あと早速感想もらったけどその内容は同意しかなかった。
……うん、勢いって大事だよね、後先考えたくない時とか特に。
「う~ん、到着。久々のゾブルの空気だ~!」
「ったく、結局最後まで私に運転させるとは……空気ねぇ、美味いのか?」
「いや、全然! 戦場のほうがまだマシじゃない、じゃない?」
「だよなぁ……」
空港に到着し、戦闘機から降りる。
そんなことを話しながら僕たちが歩いていると、ちょうど僕たちが通るであろう道を作るかのように両端に兵士が並んでいた。
彼らは僕たちを認識すると、全員が敬礼をとる。まあこれは僕に向けてというより、隣を歩いているピサラに対してなんだろうけど。
そのままとりあえず建物に入ろうと歩き続けていると、向こうから1人の男性が歩いてくる。
彼は黒い長髪で目つきは鋭いというか悪く、勤務中だろうに煙草をくわえていた。
「――来たな、二人とも」
「やっほ~ジーサーティン! 数年ぶりじゃない、じゃな~い?」
そう言いながら僕は彼――ジーサーティンに手を振る。その様子を彼は呆れたように見つめ、隣の彼女は額に手を当てている。
「ジーサーティン防衛兵士長だ、ニッケル。上官への口の利き方は気をつけろ」
「あ、そうだった。敬語じゃないとダメでござんしたね、ジーサーティン防衛兵士長殿!」
「……ピサラ」
「……すまん、結構頑張ったんだが結局直せなかった」
そうピサラに言われ、ジーサーティンはため息とともに煙を吐く。それで落ち着いたのか、改めてこちらに向かって口を開いた。
「まぁいい。内容は聞いているな? 大体の面子はそろっているから、急いで会議室に行くぞ」
「あぁ、わかっている」
「了解であります、ジーサーティン防衛兵士長殿!」
「「…………」」
あらら、スルーですか。面倒だと思われちゃったのかな、流石に。
そう思いつつも無言で歩き始めた二人を追うように僕も歩き出した。
「……さて、こ奴らの強さは大体こんなもんじゃ」
『…………』
さてさて時間は進みまして、現在会議室。今僕たちは全員で博士の持ってきた映像を見つめていた。
と言っても僕にとってその映像は無意味でしかないので、気持ち半分で見ている。となると中々に退屈な時間になるわけで。
と言うわけで、ここで現状を確認しつつ僕の現状も伝えてみようのコーナー!!
まず僕はただの
そして左隣にいるのがピサラとジーサーティン、そしてゴリラ顔の海軍大将ネプトに鼻の絆創膏がチャームポイントの少年兵コリー。あ、コリーはピサラの弟ね!
さらに続いていかにも駄菓子屋にいそうなカリスマ産婆ウメヨに、The中間管理職といった顔の「生き生き育児支援課」係長バコード、そして名前も恰好もやべえ調教師のミクだ!
そんであとはその他大勢の皆さん。軍人だったりそうでなかったりします、以上。
そんな面子を目の前にいるロボット――オオバミ博士が集め、とある映像を見せている。
さて、ここで事情を知らない人は思ったんじゃないかな? なんだこの面子ってさ?
いやー全くその通りだよね。なのでお答えしましょう!
うんまぁ簡単に言うとね、実はここにいる全員…………人間ではありません!!
え、じゃあ何かって? 魔族だよ。
魔族って何かって? みんなが想像する魔物が一番近いんじゃないかな? 今ちょうど目の前の映像に出ている巨人みたいなの。
でもここにいるみんなは人間そっくりだろって? 生まれた瞬間に人間の赤ちゃんと融合して知性を得ているからだね。
どのくらい強いのかだって? 金属程度なら握力だけで潰す力、目にもとまらぬ速さ、戦車程度じゃどの弾丸撃っても傷一つつかない頑丈さ。こんなもんかな?
なんでそんなことを知っているのかだって? それはまぁ――僕がいわゆる転生者だからですけど?
いやぁビビった。何の前触れもなく、気づいたら赤ちゃんスタートだったんだもの。さらに成長していくにつれ、自分の立ち位置に気づいて絶望するセット付。
絶望の理由はこれまた単純。僕は原作キャラに憑依したみたいで、そのキャラは序盤も序盤に死亡することがほぼ確定していたからだね!
……と、続きは後程話すとしよう。そろそろ映像も終わるだろうし、意識をそちらに戻したほうがよさそうだ。
ちなみに映像の内容は、生き返った魔族を相手にこの世界の主人公たち3人が戦っている様子を写したものだ。更にちなみに彼らも人間じゃない。あっちは韋駄天という種族で、大雑把に言うと神様みたいなもんだ。神様VS魔族という、結構わかりやすい対立構造だろう?
と言うわけで、現状を確認しつつ僕の現状も伝えてみようのコーナー終わり! 次回の予定はありません!!
「どうかな?」
「取るに足らぬ存在、そう言いたい所ですが……思っていたより厄介な存在ですね」
博士の言葉にそう返したのはピサラ。その表情は真剣だが、汗が一滴頬を垂れている。
「えぇ~、なんで? 僕でも倒せそうだよ、こんなやつ……モグモグ」
「魚を持ちこむなって言ってるだろうが、コリー!……だが、言ってることには俺も同意だな」
ふてぶてしく言うコリーを叱りつつ同意するのはネプト。その表情は不満ありありといった感じだ。
「こんな雑魚どもにビビッて俺たちは人間の姿に化けてこそこそしていたのか!?」
そう言いながら彼は机をバンと手で叩く。それに同調してか、その他大勢の皆さんからも不満の声がちらほらと出始めた。
……あ~ぁ、やだねえ。ここは原作でもニッケルは脅していたけど、原作を知っているせいか余計にイライラするなぁ。
「馬鹿馬鹿しい! さっさと世界をぶっ壊しに――「ねぇー?」――あんだよ、ニッケ……ル……」
「さっきからうるさいよーネプト? ピサラもまだ理由話してないんだしさぁ……」
「スコしはシズかにしようヨ?」
そう言いながら僕はとびっきりの笑顔をネプトに向ける。つまりこの表情は立ち位置的に皇帝夫妻以外に見えているわけだが、どうやら効果は抜群のようだ。さっきまで騒がしかった会議室も、ようやく静かになったみたいだし。
「お、おう……すまんかった」
「フォフォフォ、まぁどちらの言い分もわかるわい。では、わかりやすくするかの」
博士はそう言いながら映像を切り替える。そこには先ほどまで戦っていた3人のうち2人、メガネをかけた青髪の少年と金髪ツインテールの少女が映っていた。
「こ奴らに勝てると思うもの、手を挙げてみぃ?」
その問いに対し、部屋にいる全員が手を挙げる。
それはそうだ、この二人は僕たちより劣っている巨人魔族を相手に苦戦し、結局傷一つ負わせることはできなかったのだから。僕たちが負ける道理はない。
「よろしい。ではこの小僧は……どうかな?」
そう言って映すのは最後の1人。三白眼の少年――この世界の主人公だ。
そしてそれに対して手を挙げるのは、先ほど名前を挙げた中でバコードとミク以外の僕含めた8人だ。これもまた道理、いくら主人公とはいえこの時期の彼はまだ弱い。この面子なら簡単に倒せるだろう。
「では仮に、この小僧と同格のものが数多くいたり、その数倍強い師匠的存在がいた場合は?」
――さあ、ここからが問題だ。
原作ではこの問いに対し、僕とブランディだけが手を挙げた。実際この二人は強いし、数倍強い程度じゃ勝つ見込みも十ニ分にあっただろう。今の僕の強さは少なくとも原作以下ではないはずなので、手を挙げてもいい。
……そう、それこそが罠。トラップなんだ。
どういうことかと言うと、この師匠的な存在――これがやばすぎる。
この師匠的存在と言うか実際に主人公たちの師匠である韋駄天、こいつがめちゃくちゃに強い。
数倍程度じゃない、数十倍でも足りない。数百倍と言っても過言じゃないくらいには強い。
9時間で世界一周する主人公を遅すぎると言ってのけ、魔族以上の力を持ち、韋駄天と言う種族特性も相まってダメージを負うことはほぼ存在しない。
それこそが最強の韋駄天――リンである。
……さぁ、もうみんなわかっているよね? 僕が絶望していた理由。
それは何を隠そうこのニッケルはここで手を挙げ、後にジーサーティンと共に襲撃し、ものの見事なリンのかませ犬となったからである。
うん、つまり僕の寿命はもう秒読みなんだ。更にたとえここで手を上げなくても僕はおそらく襲撃に参加することになる。
なぜかって? 張り切って鍛えまくったらここにいる誰よりも強くなっちゃったからだよ!
いやー原作では僕が防衛兵士長だったんだけども、面倒すぎてジーサーティンに丸投げしちゃったんだよ。その挙句ピサラにくっついてあちこちの戦場渡り歩いてたし。実験と鍛錬の時間だけはあったからなぁ~。
まぁそれに、リンは魔族絶対殺すウーマンだ。ここで奇跡的に出なくても、のちに滅ぼされるのがほぼ確定しているのである。慈悲はない。
……と、この話はこの辺で。まぁ下手に原作の行動からずらして変になっても困るし、ここは手を挙げますかね。
「「(スッ)」」
「……ニッケルとブランディ、やはりこの二人か」
さて、このままいけば博士が主人公につけた発信機によって場所を特定。相手の勢力不明ということで、最強のカード……つまり僕で偵察することになるだろう。さすがにブランディは出せないよね、皇帝の奥さんなわけだし。
さてさて、果たして今の僕はどこまで彼女と戦えるかなぁ? 原作よりも戦いになるといいなぁ。
そんなことを考えながら、僕は会議を話半分で聞くことにしたのであった。マル。
「……ふーん?」
次回は主人公以外の視点で話をかいた後、最初にして最大の戦闘に逝ってきてもらいます。