もっと早く書けるようになりたい。
第六話にてOthuyegさん 誤字報告ありがとうございます。
家に帰ってすぐに俺は薪の王の肩を掴んだ。俺の行動を不思議に思ったのか薪の王が少し困惑しながら聞いて来た。
「雁夜?その、何だ。何故私の肩を掴むのだ?」
その言葉を聞いた俺の顔は薪の王が言うには口元だけが笑い、目が笑っていなかったそうだ。
「心当たりがあるんじゃないか?なあ、薪の王?」
「待ってくれ雁夜。確かに私の独断で動き過ぎたのは反省している。だが私も征服王や英雄王に出会えて舞い上がっていたのだ。」
「へえ?舞い上がっていたら隠すべき真名を自分から喋ったり勝手に英雄王と戦闘を始めて周りの被害を考えなくても良いと?」
「・・・すまなかった。」
「次からは確認くらいしてくれ。」
「ああ、次から気をつけるのでその目はやめてくれ。」
「はあ、今日はもう遅いから俺は寝るがバーサーカーはどうする?」
「ああ、その話なのだが私は調べる事が出来たから街を見てくる。」
「分かった。何かあったら教えてくれ。あ、ちょっと待て!」
「ん?何かあったか?」
「明日二人で話せるか?」
「?構わないが、どうしたのだ?」
「いや、色々聞きたい事があってな。」
「了解した。では朝までには戻ってくる。」
「ああ、じゃあ俺はもう寝るよ。」
バーサーカーを見送った後は念の為桜ちゃんがちゃんと居る事を確認してから俺はベッドに入ってさっきまでの事を思い出していた。
初めて見たサーヴァント同士の戦闘。人は勿論魔術師でも絶対に勝てない。一握りの英雄と呼ばれる者たちの戦い。だが、その中でも頂点に君臨するだろう英雄王を前に薪の王は相手にして無傷で帰って来た。
会ってまだ数日にしか経っていないがとても嬉しかった。それに今回の戦闘で確信した。薪の王となら聖杯戦争を勝ち残れる。聖杯を手に入れて桜ちゃんにこれ以上辛い思いをさせずに済むと思うと嬉しくなる。だけどその為にはまず俺が強くならなくてはならない。このまま薪の王に頼っていたら確実に負けてしまう。まずは薪の王が教えてくれた魔術を完璧に使えるようにしなければいけいない。
気づけば朝の四時になっていた。どうやらあのまま寝てしまったらしい。着替えていたら玄関から音が聞こえた。薪の王が帰って来たと思った俺は出迎えようとして玄関に向かったら疲れた様子の薪の王がいた。
「大丈夫か?何があったんだ?」
「む、雁夜か。こんな時間に起こしてしまってすまない。」
「いや、俺は勝手に起きただけだから大丈夫だが、本当に大丈夫か?」
「ああ、少し疲れた。だがそこまで消耗した訳では無いから大丈夫だ。それと話したい事があるので桜嬢が起きる前に良いか?」
「分かった。桜ちゃんには聞かせない方が良いんだな?」
「その通りだ。少々不味い事になった。」
「取り敢えず座って話そう。」
「了解した。」
薪の王とテーブルを挟んで向かい合う形で話し合う事にして玄関から移動する。
「それで何があったんだ?」
「まずキャスターの居場所を掴んだ。」
「な!キャスターの工房をか?てっきり高度な隠蔽がされてると思ったんだが、そうでも無いのか。」
「いや、今回のキャスターが異常なだけだろう。碌な魔術を使っていなかったからな。というよりアレはもっと別な・・・いや、まずは情報の共有が先だな。」
薪の王がふう、と一息いれてから昨夜調べた事を教えてくれた。
「まずキャスターを調べていた理由だが、ここ最近行方不明の子供が増えているのは雁夜も知っているだろう?」
「ああ、連日ニュースになってたからな。桜ちゃんも危ないかもしれないから気をつけるように言っていたが、それがどうしたんだ?」
「その事件にキャスターが関わっている。雁夜も知っているだろう。忌々しい魂喰らいを、その方法も。」
「は?いや、嘘だろ?あれは外部から魔力を得る手段ではあるが、まさかと思うがキャスターのマスターは召喚してからずっと子供を攫ってキャスターの魔力にしてるって事か?」
「そのまさかだ。更に言うならばアレは最早止まる事も無いだろう。次に私がキャスターを探すに至った理由だが私の目には様々なモノが見えるのは既に話したな?そして私は今も英雄王や征服王のソウルが見える。その中で穢れたソウルも見つけた。」
「なるほどな。その穢れたソウルっていうのがキャスターだった訳か。ん?ちょっと待て、ソウルが見えるって言ってたが英雄王や征服王に今から仕掛けられるって事か?」
「そうだな。だがキャスターが最優先だ。これ以上無辜の者を見殺しにする事は出来ない。それにこのままでは桜嬢も狙われる可能性がある。それは雁夜も望まないだろう。」
「だな。これ以上桜ちゃんに辛い思いはさせられない。よし!キャスターを叩くぞ。」
「ありがとう、雁夜。まずキャスターの工房は此処だ。この町の中でも特に大きい下水道に工房を作っている。突破に関してはそこまで問題では無い。問題はキャスターとそのマスターが不定期に行方を晦ます事だ。」
「でも薪の王の目なら分かるんじゃないのか?」
「それだ。この頃目の調子が悪い。不意に目の力が弱くなる事が多くなって来た。大雑把にしか位置を把握できない場合はあまり役に立つものでは無いからな。だから叩くと決めたからには速攻だ。遅くても3日以内には仕掛けるぞ。」
「分かった。それでこの話はこれで終わりか?なら昨日言った聞きたい事があるんだが、良いか?」
「構わないとも。それに再三言うが私に対してはもっと楽にしてほしい。私はそこまで気にしない、それにそちらの方が私も喜ばしいからな。」
「ハハハ、相変わらず薪の王には敵わないな。じゃあ俺から聞きたい事なんだが、この前桜ちゃんに騎士アルトリウスと宵闇の姫君の物語を話してくれただろ?あれってマヌスを倒したのはアルトリウスじゃなくてお前だよな。何でお前が意図的に消されている話を楽しそうに話しているのか気になってな。」
「そのことか。雁夜、私は人に希望を与える事は何より素晴らしいと思っている。あの話は少なからず子供や騎士見習いの者たちに光を与えた。それが私にとってとても嬉しいことなのだ。それに私のような忌み嫌われる不死よりも彼の騎士アルトリウスの方がよほど物語の主に相応しいだろう?」
「そう、か。お前はそう考えるのか。ちょっと悲しいけどお前がそれで良いならいいか。それと気分を悪くしたら謝るんだが、お前ってなんか変じゃないか?ああ、いや、なんて言えばいいんだろうな。そう、まるで薪の王の中に複数の薪の王が居る、みたいな。」
「ふむ。それは私の言動や雰囲気が変わると言う事か?」
「そう!それだ!それがちょっと引っかかってな。何か理由があるのか?」
「なるほど。であればちょうどいい機会だ。まだ話していない事を話すとしよう。まだ、時間はあるな。まず雁夜が言っている事についてだが私が火継ぎをしている事が関係している。私は火継ぎの最中、多くのソウルを取り込みこの身に宿した。その結果私自身に異常が起きた。数多のソウルが私のソウルに混じり合い、溶けた。それ故私の思考や言動が変わっていった。まあ、私そのものは変わらないからな。役作りの時には重宝したよ。」
「役作りってどういう事だ?」
「私は時に王や指導者、他にも様々な役職になることがあった。と言えば分かるか?」
「そうか、そうだよな。俺がお前の夢を見た時も色々な事をやってたしな。ああそれと何でギルガメッシュに会いたかったんだ?」
「私は火を消した。それは世界を終わらせる事と同じだ。故に人を案じていた。だが英雄王は人を神の側から離し、人を導いた。それに私は深く感謝したのだ。それは本来なら私がしなくていけなかったからだ。」
「そうだったのか。でも俺にとって薪の王は英雄王よりも凄い英雄だって事は覚えておいてくれ。勿論桜ちゃんだって同じ事を考えている筈だ。」
そう言うと薪の王は驚いたのか固まっていた。少しすると薪の王は嬉しそうにこう言った。
「ありがとう雁夜。その言葉で私は今とても嬉しい。ああ、今ならどの様な敵が来ようとも打ち倒せるだろう。」
その言葉はどこか祈りのような、とても優しく響いた。
初めての3,000字。上手く出来ていると良いなぁ。感想やコメントがあるとモチベが上がります!それに純粋に嬉しいです。
聖杯問答について セイバーへの薪の王の反応
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激怒
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優しく諭す