン達がいた場所にラグナイト爆弾が一つ降り注いで爆撃がおこった。それに巻き込まれたウェルキンとアリシア、カイトとイーディ。4人は崖の下へと落ちて行った。

 

「兄さん!」

 

何が起こったのか理解できたのか、イサラが爆撃のあった崖に駆け寄るが。

 

「馬鹿野郎!どこ行くつもりだ!」

 

駆け寄るイサラをラルゴが引き留めた。崖の場所は爆撃によって大きく穴が開いていた。

 

「お前が行ったら誰が戦車を動かすんだ!誰が戦車を護るんだ!」

 

その言葉にイサラは思いとどまったが、その表情は不安で一杯の様子だった。

 

「おい、敵が来たぞ!こっちを包囲するつもりだ!」

 

森の中から帝国兵がゾロゾロと出て来る。指示が出来無い人間がいないとこの状況を打開するのは難しいだろう。

 

「ラルゴ、一旦後方に退却だ!このままじゃ全滅しちまうよ!」

 

「くそっ……しょうがねぇ!第7小隊、後方に撤退する!」

 

「おい、イサラ!行くよ!」

 

「……はい!」

 

「退却の援護は任せろ!スパルタン部隊、第7小隊の撤退を援護しつつこっちも後方に後退するぞ!」

 

スパルタン部隊の隊長と副官がいないためにマースィが代わりに指揮をとりつつもラルゴたちの撤退を援護しつつも交代するのだった。

 

 

 

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気を失っているウェルキンの耳に何かが聞こえていた。

 

「……い……ろ……」

 

「………っ」

 

それが人の声であるとぼんやり理解しながら目を開くと、ぼんやりとだか人の姿が見えた。

 

「おい。気を失っている場合じゃないぞ、起きろ」

 

「……うぅっ……あっ……ここ、は?」

 

「どうやら目が覚めたようだな。ウェルキン」

 

なるべく声を抑えながらウェルキンに声を掛け続けていたのはカイトだった。それに釣られてアリシアも起きる。

 

「……う……ん……ウェルキン……?カイトさん……?」

 

「良かった、気が付いたね。……他に僕たち以外に落ちた人は?」

 

「イーディだけだ。イーディも一緒に落ちてしまったが、命に別状はない」

 

ウェルキンは直ぐ近くに寝かされているイーディを見た後に、カイトの方を見た。アーマーには先ほどの爆撃による傷が出来ており、それ以外の傷は何処にも見当たらなかった。ウェルキンたちが起きたのを確認したカイトはイーディを起こしに行った。

 

「おい、起きろ」

 

肩を掴み、揺さぶると気が付いたのか徐々に目を開き始めた。

 

「あ……う……なんで私はここで……そうでした!わた……むがっ!」

 

自分に起こった状況を思い出したのか、大声を上げて驚きそうになったのをカイトが口を塞いで止めた。

 

「この辺りには帝国兵もいる。だから大きな声をだすな、いいな?」

 

囁くような小声で言うと、イーディは頬を赤らめながらも首を縦に振った。カイトが口から手を放し、今の状況をウェルキンたちに伝える。

 

「さて、今の俺たちは敵の爆撃で吹き飛ばされて、小隊の皆とは逸れてしまった。幸い、ここら辺では帝国兵がいる気配は無い。だが、いずれにせよここから移動しなければ帝国軍に見つかる。3人とも、今すぐ移動するが動けるか?」

 

「僕は大丈夫です。アリシア、そっちは?」

 

「大丈夫だと思うけど……痛っ……!ちょっと足を痛めてしまったみたい……」

 

「こっちも大丈夫……痛っ!」

 

どうやらアリシアとイーディはさっきの崖からの落下の着地で怪我をしたようだ。見るからに二人は捻挫のようだ。

 

「捻挫か……着地の時に打ち所が悪かったのか……」

 

「でも……大丈夫よ。我慢出来ると思うから」

 

「私もこの程度我慢できますわ」

 

「……どの道、移動することに変わりない。ウェルキン、そろそろこの辺りに帝国兵が来る筈だ。直ぐにこの場を離れるぞ」

 

そういうとウェルキンは頷き、アリシアに肩を貸しながら立ち上がった。カイトもイーディに肩を貸して立ち上がらせるとそのまま歩く手助けをした。マグスを片腕で持ち上げ、この辺りの地理に詳しいウェルキンに道案内を頼んだ。

 

「すまないが先頭を頼む。この辺り地形はまだ完全に把握できていない」

 

「わかった。よし、敵兵に発見されない様にこの包囲網を抜けよう」

 

そうしてウェルキン達は慎重に進むのであった。

 

 

 

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夜中の森林で、カイト達は一時的な安全地帯を探して移動していた。

 

「すっかり夜になってしまったか……夜になると、視界が狭くなって遠くの敵は見えなくなるから、注意が必要だな」

 

「俺のヘルメットにはナイトビジョン……暗い場所でも見える仕組みが入っている。周囲の警戒は任せろ」

 

「痛っ……」

 

「足、大丈夫かい?」

 

「ごめんね……今はこの状況だけど、でも……あんまり長くは走れなかったかも……」

 

「私も同じく……」

 

「分かった。だけどとりあえずは合わせて進むよ」

 

と、警戒しながら話していると……

 

 

ドォーン……!

 

 

何かが発射するような音が響いた。戦車長であるウェルキンが音の正体を見破った

 

「この音は……榴弾砲か!?」

 

「あたし達を狙ってるのかな?」

 

「いや、それは無いだろう。もし狙っていたならば気絶している間に殺されていた可能性が高い。なのに狙いが甘過ぎる。恐らく砲撃であぶり出すつもりでいるんだと思うが……」

 

「注意していれば着弾位置は予想出来るから、爆発の予想範囲内に入らない様に気をつけよう」

 

4人は急ぎながらも、息を潜めた状態で進んで行く。暗いこの状況だが、かと言ってあまりライトを使う訳にも行かない。光でバレてしまう事もあるのだから。その時にカイトは、ふと、草の上に何かが光の様な物が飛んでいるのを見つけた。アリシアもそれに釣られて見てしまう。

 

「ん…?あれは?」

 

「ねえ、ウェルキン……この光ってるの何?」

 

「これは……ヒカリムシだ。体内に発光器官を持つ、ホタルみたいな虫だよ」

 

目の前を飛んでいるヒカリムシを見て、ウェルキンはあることに気が付いた

 

「待てよ……ヒカリムシは動物の排泄物が主食だ。だとすると、獣道が近くにあるのかもしれない。上手く行けば、敵の目をやり過ごして先に進めるかもしれないな」

 

「そいつは上々。出来るだけ敵との接触は避けたいからな」

 

獣道はある意味最適な場所だった。草むらに入って紛れていれば敵からの視線を掻い潜れるのだから。それに、今この状況で獣道の発見は本当に助かったとしか言い様が無い。

 

そうして、そのまま進んで行くと、今度は光る草を見つけた。ウェルキンが近付いてその草を見ると……

 

「この草は……良いぞ、ポニセーラだ」

 

「どうしたの、ウェルキン?」

 

「捻挫や打ち身に効く薬草なんだ。茎と葉の部分を磨り潰して、と……アリシア、足に塗るよ」

 

そうして回収したポニセーラを磨り潰し、塗り薬を作って捻挫した足首の部分に塗る。

 

「ちょっと……沁みるけど……何だか、足の痛みが少し引いたみたい。ありがとう、ウェルキン」

 

即効性とは恐れ入るなと思いながらもカイトはウェルキンから塗り薬をもらい、イーディに一度塗るかどうかを聞く。

 

「薬を塗るが……どうする?」

 

「ぬ、塗らせてあげても構わなくてよ」

 

「なにをだ?とにかく、捻挫した箇所に塗るぞ」

 

イーディに捻挫した箇所に塗り薬を塗り、ある程度の休憩を終え、イーディの太腿が良くなったのか、手で押さえるほどではなくなっていた。先に進んでいくと橋の前に2人の帝国兵が警備をしていた。

 

「ウェルキン、イーディを頼む」

 

イーディをウェルキンに渡し、草陰に隠れるように指示をだす。は暗闇を利用し、ナイトビジョンという最大の武器を使用しながら静かに近づく。

 

相手の視界に入らないギリギリの位置でナイフを取り出すと、遠くにいる方の帝国兵に投擲する。投擲されたナイフは首筋に命中し、その場に倒れた。倒れた音で何事かと音のした方を向いた瞬間にバックチョークをする。首を絞められたことによって帝国兵が足掻くが、その場で首の骨を折られた。 

 

2人の帝国兵を無力化すると、死体からナイフを回収し、ウェルキン達のいる場所まで戻った。

 

橋を渡っている最中にサーチライトを発見し、見つからないように進んでいくが、目の前に厄介な配置がされたった。一つの道にサーチライト2つと帝国兵2人、帝国兵を排除するだけなら簡単なのだが、死体がサーチライトに見つかれば増援が呼ばれる。

 

そこでまたしてもカイトの出番だった。

 

まずは道が二つに分かれている場所で別々に行動する時を狙い、サーチライトが過ぎたのを見計らってナイフを投擲。頭部に突き刺さり、気付かれることなく排除できた。死体は音が出ないよう支えながら草むらに隠しながらナイフを回収し、もう一人方も合流地点で待ち伏せし、背後から口を押え、喉をナイフで掻っ切った。

 

死体を隠し、イーディに肩を貸し、サーチライトに気を配りながら誰一人欠けることなく戦域を突破した。

 

 

 

____________________________________________

 

 

 

全員はそのまま道を進んで行った。すると、少しだけ開けた場所に出た。そこに一つだけ山小屋がポツンと建っていた。

 

「こんな所に山小屋がある……少し休ませて貰おう」

 

ウェルキンの提案にカイトは賛成した。カイト自身はまだ体力にも余裕はあるし、夜通しで歩き続けることもでき、まだ安全とは言える場所ではなかった。カイトのナイトビジョンは無限に使えるわけではなく、電力が尽きると一定時間の間リチャージするまで時間がかかる。そうしてウェルキン達はそこで休憩をする事になった。

 

「足、痛かっただろう?無理をさせてしまったね」

 

「ううん、大丈夫だよ」

 

「そうか。でも、念の為に薬草で応急治療をしておこう」

 

ウェルキンは懐からポニセーラとは別の薬草を取り出す。

 

「ウェルキン、薬草も詳しいんだ……」

 

「ああ、これはアローセベラと言うんだ。ユリ科の多肉植物だよ。外皮の中にゼリー質が隠れていて、それが湿布代わりになるんだ」

 

「ふふっ……ウェルキンってやっぱり自然博士だね。それじゃあ、ウェルキン博士。治療よろしくお願いします」

 

そう言われ、ウェルキンは治療を始めた。スムーズな手付きでアリシアの応急手当をしていく。カイトもウェルキンから薬草をもらいイーディの応急手当を行う。

 

「よし……これで終わり。どう?変な感じはしない?」

 

「冷たくて気持ち良いよ。ありがとう、ウェルキン」

 

「薬草が役に立ったみたいで良かった。時間が経てば痛みも引いてくると思うよ」

 

「イーディ、足はどうだ?変な違和感はないか?」

 

「問題ありませんわ。さっきの薬草が良い感じに痛みを軟いでくれますわ」

 

ウェルキンの自然の知識に助けられたカイトは一時的に安堵するのだった。ふと、アリシアはウェルキンに聞きたかった事を聞く事にした。

 

「ウェルキンって……どうして、自然に興味を持つ様になったの?」

 

「そうだなぁ。僕が自然に興味を持ったのは父さんの影響が強いのかもしれないね」(ウェルキン

 

「ギュンター将軍の?」

 

「うん。休みになると二人で色々な場所に行ったよ。山で虫を採ったり、川で泳いだり。父さんと一緒に遊んでいる内に僕も何時の間にか自然が好きになってたんだ」

 

「ギュンター将軍が昆虫採集……ちょっと意外な感じがするね」

 

「そうかもしれないね。父さんは軍人としてのイメージが強いから。だけど、父さんも悩みを抱えていたんだよ」

 

「……悩み?」

 

「僕の母さんは戦火に巻き込まれて命を落としたんだ。父さんは自分の最愛の人が守れなかった事を何時も悔やんでいた。けれども、周囲からは戦争の英雄だともてはやされ続けた」

 

「…所謂プロパガンダか。どの国でも都合のいい英雄が欲しがるもんだ」

 

カイトはウェルキンの過去話を聞いて、自分たちSPARTAN-Ⅲが使い捨ての英雄であることを自覚させられる。

 

「自分を英雄にしてくれた戦争……最愛の人を奪ってしまった戦争……自分は何の為に戦ったのか……父さんは、何時も苦しんでいた」

 

「……そうだったんだ」

 

「でも、自然の中にいる僕と遊んでくれる父さんは何時も明るくて元気な父さんだった。父さんを、明るい笑顔にしてくれるから……僕は、自然を好きになったのかもしれない」

 

「ウェルキン……」

 

「だったら猶更、生きて帰らなければならないな。先に寝ておいてくれ、見張りは俺がしておく」

 

気を利かせるようにカイトはウェルキン達に毛布を渡し、寝るよう言った。その言葉通り、会話を中断して2人は横になり、イーディも目を閉じた。そしてカイトは見張りという建前で外に出て、小屋の周囲を警戒するのだった。

 

 

 

____________________________________________

 

 

 

全員が眠り、少しだけ数時間が経過した。その時―――

 

 

シャリ……シャリ……シャリ……

 

 

砂を踏むような音でカイトは仮眠から目を覚ます。打鉄を引き抜き、窓の近くの壁に張り付く。窓から覗くように外の様子を窺うと、帝国兵が1人この小屋に向かってくる姿が見えた。この時にウェルキンも気付いてガリアンを持って警戒していた。しかし、アリシアたちはまだ深く眠ったままであった。

 

足音が段々と近づく中、カイトはイーディを、ウェルキンはアリシアを庇うように銃を入り口の扉に構える。そして……扉を開けて帝国兵が入ってきた。だが、帝国兵はその手に持っている銃を構えなかった。それを不審に思いながらも打鉄の居合の間合いを捉えている。そして帝国兵はふらつきながらも進み続ける。

 

「動くな!」

 

ウェルキンが銃を構えなら警告を放ったが、相手は聞く様子が無かった。それ所か……

 

「あ……う……。」

 

 

ドサリッ!!

 

 

相手は前のめりになりながらも、倒れてしまった。突然の出来事にアリシア達は驚いてしまった。

 

「え……何!?」

 

「急に倒れましたわ?」

 

「この帝国兵……傷付いているのか?」

 

3人が驚く中、カイトは冷静に近づき、銃を蹴って遠ざけてから確認をした。その時にカイトは帝国兵の背後の傷口を見てあることに気付く。それは()()()()()()()()()()()()だった。更に厳密にいえばエリートの使うエナジーソードの切り傷だった。

 

これは一体なにを意味をするのかカイトは理解してしまった。すぐさまマグスを手にし、ウェルキンたちに告げる。

 

「…3人とも、この小屋から出るな」

 

「えっ?カイトさん?」

 

ウェルキンの問いに答えずカイトは小屋を出て周囲を警戒する。すると、モーショントラッカーに後方から反応を探知する。カイトは咄嗟に前に回避すると、カイトがいた場所から何かが振り下ろされた。姿勢を立て直しつつも攻撃してきた者の正体を確認した。そこにいたのはなんと遺跡で遭遇し、外に逃げたゼロットだった。

 

「ゼロット!となると、さっきの帝国兵は……!」

 

敵の正体と帝国兵が流れ着いた原因が判明したと同時にマグスをゼロットに向けるが、それよりもゼロットのエナジーソードが早く、マグスを両断する。

 

射撃武装を一つ失ったカイトは使えなくなったマグスを捨て、ゼロットと距離を取って打鉄を構える。そしてゼロットが刀を手にしたカイトに切りかかり、刀を弾き飛ばす。刀を飛ばされたカイトはゼロットの猛攻を紙一重に躱しながらも隙を狙っていた。

 

「ぐっ…!やはり能力や剣術はエリートの十八番か!しかし……!」

 

「があぁぁっ!!」

 

そして一瞬の隙を見出し、蹴りを入れて距離を取りつつも刀を拾って構えなおす。ゼロットとカイトがにらみ合い、数秒後に両者は駆け出して互いに交差するように武器を振るう。

 

交差して数秒の静寂が続き、その静寂を破ったのは……

 

「…っぐ!」

 

カイトだった。カイトは地面に片膝を付く。ゼロットはこの時に勝利を確信した瞬間、胴体に異変を感じると同時にサンヘイリ特有の紫色の血が流れ出た。これに気付いたゼロットはありえないという表情をしながら絶命する。

 

「……刀の扱いなら、こっちの方が上だ」

 

そう言いながら刀を一振りして鞘に戻す。何とかゼロットを倒したカイトは帝国兵や他の国にゼロットの存在を知られるわけにはいかず地面を掘ってゼロットの亡骸を埋め、ウェルキンたちの所に戻るのだった。

 

カイトが小屋に戻った時には帝国兵は既にことが切れていた。カイトが外に出たときにウェルキンたちは救急箱を使用して負傷した帝国兵の治療を試みるも、急所まで達していてこれ以上の治療は無意味だった。当時の男は痛みながらうわ言を吐いているみたいだった。苦しそうな表情で、最早目すら開けられない位のレベルだった。男は手を上げて、その母親に触れようとしているみたいだが、触れる事は出来無い。

 

その時にアリシアはそれを察したのか、男の手に触れ、まるで母親の様に安心感を与えるように手に触れながら、もう片方の手で男を撫でたのであった。男は安らかな笑顔を浮かべたまま、頭を動かさなくなった。次第に男の手が冷たくなる。

 

そうして今現在に至る。この時にカイトはバリアス砂漠の遺跡でゼロットを逃がしてしまったことを悔やんでいた。イーディはヘルメットをかぶっているカイトの表情を知ることは出来なかったが、悔やんでいることは察することは出来た。小屋の外に死んだ帝国兵を埋葬し、その上に彼が持っていた銃を刺し、ヘルメットをその上に掛けていた。その目の前でカイトはUNSC式の敬礼をする。3人もその傍で祈りを捧げた。

 

 

 

____________________________________________

 

 

 

一方、第7小隊とスパルタン部隊達はウェルキン達を探しているのであった。

 

「隊長達はいたかい?」

 

「いや、いねぇ」

 

「グリーン、そっちはどうだ?」

 

「いえ、それらしいものすら見つかりません」

 

この真夜中の森林でウェルキンたちを見つけるのが困難で、どうするべきか悩んでいた。その一方で、同じくウェルキンを探すつもりでもいたイサラは今、戦車を整備していた。

 

「……イサラ。アンタも一緒に探したらどうなんだい?」

 

「まだエーデルワイス号の整備が残ってます」

 

「自分の兄貴が行方不明になっているってのに……良くこんな時に整備なんかしていられるな」

 

「…………こんな時だからこそ、整備をしているんです。何時兄さんが帰って来ても良い様に……万全の準備を整えておく事が今の私に出来る最良の事だと思います」

 

「…………ふん……何でも良いけどさ!」

 

ロージーは一瞬だけポカンと驚いた顔を見せたが、それでも不機嫌な表情しながらも捜索し続けた。それと入れ替わりにラルゴとマースィが話して来る。

 

「お前の言う事は分かる。だがな、休める時に休んどけ。朝から休まず作業してるだろう。第7小隊の戦車操縦士はお前だ。お前が倒れたら、誰が戦車の運転をするんだ?きちんと休んでおくのも、今のお前に出来る事の一つだと思うぞ」

 

「あぁ、ラルゴの言う通り休めるときにちゃんと休んでおかないと本来の力が発揮できないからな」

 

「……分かりました。ラルゴさん、マースィさん、ありがとうございます」

 

「良いってことさ、お互い様だからな」

 

「あ……ああ」

 

ヘルメット越しでマースィは笑顔を見せ、ラルゴは少し照れ臭そうに返事を返したのであった。そうして第7小隊とスパルタン部隊は夜が明けるまで待つのだった。

 

 

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