プロムンの新作を買おうとしたら都市にいた   作:外郭在住ドM

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前書きと反省:見切り発車なんてするから設定に困るんだよ……


こんにちは、管理人

「それで、依頼ってなんですか?」

「えっとねぇ、嫌な事務所があるから潰して欲しいって依頼」

嫌なと言った事務所。

依頼によるとぼったくりをされた上に裏切られたというらしい。

依頼人に会いに行く。裏路地にある家のようなものの中にいる。

「はい、私だよ」

「あぁ、あなたが依頼を受けてくださった……ありがとうございます」

なんというか、やせ細っている彼女と、その子供。

お母さんは体を震わせながら、涙を落として感謝してくる。

「いやいや」

「主人と子供の仇を、お願いします」

そうして語り始めたのは、この界隈ではよくあるという搾取の関係。

元々双子だったらしいが、片方は拉致されて売り飛ばされてしまったらしい。

主人はその事務所に子供を助けてほしいと頼んだ。

そうして金を受け取った彼らは、確かに探し出した。

主人がうちの子はまだ生きていると喜んでいたのだから間違いないと。

そしてそこからさらに助けて欲しいと頼んだ時のことだ。

巣の中までいかないといけないから追加料金だと言われ、結局払って、払って、

それでもしがみついた彼は最後に。

というわけだ。

まぁ、後味の悪い話だ。

それでとうとうお金が無くなった彼女はうちを頼ってきた、と言うこと。

「必ず復讐を果たすからさ」

そう言ってヴィンさんは立ち上がる。

「さ、行こっか」

 

 

振るわれた生体武器を避ける。

生体武器は直接体についている武器で、それこそ体のように動かせるらしく動きが読めなくてやりづらい。

今、俺たちはちょうど事務所潰しの真っ最中だった。

剣を振るう。この体に施された身体強化はそれなりに良いものらしく、

下級のフィクサーなら技術もあわせて

そこそこ対等に渡り合える程度には強い。

現に今振るった剣は相手の持っている武器を弾き飛ばして、天井に突き刺さってしまった。

とはいえ、こんなに一対一の状況で戦えているのは当然ヴィンさんのおかげだ。

私が攻撃を四、五回しのぐ間に一人倒すぐらいの差。

「銃があれば……」

そうぼやいても意味はない。

あの時に消えてしまったE.G.Oはまた現れることはなく。

少し期待していた自分を鮮やかに裏切り、俺は近接でこのフィクサーを相手にすることになっていた。

腕から伸びてくる刃を叩いて弾く。伸びるのかよ、と内心突っ込むが、本当に余裕がない。

かわすのはけっこう上手になってきたとは思うんだけどね…。

攻めようとするととたんに余裕が無くなる。

防御の練習はできているけど、攻める練習ができていないからだ。

結局、ヴィンさんが背後から一突きして戦いが終わるという結果になってしまった。

 

 

死体を片付けて、売れそうなものを選別していく。

依頼料自体がないようなものなので、こういう死体漁りもしないといけないのだとか。

武器とかを売るのもうちの収入の一部だということ。

悪人のだから良いって言ってたけど、俺は少しためらってしまう。

作業の途中、ヴィンさんは私の戦闘についてのアドバイスを始める。

あそこは良かったね、とかそこは気を付けて、とか。

戦闘しながらこっちをちゃんと見えてるのは明らかにおかしくないですか。

「危ないなら銃を使えば良かったのに」

そうヴィンさんは言うけど、出せないものは出ないのだ。

「武器に出るとか出ないとかあるの?」

「いや、まぁ。よくわからないんですけど」

「じゃあ、私の武器の手入れついでに工房に行こうか」

「工房って、あの?」

たしかヴィンさんが武器のテスターをやってるっていう……。

「そうそう」

とりあえず武器を次元バッグに一通りしまい終えたあとは、

資料を片付けていく。

「……ああ、これか」

急にヴィンさんが不機嫌そうな声になる。

そう言って見せてきたのは一枚の資料。

依頼人の名前も聞いた名前と一致するが、一つ違う所は、子供の安否。

すでに死んでいる。そのことが資料に書いてあった。

つまり依頼を受けて、さらに搾取したあとどちらにせよ殺すつもりだったのだろう。

なんというか、救われない話だ。

「…これは、言うべきなんですかね」

「言うべきだよ」

そう彼女は言い切る。

「きっとあの人は少しでも生きてる可能性があったら全部をかけちゃうからね」

「そうですか…」

悲しい話だけど、お金があればちゃんとした所に頼めたんだろうな、とか思うところもある。

「まぁ、それが都市だからね、良くも悪くも皆お金で動くから」

「でもヴィンさんは違うじゃないですか」

「まぁ、強い人が弱い人を守るっていうのは当たり前のことだからね」

「じゃあ、私は依頼人の所に行くから先に帰ってて」

 

 

そう言って一人になった帰り路。適当な店でケランチムとかいう料理を買って持ち帰れ。

そう言われて色々な店を回っているけれど、よくわからなくなってそのうちに道に迷ってしまった。

「どこだよ」

変に入り組んだ道だな。

頭痛もするし、まるであの時みたいな……あの時、みたいな?

「っ!」

直感に従う。

背中の剣を使って背後からの攻撃を防ぐ。

そのまま転がりつつ態勢を整えて、相手を見る。

包丁を持ったシェフがこちらを見ていた。

予想外の相手の登場に、固まってしまうが、次の言葉はその驚きをさらに上回るものだった。

「お前、最高の材料になるな」

「は?」

材料?何を言ってるんだ、こいつ。

「他のやつらとは違う、違う、違う、絶対逃がすなって言ってるんだよ、絶対、絶対、ぜったあい」

こいつが言ってることはよくわからないけれど、嫌な予感がする。

目の前のシェフは、大きくなっていく。腕が増えていく。

なんだよ、……くそ、頭が。

ねじれってやつか……それに反応しているのか?

「でも頭が痛いのはやめろっての!」

集中できない。

剣で腕を切り飛ばす。包丁を持っている腕だから、これでもう武器が……っ!

驚いて余裕が消えたのは、その直後。

3メートル以上も飛んで見せたそいつは自分の腕と包丁をつかんで落ちてくる。

とっさに包丁の振り下ろし避けるも、腕の一本に捕まれ、俺は壁にたたきつけられてしまう。

なんとか頭が直接たたきつけられるのは防げたけど、きつい……!

体が痛い。包丁が振り下ろされる。

 

 受け入れて、醜い私を

 

うるさいけど、これでなんとかなるのかよ?

分かった、受け入れるから。

その返事に呼応して、体が作り変えられていく。

水晶に変わった左腕は、振り下ろしてきた包丁をその硬さで簡単に受け止める。

どころか、そのまま包丁を握り潰すことさえできてしまった。

(受け入れて、もっと)

もういいよ、勝てるはず。

左手でつかんできた腕を握り潰す。

そのまま立ち上がって顔面を殴る。

よろめいたところを殴る。

そうして剣を拾う。さっき叩かれたときに落としてしまったものだ。

水晶に変わった左腕は力強く、今までとは比にならない勢いで剣を振るう。

腕を落とし、体を刻んでいく。足を切って、首を落とす。

息を整えると、ねぎらいの言葉が。

 

(おつかれ)

 

「……助かった。ところで誰?」

 

(体の持ち主、だったはず)

 

「はずって何だよ」

 

(記憶がない)

 

「そうか。それでこの力は?」

 

(あれと同じ)

 

「あれって、さっきのねじれってやつ?」

 

(そう)

 

「じゃあ、この力って使うとあんなやばい感じになるのか?」

 

(ならない)

 

「なんでだ」

 

(あなたは私じゃないから)

 

「はぁ、よくわからないな」

 

(ところで、お願い)

 

「はい?」

 

(私の記憶を取り戻して欲しい)

 

「なんでだよ」

 

(元々私の体だから)

 

……それは、ちょっと断れないな。

 

 

帰ったらなんでケランチム買ってくれなかったの、とぼやかれた。

それはそれとしての悩み事。

とりあえず、これはどうするべきか。

左腕はしばらく見せない方が良さそうだ。

一応包帯をすれば隠せるし。

それからあの女の声も聞こえなくなったし。

これからどうしようかな。

「明日は工房に行くからね」

そういうことじゃない。とは口にはしないでおく。

というか、眠い。少し寝るか。

 

 

……眩しさに、目を開ける。青空が見える。

芝の上で寝ていた覚えはないんだけどな。

そんな風に思っていると、一人の男が近づいてくる。

その姿に驚きを隠せず、とっさに立ち上がる。

目の前にいるのは、あのロボトミーコーポレーションでみた男。管理人と呼ばれる人。

白衣を着ている黒髪の男。最後に出会う男。

そんな彼は、するどい視線でこちらを見る。ややあって口を開く。

「こんにちは、X」

そんな風にこちらに対して挨拶をしてくる。

不機嫌そうにも見える顔は、とてもそんな言葉を吐くようには見えない。

それに、第一の話が。

「いや、Xはそっちじゃないですか」

そう言うと、少し唇を歪める。

笑っているのだと理解するのに少し時間がかかった。

「正確には間違いではない。僕は君の想像した僕にすぎない」

彼はそう言った。

つまり、本物ではないということか。

「それで、なんですか?ここは」

周りはひどく明るく、果てが見えない。その上なぜか体も元の男の時に戻っている。

「君は、君が入っている体の中の種を芽吹かせた。それによって光の力が君に及んだ」

「どういうことですか」

「まぁ、夢をみているようなものだ」

「それで、なんでこんな夢にあなたが出るんですか」

「君がE.G.Oという力を望んだからだよ」

よくわからないので、説明を待つことにする。

「光には僕の欠片が溶け込んでいる」

「僕はあの場所で得たアブノーマリティのデータを内包しているようなものだ」

「君の持つ記憶がそのデータを刺激し、E.G.O、そして僕という虚像を作り上げた」

つまり、なんだかんだ僕が原因だと。だとしても、だ。

「だからってそれを言いにきた理由ってなんですか」

夢にまで出てきた理由って。

「……君はE.G.Oが何によってできているのか知っているはずだ」

「だから、一つ言うべきことがある」

「芽吹いた種が完全に育てば、恐らく君は消えるだろう」

「なぜならば、その芽吹いた『可能性』は元々君の物ではないからだ」

「そして君は君自身のE.G.Oを発現する資格を持っていない」

「だから彼女は必ず君の精神を殺すことになる」

そういうと彼は目を閉じる。

「僕は、……いや、君に対しては言う必要もないか」

そうしてこちらを見る。それは優しい目だった。

「この都市の者ではない君がどんな選択をするのか――――

光が彼を包む。そうして消えていく。

 

「……そうか」

俺は、これからどうするべきか。

俺の精神を浸食できないのは、きっと彼女が記憶を取り戻していないからだ。

記憶を取り戻せば、俺は死ぬ。

でも、この体は元々彼女の物だ。

だとすれば、俺はいったいどうするべきか。

 

そんな今、俺は気楽工房という場所につれてこられていた。

ヴィンさんがテスターを引き受けている工房。

「まぁ、なんであれ強くならないといけないな」

死んでしまっては元も子もないのだから。

 

悩みは絶えない。それでも、時間は過ぎていく。

でも一つだけ決まっていることがある。

なんであれ俺は彼女以外に殺されることだけは許されないのだ。




設定に困ってしまって解説回。主人公にロボトミー時代のE.G.Oを持たせたくて無理やりな設定を……突っ込んでくれてもいいです。まだ暴走する予定なので。
ピンクの兵隊に慰めてもらってきます……。
あと、私の妄想に付き合ってくれるなら、こんな展開なら面白そうとか言ってくれると励みになります。ネタ切れにならないためにも……。
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