「やあ、僕はロビン・グッドフェロー」   作:Ask〈アスク〉

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ほんの少し長いです。


「白々しいにも程がある」

 彼の周りからの評価はとても高い。それは何度も言っている事だ。

 彼の話す物語は、全てハッピーエンドで締めくくられる。

 

「彼には、もうちょっと心を開いてもいいんじゃないかな?」

 

 例え続きがあろうとも、それを誰にも語らない。

 

「ここは僕がどうにかする!士道は下がってて!」

 

 もし、バッドエンドを語った時は。

 

「『彼方にかざす夢の噺(ライ・ライム・グッドフェロー)』!」

 

 それが終わりの日だろう。

 

 

 

 

 

 

 翌日、今日は休みなので、ダラダラとブランカと戯れている。

 ちょっと魔術で筋力を強化してみると、羽根を動かして飛び始めた。これは俺も小さくなれる魔術を覚える日が来たか......?「まさにスピードスターだ!」とか言いながら飛び回ってみたい。ちょっと待て、どうやって魔術覚えるんだよ。俺に魔術教えてくれた<魔術師(ウィザード)>もう死んでるじゃん。諦めるしかないか......。

 そんなことを考えながら、ふと冷蔵庫が空っぽだったことを思い出した。ちょうどいい時間帯だし、散歩がてら買い物にでも行こうか。

 

「行くよブランカ。欲しいものがあれば買ってあげるよ」

 

 最近、学校に行く時以外はずっとブランカと一緒だ。別に学校に連れて行っても誰も怖がったりしないだろうが、TPOは弁えないとね。

 手を差し出す前に、ブランカ自ら飛んで僕の肩に乗った。これであの服装になったら完全にオベロンだ。

 

「さて、じゃあ行こうか」

 

***********************

 

 適当に買い物をした帰り、五河士道が四糸乃と話しているのを見かけた。グッドタイミング。僕は声をかけることにした。

 

「やあ士道。こんなところで奇遇だね。その子は?」

 

「ひっ.........!」

 

 僕は四糸乃を見て言うと、四糸乃は士道の後ろに隠れた。かなり怯えられているようだ。

 

「この子は四糸乃っていうんだ。前に会った精霊なんだけど......そうか、ロビンは見てないんだっけ」

 

「そうだね。僕はあくまでも外部協力者。あまり深く知ることはできないのさ」

 

 前に僕の立ち位置を説明したので、適当なことを言って誤魔化した。実際、僕は外部協力者という形になっている。

 

「はじめまして。僕はロビン・グッドフェロー。こっちはブランカ。よろしくね、四糸乃」

 

「っ......よ......ろしく......お願い......します......」

 

 かなり小さい声だったが、しっかり返事はしてくれた。今は『よしのん』を探しているのだろうか。

 

「それで、どうしたんだい?確か彼女はパペットを着けてるって話だったけど......」

 

「実は昨日落としたらしくてな.....探してるところだったんだけど、お腹がすいたらしいんだ」

 

「へぇ、そうなのかい?」

 

 僕が言うと、四糸乃は顔を赤くしてブンブンと首を横に振る。そのタイミングでお腹が鳴る。四糸乃はさらに顔を赤くした。

 別に隠す必要も無いと思うんだけどなぁ。

 

「なるほど、ということは、今から家でご飯かい?」

 

「そうなるかな」

 

「いいね!僕もついて行ってもいいかな?自分の分の食材ならちょうどここはあるし」

 

 僕はそう言って手に提げていた袋を見せる。

 

「別にいいぞ。どれどれ材料は......うん、これだったら親子丼かな」

 

「親子丼かぁ。最後に食べたのはいつだったっけ」

 

 そんなことを言いながら、僕たちは五河士道の家に向かった。

 

***********************

 

 料理が完成するのを待っている間、僕は四糸乃と話をしてみる。

 

「四糸乃、聞いてみたいことがあるんだけど、答えてくれるかい?」

 

「!.......は.....はい......」

 

「君の持っていたパペットは、何か特別な物なのかい?」

 

「.........よしのんは......私の、ヒーロー......です......」

 

「......なるほどね。確かにそれは特別だ」

 

 四糸乃にとって『よしのん』とは、自分を守ってくれるヒーローだ。自分は誰も傷つけたくない。そんな時、襲ってくるASTから心を守ってくれるのが『よしのん』だ。臆病な四糸乃にとっては、心の支えだった

 

「きっと大丈夫さ。士道には心強い味方がいる。きっと、その人たちも『よしのん』を探してくれてるよ」

 

「.........」

 

「ねぇ、四糸乃。楽しい話を聞かせてあげるよ」

 

 僕が言うと、四糸乃はキョトンと首を傾げた。

 

「むかしむかしあるところに、一羽(ひとり)の妖精がいました。その妖精は、妖精の國の女王さまでした。彼女はずっと、國を見守っています。美しい國が、いつまでも続くことを願っていました。彼女の周りには、いつも妖精が集まっていました。その妖精たちは、みんな女王さまが大好きです、みんな、女王さまを慕っています。ある日、女王さまは死んでしまいました。誰もが悲しみました。ですが、彼女は最期にこう言ったのです。『私に代わる王さまを見つけなさい』と。みんなはその言葉に従いました。そして、新しい女王さまが決められました。その女王さまも、前の女王さまのように國を見守り続けました。きっと、今でも。......どうだったかな?」

 

 僕はそう言って四糸乃に感想を求めた。彼女にこの話がどう見えたのか気になった。

 

「.........とても......素敵だと、思い、ました......でも......少し、悲しい......です......」

 

「......どうしてかな?」

 

「.........わかり、ません......でも、なんでか、悲しい......です」

 

 なるほど、四糸乃は鋭い。この話は妖精國のことを、争いなどの醜い部分を全て無くして、更になかったことを繋げた物語だ。きっと、どこか不自然に思っているのだろう。

 

「四糸乃、君は、士道のことをどう思ってる?」

 

「.........え?」

 

「実はこっちが本題なんだ。さっきのは少し話しやすくするまでの前振り。で、どう思ってる?」

 

「......あったかい、人です......」

 

「......そうだね。士道は暖かい。彼には人に自慢できるくらいの優しさがある。本人にはわからないだろうけどね」

 

「.........」

 

「余計なお世話かもしれないけど、言わせてほしいんだ。彼には、もうちょっと心を開いてもいいんじゃないかな?」

 

「.........!それ、は......」

 

「君が不安がっているのは何となくわかるよ。でも、士道はとても優しいんだ。君を襲ったりなんてしないし、突き放したりもしない。......別に、今からそうしろってわけじゃない。ゆっくり考えてみなよ」

 

「.........は......い......」

 

 これくらいでいいかな。特に意味はないけど、僕に対する一定の好感度は得られた筈だ。

 

「おや、そろそろ完成する頃かな?ほら四糸乃。食べる用意をしておこうじゃないか」

 

 ああ、楽しみだ。前に食べた料理も美味しかったから、今回も楽しみだ。

 

***********************

 

ウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥ──────

 

 ご飯を食べた後、僕は家に帰ってゴロゴロしていた。そんな時、空間震警報が鳴り響いた。

 

「さて、僕も出る時かな」

 

 いつも通り魔術で着替えて家を出ようとすると、ブランカが飛んで僕の肩に乗ってきた。

 

「さすがに危ないから、ここに────」

 

 と、言いかけて、やっぱり連れていくことにした。

 

「────いや、行こうか。ブランカ」

 

 僕はそう言って家を出た。

 早足で移動していると、巨大な竜巻のようなものが見えた。よく見てみると、氷の粒のようなものもある。あれに突入するのはASTには不可能だろう。

 

「そろそろ、かな」

 

 僕がそう小さく呟くと、五河士道が動く玉座に乗ってきた。......意味わからないな。まあ十香の天使の<鏖殺公(サンダルフォン)>なんだが。

 

「ロビン、先に来てたのか」

 

「ちょっと早く着いちゃったみたいでね。で、どうするんだい?あの中にいるんだろう。四糸乃は」

 

 僕はそう言って竜巻のようなものを見る。

 

「ああ、だから俺が今からあの中に────」

 

 五河士道が話している最中に、それは起きた。五河士道の手に持っている『よしのん』から何か黒いモヤが現れた。

 

「な、なんだ......これ!?」

 

「士道!『よしのん』を離すんだ!」

 

 僕が咄嗟にそう言うと、五河士道は『よしのん』を投げた。

 すると、その黒いモヤはよしのんを包んで人型になった。

 

「なっ......!」

 

 士道はその光景を見て驚いていた。

 

「ここは僕がどうにかする!士道は下がってて!」

 

「っ!......悪い、任せた!」

 

 五河士道はそう言うと、僕と黒い人型から距離をとった。

 ......さて、こいつはどうしようか。一撃で倒すこともできるが、それだと不自然だ。よし、せっかくだしアレ使うか。そのためには少し動きを封じないと。

 僕は魔術でアスファルトから木の槍を何本か生やした。ゲームで言うところのquick攻撃だろうか。これで動きも封じた。後はトドメを刺そう。

 僕はずっと使いたかった魔術────いや、宝具(・・)を使う。

 

「僕にできることなんて、この程度さ────童心の君 夏の夜の後 恋は触らず 懐かしむもの────」

 

 辺りの景色が変わり、美しい森になった。僕は最後に言う。

 

「──── 『彼方にかざす夢の噺(ライ・ライム・グッドフェロー)』!」

 

 そう言った数秒後、その人型は横に倒れた。景色も元の街に戻っている。

 

「やった、のか......?」

 

「いや、眠らせただけさ。でも、今のうちに......」

 

 僕はそう言って魔術で槍を作り、それを人型に突き刺した。

 すると、人型は消滅し、パサりと『よしのん』が落ちた。

 僕はそれを拾って五河士道に渡した。

 

「ほら、行ってきなよ。四糸乃が待ってるよ」

 

「!ああ、わかった!」

 

 僕は五河士道が竜巻のようなものに突っ込んでいくのを見届けた。その直後、五河琴里から通信が入った。

 

『大丈夫!?』

 

「ああ、大丈夫さ。怪我ひとつしてないよ」

 

『それならいいけど......後でしっかり説明してもらうからね!』

 

「わかっているさ......」

 

 僕がそう言うと、通信は切れてしまった。

 さて、ここでさっきの宝具擬きについて説明しよう。あれは、ただ魔術を使って背景を変えて、そして眠らせているだけだ。簡単だろう?別に心象風景を上書きしてるわけじゃないから魔力もそこまで使わないし、本物の『彼方にかざす夢の噺(ライ・ライム・グッドフェロー)』じゃないから使った相手に普通に攻撃できる。演出は豪華でも、中身はただ眠らせるだけの魔術。それがこの宝具擬きさ。ただ、オベロンといえばこの宝具じゃない?使いたくなったんだから仕方ない。

 と、そろそろ終わりかな。

 曇りだった空は晴れ、竜巻のようなものは消えていた。それがあった場所の中心には、一人の少年が一人の少女を抱きしめている姿があった。




上手く書けてるかわかりません。
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