HALO:IF battlefield of SPARTAN 作:コレクトマン
春の嵐作戦から数日後……ウェルキンたちはエレノアの指示で士官室に召集され、次の行動のための作戦会議を行っていた。
「先日、第7小隊の働きにより我々はヴァーゼル橋の奪還に成功した。我が軍が勢力境界線を押し戻した事で帝国は中部ガリアに兵を集めざるを得ないだろう」
「では、我々も中部に進軍するのですか?」
「中部には正規軍が向かう。我々、義勇軍中隊は南部ガリアに進軍する。次の進軍地はここ、クローデンの森だ」
エレノアが地図に記されている場所に指を向けた。その時にウェルキンはクローデンの森について知っていた。
「クローデンの森……去年の夏、土壌採取に行った事があります。うっそうとした樹林と起伏の激しい地形が続いて、慣れていないと歩くのが大変なんですよ」
「次の作戦は森林戦か……」
カイトは次の戦闘では森林戦になることを警戒している中、ファルディオはエレノアにクローデンの森に進軍する理由を聞き出した。
「その森に進軍する理由があるのですか?」
「クローデンの森には帝国軍が中部侵攻の為に建設した補給基地がある」
「そうか。補給基地を制圧すれば中部方面への支援を断ち切る事が出来る」
「だが、帝国の指揮官がバカじゃなければここを攻撃してくるのを見越して防衛態勢を築いているかもしれない。……しかし、裏を返せばここを制圧すればファルディオの言う通り、中部方面への補給を断つことも可能だ」
「その通り。今回の義勇軍中隊の任務は補給基地の制圧だ。各小隊は森林戦の準備をし、命令があるまで待機。諸君らの活躍に期待しています。以上」
そこで会議は一旦終わった。この時にファルディオが森林戦にはあまり気が進まなかった。
「森林戦か……気が進まないな」
「どうしてだい?」
「ウェルキン、森林戦は主に、熱帯雨林など植物が高密度に生い茂った森林地域における作戦・戦闘で、慣れていない者にとってはかなり難しい行動とも言える。特に樹林は方向感覚を鈍らせ、悪路は進軍の妨げになる。戦闘の際は樹林によって視界が確保できないために、大規模な会戦は行えず、遭遇戦を繰り返しながらの戦闘になる。下手をすれば消耗戦になることも想定したほうが良い」
「カイト中佐の言う通りだ、ウェルキン。今回もだが、厄介な戦いになりそうだ」
ファルディオの気が進まない理由をカイトが答え、説明する。その時にウェルキンは暗い方向から切り替えるように話題を変える。
「でもさ、森が深ければ深い程、珍しい植物を見られる可能性もあるんだ。クローデンにはドロゾピュルムっていう特殊な食虫植物がいてさ……」
「ウェルキン……今ここで植物の話をされてもな……」
「分かった、分かった!しかし、お前は本当にそればっかりだな……」
ウェルキンの話題は彼の趣味の話に切り替わってたことにカイトとファルディオは呆れるしかなかった。
「自然は厳しいだけじゃないよ。きっと何かのヒントが隠されていると思う」
「自然は誰の味方でもなければ敵でもない。時と場合によっては敵にも味方にもなるからな」
「……成程な。よし、俺もヒントを探しながら進んでみるか。まあ、食虫植物は見られなくても構わないがな」
お互いに気分が晴れ、次の作戦のために準備を行うのだった。
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作戦会議を終えたカイトは、作戦の準備を行う前に一度研究開発所に訪れていた。何故ここに訪れたのかというと、それはカイトが使う
「……それで、銃弾の方は生産できそうか?」
「出来るには出来そうなんですが、どうも銃弾の方は上層部も貴方の活躍に応えて生産してくれるとのことです」
それを聞いてカイトは“やはりか…”と内心毒舌を吐く。上層部はカイトが離反若しくは寝返るを恐れているのだ。
ガリアだけでは歯がたたなかった帝国軍に突如として現れた正体不明な一兵士、その実力は帝国が誇る戦車を前に臆せず、倒してしまう程の規格外な戦闘力を持ち、指揮官としての能力も桁外れで恐ろしいほど錬度が高い。恐らくガリアでどの部隊が一番強いかと言われると間違いなくスパルタンのカイトであると答える。
現に上層部はメディアを使って市民にカイトの活躍を大々的に報道しこちらに引き込もうとしている。だが、カイトはそんな誘いに乗るはずもなく断っている。このままではカイトが帝国側に付いてしまうと恐れた上層部が規格の違う銃弾を生産し始めた。
しかし、力を持ちすぎることを良しとしないこともあり、彼の使用するアサルトライフルと大口径のハンドガンの弾の生産を渋っているだ。ある程度は提供して此方側に誘い込む算段であろうと考えているのだろう。……もっとも、カイトを敵視しているダモンの妨害も含まれるのだが……
「元の世界では使い捨ての英雄だったが、この世界では危険人物扱いか……どの世界の上層部もいい加減だな」
「…えっ?」
「…何でもない、こっちの話だ。それよりも、アサルトライフルの弾丸はともかく、大口径であるハンドガンは上手く生産できそうか?」
「あっ…はい!いつ生産許可がおりてもいいように設計図と分量は把握しているので直ぐにでも作り始める準備はできています」
励ますかのようにクライスが言うが、生産許可が下りない限りその考えは絵に描いた餅であった。だが、カイトにとって彼らが唯一アサルトライフルとハンドガンの弾を生産できる場所でもある。何としても生産許可を下ろせるくらいの戦果を挙げることを目指し、これからの作戦でガリア軍の主力武器であるマシンガンのマグスとスナイパーライフルのGRSを借りるのだった。
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線路が引かれ二つの塔と城壁のような堅牢な壁がそびえ立つギルランダイオ要塞。その一室に4人の男女がいた。
「ヴァーゼル橋が、ガリアの狗共に奪われた。防衛部隊には腑抜けしかおらんのか?」
短く切りそろえられた金髪に眼鏡を掛け厳格な風格の老人。その胸には数々の勲章を誇らげに着けているこの男の名はベルホルト・グレゴール、北部ガリア方面侵攻部隊指揮官である。
「皇帝陛下の威光を汚しおって、役立たず共め!」
その表情には明確な怒りを浮かべている。
「戦車であの川を渡ったらしいな……。敵さんもなかなか面白い戦法を使う」
机の上に足を乗せ揺り椅子のように椅子を揺らして、髭を生やし声がとてもダンディーな男の名はラディ・イェーガー。南部ガリア方面侵攻部隊指揮官である。
「定石では考えられない野蛮な戦術だ。所詮は下賤な民兵の集まり……偶然の勝利だろう」
眼鏡の位置を戻しながらガリア義勇軍の勝利を認めない発言をするが……
「身分の差だけで戦争に勝てるのなら……あんたらもよっぽど楽だっただろうにな」
イェーガーの的を射た言葉にグレゴールは押し黙った。
「それに妙な傭兵の話も聞いた。兵士たちの話によると、そいつは灰色の装甲兵だそうだ」
「ハイエナ共に何ができる、帝国の前では塵芥同然だ!」
ニヤけた顔をしながらイェーガーが言うとグレゴールが刺し殺すような視線でイェーガーを睨みつけるが……
「どうやらそうはいかないそうだ。その傭兵は装甲兵とは思えないほどの力をもっており、単体で戦車を撃破したと聞いている。一部の兵士から聞いた情報だと、グレネードだけで倒したり、もしくは東洋の剣で戦車を無力化したという噂がちらほらはいってきている。最近聞いた情報じゃ、その傭兵は“灰色の悪魔”と呼ばれていて、ヴァーゼル橋が奪われたのもそいつの仕業だそうだ。しかも単身での特攻でだ。これは到底無視できるような情報とは思えんな」
こればかりは無視できないのか、イェーガーの表情も真剣な顔つきになっている。
「……」
グレゴールも事の重要性は理解できているが、プライドが邪魔し苦虫を噛み潰したような表情をしている。すると、沈黙を続けていた一人の女性が椅子から立ち上がった。
「問題は反抗しようとしているガリア軍勢力をいかに押し戻すかだ」
その女性の名はセルベリア・ブレス。中部ガリア方面侵攻部隊指揮官である。
「そうだな。奴さんもヴァーゼル橋奪還を好機として中部ガリアに戦力を傾けるだろう」
それに同意するイェーガーは今後の展開を予想し、口にする。
「マクシミリアン殿下、如何致しましょう」
セルベリアが頭を下げ尋ねる。その人物はマクシミリアン・ガイウス・フォン・レギンレイヴ 、帝国の準皇太子でありガリア方面侵攻部隊総司令官でもある。
「燎原の火は、消さねばなるまい。小さな炎であるうちにな」
そうゆっくりと言うと椅子から立ち上がり、セルベリア達がいる机の上座にくると全員が立ち上がる。
「ガリア軍を押し戻すには、中部侵攻軍の戦力増強が必要だ……。それには、クローデンからの補給路を 磐石にする必要がある……」
マクシリミアンは戦略図を見ながら指示を出す。
「グレゴールは中部部隊を立て直した後、引き続き北部ガリアの進行を進めよ」
「……はっ!」
次に別の場所にえと駒を置くと……
「余はバリアス砂漠に向かう。セルベリアは余の共をせよ」
セルベリアは指示を聞くと頭を下げ……
「喜んで、わが身は殿下の為に存在します」
そして最後の駒はクローデンへと置かれる。
「クローデン補給基地の防衛と補給線の維持は、イェーガーに命ずる。既にガリア軍が派兵している可能性もある、急ぎクローデンへ向かえ」
それにイェーガーは頼れる風格を出しながら笑みを浮かべ答える。
「あぁ、任せておけ」
それぞれ向かうべき場所にマクシミリアンたちは行動する。それがマクシミリアンのある計画のための行動であるとカイトたちは知る由もなかった。
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帝国軍の補給基地を制圧する為、クローデンの森に進軍するガリア義勇軍第7小隊と第7小隊特別枠スパルタン部隊。しかし、生い茂る草木は緑の色を輝かせ、まさに“自然”と言えるこのグローデンの森が彼らの方向性を狂わせていた。
「全く……何なんだよ、ここは。何処まで進んでも、木と草ばっかりじゃないか!」
「感覚が狂って、自分が何処を歩いてるのか分からなくなって来るぜ」
森に迷い、敵の補給基地に辿り着けないでいた。歩いてみても、同じ様な光景がズラリと並んでいる。そんな中、ウェルキンは何かを見つけたのかの様に近付く。そこでしゃがんで何かを見て居るのだが……
「これは……」
「オイオイ……何やってんだよ、アンタ!」
「どうした、何か見つけたのか?」
その時カイトも近づいて確認し、ウェルキンが見つけたと思われる黒い粒のようなものを見た。これを見たカイトは内心複雑な気分を抱くことになった。
「アリシア……これを持っててくれるかな」
「ウェルキン……これ、何かの木の実?」
「いや、アリシア……それ、動物が出した小粒のフンだぞ」
「…正確には、ヒゲナガヤギのフンだよ」
カイトとウェルキンのまさかの事実にアリシアは驚いてしまう。無理もない、まさかフンを渡されるとは誰も思わないだろう……。
「きゃあ!もう!そんなの渡さないでよ!」
「ウェルキン、そのフンが見つかったというとことは、やはり……」
「うん、思ってた通りだったよ。ほら……ここを見てみなよ」
その言葉に釣られて、みんながウェルキンが指差す方に目を向ける。するとラルゴが何かを見つけた。
「ん?草が踏まれた跡があるな。こりゃあ、何だ?」
「獣道だ。ウェルキン、よく見つけたな」
「ヒゲナガヤギのフンを見てもしかしたらと思ったんだ。やはりこれは、獣達の通り道だよ。獣達は移動に適したコースを探し出して、そこを通り道にしているんだ。そのお陰で周りの小枝は折られるし、草は食われて歩き易くなる」
「ここを歩いて行けば、森の中を突破出来そうな気がするな」
「気がするではなく、出来るというべきだな。ウェルキン、ここから先は……」
「敵補給基地はこの近くにある筈だ。これより作戦を開始する」
そうして彼等は森の中を突破し続け、敵補給基地に向かうのであった。
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クローデンの森にて、一匹の羽がついた子ブタがいた。その子ブタは、クローデンの森に入ってきた帝国軍とガリア軍の戦闘に巻き込まれ、母親を亡くし、一人ぼっちになっていた。
一人のまま森を彷徨う子ブタ。その時に子ブタは、草むらにて倒れこんでいる妙な格好をした人間を見つけた。
「…ぶひっ?」
その人間はカイトと同じアーマーを纏い、彼の周りには大量の血が撒き散らされていた。子ブタは恐る恐る、その人間に近づいてみる。その時、目を覚ましたかのように彼はすぐに体を起こし、周りを見渡した。
「……」
見渡してみても森、森、森。一つだけ違うとすると、一匹の小さな羽の生えた子ブタが震えていた。まるで起こしてはならないものを起こしてしまったかのように。
「ブヒィ……」
「……」
彼は言葉を発することなくその子ブタの頭をなでて落ち着かせようとする。彼に頭をなでられた子ブタは、敵ではないことを知り、心から安堵を得た。そして彼は、再び周りをよく見渡してみると、そこには彼が使い込んだ武器が地面にあった。一つは“M45 タクティカルショットガン”。そしてもう一つは“SRS99 アンチマテリエル”。彼はその二つの武器を回収し、此処は何処なのか考えていた。
見たことのない地形、見たことのないキメラのような子ブタ。いろいろあれど、此処でじっとしているわけにもいかず、彼はこの森から出るために行動するのだった。そして子ブタもそんな彼についていくのだった。この時に子ブタは、彼と行動していれば大丈夫という安心感を感じられると思ったのだろう。