ボク、ピーマンが好きなんだよね   作:灯火011

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評価数500件。ありがとうございます。
いやはや、思えば遠くに来たもので、気づけば2回目の有馬記念が近づいております。

これも全て皆様のお気に入り、評価、感想、そして誤字修正のお陰でございます。

重ねて感謝を。ピーマンイズワンダフル。


ピーマンの熱い季節

 

 もっしゃもっしゃ。

 

 うーん、やはり日本の小ぶりのピーマン。採れ立てのピーマンが一番である。帰国してから厩舎前の地面に、数本ピーマンの木が育っていた時には目玉が飛び出たものである。お陰様で毎朝、捥ぎ立てのそれをバケツに入れてくれるので、実に旨い飯を毎日のように食えるわけなのだ。

 

 しかし、帰国後から約一カ月ほど経ったと思われるのであるが、未だに取材陣やらが私の下を訪れている。実際、今でもそうだ。もっしゃもっしゃとピーマンを食べる様を、延々と写真で撮っていらっしゃる。

 いやまぁ、撮られて別にストレスになるわけでも…おっと、手ずからピーマンを頂けると。これは有難い。まぁ、このようにピーマンを頂けたりするわけで、案外とこの状況はお気に入りだ。それに気持ちも判るのだ。

 

 日本競馬には程遠いと思われていたあの凱旋門の扉を開き、届かぬ頂であったブリーダーズカップクラシックの頂点に登り詰めた馬がいるのだ。そりゃあ会いに行きたい。私だって会いに行きたい。好物がピーマンだというのであれば、自ら餌をやりたい。いや、本当にそう思う…あ、また頂ける。ごっつぁんです。

 

 しかしまぁ、我ながらよくやったと思うのだ。凱旋門もクラシックも強敵揃いであった。特にエーピーインディ。セクレタリアト由来のあの走りは忘れられないものである。凱旋門も2着のお馬さんがかなり強かった。あとはなによりあの芝とダートの感触も日本とは違い過ぎた。むしろ外国の、凱旋門の時のように沈む芝が私には合っているなぁと感じてはいる。脚への衝撃が少ないし、パワーが逃げないのですごく好みでもあるのだ。

 

 此方に帰ってきて、日本の芝のコースで私がどう走れるのかを早く確認したいのだが、実のところまだ坂路とプールで軽く鍛錬しかしていない。坂路については木のチップであるため、なんとももどかしくもあるのだ。

 

 とはいえ、出来る事からコツコツと、ということで、坂路については今回の鍛錬から全力を出して5往復程度で終えている。イメージとしては骨がきしむ寸前を見極めて、しっかりと足を振りぬくイメージである。1往復で脚の幅を広げ、2往復目で回転を上げ、3往復目で更に歩幅を広げ、といったように、戦略の幅を広げることも忘れてはいない。ただ、海外の遠征で少々無理をしたせいか、体がまだ本調子ではない感じがするので、しっかりと調子を上げられるように体調管理もしていかなければと思う次第だ。

 

 あ、ちなみに鍛錬終わり、帰りがけに厩舎前に植わっているピーマンから『もぐ前食べ』をしっかりと楽しんでいる。何せもう季節は11月。もう少しでピーマンの美味しい時期は終わってしまうのだ。枯れる前にしっかりと味わわなくてはいけないのだ。

 

 そうそう。ピーマン同志と、あの仮面のお馬さんも久しぶりに姿を見ることが出来た。

 レオダーバン同志には苗木を一本やられてしまったので、「こいつは実を食うんだよ木を食うなよ」と少し怒っておいた。というか、普通のお馬さんの場合は、ピーマンの木ごと食ってしまうのかと驚いたものである。そして何より驚いたのは、彼らのゼッケンに星が増えていた事である。

 レオダーバン同志は、天皇賞の1つのはずだったものが、2つになっていた。ということは、私と同じで、パリの後でどこかで走ったという事なのであろう。いや、なかなか無茶なローテーションを乗り越えてよくぞ元気に再会できたものだと思う。

 で、仮面のお馬さんについては、なんと、一個目の星がくっついていたのだ。今まで星が無かったはずなので、とりあえずはおめでとう!とニュアンスを伝えておいた。

 

 にしても、レオダーバン同志はレオダーバンであるとして、この仮面のお馬さんは果たして誰なのであろう?

 

 年齢はまぁそうだな、私と一緒であろう。ええと…確かブリーダーズカップクラシックが92年とか書いてあったはずなので今年は1992年であるとしよう。…昨年、つまり1991年のクラシックを走ったお仲間である。つまりは同期のお馬さんであることは確定している。体は鹿毛で、それで被り物が赤と緑のストライプ。クリスマスカラーである。あとは尻尾と足元の毛が黒いぐらいである。

 

 うーん…トウカイテイオー世代で仮面を被ったお馬さん、で、仮面の色がクリスマスカラーときている。かなり特徴的なので思い出せそうな気もしないでもないのだが。で、ゼッケンを見ればグレード1の競走で勝利をしたお馬さんである…いや、正直勝ち星などは参考になるまい。なんせ私ことトウカイテイオーが怪我をしないで凱旋門をぶっちぎったのだ。レオダーバン同志も一緒に現役を続けているのだ。となれば、このお馬さんも例に違わないのではないだろうか?

 

 そういえば前、一緒に走ったレースは何時だ?天皇賞…?いやまて、確か…有馬記念じゃなかったか?1着が『8』で、2着が私、3着がこの仮面のお馬さんで、4着があの葦毛のお馬さん…。有馬記念…3着…トウカイテイオーの同期…?あれ?有馬記念の3着…テイオーの同期…。

 

 あ!ナイスネイチャか!?え!?いやまてお前ナイスネイチャ!?

 

 いや、そうか、ナイスネイチャか!そうだよな、あの特徴的なクリスマスカラーの仮面!有馬記念3着!トウカイテイオーの同期!やっぱお前ナイスネイチャだよな!?え!?ちょっとまってゼッケンに星ついてるじゃん!?グレード1勝ったの!?わあ本当おめでとう!

 

 いかんいかん。興奮してしまった。そうか、多分お前はナイスネイチャなんだろうなぁ。そうだよなぁ。だって、キセキの復活トウカイテイオー!でも3着。あの奇跡の復活有馬記念は1993年で、その時で3年連続3着だったはずだ。記憶の通りであれば、昨年の1991年の有馬記念3着がその一回目の3着だったはずなのだ。でも、結局このナイスネイチャというお馬さんは、重賞こそ勝ってはいるのだが、グレード1での勝利だけはついぞ無かったはずなのだ。

 

 だが、目の前に居るナイスネイチャは、明らかにゼッケンが金色ナンバー。そして輝かしい星が一つ。うーん、実におめでたいというモノだ。

 

 …って待てよ?1991年の有馬記念って言えば…思い出せ。トウカイテイオーが怪我をして休んだ有馬記念。何か事件があったような…………。

 

 あ!ダイユウサク!そうだ!あの有馬記念、大本命メジロマックイーンをぶっちぎってレコード勝利したお馬さんがいたのだ!

 ああー、なるほど。思い返せば辻褄が合う。道理であのお馬さんクッソ速かったわけだ。私が有馬記念の最後で競い合ったのは、レコードを出して勝ったダイユウサクだったかぁ、いや、私の名前が判ってから色々思い出して考えると、なかなかの名馬と走っているものである。

 

 ん?いやまてまて、となると、あの葦毛のデカいお馬さんってもしかして。と思い立った時である。

 

やっと、お気づきになられましたの?

 

 そんなニュアンスを感じ取った。慌てて周りを見回してみるが、あの葦毛のお馬さんはどこにも居ない。うーむ。しかし、そうか。そうなると、今年の春の天皇賞のポスター。私と葦毛のお馬さんが大写しだった理由も判ると言うモノだ。

 

 メジロマックイーン。

 

 ()()は君とも競い合えていたのだな。いやはや。なんという光栄な事であろうか。私が馬になってからどうなることやらと思ったが、これほどまでに名馬と競い合えていたとは。実に幸せな日々であると、断言できる。

 

 さてさて。そうなると次のレースが楽しみで仕方がない。次はなんだ?ジャパンカップか?天皇賞か?それとも、休養を挟んでからの暮の中山か?なんにせよ、楽しみである。

 

 

「やあ、呼び出してすまないね。ナイスネイチャ、リオナタール、トウカイテイオー」

 

 ジャパンカップで勝利したナイスネイチャ、そして帰国してからしばらく会見やらで忙しなくスケジュールを熟していたリオナタールとトウカイテイオーは、生徒会室で一堂に会していた。

 

「呼び出した理由は他でもない。めざましい活躍、素晴らしいものだった。ついては、URAから正式に表彰を行いたいと打診を受けてね、いくつか確認をとっておきたくてね」

「私たちが表彰を?」

 

 リオナタールが首を傾げつつも、そうルドルフに疑問を投げかけていた。ルドルフは、笑顔で首を縦に振る。

 

「うむ。リオナタールは日本のウマ娘として、フジノオー以来の重賞制覇。トウカイテイオーは言わずもがな。ナイスネイチャは最高のメンバーのジャパンカップを見事勝利して見せた。そして君達三人は同期だ。素晴らしい事だとね」

「確かに私もリオもテイオーも同期ですが…3人共表彰なんですか?」

 

 今度はナイスネイチャだ。普通の表彰であれば、年度に1人が通例である。が、今回は3人共が受賞である。疑問も当然だ。

 

「ああ!同期でここまで活躍したのは、それこそ先達のテンポイント、トウショウボーイ、グリーングラス以来の快挙だ。本当に素晴らしいと、誇らしいと思っている。私からも、推させて頂いているし、理事長も賛同している」

「ありがとうございます!ルドルフさん!」

 

 テイオーが笑顔でそう言った。ルドルフは笑顔で頷き返す。

 

「さて。では詳しい日程についてだが…暮の中山。有マ記念。その前日。君達の表彰を行いたいと思っている」

「え?」

「前日?」

「後じゃなくてですか?」

 

 三者三葉の言葉で反応を返していた。困ったような笑みを浮かべたルドルフであるが、右手を少し上げて更に説明を続けた。

 

「うむ。まぁ、正直に言ってしまうと、有マ記念の余興のようなものと思ってくれていい。

 

 最強世代の三人が表彰を受け、そして、その翌日に雌雄を決する

 

 …そのようなストーリーをURAの幹部たちは思い描いていてね。――まぁ、もちろん拒否権はある。嫌だと言えば年末の通常の表彰になるが、どうするかな?」

 

 そう言ったシンボリルドルフに、いの一番に答えを返したのはナイスネイチャである。

 

「そうですねー。私は良いですよ」

 

 そして続けざまに、リオナタールも。

 

「うーん…ま、私も良いです。盛り上がりそうですもん」

 

 ルドルフは首を縦に振り、最後の一人へと言葉を投げた。

 

「テイオーはどうかな?」

「もちろんオッケーです!それに、最高じゃないですか。盛り上がりそうじゃないですか!」

 

 トウカイテイオーはそう、楽しそうに答えた。3人共に目を輝かせ、やる気十分といった所だ。

 

「そうか。それならば、そう申し伝えておこう。

 さて、それはそうとして、これからは個人的な話だ。ナイスネイチャ、リオナタール、そしてトウカイテイオー。本当にありがとう。そして、おめでとう。

 君達は日本のウマ娘に、大きな希望の光を与えてくれた」

 

 そう言って、ルドルフは席から立ち上がり、一人一人に目を向ける。

 

「リオナタール、君は固く閉ざされていた海外の門をその末脚で見事にこじ開けてくれた」

 

「テイオー、君は、まだ誰もが無理だと思っていた凱旋門、そしてクラシックと芝とダートの頂に届いてみせた」

 

「そしてナイスネイチャ。君は彼女らの活躍を受けて、日本の冠を意地でももぎ取ろうと燃えに燃えていた外国のウマ娘達を見事迎え撃ってくれた。これ以上に誇らしい事は無い」

 

 笑顔で言い切ったルドルフに、3人は深く頭を下げた。

 

「「「ありがとうございます」」」」

「さて、では伝えることも伝えたので、ひとまずは解散とする。…ああ、そうだ。トウカイテイオーだけは残ってくれ。凱旋門とBCクラシックの話をくわしく聞きたいと思ってね。ナイスネイチャ、リオナタール。ありがとう。そして、本当におめでとう」

 

 会長の言葉に、改めてリオナタールとナイスネイチャは礼を尽くし、そして生徒会室を後にしていった。残ったのは、シンボリルドルフと、トウカイテイオーの2人だけである。

 

 

 シンボリルドルフとトウカイテイオーの2人だけの生徒会室。お互いにソファーに座り、ルドルフが淹れたコーヒーを一口、二口と楽しんだ後である。沈黙を先に破ったのは、シンボリルドルフの方であった。

 

「さて、と。テイオー。君が帰国してから、お互いに都合がつかないせいかゆっくり話す時間もなかったな。確か、こういう風に、ゆっくり話すのもフランスのピーマンの夕食以来か。いやはや。連日、テレビで君を見ていて、実に誇らしかったよ。しかし、凱旋門賞の最終直線。本当に熱かった。私も我を忘れて応援してしまっていた。行け、と。思わず最後、君が一番でターフを駆け抜けた姿を見た時には、涙を流してしまってね。…嘘じゃないぞ?エアグルーヴとナリタブライアンには泣き顔こそ見せていないがね」

 

 微笑みを浮かべながら、そうルドルフはテイオーと楽しそうに話を進めていた。

 

「で、どうだった。凱旋門のターフは。BCのダートは。外国のウマ娘は…そうか。そうか!強かったか。やはり、強かったか!!そうか!強かったか…!ああ、私も叶うならば…ん?どうした。テイオー…そうか。判るか。仕方がない、ああ、わかった。私の本音を言おう」

 

 だが、次第にその声色は強く、低くなる。気づけばルドルフは射貫くような目でテイオーを見ていた。

 

「トウカイテイオー。いつ、私と競い合ってくれる。いつ、私と、その冠を賭けて戦ってくれるんだ。いつ!ドリームトロフィーで走るんだ」

 

 漏れ出たルドルフの本音に、しかし気圧されず、トウカイテイオーは彼女の目を見て、まっすぐに言葉を返す。すると、ルドルフの態度は少しずつ和らいでいった。

 

「…そうか、いくつかトゥインクルシリーズのレースを勝ちたいか。まずは有マか…で、そのあとは春天か。しかし、その後というのは?…はは、はははは!それは、それは確かに!その称号は君にこそ相応しいだろう!承知した!私は、私の牙を磨いて君を、王者を待とう!」

 

 気づけばルドルフは快活に笑っていた。そして、楽しそうに言葉を続けた。

 

「ああ、そうそう。今のうちに伝えておこう。今、君は此方で非常に注目のウマ娘だ。引退した諸先輩方も復帰に向けて鍛錬を再開していてね。ああ、そう驚くことでもないさ。君の足は自由自在。変幻自在の帝王だ。しかも芝の王でもあり、ダートの王でもある。だからこそ、そのウマ娘に、此方に上がってきたその帝王に最初に土を付けるのが誰なのか、いや、私なのだと躍起になっている。そうだな。私もその急先鋒ではあるが…気を付けるべきは他にも多数いる。…誰かって?はは、それは走ってからのお楽しみという奴だ。本当に君に触発されたようでね、テイオー。強いぞ、彼女たちは」

 

 このルドルフの言葉に、気を引き締めたテイオー。それを見たルドルフは、満足そうに頷いた。

 

「うん。気を抜かないようにな。ああ、それと。最後に一つ。これからは私と君はライバルだ。いや、少々見栄を張りすぎた。私が追いかける立場だな。必ず、追いついてみせるからな。テイオー」

 

―――ボクに追いつく?シンボリルドルフさん。ボクを甘く見ない方がいいよ。だって僕は、最強無敵のテイオー様なんだからさ!――――

 

 嗚呼。あの時。私の隣に並び立ったウマ娘は、それだけでは飽き足らずに世界を股にかけて、私を軽々と超えた。超えて行ってくれた。これが、嬉しくないはずがない。

 

「知ってる。さて、それでは久しぶりの再会を祝してゆっくり食事などどうだろうか」

 

―――ピーマンはあるの?―――

 

「もちろんさ。私もピーマンが好きだからね。肉詰め、チンジャオロース、天ぷら。お望みの料理を作ってみせよう」

 

 だが、見ていろトウカイテイオー。私だってウマ娘だ。お前と同じ、一番を目指すウマ娘なのだ。皇帝でもなんでもない、ただの一人のウマ娘として、いつかお前を超えてみせよう。――でも、それは今じゃない。今ではないのだ。

 

 それならばもう少し、トウカイテイオーの走りを見ていたいと、シンボリルドルフは心の中だけでそう呟いた。

 

 

「おつかれ。どうだった、オーナーとの打ち合わせは」

「お疲れ様です。有馬は走らせることで決まりました。ただ、来年以降は未定ですね」

「ふむ。まぁ、有馬は人気もあるし順当といったところだな。しかし、来年となると…天皇賞春か、それとも宝塚か、か?」

「ええ。そのあたりの名前は出ました。何より走る姿を見たいという声も大きいらしく、オーナーも種牡馬入りを迷っているようで」

「なるほどな」

「あとはミホノブルボンとライスシャワーとの対決の声も聞こえてきましたよ」

「ああ、そういえば今年のクラシックも豊作だったよなぁ。2冠馬ミホノブルボン、菊花賞馬ライスシャワー。東と西の対決だ!なんて盛り上がってたよなぁ」

「ええ。加えて、そのライスシャワーを菊花賞前にセントライトで圧勝したレガシーワールドもいますしね。テイオーの世代と同じように豊作です」

 

「しかもなぁ、そいつらが怪我無く、暮の中山に勢ぞろいっていうんだろ?しかもアメリカからはエーピーインディがリベンジで参戦予定。とんでもない事になりそうだな」

 

「ええ。今のところの有馬記念の名簿ですが…。

 

 トウカイテイオー、レオダーバン、ナイスネイチャの5才古馬の強豪が揃っていて、4才のクラシックを走っていた馬だとミホノブルボン、ライスシャワー、レガシーワールド、ヒシマサル、サンエーサンキューあたりの重賞勝利組が勢ぞろい、外国からはリベンジに燃えるエーピーインディが引退レースと銘打って殴り込みですね。あと忘れちゃいけない、グランプリホースのメジロパーマーとダイタクヘリオスの宝塚の逃げコンビももちろん走るわけで、更に怪我の回復の様子によってはメジロマックイーンが参戦するわけですから…

 

 正直、どの馬が勝ってもおかしくないと思います」

 

「なんだか夢みたいに豪華な面子だな」

「夢、ですか。夢の有馬記念…グランプリ…。その杯を懸けて走るわけですから…ドリームトロフィー、とでも私達の間だけで呼びましょうか?」

「そりゃあいいな。―――暮の中山、有馬記念。あなたの夢は、わたしの夢は叶うのか。ってか?」

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