HALO:IF battlefield of SPARTAN   作:コレクトマン

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第三章 ガリア義勇軍

 

 

首都ランドグリーズに避難してから数日後……

 

カイトは義勇軍に入るときにあることを失念していた。それは各教育機関での軍事訓練の単位科目が必要であることだ。

 

前の世界ではUNSC、特にスパルタンとしての標準の軍事教育と訓練を施されていたが、この世界では全くの無価値に等しかった。しかし、そこに助け舟を出したのはエレノアだった。彼女曰く、カイトの活躍をブルールの町に住んでいた人に聞き、カイトの戦闘力は高いことを知り、この世界での各科目のテストを入隊と同時に行えば問題はないとエレノアが説明する。

 

エレノア自身、カイトの情報を聞き出す前は彼が異世界人でありながらも特殊部隊であることには半信半疑であったがカイトの所持するアサルトライフルとハンドガン、そしてアーマーを見てこの世界では作られていない代物だった。それがエレノアが聞いたカイトが異世界人であることを証明付ける証拠になり、カイトに助け舟を出したのだ。

 

カイトもあの無能将軍ダモンの件で助けてもらった件についてエレノアに感謝していた。義勇軍に入隊する条件としてテストを受けるのが条件であり、それが通れば正式に入隊することを約束してくれた。

 

その時にエレノアからカイトの配属される部隊については士官室で説明するとのことで宿舎で待機するよう言われ、カイトは宿舎で割り振られた個室で待機するのだった。

 

そして数時間後、一人の兵士がカイトに士官室に集まるようにと告げる。カイトは時が来たと判断し、そのまま兵士の案内のもと士官室に向かうのだった。余談だが、カイトのアーマーことミョルニル・アーマーは基本的に専用の設備がないとアーマーが外せないため礼装着や軍服を着替えられないことにエレノアは少しばかり不便さを覚え、カイト自身もせっかくいただいた好意がこんな形で潰れてしまったことに罪悪感がのしかかることになったのは別の話……

 

 

 

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一方の士官室では、ウェルキンはエレノアの指示のもと少尉として義勇軍第7小隊の隊長を務め、アリシアは軍曹としてウェルキンの下士官に務めるのだった。その時にウェルキンは同じ大学の同級生である“ファルディオ・ランツァート”と再会するのだった。ファルディオもウェルキンとは前までは“学友”だったのが今では“戦友”として再開したのだ。互いに懐かしあっている最中、扉からノックと同時に一兵士が報告しに来た。

 

「失礼します!例の傭兵をお連れ致しました!」

 

「来たか。……入りなさい」

 

ドアを開け、誰かが入ってくると待っていたのはいつもと変わらないアーマーを身に着けているカイトの姿であった。

 

「「カイトさん!?」」

 

「ウェルキン?それにアリシアも……」

 

「カイト……?ウェルキン、知り合いなのか?」

 

「あぁ…うん。僕たちがブルールの町から脱出するのを手助けしてくれた人だよ」

 

カイトも呼ばれた士官室にウェルキンたちがいるとは思いもしなかった。カイトはエレノアに呼ばれた用事を済ませるためにウェルキンたちとの話を切り上げる。

 

「……SPARTAN-Ⅲアルファ105“カイト”、本日付で義勇軍に配属になりました」

 

「うむ。知っていると思うが、私は義勇軍中隊の隊長を務めるエレノア・バーロット大尉だ。あなたの細かいことはそこの二人から聞かされている」

 

エレノアからカイトの活躍をウェルキンたちから聞いたことを知ったカイトは、ウェルキンたちの方に視線を向ける。

 

「……ウェルキンにアリシア、出来るだけ他言無用で頼んだはずだが?」

 

「えっと…その……」

 

「ごめんなさい……ブルールの事を報告していたら、あなたの事も言っちゃって……」

 

「それで大尉が俺のことを知っていたということか。……もう過ぎたことを言ってもしょうがない」

 

何気に諦めたカイトはこれ以上ウェルキンたちに何も言わなかった。気を取り直し、エレノアから話を聞くのだった。

 

「噂は二人から聞いている。異世界から来たと言われているが……確かに異様でもあり、異世界から来てもおかしく無い姿だな」

 

「今更だが自分で言うのもなんだが、俺の話を信じてもいいのか?ランドグリーズについたあの時はカバーストーリーで嘘をついていたのだが……」

 

「構わんよ。こちらで回収した武器に関してだが、どれも見た事の無いばかりだ。特に極めつけはそのアーマーだ。我が国の技術……いや、どの世界の技術でもそのアーマーの再現は不可能だろう」

 

エレノアの言う通り、カイトが纏うアーマーこと“ミョルニル・アーマー”はSPARTAN-Ⅱ専用のアーマーなのだ。普通の人間が扱える代物ではない。もし普通の人間がミョルニル・アーマーを装着して使用すればよくても重症、最悪の場合は死亡する。しかし、UNSCの海軍情報局こと“ONI”が超兵士量産化計画として“SPARTAN-Ⅲ計画”を実施。その結果、SPARTAN-Ⅱしか装着できなかったアーマーはSPARTAN-Ⅲにも装着可能となったのだ。

 

事実上、カイトはそのSPARTAN-Ⅲの一員でこの世界で唯一のオーバーテクノロジーの塊とも言えよう。ファルディオもカイトのアーマーには驚いていたが、問題はカイトの身長の高さだ。普通20代の成人男性の平均身長が171.5なのだが、カイトの身長はざっと二メートルは超えている。スパルタンの平均身長はアーマー越しで二メートルを超えているのはカイトや元の世界ではざらであった。

 

技術面やアーマーの話に本題が脱線していることにエレノアは気づき、いったんずれた話を区切って本題に戻る。

 

「……本題に戻るが、上層部の件があるため、あなたが制限なく活動できる新たに部隊を設けようと思う」

 

「新たな部隊を?」

 

「えぇ。現時刻をもってガリア義勇軍第7小隊特別枠、通称“ヴァンキッシュ”を設立します」

 

エレノアから新たな部隊の設立にウェルキンたちは驚きを隠せないでいた。ヴァンキッシュという単語は英語で、撃破する・克服する・征服することを意味する言葉だ。これはカイトの活躍に因んでの部隊名なのだろう。しかし、それだとガリア公国の中立国としての意味が薄れるような名前にカイトは微妙な感じであった。

 

「…すまないが、部隊名を変えてくれないか?できればスパルタンという部隊名で頼む」

 

「分かったわ。あなたがそう言うのであれば、ヴァンキッシュからスパルタンに変更しよう」

 

そうしてカイトはエレノアの指示のもとガリア義勇軍第7小隊特別枠“スパルタン”として編入されるのだった。

 

 

 

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特別枠に編入されたその後、小テストを行い幾つもの科目をクリアするのだった。小テストを終え、正式に階級を与えられることになったのだが、そこが問題点になった。

 

「聞いていた以上にあなたはかなりの腕前を誇っている。筆記テストも一応は全部満点で合格し、身体能力は平均よりかなり上……君ならば大将の階級でも行けるんじゃないか?」

 

「「ええっ!?」」」

 

ウェルキンとアリシアはカイトの実力が階級が大将クラスを有していることに驚きの連発だった。射撃テストではライフル、マシンガン、対戦車槍、スナイパーライフルを使って訓練用の的に全弾命中を成し遂げた。更には執筆テストや座学においてこの世界では当てはまらない効率かつ合理的な戦術と戦略を練り上げた。

 

もはや超人とも言えるカイトの能力はこの世界では計測不能であった。しかし、カイトも階級に関してはエレノアと同様に困っていた。大将の階級を持つ人が最前線に出て戦う……なんてケース良いのか?という難題である。

 

「大尉、流石に大将は問題があると思うのですが……」

 

「その点は理解している。しかし、私でも正直迷っているんだ……腕前はここの軍の中ではあなたを越える者は誰もいない。しかも、指示も的確だし、ミスも無い。間違ってはいない……その筈なんだがな……」

 

「しかし、貴族たちの件もあります。義勇軍……とくに民兵から大将などと階級が高いと貴族にとっては面白くないはず。なにかしらの妨害も予想されるかと思われます。それらの牽制を兼ねて中佐あたりがよろしいかと」

 

「それが無難ってところね。……では、カイトの階級を中佐に認定しよう」

 

そうしてカイトの階級は中佐となり、正式にガリア義勇軍第7小隊特別枠スパルタン部隊が結成されるのだった。

 

それぞれ配属が決まって作戦会議開始までの時間があった為、ランドグリーズ市内や軍施設を見回ったほうが良いとエレノアの言葉を皮切りに解散。カイトはウェルキンたちと共にランドグリーズ市内や軍施設を見回るのだった。

 

カイトたちは様々な場所を見回り、そこで世話になる者たちと出会った。訓練場の教官を務める“訓練場教官”。研究開発所では整備士の見習いの“クライス・チェルニー”と“リオン・シュミット”。クライスは主に兵器の修理とメンテナンスを担当し、リオンは兵器の研究と開発を担当している。

 

それぞれの出会いを果たした後に偶然ウェルキンの妹であるイサラと合流した。イサラはウェルキンになにかの役に立つと実家の納屋にあった旧型の信号銃を渡す。その時に作戦会議時間がそろそろ迫ってきたのでウェルキンたちと共に作戦会議室に向かうのだった。

 

 

 

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研究開発所を後にして作戦会議室に到着したカイトたち。ある程度集まったところでようやく会議が始まった。

 

「早速だが、諸君らに今回の作戦の概要を伝える。先刻、首都近郊の重要拠点であるヴァーゼル橋が帝国軍の部隊に占領されたとの報告が入った」

 

「……ヴァーゼル橋?」

 

「首都近郊にある、ヴァーゼル市内の運河に掛かる巨大な跳ね橋だ」

 

「なるほど、ヴァーゼル橋はランドグリーズへの街道が通る重要な地点。それを奪還しなければ、帝国はその橋を足掛かりにランドグリーズに侵攻してくるということか」

 

「その通りだ。中佐の言う通り、ヴァーゼル橋はランドグリーズへの街道が通る重要な地点。この橋の奪還が、我が中隊の任務である。ここまで驚異的な速さで侵攻して来た帝国軍だけに未だ防衛部隊の兵力は十分では無い。我が第3中隊は、敵防衛部隊の増援が到着する前にヴァーゼル橋を奪還する」

 

「ここを奪還すれば、こちらのランドグリーズ防衛網が構築できる。…とはいえ、敵も奪還させまいと抵抗するだろう。作戦の失敗はこの国の敗北につながる、敵防衛部隊の増援が来る前に帝国軍を撃破し、奪還するということか」

 

カイトが作戦を理解したときに扉が開く音がし、そこから小太りな男が入って来る。

 

「ほほう……義勇軍如きでも作戦会議をするのか?バーロットよ、何時まで部屋に閉じこもっているつもりだ?」

 

「申し訳ありません、すぐに出発します」

 

「まあ、所詮は寄せ集めの民兵共だ。対して、戦果は期待出来ぬがな。無論、そこの傭兵もな」

 

ダモンは義勇軍という民兵の集まりを見下しつつもカイトを敵視していた。あの件をまだ引きずっているあたり器量が小さい男だとカイトもうんざりしていた。そこでカイトは皮肉を込めてダモンに言葉を発した。

 

「申し訳ない。橋を防衛していた正規軍があっさり敗れた事をまだ引きずっておいでとは、相当の苦労をなされているようで……」

 

「ぬぅ?……何が言いたい?」

 

カイトの言葉に食いついてきたダモン。カイトはそのまま言葉を続ける。

 

「僭越ながら申し上げますと、正規軍のご活躍の話がないことに俺にとっては少し期待外れでしたが……」

 

「な……!」

 

「まぁ、ご心配には及びません。いずれにせよ、ヴァーゼル橋は重要な戦略地点。ここを奪還しなければこの国が危ういのは確かです」

 

「重要戦略拠点であるヴァーゼル橋を我々で速やかに奪還致します」

 

更にエレノアの援護でダモンは文句を言いたかったが、事実上正規軍は帝国軍になす術もなく敗走した事実に何も言い返せなかった。ダモンは“せ、精々頑張る事だな!”と捨て台詞を残して作戦会議室を出るのだった。カイトはダモンの無能っぷりな態度に呆れて何とも言えなかった。

 

「いまの人は……?」

 

「ダモン将軍だ。中部方面軍の総司令官さ」

 

「中部方面軍……僕たち義勇軍も、そこに編成されていたね」

 

「ダモン将軍は貴族出身で階級意識の強い人らしく、民兵の集まる義勇軍を目の仇にしているって話だ」

 

ウェルキンはダモンとは初対面だったために分からなかったが、ファルディオがダモンのことを説明する。

 

「そうだったのか……」

 

「戦争が始まって、みんなが一丸となって戦わなければならない時期に……正規軍とか義勇軍だとか、そんな事を言っている場合じゃないのにな。カイト中佐みたいな優しい性格の将軍だったらまだマシだったかもしれないかもな」

 

「それは過ぎた話さ。それに、ああいう輩はなにかと最後の最後で悲惨な死を遂げるようなものだ。この世界のみならず、人類だれしも堕ちるところまで堕ちればその報いは必ず自分に返ってくるものだ」

 

カイトも無能の上官を何度も見てきたことがあった。いくらスパルタンとは言えど、スパルタンの存在に面白く思わない者もいる。その経験があるためにカイトは初対面のダモンを無能と見定めることができたのだ。これ以上の長話をしないためにエレノアは作戦を説明する。

 

「さて……これより、作戦を伝える。ヴァーゼル橋奪還の足掛かりを得る為に、まず橋西岸の市街地を制圧する。ギュンター少尉、カイト中佐、西岸河川敷の敵拠点制圧を、第7小隊とスパルタン部隊に任せる。ギュンター少尉にとってはこれが初の作戦となるが、心して掛かる様に」

 

「はっ!」

 

「了解致しました」

 

「残る小隊は警戒を厳にし、ヴァーゼル橋奪還作戦まで準備を怠るな。諸君らの活躍に期待しています。以上」

 

「バーロット大尉、この場で少しお借りしても宜しいでしょうか?」

 

「どうぞ」

 

カイトは一つの紙を持ちながら喋った。

 

「この場を借りて、スパルタン部隊のメンバーを編成する」

 

カイトは特別枠の部隊とはいえ、同じ第7小隊であるためリストから数名スパルタン部隊に編入させるのだった。そして、編入が完了したと同時にヴァーゼル市街地に侵攻する帝国軍を迎え撃つべく移動を始めるのだった。

 

 

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