Lucky!~地球内生命体のせいで宇宙滅亡の危機~   作:ばにらいむ

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第二話です。


Lucky2 謎の男

「まじか…」

洋一が再び努力と少女に再開したのは、通学路の最寄り駅の前だった。

 

「師匠!こいつどうします?」

少女を小脇に抱えたまま尋ねる努力。

「う~ん…とりあえず警察に突き出すか…」

と言いながら少女に目をやると、無表情だ。しかも大人しい。

 

 

「あー…とりあえず鞄返してくれる?」

こくりとうなずく少女。肩は努力に捕まれたまま、抱えている鞄をスッと差し出した。

 

「えっと…何でこんなことを?」

「これ」

少女は差し出していたカバンを引っ込め、中身をごそごそと漁りだす。

そして鞄から引き抜かれた手には、辣韭の漬物が詰められた瓶が握られていた。

 

「へ、変身用らっきょ?!なんでそれを?」

「君はとても強いヒーローだから…」

「師匠、こいつ何なんですか?!」

「いやしらんよ!」

努力も動揺を隠しきれていない。

 

 

どうやら少女は追手内洋一……ラッキーマンを知っているようだ。

 

 

「何で君がラッキーマンを…いや、僕のことを知って…」

 

 

「師匠ッ!」

言い終わらないうちに努力の叫び声が耳を貫いた。

そのまま頭をつかまれ、地面に叩きつけられる。顔を地面に強打し、その痛みにうめく洋一。

 

 

「な、何すんの努力~…」

「あれをっ!」

努力が指さす方向には、男が立っている。警察の制服のような衣装に身を包んだ、紫色の髪の男だ。

そして洋一の目の前の地面には、大ぶりの剣が突き刺さっていた。

 

 

 

 

「ラッキーマンこと追手内洋一、杉田努力こと努力マン…お前達を処刑する!」

 

 

 

 

「はぁ?!」「ええ?!」「…またお前か…」

 

 

 

 

突然現れた男にいきなり淡々と、「お前を殺す」と宣言され、面食らう洋一と努力。

半面、少女の顔は鬱陶しいという感情が隠しきれていなかった。

 

「ちょ、何で俺らが!」

「やかましい!!お前たちは我々ザリガニ党の持つ『機密事項』を盗み出した、

その罪はお前達の死を持って、償ってもらう!」

 

男の目は血走っており、洋一の背筋は嫌な寒気に包まれた。

 

「っ!走って!」

 

いつの間にか努力の腕から脱出した少女が努力と洋一の手を引いて走り出す。

先ほどとは比べ物にならないくらいの速さだ。彼女が走る度に稲妻が走っているような錯覚に襲われる。

 

「待て!」

謎の男も後を追う。

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

無人区に入った少女は、そこで足を止めた。

 

「はぁ…はぁ…」

訳も分からず走らされた洋一は肩で息をしている。

「師匠、大丈夫ですか?」

「ね、ねえ、あいつ何なの…?」

 

少女は答えず、近場にあった無人のアパートの階段に足を掛ける。

「どうぞ」

 

おそらく少女はこの廃墟と化したアパートで暮らしているのだろう。

少女に呼ばれた二人も錆びた階段を上がっていった。

 

 

少女が使っている部屋を見て2人は驚いた。

 

何も、無かったのだ。

いや、あるにはあるが、少なすぎる。

 

部屋の隅には、少女が身に着けているものとは少し異なるデザインの上着が掛かっていた。

その他にはゴミが詰まったやや小さな袋、何かの漫画や本、折りたたまれた服一式が、部屋の隅にまとめて置かれていた。

 

「人が生活するってレベルじゃないですよこれは」

隣の努力がぼそりとつぶやく。洋一は「お前にだけは絶対言われたくない」とうっすら思い、少女に「そんなに荷物少なくて生活できてるの?」と聞いてみた。

 

「最低限の荷物でいいの。そんなに困らないから」

少女はそっけなく答える。

その顔からは人間としての生気のようなものはあまり感じ取れなかった。

 

 

 

「で、さっきから聞きたかったことがあるんだけど…」

不気味に思いつつも洋一は床に座り込み、ゆっくりと口を開く。

 

 

「ザリガニ党の人」

「ザリガニ党って…そんな人がなぜ私たちを狙っているんですかねぇ、師匠」

「僕に聞くな」

「それはわからない。あの人たち、ずっと私のことを探してたから私を捕まえるならともかく、何であなた達のことを…」

「じゃあ…あいつが言ってた『機密事項』って…君のこと?」

「さぁ…」

 

少女は訳が分からないといったふうに首をかしげる。

「訳が分からないのはこっちだよ、こんなわけのわからないことに巻き込みやがって」

と、喉まで出かかった言葉を慌ててごくりと飲み込む洋一。

 

「じゃあ警察には頼れないということか」

うんうん、と頷く努力。

「それで、君はなぜ師匠の辣韭を狙ったんだ?」

「あ、それ俺も気になってた」

 

少女は顔を上げて、洋一をじっと見つめる。

 

「…ラッキーマンみたいになりたくて。私不運な人間だからさ」

 

少女の返答に二人は目を皿のように丸くした。

洋一は一つ溜息をつくと、

「あのさ…らっきょ食べたくらいでラッキーマンみたいに幸運になれるわけないでしょ」と、まるで万引き班を取り締まる刑事のごとく少女を叱る。

 

「すみませんでした…」

「まあ、やっちゃったことは仕方ないよ…こうしてらっきょも返ってきたことだし、それにさっき助けてもらったからね。鞄は壊れちゃったけど」

 

とりあえずここを出よう。洋一と努力が立ち上がったその瞬間。

 

 

 

ドゴオオオオオオオッ と。

爆風とともに扉が吹き飛ばされた。

 

 

飛び込んできたのは先ほどの男。

「っ、またアンタ⁈」

「ここにいたのか、今度こそ捕らえさせてもらうぞ!」

 

「うわぁ~今日はとことんついてね~!努力ちゃんどうしよう!」

がくがくと震える洋一と、その洋一の盾にされている少女。

 

努力は師匠と見ず知らずの少女を守るべく、二人の前にずいっと出た。

「どうやら話し合いで解決できそうな相手ではないようですね…二人は下がっていてください」

 

 

 

助走をつけて飛び上がり、そのまま男の顔面に拳を叩きこむ。が、次の瞬間努力

の視界に入ったのは自身の拳をしっかりと受け止める男の顔だった。

 

 

努力マンに変身していないとはいえ、自身の拳を受け止められる人間はそうそういないはず。いるとすれば洋一のクラスメイト・不細工です代くらいなものだ。

しかし目の前の男は…。

 

 

 

「お前、人間じゃないな!」

 

そう言い終わらないうちに拳を振り払われ、横面を思い切り張り飛ばされる。

 

「ぐ…」

その威力で部屋の壁に吹き飛ばされ、思わず努力はうめいた。

 

「ご名答」

男はニヤリとうすら笑う。

 

 

話は通じない、攻撃も通じない。ならば。

体勢を立て直した努力は洋一と少女を抱え、アパートを飛び出した。

そのまま全速力で無人区を後にする。

 

 

「糞っ!また逃げる気だな…まあいい、まだ方法はある。

 

彼女は、必ず俺が…」

 

 

男は目を閉じると、洋一たちとは反対の方向に歩き出した。

 

 




第三話に続く
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