聖杯戦争と薪の王   作:楽しく遊びたい一般不死人

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今回からオリジナル魔術が出ます。雁夜おじさんの魔改造、始めます。


第五話 開戦準備

薪の王からソウルの矢という基礎魔術を練習している俺は焦っていた。その理由は隣で今まさにソウルの矢を連射している桜ちゃんの異常なまでの学習能力の高さのせいだ。俺もソウルの矢を放てるようになってはいるがまだ出力の調整中なのに対して桜ちゃんは既に出力の調整をマスターしており、さらには自分に合った放ち方を探し始めている。調整に苦労していると薪の王が桜ちゃんと話し始めている。

 

「桜嬢は才能があるようだな。既に出力の調整を完璧にこなしている。満足いく撃ち方を見つけたら次の魔術に移るとしよう。」

 

「うん!もう少し待っててねバーサーカー。あと少しで出来そうだからその間に休憩してて。」

 

その会話に俺は混ざっておらず少し寂しさを覚えていると薪の王が俺に話し掛けてきた。

 

「雁夜、少し待ってほしい。・・・む?すまない、調整が上手くいかないのは私のせいかもしれない。こちらの杖を持ってやってみてくれ。」

 

「ん?さっき渡してくれたこの杖じゃダメなのか?まあ、とりあえずやってみるが、」

 

そう言われさっきまで持っていた魔術師の杖から宮廷魔術師の杖に持ち替えてソウルの矢を放ってみると簡単に調整が出来た。何が原因なのか考えていると薪の王が訳を話してくれた。

 

「雁夜の調整が上手くいっていなかったのは杖が合っていなかったのだろう。雁夜の魔力の流れを見た時に杖を通る時に制御が上手く出来ていなかった様に見えてな。もしやと思ったが、当たりだったようだな。私のソウルを取り込んだせいで急激に増えた魔力を杖に上手く流せなかったという事だろう。まあ、これは憶測に過ぎんが。」

 

「いや、それでも凄いぞこれ。調整が簡単に出来た。これなら戦えるかもしれないぞ!」

 

俺は嬉しさのあまり声が大きくなっている事に気づかずはしゃいでいたのだが薪の王の話しは終わっていなかったようで俺は少し恥ずかしく思いつつも続きを聞いていた。

 

「そして雁夜の魔術は蟲を操る魔術だっただろう?そこで雁夜には私の考えた魔術を覚えてもらおうと思っている。恐らくこちらの方が雁夜に合っている筈だ。」

 

その言葉を聞いた時に思ったのは純粋な尊敬だった。魔術を自分でイチから作るのは簡単では無い。それに薪の王が作った魔術だ、生半可なものではないだろう。

 

薪の王の説明を聞きながら魔術を行使する。するとソウルが俺の意思に合わせて踊り始める。感覚を研ぎ澄ましソウルを動かし続ける。右へ左へ、上から下へ。縦横無尽に部屋の中を駆け巡らせる。薪の王からの終了の合図を聞いてソウルを霧散させる。気づけば額から汗を流しておりかなり疲れた気がするがそれより薪の王の言っていた通りにやったら上手くいった事に嬉しかった俺は後ろにいる薪の王に話し掛けていた。

 

「上手くいったぞ!どうだったバーサーカー!」

 

薪の王から声が聞こえない事が不安になった俺はどうしたのかと思って待っていると普段の薪の王からは想像出来ないような声が聞こえた。

 

「フフッ、ハハハハハハッ!素晴らしい!素晴らしいぞ雁夜ッ!私の想像以上だ!桜嬢も今の調子ならばいずれ奔流すらも使えるようになるだろう!これ程の逸材を私が育てる事になろうとは!ここにオーベックやローガンがいれば私と同じように喜んでいただろう!」

 

桜ちゃんも動揺しておりこのままでは不味いと思った俺は薪の王を落ち着かせるために声を掛け続けた。

 

「落ち着けバーサーカー!お前が喜んでくれているのは分かったからもう少し落ち着いてくれ!」

 

俺の声が届いたのか薪の王がスッと落ち着きを取り戻し始めていたが、薪の王はバツが悪そうに喋り始めた。

 

「雁夜、桜嬢、すまない。本当にすまない。喜びのあまり我を忘れてしまった。許してほしい。二人を見ていたら昔の友を思い出してしまって高揚してしまった。だがこれだけは信じてほしい。二人とも間違いなく素晴らしい才能がある上に努力を惜しまなければ確実に一流の魔術師になれる者だ。」

 

その言葉を聞き俺と桜ちゃんは顔を見合わせて喜びを表していた。その時ふと疑問を思い出した俺は薪の王に聞いていた。

 

「そういえばこの魔術はなんて名前なんだ?さっきは説明しかされなかったから気になっていたんだが。」

 

「ああ、魔術の名前か。それは浮遊するソウルというものを改良して作ったモノで、その見た目から安直だが「身に纏うソウル」という名前の魔術だ。」

 

俺は新しい魔術の身に纏うソウルを練習する事になった。感覚的には蟲を操るのにとても近いのでかなりやりやすい。蟲と違って体に負担もかからないしこちらの方が動かしやすいしで良い事づくめの魔術だった。

俺が動かす練習をしていると薪の王がとんでもない発言をした。

 

「それとその魔術は使い方を変えれば鎧にもなるぞ。後は少々難しいが移動に使う事も出来る上に武器にもなる。さあ、雁夜よ。我がマスターよ。貴殿の力を見せてくれ。」

 

その日俺はこの聖杯戦争においてとても頼りになる魔術を手に入れた。

 

 

 

 




という事でオリジナル魔術の「身に纏うソウル」です。術者の練度によって応用の幅が利く素晴らしい魔術です。雁夜おじさんはどう使うのか乞うご期待!

聖杯問答について セイバーへの薪の王の反応

  • 激怒
  • 優しく諭す

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