聖杯戦争と薪の王   作:楽しく遊びたい一般不死人

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ほお、貴様。あの破滅しか待っていない男の願いを聞いてやったのか。
それは何ともまぁ、お人好しな事だ。
だが、運命すらも捻じ曲げるとはなぁ。
クックックックッ。
良くない、良くないなぁ。
そういうのは、良くないぞぉ!
ああ、貴様はいつ、自分の過ちに気づくのだろうなぁ。








第九話 初陣

 

 

身に纏うソウルを展開した俺は木々の間をスルスルと走り抜ける。薪の王に救援に行ってほしいと言われた時は不安だったがソウルを足場にして走れるお陰か案外簡単に森の中でも動ける。

 

森の中を走ること数分。

 

この前のコンテナターミナルで見た白い髪の女性を見つけた。彼女の隣にスーツを着た(恐らく仲間の)女性がおり、目の前にはカソックを着た神父の様な男がいた。多分あの神父が薪の王が言ってた奴だろう。俺は神父の視界に映らない様に少し上に上がりソウルの矢を撃つ。

 

「む。」

 

そう訝しげに呟いたと思ったら背後から首元を狙って放ったソウルの矢をあっさりと避けた。

 

「嘘だろ。」

 

予想外の動きに驚いていたら神父がこちらを見ていた。悪寒が走りすぐに場所を移そうと思ったが遅かった。目の前に拳が迫っている。咄嗟に身に纏っていたソウルを盾にする。

 

「ぐうッ!」

 

なんとかガード出来たが危なかった。後ろに飛びながら姿勢を整える。血の味が口に広がり顔を顰める。薪の王に日頃から戦いの心構えを学んでおきながらこの体たらくだ。気を引き締めて前を向く。

 

神父はこちらを見ているが隙が無い。ソウルを纏い直しつつ空中を滑る様に動き回る。今度は隙の少ないファランの短矢を撃つ。

 

「だめか。」

 

あの神父は一体なんなんだ?身のこなしが明らかに戦い慣れているし、しかも一撃一撃が重いと来た。

 

(時間稼ぎに方針を変えるか。)

 

今の俺じゃ倒せないと思い方針を変える。幸い時間はこちらの味方だ。セイバー陣営の二人も俺の事は取り敢えず敵では無いと考えてくれたらしい。いつ逃げるかタイミングを測っているようだ。

 

まずソウルの太矢を撃ち、続いてソウルの短矢を撃つ。着弾までの時間差を変え続け相手に攻撃の隙を与えないように立ち回る。

 

(薪の王も言ってたしな。)

 

薪の王に魔術の戦い方を教えて貰っていた時に言われた言葉を思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「雁夜。ここからは魔術の鍛錬だけではなく身体も鍛えるようにするぞ。」

 

突然言われたその言葉に俺は難色を示した。

 

「どうしてだ?正直まだソウルの魔術も覚えたばかりだからしばらくは魔術に専念した方が良いと思うんだが、」

 

「理由に関しては幾つかある。まず貴公の継戦能力の上昇だ。雁夜、貴公はついこの前まで魔術の反動でまともに体を動かせずにいただろう?貴公に教えた身に纏うソウルはあくまで補助だ。

足場が無いから足場を作る。武器が無いから武器を作る。身を守る鎧が無いから鎧を作る。そういったモノなのだ。確かに使いこなせば移動中の加速や魔術の強化にも使えるがそれはまだ先の話だ。

故にこそ、まずは身体を鍛え基礎を上げる。目標は相手の魔術を避けれる様になることだな。」

 

「それは中々難しくないか?」

 

「これは次の理由にも関わっている。二つ目は単純に貴公の魔力の節約が目的だ。貴公の魔力は膨大な訳では無い。私のようにソウルを喰らい、膨大な魔力を持っていれば魔術に専念するのも良いが今回に限ってはそれは不味い。」

 

「ん?良いんじゃないか?拠点を工房化して立て籠もれる訳だろ。後は言い方は悪いがサーヴァントに任せる事も出来るだろうし、」

 

「今回の聖杯戦争には魔術師殺しに事欠かん。まずライダーだ。あの征服王のチャリオットであればそこらの魔術師が作った工房なぞ簡単に突破出来る。対抗するには神代の魔術師が必要だろう。次にセイバーだ。騎士王の不可視の剣、恐らくあれがエクスカリバーだろう。余り無いとは思うが宝具による工房の狙い撃ち、噂に名高き聖剣であれば工房など棺桶と変わらんだろう。まあ、最終手段と思いたいが。他にもあるが最後にアーチャー、英雄王は言わずもがなだ。彼こそはまさしく神代の英雄そのモノだ。あの宝物庫に耐えられる工房なぞそうは無い。」

 

薪の王の説明を聞いて理解した。これは本当の戦争なのだと。確かに最初のコンテナターミナルでの一戦で英霊の凄さを知ったつもりだったが言われてみればその通りだ。

これは魔術師だけの戦いでは無い。魔術師の格がどうのとか決闘がどうのとか、そんなものは次の瞬間には崩れ去る危険性がいつだって有る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(まあ、それを知れたから身体を鍛えてきた訳なんだが、鍛えておいて良かった。)

 

先程から続く神父との戦闘は狙い通り膠着状態に持っていけた。恐らく初めて見る魔術に警戒している事もあるんだろう。走りながら木々で視界を遮り魔術を撃ち続ける。時折り軌道を変えたりしつつ上手く立ち回れていると思う。

 

そんな時だった神父が一瞬顔を顰めたかと思えば撤退を始めていた。

 

「いや、それにしてもあの神父可笑しいだろ。なんであんなに速いんだ?まだ鍛え方が足りないのか?」

 

そんな風にぼやいていると隣から声が聞こえる。

 

「あれは単純にあの神父が桁違いなのだろう。ふむ、あの身のこなしは戦いに身を置く者のそれだ。」

 

「そっちはどうだった?キャスターは仕留めらたのか?」

 

「いや、逃げられた。セイバーとランサーの二人に任せていたのだが、どうやらキャスターも準備をしていたらしい。」

 

「そうか。まあ、まずは家に帰るか。シン。」

 

「そうだな。帰るとしよう。」

 

そうして俺と薪の王の慌ただしい夜が終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何?バーサーカーのマスターに助けられた?それは本当かい?」

 

衛宮切嗣からの訝しげな声に肯定を示す声が二つ上がる。

 

「ええ、そうよね?舞弥さん。」

 

「はい。あれは間違い無く間桐雁夜でした。」

 

「あの男は調べた限りでは人助けをするような奴では無いんだが、一体どういう風の吹き回しだ?

・・・少し調べよう。ついでに他の陣営も洗い直すとしようか。舞弥、手伝ってくれ。」

 

「分かりました。」

 

そんな中、一人会話に混じらず思考を巡らせているセイバーはこんな事を考えていた。

 

(間桐雁夜、あの薪の王のマスター。彼も薪の王のような人物なのだろうか?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すこしづつ、すこしづつ、歯車は狂い始める。

 

有り得ないが有り得るに、有り得たことが有り得ないことに。

 

けれども歯車は動き続ける。歯車は狂い続ける。

 

さあ、一体どうなるのでしょう。

 

それは、誰にもわからない。

 

だってそうでしょう?運命は偶然で、偶然が運命で、

 

しかし、運命は必然とも言う。

 

さあ、まだまだ幕は開けたばかり。

 

どうぞ皆さんお楽しみ下さいな。

 

 

 

 

 

 








やってみたかった事をやってみました。如何でしたでしょうか。個人的には上手く書けたように思えます。
最初の語りは素晴らしい方に、最後の語りは童話の少女にやって頂きました。fateとダークソウルの共演再び!
話は代わり近々初めてのアンケートを取りたいと思っております。初めての機能なので多分どこかでミスをすると思いますが、私の話を読んで下さっている方々には暖かい目で見て頂けると嬉しいです。
最後に私の後書きまで読んで頂きありがとうございます!

追記

活動報告の方にも記載しましたが非ログイン状態の方でもコメントや感想を書けるように変更致しました。頂けると嬉しいです。
アンケートの期限は特に決めていないのですが、八月の初め辺りにするか七月の終わりになると思います。

聖杯問答について セイバーへの薪の王の反応

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