Lucky!~地球内生命体のせいで宇宙滅亡の危機~ 作:ばにらいむ
東廊下。
「っ!」
ドゴンというすさまじい轟音とともに、魚雷が発射される。
それをぎりぎりでよけつつ「ナイスミサイル!」とぼやくのはナイスマンだ。
「あ…危なかったっス…今も十分危ナイッスけど!」
彼は先ほどまで聖・ラマンと行動を共にしていたが、今は違う。
「全く…一体どうしちゃったんスか!セーラーマン!!」
「……」
かすり傷だらけのナイスの前に立ちはだかっているのは、ラマン本人なのだ。
その眼に生気は宿っておらず、肌の色は紙のように白い。まるで死体のようだ。明らかに正気ではなかった。
「無駄だ。もうその子は私の可愛い操り人形…元に戻すには殺すしかないぞ…最も、彼女を殺せば私がお前の相手をすることになるがな」
「…っ」
ラマンの後ろに立つ紫色のパーカーを着た金髪の女が、ナイスマンに向かって言った。
一体どうしてこんなことになってしまったのだろうか…以前ラマンから放たれる攻撃を避けながら、ナイスマンは回想する。
10分前。
東廊下にたどり着いたラマンとナイスマン。目の前に立っていたのは、鞭を構えた件の紫パーカー女だった。
「あなたもザリガニ党の幹部なの?」とラマンが問いかける。
その問いかけに応じるように女は顔を上げ、こう言った。
「久しぶり…ラマンちゃん」
柔らかな笑みを浮かべたその表情に敵意は感じられず、まるで学生時代の親友に久しぶりに会ったかのような、いや、遠距離恋愛中の彼氏と久々に会ったかのようだとナイスマンは思った。
もしかすると話し合いの余地があるかもしれない。その考えはラマンも同じだったらしく、「あなたが今すぐに投降するなら悪いようにはしないわ。どうか武器を下ろして」と語りかけた。
しかしラマンがそう口にした瞬間、「ラマンちゃん…私のことを覚えていないのか…?」という女の呻くような声とともに、ナイスマンに鞭が振り下ろされる。
「危ない!」
とっさにナイスマンを庇うために飛び出すラマン。同時に鞭がラマンのコスチュームを大きく切り裂いた。
「っ…」
地面に倒れこむラマン。
「ちょ、ちょっと大丈夫っスか!」いつもの口癖も忘れ、ラマンに駆け寄る。
その声にこたえるかのようにゆらりと立ち上がるラマン。どうやら死んではいないようだ。
無事でよかったと笑顔を浮かべるナイスマンだったが、鞭を振り下ろしたままの体勢で肩で息をしている女のセリフととても形容しがたい表情で事のマズさを理解した。
「…あの子…どこまで優しいんだろ…こんなやつを庇わなければもっと楽に仕事が進んだのに…まあいい…これでラマンちゃんは私の…
■■■になったんだ」
女が最後に発した言葉を、ナイスマンは正直覚えていない。というより思い出さないようにしていた。
それを思い出すことで女のどろどろとした海の中に眠るパンドラの箱を開けてしまうような気がしたから。それを開けてしまえば自分はきっと後悔する。
少なくともそれを考えるのはすべてが終わった後。それより今は…
洗脳されてしまったセーラーマンをどうにかしなければ。
回想を終えたナイスマンは自身の両頬を思い切りバチンと叩いた。
次回に続く
尻切れトンボでスマソ