「やあ、僕はロビン・グッドフェロー」   作:Ask〈アスク〉

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どこまでやれるかわかりませんが、精一杯頑張りたいと思います。


「次に下拵えを」

 彼の境遇はとても不幸だったと言えるだろう。

 

「どうして日本に来たのかだって?やりたいことがあったからだよ。それはまだ秘密だけどね?」

 

 不幸ではあったが、それでも物語の主人公のように立ち直り、前に進んで行く。

 それは、きっと美しいものなのだろう。

 

「家族、か......もういなくなってしまったよ。まあ、もう昔のことだから立ち直ってるけどね」

 

 それが、嘘でなければ。

 

「さて、そろそろお暇させてもらうよ。続きはまた明日。その時は面白い話もして────」

 

 彼のその言葉は、警報音によって掻き消された。

 

 

 

 

 

 

 

 教室は静まり返っていた。それもそうだ。僕の言葉に困惑しているのだから。

 その静かな空間で、岡峰珠恵が僕に話しかける。

 

「あの......魔法使いとは、なんですか?」

 

「そのままの意味ですよ、先生。僕は魔法が使えるんだ。まあ、少しだけだけど」

 

 その言葉で岡峰珠恵はさらに困惑していた。まあそうなるだろう。正直、自分もこんなことを言われたら困惑するだろうし。

 

「どんな魔法が使えるんだ?」

 

 また静まり返った教室から声が聞こえてきた。

 僕はその質問に答える。

 

「得意なのは人を眠らせる魔法かな。そして眠らせた人に素敵な夢をみせるのさ」

 

 そもそも魔術であって魔法ではないが、<魔術師(ウィザード)>と言ってもわからないだろうし、あの世界的に知名度のある会社がどこから聞きつけてくるかもわからないので、魔法ということにしている。

 今はまだあの連中と接触するのは避けたい。

 

「イギリスから来たんだよね?どうしてそんなに日本語が上手なの?」

 

「その髪は地毛なの?キレイだね!」

 

「イギリスでの生活のこととか教えてほしい!」

 

 おっと、次々と質問が飛んできた。まるで滝のように質問が来るせいでちゃんと答えきれない。

 僕は悩んでいる素振りを見せて一旦質問をストップさせる。

 しばらくその素振りを見せた後、しっかり笑顔を作って言う。

 

「────質問は一つずつゆっくり聞くよ。また後で......ね?」

 

 

***********************

 

「どうして日本に来たのかだって?やりたいことがあったからだよ。それはまだ秘密だけどね?」

 

 自己紹介が終わった後、すぐに僕の周りには人が集まってきた。

 さっきのように投げかけられる質問に、僕は丁寧に答えていた。

 そんな時、予想もしていなかった質問が飛んできた。

 

「ロビンくんの家族ってどんな人なの?ロビンくんはとってもかっこいいから、両親も素敵な人なんだろうなぁ......」

 

 家族......こんな質問、来ると思うわけないじゃないか。僕には最初から家族なんて居なかった。つまり捨て子ということだ。

 僕の意識が目覚めたのが五歳頃で、そこから約一年は一人で生活していた。

 ゴミを漁って残飯を食い、時には盗みをして、泥水でも飲みながら<魔術師(ウィザード)>を探していた。

 だが、そんな話は人に聞かせられるものではない。こんなことで嘘をつきたくないが、仕方ない。

 

「家族、か......もういなくなってしまったよ。まあ、もう昔のことだから立ち直ってるけどね」

 

 家族は昔に死んでしまった、ということにした。僕のイメージにも関わることだし、少しは悲劇のヒロイン的な振る舞いをしてもいいだろう。

 

「あ......ごめんね、こんな質問して......」

 

「大丈夫さ。さっきも言ったように、僕もう前に進むって決めたんだ。謝る必要なんてないよ」

 

 笑顔でそう言うと、その人は目を輝かせて「かっこいい......」と呟いていた。

 無意識に出ていた言葉だろう。その言葉は素直に嬉しい。

 まだまだ質問に答えて────っと、そろそろ空間震が発生する頃だろう。一旦切り上げよう。

 

「さて、そろそろお暇させてもらうよ。続きはまた明日。その時は面白い話もして────」

 

ウウウウウウウウウウウゥゥ────────

 

 僕が言っている途中で警報が鳴り始めた。ちょうどいいタイミングだ。さて、先生が整列させているが、一人だけ列を飛び出して行った人がいる。五河士道。デート・ア・ライブの主人公だ。

 僕は五河士道を追いかける。

 

「あっ!グッドフェローさん!どこに行くんですかー!」

 

 岡峰珠恵が慌てて叫んでいるが、聞こえなかったことにして無視する。

 僕は走りながら五河士道に話しかける。

 

「何かあったのかい?ええっと、君は......」

 

「俺は五河士道だ。実は妹とファミレスに行く約束をしてたんだけど、まだ逃げてないみたいで......」

 

 そう言って五河士道は走りながらスマホのGPSアプリの画面を見せてくる。

 そこには五河士道の妹がファミレスの位置にいるということが示されていた。

 

「なるほどね、だから心配して駆けだしていたと」

 

「そういうことだ。悪いけど、先生にもそう伝えておいて────」

 

「いや、僕も手伝うよ」

 

「え?」

 

 五河士道は困惑している。さすがに今の行動は不自然だったか......?転校生が自分の妹探しを手伝ってくれる、というのは......不自然だな。反省するべきだな。

 

「ありがたいけど......いいのか?」

 

「いいとも。それで、妹さんの特徴は?」

 

 良かった、特に問題なく進みそうだ。

 だが、次からは気をつけるべきだろう。今の段階で五河士道に疑われてしまえば、全てが崩壊する。

 

「ありがとう!俺の妹、琴里は────」

 

***********************

 

 五河琴里の特徴を聞きながら、ファミレスの方まで走っていく。

 ファミレスの近くまで来たのだが、それは酷いことになっていた。

 アスファルトは割れており、一部の建物はまるで元々そこには何も無かったかのように抉られている。

 

「琴里ー!どこにいるんだ!?」

 

 士道は叫びながら五河琴里を探している。

 そのまま進んでいけば、精霊が居るクレーターに辿り着くだろう。上空で僕も観察されているだろう。不自然に思われないように、僕も探すとしよう。

 

「おーい!琴里ー!どこにいるんだい!」




一日に何度も投稿することもあると思います。
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