AXIS-オリ主(宇宙バカ)inIS学園-   作:K*485

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遅れてスイマセン、リアルがごたついてたの・・・
その関係で2000文字クラスとちょっと短めですが、まだ原作に入ってないからってことで勘弁してクレメンス。


第二話:ファースト・エンカウント

やあ!みんなのせーやにぃこと早見星夜だ。

で。

ただいま絶賛命の危機である。後頭部に銃口、両手は一応上にあげている。

 

「五月蠅い、ちーちゃんにすり寄る害虫風情が!杜撰なマッチポンプで取り入ろうって魂胆だろう!?」

 

声色からして女性、しかもかなり若い。ちーちゃんとは千冬ちゃんのことだろう。呼び方からして千冬ちゃんとかなり親しい立場で、しかも銃火器を平然と手に持っているから裏の人間か?銃を突き付けてきている人物の把握はこんなもんでいい、動機についてだ。

 

マッチポンプか。確かに、先日の救出劇はいささか都合が良すぎた。たまたま二人が溺れて、たまたまその日の朝に私が越してきた(という設定)、しかも全力で走って向かっていた・・・不自然にもほどがある事件だった。

 

御膳立てされすぎているので一連の流れを誰かによって仕組まれたと考えるのは自然なことだ。で、その立案者としての第一候補が、一番得をする・・・二人の好感度を稼ぐ、つまり私だと。二人の好感度を稼ぐぐらいしかメリットが見つからなかったが、裏の人間がいるということは護衛対象か何かだろうか?

だがマジで偶然だ、だって私はさっきまで彼女たちの名前すら知らなかったんだから。

 

「ただの偶然だよ、まあ偶然にしちゃ出来過ぎてた気がしないわけではないけど。というか二人ってもしかして有名人・・・?」

「・・・その様子だと本当に知らないみたいだね・・・・あれ?じゃぁもしかして束さんのことも知らないのかい?」

「束?聞き覚えがあるような無いような。すまない、フルネームを教えてくれないか?」

まさか、ね。確か、ISの開発者の名前は―――

 

「稀代の大天災、篠ノ之束」

 

篠ノ之束。ご本人さんですかね?

 

「ちょっと待ってくれ。もしかして宇宙用マルチプラットフォームスーツの開発とかってしてたり「なんだ、知ってたのか。で?どうせこの束さんにちーちゃん経由ですり寄ろうとしたんだろ?」」

 

なるほど(無駄に早い理解)。つまるところ個人でパワードスーツの設計開発を行えるその天才的な頭脳を狙われてスカウトとか身近な人間への媚売りが絶えない、と。裏の人間ではなく、裏に近いグレーで銃火器位自作できるってことか。銃を携行している必要があるということ。

これは前世の俺と同じくテロリストとかに誘拐されかけたこともあると見た。

 

おかしいな。確か、ISが世に認知されたのはもう少し後だったような?あれ、だとすると「知ってたのか」のリアクションはおかしい。

 

「少し調べたいものができた、PCを使わせてくれ」

 

「え?ああ、いいけど。なんでわざわざ―――ああ、生殺与奪は束さんが握ってたんだっけ。いいよ、多分おまえは悪い奴じゃないだろうしね。」

 

さっきの質問と私の紳士的な対応(自称)によって毒気を抜かれたのかは知らないが、後頭部の鉄の塊の感覚はなくなり、カチャカチャとしまうような音まで聞こえてきた。取り敢えず生命の危機は去ったということでオーケー?

 

丁度来客前まで開いていた論文掲載サイトを出して・・・

 

なんか視線を感じる。気のせいか。

 

宇宙空間 マルチプラットフォームスーツ 検索

 

あった、引用数も閲覧数も少ないけど「宇宙空間利用可能な汎用マルチプラットフォームスーツ-インフィニット・ストラトス構想-」ってのがヒット。

 

発表はされているけれど世間がまだ認めてないってことか。

 

ふむ。

 

何かしらの認知度を上げるイベント、大手の組織が正式に購入を打診したり、それによる大規模な報道的なサムシングがあったと考えるべきだろう。

 

そこまで考えてから博士のほうに向きなおると、顔がすぐそばにあった。

 

「うおっ!?」

 

おおう、すっげぇ美人さん。ずっと背中を向けていたから顔を直接見てなかったのもあるとはいえ、かなり驚いた。前世は女運に恵まれなかったからな、息遣いが聞こえたり髪が触れるほどまで接近されることがなかったので一種のパニック状態に陥っている。

 

「ん?ああ、気付いたのか。さっきのページ見せろ。」

 

顎に指をあてて思案顔。要求は最初に立ち上げていた自分の研究資料・・・・?

何かを考えられるほど今の私は冷静ではないので、取り敢えず素直にブラウザの履歴機能で自分の論文を再度表示する。

 

「ふむふむ。・・・気に入った!お前、名前は?」

「早見星夜です。」

思わず敬語が、私はパニックになると咄嗟に人から距離を取るために一線を引いた言葉遣いになるのだ。

「せーや・・・じゃあせーにぃで。改めて、ちーちゃんといっくんを助けてくれてありがとう。そして、いきなり銃を向けてごめんなさい。害がある人間だったら排除しようと思ってたんだけど、せーにぃとは仲良くなれそうな気がする!束さんレーダーにビビッと来たんだ、よろしくね!せーやにぃ!」

「あ、うん。宜しくお願いします束博士。」

「ノンノンノーン!硬い、硬いよ!敬語禁止!あと「束」って呼んで?」

「分かったよ束博士」

「リピートアフターミー、たばね!」

「・・・束。」

「うん!じゃあねー、近々また来るよー!アデュー!」

 

我に返った時には、全てが終わっていた。

ただ開け放たれた玄関から、春の風が優しく吹き込んでくる。

 

「嵐のような人だな、束って。」

 

そう呟いた一言は誰もいない外へ流れていった。


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