HALO:IF battlefield of SPARTAN   作:コレクトマン

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第八章 もう一人のSPARTAN

 

 

獣道を通って敵補給基地に向かう第7小隊。途中で休みも入れ、行動しているとロージーが少し歌いながら歩く。

 

「ラララ……」

 

「ねえロージー、それって何の歌?落ち着いた感じの良いメロディね」

 

「ん……アタイが昔、歌ってた歌だよ」

 

「え?ロージーが歌っていたって……あなた歌手だったの!?」

 

アリシアの意外的な言葉の影響か、ロージーが自信を持ちながらも少し照れ臭くなる。

 

「歌手なんて、そんな大袈裟なモンじゃないよ。小さな酒場のステージで歌ってただけさ」

 

「でもあたしはさっきの歌、凄く好きだよ。今度ちゃんと聴かせて欲しいな」

 

「はは、オーケー。機会があれば聴かせてやるよ」

 

会話をしていると、茂みの奥から“ガサガサ…”と誰か草を踏む音が聞こえた。全員は一斉にその方向へと振り向いた。

 

「……奥に誰かいます」

 

「敵か……?」

 

「あたしが行きます……手を上げて!」

 

「ぶひっ!?」

 

そこから出て来たのは、羽の生えた小さな子豚だった。まさかの事態に全員は驚いている。

 

「羽のついた……」

 

「子……ブタ?」

 

「ハネブタの子供の様ですね」

 

とくにカイトはハネブタの子供を見て、一種のキメラ(合成獣)と思ってしまった。アリシアはそっとハネブタの子供に近づき、怯えないように撫でながら落ち着かせる。

 

「君、どうしたの?お母さんと逸れちゃったの?」

 

「ブヒィ……」

 

「……茂みの奥を見て来るよ」

 

「俺も確認する」

 

ウェルキンとカイトはハネブタが出て来た方向から更に奥地を確認すると、目を見開く光景を見てしまったのであった。

 

「………!」

 

「これは……!」

 

「ウェルキン、カイトさん……どうかしたの?」

 

「……この辺りで戦闘があったらしい。母親は流れ弾の犠牲になった様だ」

 

「………」

 

「森の中でも戦争のとばっちりを喰らう奴がいるなんてな……」

 

「君も家族が居なくなっちゃったの?ひとりぼっち?」

 

「ブヒィー……。」

 

アリシアはハネブタを抱き締めたまま、悲しそうに呟いた。ウェルキンは何か察したのか、アリシアに軽く呟いた。

 

「アリシア、一緒に連れて行くかい?」

 

「え……?良いの?」

 

「僕達は義勇軍じゃないか。誰だって隊員になる資格はあるよ」

 

「……っ!良かったね!今日から君も第7小隊の仲間だよ」

 

「ブヒィー!ブヒィ!」

 

ハネブタは嬉しそうに第7小隊への道を歩むのであった。この時にカイトは、ハネブタよりもこの世界には彼以外存在しないはずのある痕跡を見つけて驚きを隠せないでいた。その痕跡は、カイトが良く知るスパルタンのアーマーによる足跡だった。

 

「……まさか、俺以外にもスパルタンが?」

 

何故その足跡がカイト以外にこの世界にあるのか謎だった。カイトの拭いきれない不安を抱きながらもウェルキンたちと共に敵補給基地へと向かうのだった。

 

 

 

____________________________________________

 

 

 

進軍する第7小隊。その時にカイトのモーション・トラッカーに敵の反応が確認され、カイトがウェルキンたちに待機を指示し、敵補給基地周囲を哨戒する兵士を目視する。

 

その数は4~5人で、戦車の数が一台と厳重な警備をしていた。ウェルキンとカイトは、ここからは戦車が進む道と獣道の二手に別れて挟撃し、敵本拠点を制圧することにした。

 

「戦車が進む道と獣道、二手に分かれて敵の本拠点を目指そう!」

 

「なら、俺ともう一人が獣道を通って隠密行動に出る。マリーナ、一緒に同行してくれ」

 

「分かった、同行する……」

 

「イーディ、お前は残りのメンバーの指揮をとってウェルキンと共に行動してくれ」

 

「了解ですわ!」

 

そうしてカイトとマリーナは獣道のルートを進み、ウェルキンたちは戦車が進むルートを進む。

 

カイトとマリーナの二人が敵に気付かれぬよう獣道を進んでいると、哨戒する帝国兵二人を目視で確認する。カイトはハンドサインでマリーナに待機指示を出し、単独でそっと帝国兵たちに近づく。敵の背後をとったカイトは、二人の帝国兵の間に入り込み、右側の帝国兵を裏拳で殴った後に左側の帝国兵の背後に回ってそのまま頭をつかみ、ねじるように首を折る。ルートを確保したカイトたちは獣道を進みつつもウェルキンたちが通るルートを確認する。そのルートには地雷や対戦車砲、機関銃が配置されており、対人・対戦車戦を想定しての防衛態勢だった。

 

「イサラ、聞こえるか。ウェルキンたちに伝えれくれ、沼の対岸に対戦車砲、及び機関銃と地雷がある。俺がそいつらを潰し、進行ルートを確保する」

 

《分かりました。兄さんに伝えます》

 

イサラに通信を終えた後にカイトはマリーナに指示をだす。

 

「マリーナ、お前は機関銃に配置されている敵機関銃士を狙撃してくれ。俺は敵を錯乱しながらも対戦車砲を潰す」

 

「了解。あまり無理をしないように……」

 

マリーナの言葉をカイトは“分かっている”と告げ、マグスを手にし、そこから銃撃して帝国軍に強襲を仕掛ける。

 

「敵襲、敵襲だ!」

 

「何処からだ!?ガリアの連中は一体どこから……!?」

 

「それが……敵はヴァーゼル橋で現れたあの()()()()()だ!!」

 

帝国軍も既にカイトの存在を危険視しており、あの手この手でカイトを仕留めようと対戦車槍や機関銃など、カイトに向けて倒そうとする。カイトもアーマーのシールドに頼り切らず森林の木に隠れながらも敵の攻撃をしのぐ。隠れながらもマグスからGRSに切り替えて帝国兵を一人ずつ狙撃していく。しかし……

 

「ちぃ…っ!やはりこの世界の銃を俺の世界の使っていた銃と同じ感覚で撃ったら照準がわずかにぶれる!」

 

カイトの使用しているこの世界の武器はUNSC標準武装と比べると約6世紀前の旧式の銃を扱っているといっても過言でもない分、照準が僅かにずれてしまう。それを補うために戦いながらも感で照準を調整、修正しながらも敵を倒していく。

 

帝国兵もただではやられるわけにもいかず、帝国狙撃兵がカイトを狙い撃とうとするが、マリーナの狙撃で逆に狙撃される。マリーナの支援もありながらカイトは対戦車砲と残りの敵を掃討しつつ補給基地に続くであろう敵拠点を制圧する。

 

「こちらカイト、敵拠点を制圧。後は敵本拠点を制圧するだけだ」

 

《こちらウェルキン、了解です。こちらは地雷を撤去しながら前進中です。合流するまで待機してください》

 

「了解。アルファ105、通信終了。…マリーナ、此処でウェルキンたちの……!!」

 

カイトがマリーナにウェルキンたちの合流のことを話そうとしたその時、モーション・トラッカーがマリーナの後ろに敵の反応があった。どうやら密集した草むらに隠れながら攻撃のチャンスを疑っていたようだ。

 

「この……化け物が!!」

 

「…なっ!?」

 

「マリーナっ!」

 

マリーナは後ろの敵に反応できなかった。カイトはマリーナを守るように自ら盾になり、シールドで防ごうとする。そして一つの銃声が響いた時……

 

「ぎゃあっ……!?」

 

「……っ!この銃声は……」

 

カイトはシールドが削られてないことを確認しつつも聞き覚えのある銃声の音を耳にした。それは散弾銃が放つ独特な銃声だった。それが響いた時には待ち伏せした帝国兵の戦闘服に無数の小さな穴が空いていて、そこから血が流れて絶命していた。そして、その銃声の持ち主が密林の中から現れる。その者はカイトが驚きを隠せないほどの衝撃の人物だった。

 

「……」

 

「何…だと…!?まさか……お前なのか、アヴェンジャー2……シャーラ」

 

それはUNSC特殊作戦部隊“アヴェンジャーチーム”のメンバーの一人で、カイトの副官として共に戦った女性スパルタン。SPARTAN-ⅢB(ブラボー)029“シャーラ”彼女はカイトの問いに“こくり…”と首を縦に振り、肯定の意思を示す。どうやら彼女がM45タクティカルショットガンでカイトを狙う帝国兵から守ったのだろう。

 

「カイト、彼女は君の同じ…?」

 

「あぁ、同じスパルタンだ。彼女はシャーラ。()()()俺の副官だ」

 

マリーナにシャーラはカイトの嘗ての副官であることを説明した。しかし、カイトにとってシャーラが何故ここにいるのか不思議でしかなかった。何故なら、シャーラは()()()()で命を落とした筈だった。だが、彼女が何故生きているのかは後回しにしてカイトはシャーラに頼む。

 

「シャーラ……何故生きていて、この世界にいるのかは後で聞く。今は俺たちと戦ってくれないか?それも含めて後でちゃんと説明する」

 

「……!」

 

シャーラは強く頷き、ショットガンからスナイパーライフルに持ち替えてそのまま見晴らしの良い高所へと向かう。そしてカイトはシャーラが高所に向かったのを見届けた後、ウェルキンと合流する。

 

「カイトさん、待たせてすまなかった。今君たち以外に誰かいなかったかい?」

 

「心配ない。今あったのは俺の嘗てのメンバーの副官……つまり仲間だ」

 

「嘘っ!?カイトさん以外にも他にスパルタンが?」

 

「そこまでは分からない。もしかしたら、スパルタンは俺たちだけかもしれない。それはそうと、このまま行けばもうすぐ敵補給基地に着く。それぞれ準備をしてくれ」

 

アリシアの反応にカイトももしかしたらシャーラ以外にも他スパルタンがいるのではないのかという可能性を考えた。しかし、今は作戦行動中なためにその考えは途中で区切ることにした。そしてカイトたちは準備を整えて敵本拠地まで北上し続けるのだが……

 

「ようやく駆け付けてみたが……こいつは一足遅かったか」

 

「イェーガー将軍!援軍に来て下さったのですか!」

 

「まぁな。だが、この基地は方位されつつある。このままでは、物資諸共全滅だ。よし、お前達は出来るだけ物資を積んで基地から脱出する準備を進めろ」

 

「将軍はどうなさるのですか!」

 

「俺が敵部隊を引き付けておこう。まあ、任せておけ」

 

すると、イェーガーは戦車に乗り込み、ウェルキン達の方へと向かったのであった。その厳つい砲身のフォルムが目立ち、ウェルキン達に立ちはだかる。

 

「敵戦車1。あの外見……敵の指揮官車だ!注意しろ!」

 

カイトの指示でより警戒を増すウェルキンたち。歩兵や戦車の対戦車戦の行動にイェーガーは関心を抱くと同時にカイトを目視で確認する。

 

「なるほど……あいつが例の“灰色の悪魔”か。あいつの動き……ありゃあ長年の経験を積んだ熟練の兵士の動きだな。しかし、あいつから発する気迫、只者じゃないのがハッキリ分かるな」

 

イェーガーもカイトのただならぬ何かを感じたのか、カイトやウェルキンのエーデルワイス号に警戒しながらもイェーガーの専用戦車“ヴォルフ”を動かし、ウェルキンたちと対峙する。

 

カイトはイェーガーの駆る戦車に警戒しながらもマグスで牽制射撃をする。するとイェーガーは先ず最初にカイトに照準を定め、榴弾を発射する。その時にカイトはアーマー・アビリティのアーマー・ロックで絶対防御態勢に入り、榴弾の爆発から防ぐ。これを見たイェーガーは驚きを隠せないでいた。

 

「…おいおいおいおい!榴弾をもろに受けて無傷だと!?道理で兵士たちが奴に恐怖する訳だな。こりゃ俺も油断していると……ぬっ!?」

 

「てぇぇーっ!!」

 

イェーガーがカイトに気を引いている時にウェルキンのエーデルワイス号から砲撃を受ける。しかし、ヴォルフの装甲が厚い影響か、小破程度にとどまっていた。

 

「こちらの砲撃が効かない!?」

 

「いや、僅かに煙が出ているところを見ると小破程度にで済んでいるようだ。そのまま撃ち続けろ、いずれ装甲に亀裂が入って攻撃が通るはずだ!」

 

「流石に一人だけに集中するのは分が悪いな。先に戦車から片付けるべきか!」

 

そしてイェーガーはヴォルフの砲塔をエーデルワイス号に向け、砲撃を行う。その時にヴォルフから放たれた砲弾はエーデルワイス号に当たらず、車両に当たるギリギリの間に飛んで行ってしまう。

 

「何っ?今のを外しただと?」

 

イェーガーは当たる確信をもって砲撃した。それにもかかわらずエーデルワイス号に当たることはなかった。何故当たらなかったのかは高所にいるシャーラがSRS99アンチマテリエルことスナイパーライフルでヴォルフの砲身を狙撃し、僅かに照準をずらしたのだ。この様な神業を行ったシャーラは次に備えてヴォルフに照準を向ける。イェーガーは何かしらの視線を感じ取り、戦車からは出ず、砲塔を動かして高所のところに向けると、そこにはカイトと似た濃い赤色のクリムゾンカラーの装甲兵の姿があった。イェーガーが見た人物こそカイトと同じスパルタンのシャーラであった。

 

「マジか……。あの灰色の悪魔と同じ装甲兵がもう一人いたとはな。それも深紅の装甲兵……差し詰め“深紅の死神”といったところか?それに……」

 

イェーガーは再びエーデルワイス号に目を向ける。他の戦車と違うのは分かるが、その戦車乗りに関心を抱いていた。

 

「あの戦車もなかなかやるな。ガリアにも腕の立つ戦車乗りがいるようだな」

 

「イェーガー将軍。補給基地防衛隊、物資とともに撤収完了しました」

 

「よかろう。もはやこの地の戦略的重要性は無くなった。いつかこの借りを返す日も来るだろう。よし、俺達も退くぞ」

 

そうしてイェーガーはここで引き際を見定め、撤退する。

 

「兄さん、敵部隊が退却して行きます」

 

「後1歩だったが……見事な引き際だな。最初からあの援軍がいたら苦戦したかもしれない」

 

「…だな。今は先ず敵本拠点を制圧しよう」

 

イェーガーが撤退した後にカイトたちは無事に敵補給基地を制圧するのだった。新たなスパルタンを仲間に加えて……

 

 

 

____________________________________________

 

 

 

作戦終了後、ウェルキンたちはエレノアとのデブリーフィングを行っていた。

 

「諸君、よくやってくれた。作戦は成功だ」

 

「ウェルキン、お手柄だね!」

 

「いや、今回のお手柄は……僕じゃなくて、こいつだろう?」

 

「ブヒッ!?」

 

「良かったね、ハンス。隊長が褒めてくれてるよ!」

 

「今回の作戦は森に住む生き物の知恵を借りたものだからね」

 

「ブヒッ!ブヒヒッ!」

 

「それにしても……何時の間にハンスなんて名前になったんだよ?」

 

「バーロット大尉。第7小隊の新しい隊員・ハンスです」

 

「ハンス、今回の作戦ではお手柄でした。貴方の今後の活躍に期待しています。以上」(エレノア

 

「ブッヒーッ!!」(ハンス

 

ハンスは嬉しそうに雄叫びを上げるのであった。それとカイトからもう一人の仲間を紹介する。

 

「こっちもいいか?スパルタン部隊の新しい隊員……というより、俺と同じスパルタンのシャーラだ。よろしく頼む」

 

「……」

 

カイトの紹介と同時にシャーラはUNSC式の敬礼で挨拶をする。シャーラの無言の挨拶にロージーは疑問に思った。

 

「まさかアンタ以外のスパルタンがいるとは思わなかったけど、なんでそいつは一言も喋らないんだい?」

 

「そうね。カイト中佐は彼女が何故喋らないのか知っているかしら?」

 

エレノアもシャーラの無口に少し疑問を抱いていた。カイトは一旦シャーラの方を見る。シャーラは“問題はない”と頷く。そしてカイトはシャーラが喋らない理由を説明する。

 

「…シャーラは喋らないんじゃなく、()()()()んだ。ある戦闘で負傷した際に声の発声器官がやられたんだ」

 

「「「…っ!?」」」

 

シャーラの衝撃な事実にウェルキンたちは驚きと気まずさを抱く。とくにエレノアとロージーはシャーラが喋らないことについて聞き出したことを後悔していた。

 

「……ごめんなさい。まさかその様なことがあったなんて」

 

「……悪かったよ。アタイでも流石に無神経が過ぎたよ」

 

「気にするな。彼女はもうこのことは既に割り切っている。戦闘に支障がない分、戦えている。コミュニケーション能力である声を失ったとはいえ、言葉と話は理解できている」

 

「……」

 

カイトの言葉に肯定するようにシャーラは頷く。その時にイサラがシャーラに自己紹介をする。

 

「あの……カイトさんと同じスパルタンですね?私はイサラ。イサラ・ギュンターです。よろしくお願いします」

 

「……」

 

イサラの自己紹介にシャーラはよろしくの意味を込めて手を伸ばし、握手の姿勢を示した。イサラもシャーラの握手に答え、握手で返した。何とかシャーラは第7小隊のメンバーと打ち解けるようになった。こうしてカイトと同じスパルタンのシャーラが新たに仲間に加わり、スパルタン部隊がより強化されたのだった。

 

 

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