「やあ、僕はロビン・グッドフェロー」   作:Ask〈アスク〉

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タイトルの通りです。


「幕間の物語、ってやつかな?」

 四糸乃の封印が終わった後日、ブランカを連れて街をぶらぶらと歩いていると、見覚えのある人物がいた。

 特に話すこともないのでそのままスルーしようとしたのだが、向こうに見つけられてしまった。

 

「む、オベロンではないか!」

 

 そう言って十香は近づいてくる。

 

「......やあ、こんなところで奇遇じゃないか十香。それとオベロンじゃなくてロビンって呼んでくれないかい?」

 

「でも、オベロンはオベロンだろう?」

 

 最近頭を悩ませている問題の一つ。十香だ。

 初対面の時にオベロンと名乗った結果、普段からオベロンと呼ばれるようになってしまった。

 僕は別に構わないしなんなら嬉しいのだが、十香がそう呼んだ時の周りの視線が鬱陶しい。だからやめさせたいのだ。

 

「だから......ああ、もういいや。で、何をしてたんだい?見たところ、お使いに来ているようだけど」

 

 そう言いながら十香の手に持っている買い物袋に目をやる。

 

「おお!そうなのだ!私は何も言っていないのにわかるなんて、もしやオベロンはエスパーか!?」

 

「ははは、そんなに凄いことでもないさ」

 

 「自分の手に持っている物を見ろ」と言いたくなるが、抑える。

 

「ブランカもいるのだな。おはようなのだ!」

 

 ブランカはパタパタと羽根を動かして挨拶している。ように見えた。

 

「ところで、オベロンは何をしていたのだ?」

 

「特に何も。暇だったから適当にぶらついてたのさ」

 

「そうなのか!......なら、一つ話を聞いてもらってもいいだろうか?」

 

「いいよ。特に予定もないし」

 

「ありがとうなのだ!じゃあ、近くの公園で待っていてくれ!」

 

 十香はそう言うと、走ってどこかに行ってしまった。たぶん、五河士道の家だろう。買い物袋を置いてくる、ということだろうか。

 まあ、アイスでも買ってゆっくり行こう。

 

***********************

 

 公園でアイスを食べていると、十香が走ってやってきた。かなり急いでいるようだったが、息切れ一つしていない。さすが精霊、と言ったところだろうか。

 

「待たせてしまったか?」

 

「いや全然?今アイスも食べ終わったし、ちょうどいい頃合だよ。で、話っていうのは?」

 

「うむ、それはだな─────」

 

 十香の話を要約するとこうだ。五河士道に日頃の礼をしたいということだ。だが、何を渡せばいいのかわからなくて困っていたという。そんな時に見つけたのが僕だ。五河士道と仲のいい僕なら、何か知っているんじゃないかと思ったようだ。

 にしても、こんなイベントは原作になかった気がする。些細な変化ではあるが、これから先どんな影響が出るかわからない。警戒はしておこう。

 

「なるほどね。そういうことなら力になるよ。まあ、微力ではあるけどね」

 

「ありがとうなのだ!」

 

「じゃあまずは士道が好きなものを考えてみようか。何がある?」

 

「うーむ......」

 

 十香はしばらく悩んだ後、これだ!と得意げな顔で言った。

 

「料理だ!シドーはとっても料理が好きだ!」

 

「そうだね。ということは、何を渡せばいいのか、自ずと見えてくるんじゃないかな?」

 

 そう言うと、また悩んだ後、これしかないというふうに言った。

 

「ということは、私の手料理を渡せばいいのか!」

 

「うんうん、そう─────え?」

 

「ありがとうオベロン!行ってくる!」

 

 十香はそう言って走り出そうとした。

 

「ちょっと待って!」

 

 今こいつはなんて言った?僕はてっきり料理器具を渡すという結論に至ると思ったのだが......。

 そんな僕の考えは伝わらず、十香は不思議そうな顔で立ち止まった。

 

「どうかしたのか?」

 

「いや......十香って料理できるの?」

 

「料理のことは全くわからん!」

 

 ダメじゃないか!

 確か原作では、料理は上手くはないけど致命的なほど下手ってわけではなかった気がする。なら、まだ希望はある!

 

「ならさ、士道に渡す前に少し練習するのはどうだい?僕も少しくらいなら教えられるしさ」

 

「......そう、だな。よし!じゃあ私に料理を教えてくれ!」

 

「いいとも!じゃあまずは、何を作るか決めないとね!」

 

 そう言って、何を作るのか話し合うことにした。

 自分がどこまで教えられるかが重要になるな。頑張らないと。

 

***********************

 

 十香が料理の特訓を初めて数日が経った。前に授業で作ったクッキーをもう一度作ってみたいと言ったので、まずは一人で作らせてみた。最初に作られたものは少し焦げていたり、形がバラバラだったりと、失敗が多かった。でも、味はそこまで悪くなかった。小さい失敗は多かったものの、レシピ通り作ってはいるので、味自体にそこまで問題はなかったようだ。ただ、食感は少し悪かったが。

 それからは何度も練習して、だんだん最初にあった失敗もなくなってきた。

 少しだけならアレンジできるくらい余裕もできた。

 そして、完成した。

 僕は目の前に出されたクッキーを一つ食べる。

 

「......いい、とてもいいよ!うん!これなら士道も喜んでくれるよ!」

 

「そ、そうか!じゃあ早速渡してくる!」

 

「ああ、行っておいで。ちゃんと感謝の気持ちを伝えておいで」

 

「ああ!行ってくる!」

 

 十香はそう言うと、僕の家から飛び出していった。

 僕が食べたクッキーは、味は最初に食べたものと大差ない。だけど、食感は良くなってるし、形も揃っている。知り合いに渡す分には問題ない完成度だろう。

 にしても、この数日間。とても疲れた。人にものを教えるというのは、こんなにも疲れるものだったのか。オベロンはアルトリア・キャスターに多くの魔術を教えていたが、僕にはできそうにない。やっぱり本物には敵わない。

 でも、自分なりにやりきったという達成感もある。

 ......今頃、十香は五河士道にクッキーを渡しているのだろうか。明日、学校で十香にどうだったか聞いてみよう。




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