「やあ、僕はロビン・グッドフェロー」   作:Ask〈アスク〉

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ふとランキングを見てみると、この作品の名前がありました。評価してくださり、とてもありがたいです。


「やっと次に進めそうだ」

 彼にはたった一人の協力者がいる。しかし、信頼関係なんてものは微塵もない。

 お互い、それぞれの目的のために利用しあっている。

 

「久しぶりだね!来てるなら言ってくれればいいのに!」

 

 表向きでは親しく、裏では淡々と駒を進めるだけの関係。

 物語ではよくある関係ではあるが、それはとても歪なものだ。

 

「やっぱり君は面白いね」

 

 そんな関係は、見ているだけで面白い。

 そうは、思わないか?

 

 

 

 

 

 

 

 朝、教室でいつものようにみんなの話を聞いていた。適当に聞き流していると、予鈴が鳴った。

 教室の扉が開くと、岡峰珠恵がとても笑顔で入ってきた。

 ......やっと来てくれたか......。

 

「おはようございまーす!今日は皆さんにいいお知らせがありまーす!」

 

 ああ、確かにいい知らせだ。

 

「このクラスに転校生が来るのです!」

 

 岡峰珠恵が言うと、教室の扉が開き、そこから一人の少女が入ってきた。

 黒い髪に赤い目。片方の目には髪がかかっていて隠れている。顔立ちも整っているので、みんなの視線を集めた。

 

「それでは、自己紹介をお願いしますね」

 

「ええ」

 

 そう言うと、彼女はみんなの方を見て自己紹介を始めた。

 

「時崎狂三と申しますわ」

 

 そう言って、妖しく微笑む。そして、続けて言った。

 

(わたくし)、精霊ですのよ」

 

 そう言った瞬間、五河士道の身体が少しだけ動いたのがわかった。

 僕は椅子から立ち上がって、時崎狂三を見て言った。

 

「狂三!狂三じゃないか!久しぶりだね!来てるなら言ってくれればいいのに!」

 

「あらあら、貴方はロビンさんではありませんの」

 

「し、知り合い......なのか?」

 

 士道がおそるおそるという風に僕に訊く。

 

「ああ。前に言っただろう?精霊と会ったことがあるって。それが彼女さ!」

 

「ええ、ええ。イギリスでロビンさんと出会いましたの」

 

 これは本当のことだ。偶然というわけではないが、僕はとても運が良かった。

 原作には時崎狂三がイギリスに現れるという情報は一切なかったが、世界中で現れたという情報はあったので、それだけを頼りにずっと探していた。その結果、何とか見つけることができたのだ。

 

「えーと......出席をとってもいいですか?」

 

「ああ、すみません。じゃあ、また後で話そう」

 

「ええ、わかりましたわ」

 

 そう言って僕は自分の席につく。

 時崎狂三には伝えることも沢山ある。話をするのは昼休みかな。

 

***********************

 

 昼休み、僕は時崎狂三と共に屋上に来ていた。

 

「さて、まずはどこから話そうか......」

 

(わたくし)から話してもよろしくて?」

 

「ああ、いいよ」

 

「それでは......(わたくし)がいつも通り人を襲っていると、ある〈魔術師(ウィザード)〉に殺されたのです。それからというもの、その方から何度も殺されておりますの」

 

 笑みを浮かべたまま、表情を帰ることなく述べていく。

 なるほど、その〈魔術師(ウィザード)〉というのはやはり......。

 

「その〈魔術師(ウィザード)〉の名前は?」

 

「確か、崇宮真那、ですわ」

 

 やっぱりか。ということは既に日本にも来てるだろう。

 

(わたくし)からはこれでお終いですわ。次はそちらの番でしてよ?」

 

「ああ。......士道は今、二人......いや、三人の精霊を封印している。一人の封印は不完全なものだけど......まだ食べ頃ではないよ」

 

「ええ、わかっておりますわ」

 

「次に......毒を使った」

 

 僕が言うと、時崎狂三は少しだけ目を見開いた。

 

「あらあら、使ったのですか?あの毒を」

 

 あの毒というのは、僕が『よしのん』に注入した毒だ。

 

「ああ。使った相手は人形だったけど、問題なく使えた。ただ、人形自体に意思がなかったからか全く動かなかったよ。眠りはしたけどね」

 

 実は、あの毒はイギリスにいた時に実験として何度か使っている。そして、その実験に一度だけ時崎狂三も見ている。

 試した相手は浮浪者の男。きっと誰もいなくなったことに気づいていない。

 その男に使った時は、すぐに僕に襲いかかってきた。でも、『よしのん』の時はそうはならなかった。だから、使った相手の意思の有無が関わっているんじゃないかと考えた。

 

「そういえば、一つ頼みがあるんだ」

 

「頼み......ですの?」

 

「ああ。君が探している第二の精霊。彼女に会ったら、交渉しておいてほしいんだ」

 

 僕が言うと、時崎狂三は少し目を細めて言った。

 

「交渉、ですか。どんなものですの?」

 

「簡単さ。僕のことを調べるな。その代わり、僕は君を最大限サポートする。という交渉さ」

 

「......わかりましたわ。貴方が何を考えているのかわかりませんが、きっと必要なことなのでしょう。......そういえば、(わたくし)からもお願いがございますの」

 

「なんでも言ってごらん」

 

 時崎狂三は口元を歪めて言った。

 

「あまり、士道さんを(そそのか)さないでいただけますか?」

 

「......困ったな。僕としては、(そそのか)してる気なんてなかったんだけど......うん、善処するよ」

 

 痛い所を突かれたような気がする。確かに、今までに五河士道の行動に何度か口を出したことがあった。それが、時崎狂三の目についたのだろう。仕方ない。今後は少し控えよう。

 だけど、やっぱり。

 

「狂三」

 

「どうかなさいまして?」

 

「やっぱり君は面白いね」

 

「褒め言葉と受け取っておきますわ」

 

「ああ、そうしてくれ」

 

 彼女は、扱いやすい駒だ。




狂三の口調って難しいですね。
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