原神ふれんず!   作:コトバノ

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 めっちゃ久しぶりに書いた〜…


閑話 エンジェルズシェア 『そんな難しい注文はしてないだろっ!!』

 

 

 とある日の、まだ早い時間帯の夜。

 

 人気店、エンジェルズシェアのカウンター席で、僕は。

 

 隣に座る酒好きの吟遊詩人のウェンティと、逆隣に座る酒好きの西風騎士のガイアと共に。

 

 「──おらぁディルックさま、追加のお酒持ってこいやぁっ!」

 「あははははっ、こいやぁっ!」

 「俺にももう1杯頼むぜ?ディルックさま」

 「この酔っぱらいどもが……まったく……」

 

 珍しくバーテンダーをしていたディルックに、ダル絡みをしていた──。

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

 ──それは、本当に偶然のことだった。

 

 相談屋をすることで小銭を稼ぎ、そのお金の大半をお酒に注ぎ込むという生活を送る僕は、今日もお酒を求めてエンジェルズシェアへ向かっていた。

 

 その道中で、僕と同じくエンジェルズシェアに向かおうとしているガイアと出会い、意気投合、連れ立って歩き。

 

 いざ入店すると、綺麗に空いていたカウンター席の向こうにて、バーテンダーを務めるディルックの姿があり、また、2階より丁度詩を唄い終わったと思われるウェンティもこちらに向かってきていて。

 

 遂には、この面子がカウンター席に集うことになったのである。

 

 そして僕たちは、嫌そうな顔をするディルックへ、お酒の注文をする。

 

 僕は、シンプルにビールを。

 

 ウェンティは、モンドのお酒を代表するリンゴ酒を。

 

 ガイアは、高い度数を誇るシャンパンベースのカクテル、午後の死を。

 

 やがて提供されたそのお酒をそれぞれ頂き──できあがっちゃった僕らは、ディルックに絡んでいるというわけである。

 

 「──はぁ……今日ここに来たのは失敗だったな」

 

 そんな僕らの様子を見たディルックが、溜め息交じりにぼやく。でも、別段そんなことはないと思うな……。何故なら──。

 

 「──ディルックディルック!ガイアとウェンティがどうかは知らないけど、僕は基本的にほぼ確で酒場にいるから、今日とか昨日とか関係ないよ!」

 「最悪だ……」

 

 にっこり笑顔で伝えてあげると、彼は顔をしかめる。それを見てウェンティが、「あははははっ、嫌そうな顔ー!」と爆笑し、ガイアもガイアでククッと笑いを零した。うん、みんな楽しそうで何より(1人を除く)。

 

 「……いやー、にしても、中々に豪華な顔触れが揃ったものだよね。アカツキワイナリーの若きオーナーに、高名な吟遊詩人、更には西風騎士団の騎兵隊長。……あれ、もしかして僕、場違いがスゴいのでは?」

 「ハハッ、そんなことはないと思うぜ?お前だって、今やモンド1の相談屋じゃないか」

 「え、確かに……!!」

 「いやそれ、ボクが思うに、モンドに相談屋が1つしかないだけじゃないかな???」

 

 周りとの格差に一瞬思い悩むも、ガイアの励ましを受けた僕は、ウェンティの言葉を聞き流して自信を取り戻す。

 

 我が名はユヅル!モンド随一の相談屋、類稀なる酒カスにして、刹那的に生きる者……!

 

 「──で、どうする?折角の珍しい面子、なんか面白いことしよーよ」

 「面白いことー?例えば何かな?」

 「例えば、うーんと……あ、そうだ。お誂え向きに男子ばっかりなわけだし、男子会とかどうよ!?」

 

 ぽんっと手を叩き、みんなを見回しながらそう提案してみる。

 

 「男子、会……?あまり聞いたことのない響きだな。何をするんだ?」

 「よくぞ聞いてくれたね、ガイア!男子会っていうのはね、なんか……こう……女子会の男子バージョンだから……つまり……え、何するんだろう?」

 「おい、提案者」

 「いやごめんて。困ったな、実際ほんと、何をするんだろう……多分お菓子とか食べながら、普段はしない、一風変わった話をするんじゃないかなって思うんだけど……」

 「変わった話、か……そうだな、ディルックの今と昔との変わりようでも話してやろうか?」

 「「え、すっごい気になる」」

 「やめろ、今すぐにでも追い出されたいのか?……第一、変わった話というのはそういう意味じゃないだろう」

 

  実にそそられる話がガイアから提供されそうになるも、ディルックの機嫌を損ねてお酒が出されなくなっては困ると、泣く泣く諦めることにする。ショタディルック……わたし、気になります!絶対可愛かったよね。外伝漫画でもめちゃカワだったし。

 

 「……あ、ちょっと待って、分かっちゃったかもしれない。男子だけでする、普段はしない話……つまり、恋バナするんじゃない?」

 「恋バナって……恋愛の話ってことかい?そういう詩も、もちろんボクは唄えるけど……」

 「違うよウェンティ。語るのは自分の恋愛についてさ。誰々に告白されちゃったーとか、誰々が気になっててーみたいな感じ」

 

 少し外れたことを言うウェンティに、恋バナの説明をしてあげる。すると白い布でグラスを丁寧に磨いていたディルックが。

 

 「はぁ……くだらないな」

 

 と、溜め息混じりに聞き捨てならない台詞を吐いて。

 

 「ちょっとちょっと、なに気取ってんのさディルック!これだからイケメンはっ……!花屋の娘さんやジン、ワイナリーのメイドにと大勢に粉かけといて、よく言うよ!」

 「ほぉー……?ククッ、もし本当にユヅルの言う通りならば、ディルックの旦那はとんだプレイボーイだな」

 「アハハ、流石旦那だねっ!」

 「捏造をやめろユヅル。僕と彼女たちに、そういった関係は一切ない。それにそんなことを言い出したら、君の方がよっぽどそうだろう」

 「はぁ!?未だ女の子とそういう関係になったことなんてないわッ!!嫌味か?嫌味かこの野郎っ」

 「まあまあこれでも飲んで落ち着きなよ」

 「ああウェンティ、ありが──ぐあぁぁぁぁッ!!喉が焼け、これ午後の死じゃないかッ!!」

 「あははははっ!」

 

 非モテの僻みからディルックに噛み付いていたところに、ウェンティからグラスを渡され、冷静になろうとそれを呷った途端、喉が焼かれるような感覚に襲われる。席を滑り落ち、地面にのたうち回っていると、下手人であるウェンティが、ケラケラと僕の様子を見て笑っていた。おのれウェンティめッ!!

 

 半笑いしながらも差し伸べてくれたガイアの手を掴み、僕は身を起こして、カウンター席に戻る。酷い目に遭ったと残っていたビールを一気に飲み干せば、ガイアが。

 

 「女と無縁、か。だったらユヅル、俺が適当に相手を見繕ってやろうか?これでも俺は、色んな所に顔が利くんだぜ?」

 「はァ!?おいおい、よろしくお願いいたしますッッ!!」

 「必死だな」

 「そこまでしちゃうんだ…」

 

 まるで神仏かと見紛うような、素晴らしい提案をもたらしてくれて、僕は全力でそれに縋ることにした。

 

 なんてありがたい……!!どっかの上弦の参も見習いなよっ!!これこそまさに、素晴らしい提案だよ!!どうしよう、ガイアに後光が差して見える!!

 

 「2人とも、そう言ってやるなよ。……それでユヅル、どんな娘がいいんだ?」

 「可愛いければ何でもいいです」

 「これほど探し甲斐のない依頼はないな……」

 「身も蓋もないよね……」

 

 こちらの希望を伝えると、ディルックにウェンティ、果てはガイアからも蔑んだような視線を送られた。

 

 な、なんだよっ!!そんな難しい注文はしてないだろっ!!

 

 そんな目を向けられる謂れはないぞと抗議しようとして、僕はふと気付いた。

 

 でも、そう、でもだ。

 

 原神というゲームは世界観に深い拘りを持っていて。多少の使い回しはあったが、大抵のモブも優れた部類に入る容姿をしていた。

 

 翻って、よく考えてみたらこの世界──男女問わず、大体の人が美人さんだったわ。

 

 「ごめんガイア、やっぱさっきのはなしで」

 「まぁ、流石にあれはないだろうとは思っていたぜ」

 「うん、そうだね。可愛ければというか、常識的な範囲でお付き合いできる年齢の女性だったら、もう誰でもいいかも」

 「どうしてそうなった……?」

 「悪化しちゃってるんだけど……。さっきのより酷いことになるとか、有り得るんだね」

 

 改めて希望を伝えれば、どうしてか全員に困惑されてしまった。さっきよりも更に手のかからない注文にしたというのに、何故だろうか……。僕もまた困惑していると、ガイアが額を押さえながら、ハァと溜め息を吐き。

 

 「参ったぜ……こうなったらもうお前さんには、直接相手をあてがった方が早そうだ」

 「直接?」

 「ああ。俺がお前も知っているであろう人物の名を挙げるから、そいつと交際してみたいか、判断してくれ。そうしたら俺が場を設けてやる」

 

 と、まぁ、そんな話の流れになって。

 

 僕は、ガイアの口から挙げられる人物についての所感を答えていくことにする。

 

 「そうだな……まずはジン団長はどうだ?」

 「ジン?美人でスタイルも良いし、性格も素晴らしくて、文句のつけようがないけど……でもジンはあれじゃん、自分には厳しく他人に優しい、典型的なダメ男に引っ掛かるタイプだからね。残念ながら僕に引っ掛かることはないと思うよ」

 「……?お前は何を言っているんだ?ピッタリじゃないか、四の五の言わずにさっさと引っ掛けてくるといい」

 「おいどういう意味だそれ」

 

 真顔でふざけたことを言うガイアに、僕はツッコミを入れる。誰がダメ男だ、ただちょっとお酒が好きで飲み過ぎてよく路上とかで寝ちゃったりしてて定職に就かず相談屋とかいう変な仕事しててそれで日銭を稼いでて挙句それの大半をお酒に費やしてるだけの、あまりやる気のない人間ってだけじゃないか。

 

 ……ふむ、6アウトか。まぁ野球は9回まであるし、27アウトまでは問題ないな。ヨシッ!

 

 「今度は、そうだな……。ノエルなんかはいいんじゃないか?出会い頭にプロポーズしていたくらいだろう?」

 「プロポーズはガイアにもしたけどね」

 「「えっ……?」」

 「それはともかく」

 「いや待ってくれ、ともかくしないでくれ」

 「そうだよ!えっ、なに、ユヅルってどっちもいける人なの!?」

 「いや女の子しか無理だけど」

 「どういうこと!?」

 「ガイア……君はもしかして……女、なのか?」

 「おいおい、どうするんだこれ?収拾がつかないぞ?」

 

 お次はノエルちゃんについて尋ねてくるガイア。茶目っ気を入れて言葉を返すと、なんかウェンティとディルックがめちゃくちゃ混乱し出した。ウケる。ディルック、君何年の付き合いだよ、ガイアが男なのは分かり切ってるだろ。

 

 何とかして場を収めたところで、再びガイアから問いかけられた。

 

 「それで?結局ノエルはどうなんだ?お前には結構懐いているみたいだが」

 「ノエルちゃんなー……凄く可愛い娘なのは間違いないんだけど……なんか僕には勿体なさ過ぎるというか、申し訳なさが先に立つというか。あと、付き合ったら駄目にされそうだよね」

 「それは確かにまずいな。これ以上駄目になったらもうどうしようもない」

 「おっほぉ、言うねぇ」

 

 先程から鋭い返ししかしてこないじゃん。

 

 続けてガイアが口にしたのは、少し意外な人物の名前だった。

 

 「エウルアあたりはどうだ?」

 「エウルアちゃんか。というかガイア、僕が彼女と知り合いなの、知ってたんだ」

 「言っただろ?顔が広いんだよ」

 

 そう台詞を紡いで、気障ったらしく微笑むガイア。様になってるなぁと思いつつ、エウルアちゃんへの思いを僕は述べる。

 

 「エウルアちゃんはなぁ……マジで全然変な意味じゃないんだけど、良い身体してるよね……」

 「ユヅル。お前は忘れてるのかもしれないが、実は俺、騎士団なんだぜ?」

 「逮捕は勘弁してください……!!いやでも真面目に言うと、エウルアちゃんは申し分ない女の子だよ。容姿端麗でツンツンしてるようで優しいし。だからこそちょっと僕にはおこがましいというか、高嶺の花過ぎるというか……」

 「そうか……」

 

 なんて言うんだろうね。隙がないっていうか、ほんと非の打ちどころがないからこそ、身構えちゃうよね。

 

 「あの娘はどうなんだい?広場で君を押し倒していた、元気な娘……そう、アンバーだったかな?」

 「ああ、アンバー!アンバーはねー」

 「ちょっと待ってくれ。押し倒していたっていったいどういうことだ……?」

 

 横から口を挟んできたウェンティからの問いに、固まっているガイアをスルーして少し考える。

 

 うーむ……。

 

 「なんか、アンバーってあれなんだよね。友達感凄すぎて、あんまりそういうの思いつかないというか……いやめっちゃ可愛いし、超絶良い娘なんだけどね?」

 

 良き女友達って雰囲気が強すぎるんだよね……。

 

 「……君、誰でも良いとか言ってた割に、随分選り好みするな」

 「うるさいぞディルック!選り好みというか、選り分けてるんだよ!」

 

 オリ主と原作キャラが恋仲になるのに嫌悪感覚える人もいるからな!!そこら辺を見極めてやってんだこっちは!!

 

 ……ん?僕今なんて言った?あれ……まぁいいや。

 

 「というか、ディルックも誰か挙げてみてよ!一緒に僕の恋人を探してよ!」

 「面倒だな……もう君の恋人は酒ということで良いんじゃないか?」

 「え、天才……?」

 「感銘を受けるな。適当に言ったことだぞ。しかし、そうだな……『キャッツテール』のマーガレットなんかはどうだ?同じ酒飲みだ、気は合うんじゃないか」

 「あ、真面目に考えてくれてる……マーガレットさんね、たまにお酒奢ってくれるし良い人だよ。でも僕『キャッツテール』出禁になってるし、なんならお酒好きが悪化しそうで、ちょっとマズいかも」

 「君は……はぁ、もう何も言えないな」

 

 それから何人かの名前を挙げられるも、イマイチピンと来る相手は居らず、膠着気味に。

 

 まったく進展はないというのにアルコールですっかり気持ち良くなって、なんかちょっと、もうどうでも良くなってきたなーと思っていると、またもやガイアが口を開く。

 

 「分かった分かった。なら、コイツはどうだ?」

 「お、どんな娘どんな娘ー?」

 「グラマラスな身体をしていて、色っぽいと評判の女性だ」

 「おおっ!!」

 「博識で、頭が良い。が、完璧ってわけでもなく、少しサボり魔だったりして、抜けている所もある。酒も嗜んでいたな」

 「親近感湧く〜!」

 「その名も……」

 「その名も〜?」

 「図書館司書、リサ・ミンツだ」

 「おばさんじゃーん!!」

 

 お酒で蕩けた頭で、ついそんなことを口走って、ドッと1人で爆笑する。常識的にお付き合いできる年齢の女性って言ったやないかーい!リサちゃん、おばさんだろー!

 

 「なーんちゃって!!あははっ、冗談冗談!!」

 

 ケラケラ笑っていると、僕は酩酊感で歪む視界の中、違和感を捉える。あれれ……?みんなあんまり笑ってないな……というより、全力でこっちから顔背けてる……。ディルックも、ウェンティも、ガイアも……というか、なんか今、ポンって肩叩かれ──。

 

 「ハァイ、ユヅルちゃん。随分……楽しそうね。お姉さんも、交ぜてほしいわ」

 「…………………………………」

 

 耳に流し込まれたのは、暖かな吐息と、艶やかな声だった。なのにどうしてだろうか。色気ではなく、恐怖を感じているのは。背筋が震えたのは、きっと快感ではなく……。

 

 「…………な、なんで、ここに……?」

 「乙女には色々と、秘密があるものよ」

 「なる、ほどぉ……」

 

 バチリ、バチリと。

 

 肩で激しい電撃の音が鳴り、身体がピクピクと痙攣し出す。

 

 僕は、ゆっくりと、弁明を述べる。

 

 「酔いが、さ……すごく回っていたっていうか……本心ではないっていうか……本当のことを言えば全然若々しい、それこそ憧れのお姉さんだっていうか……その………………どうすればいいですか……?」

 「気にしなくても大丈夫よ、ユヅルちゃん。もう──どうしようもないんだから」

 

 電撃の音が徐々に上がっていき、強さも比例して増していく。

 

 ディルックは背中を向けたまま酒瓶を探しているフリをし。

 

 ガイアとウェンティは、正面だけを向いて静かにお酒を飲んでいた。

 

 やっぱり、彼女が欲しいなどと高望みしたのが良くなかったのだろうか。原作キャラとお喋りできているだけで満足していれば、こんなことにはならなかっただろうに。

 

 ……うん、いや、ほんとは酔っ払ったせいでついポロっと失言しちゃったから、こんなことになったんだけどね。

 

 あーあ、リサちゃん今どんな顔してんだろ。

 

 不意にそんなことが気になったが、さて。

 

 残念ながら、今の僕には、振り向いて彼女の顔を見る勇気はなかった。

 

 

 

 ……みんな、お酒には気を付けようね(遺言)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 かねてより書いてみたかった男勢のわちゃわちゃです。

 気付いたら一年以上経ってて草なんじゃー。まぁ、不定期投稿だからね……。

 本当は稲妻編も書きたいんですけどねー…書きたい気持ちはあるけどやる気が出ん……ごめんね!書けたら書くよッッ!!

 感想と評価も、できたらよろしくお願いします!




 
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