HALO:IF battlefield of SPARTAN   作:コレクトマン

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第六章 春の嵐作戦

 

 

朝霧が掛かっているヴァーゼル橋付近の対岸沿いで二人の帝国兵がパトロールを行なっている中、一人の帝国兵があることを口にする。

 

「なぁ、最近俺たちの間で聞くあの()を知ってるか?」

 

「噂?どういった噂だ?」

 

噂の内容に食いついたのか興味をもったもう一人の帝国兵。その噂を話題にした帝国兵は、その噂話を話す。

 

ガリア公国に攻め入るための足掛かりとしてギルランダイオ要塞を含む鉱山地帯や町などを占領してきた。しかし、ブルールの町に侵攻していた一部の帝国兵たちが、ある一人の灰色の装甲兵によって戦力をズダズダにされたとのことらしい。

 

「一人の装甲兵が?…ありえないだろう普通。先行した占領部隊には三台の戦車が回された筈だ」

 

「普通ならな。だが、そのブルールの町で突如と現れたガリアの戦車という例外を除いてだな、その灰色の装甲兵がたった一人で三台のうち二台の戦車を破壊したと言ったら?」

 

あまりにも現実味が薄い内容に理解が追い付かなかった。そんな時に帝国兵なりに常識内であり得る可能性を模索してみた。

 

「はっ?…つまりなんだ、その灰色の装甲兵が対戦車槍を使って破壊したとでも言うのか?」

 

そう帝国兵が答えたが、どうやら答えは違うようだ。

 

「違う違う、その灰色の装甲兵はグレネードと東洋の剣だけで戦車を破壊したそうだ。しかも、俺たちの常識が通用しない戦術かつ、戦車砲をまともに受けたのに無傷ときたそうだ」

 

常識が通用しない戦術……そう聞いただけでゾッとするほどの悪寒が走る。そんな奴がガリア内に存在するとは思いもしない。だが、所詮は噂であると頭の中で片付けようとするが……

 

「…それともう一つの噂なんだが、その灰色の装甲兵がガリア軍の秘密兵器か何かと噂が広がっているんだ」

 

「……嘘だろ、おいっ」

 

あまり聞きたくなかった事実に一時現実逃避してしまう帝国兵。それをあくまでも噂であると強調し、実際にあるはずがないと主張する。

 

「あくまでも噂は噂でしかない。もしそれが本当だとしたら、俺なんか脱兎の如く逃げるな」

 

「俺もその案は賛成だ。そんな化け物のような奴がこの世にいてたまるか。いたらこの世は混沌になっちまうからな」

 

「だな。……ん?」

 

雑談を終えたその時に帝国兵はある違和感を覚える。

 

「…どうした?」

 

「静かに……何か聞こえる」

 

その言葉を皮切りに、対岸沿いから“ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!”と何かしらの機械の駆動音が響き渡る。

 

「何の音だ?」

 

「分からん。だが、対岸沿いから聞こえるのは確かだ」

 

その音の正体が何なのか確かめるべく近付いて見た所……。

 

「お、おい……何だ、あれは!?」

 

ザッパァァァァァンッ!!

 

「「う、うわあああああぁぁぁぁぁっ!!!?」」

 

川の中からエーデルワイス号が現れ、帝国兵は一目散に逃げたのであった。ハッチからウェルキンが出て来る。

 

「ふぅ……」

 

一息ついた後にウェルキンは信号銃を取り出す。

 

「エーデルワイス号、渡河成功!作戦開始!!」

 

信号弾が発射され、作戦が開始されるのだった。

 

何故ウェルキンが戦車で渡河したのか、時間は少し遡る……

 

 

 

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作戦の準備が整ったウェルキンたちは作戦を伝える為に第7小隊のメンバーが揃った。

 

「で……作戦とやらを聞かせて貰おうか。やっぱり出来ません……とか抜かすんじゃねぇぞ?」

 

「これから我々はヴァーゼル橋東岸の敵防衛拠点に攻勢を掛け、これを制圧する」

 

「オイ、アンタ……アタイ達に死ねって言ってんのか!この人数で橋頭堡が突破出来る訳無いだろ!」

 

「僕はこの小隊で橋頭堡を突破するとは言ってない。僕達が突破するのは……この河だ。これより朝霧に紛れてヴァーゼル川を渡河し、東岸の敵防衛拠点に奇襲をかける」

 

「おい、ボウズ。お前は戦争をナメてんのか?歩兵は泳いででも川を渡れるかもしれねぇが、戦車が無けりゃ敵の陣地は蹴散らせねぇぜ!」

 

「勿論、考えてある。イサラ」

 

その声に応じ、イサラが出て説明をする。

 

「エーデルワイス号が潜水走行可能な様に耐水処置を施しました。数分間だけしか持ちませんが、渡河するには十分です」

 

そう説明するが、ラルゴは川の深さや船のことを考慮していささか不安がぬぐえない。

 

「だ……だけどよ、この川は船も通るんだぜ?とてもじゃないが戦車の潜れる深さじゃねぇ!」

 

「大丈夫。ほら……あそこを見てくれ」

 

「何だ……草か?」

 

それは一見すればただの草に見えるのだが……ウェルキンはそれが何なのかを答えた。

 

「ヤドリアシだ。河川の下流域から汽水域上部に分布する植物だよ。川の植生を観察してたら分かったんだ。ここは他の場所に比べて水深が極端に浅い。この場所からなら、戦車で水中走行が出来る筈だ」

 

これにはラルゴも口にどう出せばいいのか分からなかった。アリシアはそのまま今回の作戦の内容を詳細に説明する。

 

「まずエーデルワイス号は水中走行で対岸に上陸。渡河地点の哨兵を蹴散らします。その後ギュンター隊長と信号弾を合図とし、歩兵部隊は渡河ボートにて対岸に上陸します」

 

アリシアの説明が終わった後にカイトが皆に告げる。

 

「第7小隊はそれでよしだな。俺以外のスパルタン部隊は第7小隊と共に行動する」

 

「アンタ以外?……はっ!大口叩いておいて部下に任せて高みの見物のつもりかい?」

 

ロージーはカイトの言葉に癪に障り、皮肉を込めてそう言葉で返した。

 

「誰が戦わないといった。俺は第7小隊の作戦成功のために別ルートにて()()()()()()()()()()()

 

「……はぁっ!?」

 

カイトの想定外の言葉にロージーは思わず声を上げる。ラルゴもカイトの無謀な行動に理解できなかった。

 

「お前、いくら強いからってそいつはうぬぼれやしないか?」

 

「俺にとってはこんな作戦は当たり前のようなものだ。俺が味わったあの地獄と比べればまだ温い方さ。とにかく、俺からの話は以上だ」

 

そうカイトが話を区切り、所定位置へ向かう。そしてウェルキンも隊員に作戦準備をするように伝え、戦車に向かう。そして作戦が開始され、今現在に至るのだった。

 

 

 

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カイトはアサルトライフルを構えながらも、橋頭堡付近で待ち構える帝国軍を目視していた。そこには偵察兵や突撃兵、戦車などが集まっていた。

 

「これだけ帝国軍が集まっていると帝国はよっぽどラグナイト鉱石が欲しいというのが分かるな。なぜ必要なのかはわからずじまいだが……だからといって渡すつもりはないがな」

 

そうつぶやく中、対岸沿いから信号弾が上がってきた。どうやらウェルキンが戦車による渡河に成功したようだ。

 

「……さて、こっちも作戦開始とするか。あまり時間を掛けるわけにもいかないからな、五分……いや、三分で敵本拠点を制圧だ」

 

そうしてカイトはヴァーゼル橋頭堡へ突貫するためにスタートダッシュの態勢に入る。これを見たガリア正規軍は正気を疑った。たった一人で防衛網が構築されている橋頭堡に突っ込むなど自殺行為である。しかし、カイトにとっては前の世界の戦場において日常茶飯事だ。帝国軍も突っ込もうとするカイトを見て、銃や砲塔をカイトに向ける。

 

そして……

 

「……GO!」

 

カイトが走り出した瞬間、帝国軍からの弾幕が出迎えた。しかし、カイトはその弾幕を臆することなく突っ切りながらもアサルトライフルをフルオートで進路上の帝国兵を射殺していく。

 

突撃しながらアサルトライフルをフルオートで射撃しているとマガジン内の残弾が無くなり、弾切れになる。帝国突撃兵はこれを好機と捉えて“ZM MP 1”サブマシンガンで攻撃しようとするが、その前にカイトがサイドアームのハンドガンによって撃ち抜かれて絶命する。その時にカイトは帝国兵が持っていたサブマシンガンを奪い、ハンドガンとサブマシンガンの二丁でそのまま使用して敵防衛網を突破する。戦車も攻撃するが一向に当たることはなく、防衛網の突破を許してしまう。

 

この時に正規軍はカイトの常識外れの戦闘能力に思考が追い付かないでいた。……いや、むしろ考えたくないというのが正しいのだろう。カイトを目の敵にしていたダモンも、カイトの戦闘能力にどう口で表現していいのか分からなくなっていた。

 

 

 

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一方のウェルキンたちも対岸沿いから部隊を展開し、奇襲という形で帝国軍を撃退するのだった。その時に第一拠点を占領し、戦況を有利に進めていたその時に第一拠点の無線から帝国兵の悲鳴が混じった声が響く。

 

《第一拠点、第一拠点、応答せよ!こちら本拠点!現在敵の攻撃を受けている!敵は灰色の装甲兵!繰り返す、敵は例の()()()!…誰か、いないのか!?応答してくれ!!》

 

「兄さん、敵の無線を傍受しました。…ですが、その敵本拠点で灰色の装甲兵こと悪魔?による攻撃を受けいると言っています」

 

「悪魔?…それに灰色の装甲兵ってまさか……?」

 

無線内容の悪魔という単語に聞き覚えがなかったが、灰色の装甲兵という単語に反応するウェルキン。その時にイサラが敵本拠点の方を見ると、そこには地獄絵図のような光景ができていた。

 

「!…兄さん、敵本拠点ですが、今カイトさんが敵を一掃しています!」

 

イサラの言う通り、ヴァーゼル橋頭堡ではカイトが帝国軍を敵の武器を使いながらも倒していった。弾が切れたらまた別の敵から武器を奪い、確実に突破していく。敵戦車にいたっては直接戦車の中にグレネードを入れて爆破させて倒したり、対戦車槍を奪って、弾頭がついたまま戦車のラジエーターに向けて全力投球し、撃破するなどの常識外れの戦い方で帝国軍を圧倒していた。

 

ロージーはカイトの異常すぎる戦闘力に一時恐怖を抱いた。もしこんな奴に喧嘩売ろうものなら間違いなく生きて帰れないだろう。一方のラルゴは、前の戦闘でカイトの実力はある程度知っていたつもりだが、ほんの一部の力でしかなかったのだ。

 

「嘘だろう…おいっ……」

 

「本当に橋頭堡を一人でか?イカれてやがる」

 

この様子をスパルタン部隊に所属するイーディ達も驚きを隠せずどういった表情をすれば良いのか判らないでいた。

 

「あ…ありえませんわ……」

 

「あらやだ、結構お強いのね?」

 

「あはは……もう、彼だけでいいんじゃないかな?」

 

上から順にイーディ、ヤン、ホーマーからそれぞれのコメントを残す。そんな彼らの心境を知らずにカイトは敵本拠点をせいあつし、橋頭堡を確保するのだった。

 

「こちらカイト、ヴァーゼル橋頭堡の制圧を完了。同時に、制御室を確保した」

 

「よし、カイトさん、ヴァーゼル橋を開くんだ。西岸の敵部隊に橋を渡らせるな!」

 

「分かっている。ラグナイト電源、起動!ヴァーゼル橋、跳開するぞ!」

 

橋が起動し、その場にいた敵達が同様と同時にバランスを崩し始める。次第に敵は橋から落ちて行き、殆ど壊滅したと考えて良いだろう。

作戦は完了だ。

 

 

 

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“春の嵐”作戦は負傷者を出すものの死者は無く勝利した。その時にエレノアから召集を受けたウェルキンたち。

 

「ギュンター少尉の作戦が功を奏した様ね。初めての作戦で、良くやったわ」

 

「ありがとうございます」

 

「それとカイト中佐、単独での防衛網突破はいくらなんでも無謀すぎるわ。今回はギュンター少尉の作戦遂行のための支援行動とはいえ、今後は自分を大切にしなさい」

 

「善処はする。あくまでも場合によるが……」

 

エレノアの言う通り、カイトの行動はあまりにも常識からかけ離れた戦術で、あまり自分自身の安全を考慮していないのだ。そのことを注意を受けたカイトは場合によってはまたやるつもりだった。

 

「……何て奴だ。本当に戦車で川を渡っちまうなんてよ」

 

「ここまで上手く行くとはね……正直驚いたよ」

 

「特に驚いたと言やぁ、あのカイトって奴の戦い方だな」

 

「あぁ……普通は考えられないだろうな。なにせ、戦場で敵の武器を奪って戦うなんざ思いつかないだろうさ。それも、敵から直接奪ってな?」

 

「そうかもしれねえが、あいつは俺が知っている特殊部隊の中でも練度が高すぎる。あながち、あいつが言ってたように自身が兵器っていうのも間違いじゃねえな」

 

ラルゴとロージーはウェルキンとカイトの力を評価し直していた。特にカイトは自らを兵器と名乗っていた通りの戦果を挙げ、勝利を勝ち取ったのだ。もはやカイトは人間というカテゴリから脱線しているかもしれない。

 

「あなた達!約束通り、ウェルキンを隊長として認めなさいよね!ついでにカイト中佐にも敬意をね!」

 

「ちっ……しょうがねぇな」

 

ラルゴは今回の作戦でウェルキンとカイトの実力を見られて渋々だがそこまで嫌な顔をせずに了承し、どこかへ歩いて行った。

 

「隊長の事は認めてやっても良いけどさ、アタイ達はダルクス人まで認める気は無いよ」

 

ロージーはそう言うと何処かに行ってしまった

 

「ちょっと!もう……」

 

アリシアが何か言おうとしたが、その時には既に背を向けていた。

 

「アリシアさん、いいんです。馴れていますから」

 

傍にいたイサラは怒っていたアリシアをなだめた。

 

「でも・・・・・・いつかダルクス人と皆が分かりあえる日が来るのを願っています」

 

目をつぶりながら願うよう言うと……

 

「心配ない。人間はそこまで愚かじゃない」

 

イサラが振り向くとそこにいたのはカイトだった。カイトはイサラを励まそうと言葉を続ける。

 

「人間は臆病な分、何かしら区別をつけたがる生き物だ。……自分で言うのもなんだが、イサラと同じ俺も区別される側だ。人間じゃない意味で。しかしだ、そんな物に囚われない人だっている。嘗て俺の上官だった人の受け売りの言葉だ。必要なのは諦めないこと、自分から歩みよれば必ず手を取ってくれる人がいる……とな」

 

「はい。ありがとうございます」

 

カイトがイサラを励ましたことにアリシアも笑みを浮かべていた。すると、いきなりフラッシュと共にシャッター音が聞こえた。

 

「ハーイ!お取り込み中すみません!GBS記者のエレットです!」

 

GBSのエレットが来た時にカイトはヘルメット越しで苦手意識を持ちながらも軽く苦笑いをするのだった。その後にウェルキンと共にエレットの今回の取材に応じるのだった。

 

 

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