霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!   作:みけさんわーきゃっと

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一つの話にこれほどパンツって書いたの初めてかもしれない。




「霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!」

頭がおかしいとしか言えない俺の発言が神社に響く。

現代社会なら、間違いなく通報されるような言動に、言われた少女―博麗霊夢―は少し眉をしかめると

 

「またぁ?ちゃんと返しなさいよね」

 

と告げて、器用にも着衣のまま紐をほどき(幻想郷ではゴムや化学繊維が希少なため大抵は紐パンかドロワーズである)足元にすとんと落とした下着を拾いこちらに手渡してくる。

 

手渡されたパンツは白一色の飾り気のない紐パンで、朝も早いせいか汚れもなく、鼻を近づけるとわずかに少女の甘酸っぱい体臭が香る。

霊夢ちゃんはぐうたらだがズボラではなく、なんだかんだと身の回りのことはしっかりやっている。

どこかの白黒のドロワーズはツンとした刺激臭を放っていたのをふと思い出した。

森の中で日が差しにくい、洗剤がない、箒に横座りで乗って飛ぶせいで蒸れる、その状態で弾幕ごっこをする、そもそも本人がズボラ。うん、ああなるのも仕方ないな……

 

この話はいつか「魔理沙のドロワーズが臭かったので洗濯機を渡した」物語として語る時が来るかもしれないな。

 

さて、堪能したところで……パンツに存分に埒を開けるのもいいが朝っぱらからすることでもなし素直に返すことにして霊夢ちゃんにパンツを手渡して、告げた。

 

「じゃあ、これ()()()よ」

 

「はいはーいって……ぎゃああああああ!?アンタまたやったわね!?」

 

「霊夢ちゃんせっかく可愛いんだからもう少し女の子らしい叫びをあげれないの?」

 

「うるさい馬鹿ぁぁぁっ!!ほんといい加減にしなさいよ!!」

 

「だって霊夢ちゃんがぐうたらしてたから……お仕置きで」

 

「本当にふざけてんじゃないわよっ!?いつもいつもいつもいやらしいことにばっかり能力使って!」

 

そう、さすがに霊夢ちゃんも俺にパンツ貸してくれるほど仲は良くない、というか普通恋人でもパンツは貸さないだろうと思う。

これは俺の能力「なんでも借りる程度の能力」だ。

形而上形而下問わず文字通りなんでも借りることができる。ただし最初の一度は相手の同意が必要である。

能力なら一部を借りたりもできる。一度に借りれる最大数は10、ただしいくつかは借りっぱなしになってるため、自在に入れ替えできるのは6つぐらいだろうか。自分でいうのもなんだが大概なチート能力だと思う。

複数の人物からいいとこどりをした場合ガチの紫さんとほぼ互角に戦えるぐらいの……それでも霊夢ちゃんにかなわないっておかしいだろこの美少女巫女。

 

以前起きた弾幕戦争事変(ごっこではない)は「月が綺麗ですね、死ぬがよい」事件としていつか語らねばなるまい。

話がそれたな、あとは一度借りたことのあるものは二度目以降は強制的に借り受けることも可能、その場合今の霊夢ちゃんのように返すまで「当たり前の行動」と認識することになる。

ちなみに強制的ではない場合は普通に貸し借りの認識で行動する。

 

ちなみに今回は食事の支度、片付けから生ごみの処理まで、寝っ転がったまま俺を顎でこき使ったことに対するちょっとしたお仕置きである。

せめて座ったままだったら俺もここまでは……したかもしれないな。

なんだかんだで霊夢ちゃんは美少女である、美少女のパンツを手にできる機会は男として逃してはならないのではなかろうか。(謎の使命感)

さておき、このままでは収まりもつかないだろうし、一発抜いてすっきりしてもらおうか。

 

「大丈夫だよ!霊夢ちゃん!今日も下半身にくる甘酸っぱいいい匂いだったよ!」

 

「吹き飛べえぇぇぇぇぇっ!!」

 

俺が意識を失う直前に見たのは4枚のスペルカードを同時切りという人間はおろか妖怪にさえ向けてはいけない超弾幕の奔流だった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「知らない……わけないな、よく見知った天井だ」

 

博麗神社に借り受けている部屋の一室で俺は目を覚ました。

ちなみに能力ではなく普通に借りている。

 

「なんだかんだ言って放置しない霊夢ちゃんマジ天使」

 

掛け布団こそ掛けてはないが、ちゃんと布団の上に寝かせてもらえている。

霊夢ちゃんは沸点こそ低いが、爆発すればすぐにフラットな(多少ダウナー気味ではあるが)状態に戻る、異変解決したらそこで一旦リセット、もう敵ではないという流れが体に染みついているのか、後に引かないタイプだ。

おかげで霊夢ちゃんを弄るのがすごく捗ってしまう(邪悪)

 

一刻ほど倒れていたのだろうか、日がだいぶ高くなっていた。

直接日光は当たってないが肌が少しチリチリしてきたのでルーミアから借りている闇を操る程度の能力で紫外線を遮る薄い闇を纏う。

ひっそりと闇の衣と呼んでいる使い方だ。濃くすれば一部の攻撃に耐性を持つため割と重宝している。

この能力は「闇」とつくものに対してほぼ万能に干渉できるのだが(闇を見通す、闇に溶け込む)なぜかルーミアが使うと、自分も闇の中で何も見えなくなるという謎の状態変化をもたらす。

もしかして、使いこなせてないんじゃね?と思う。

……なんかリボンが怪しい感じがするんだよな。似合ってて可愛いからいいけど!

ちなみにレンタル料はルーミアがおなかがすいたときの食事(おやつ含む)である。

最初はおやつオンリーだったんだが、チルノがルーミアを盾におやつを頻繁に要求してくるようになったためこのようになった。

回数が多い場合熱々の料理を出すことにしている(苦手なようだがそれでもチルノは食う)

 

 

今日は仕事が入っていないので神社周りの雑事を片付けていく。

社殿と境内の掃除(といっても宴会でもない限りは綺麗なものである……人が来ないので)を終え、夕食は何にしようか(博麗神社では基本、朝食、おやつ、夕食である)と考えつつ畑に向かおうとすると元気な声が響き渡った。

 

「お兄様ーっ!」

 

「おう、フランか、今日のフランもお洒落さんだな」

 

()()()()元気に駆けてくるのはフランドール・スカーレット。霧の湖付近の洋館に住む吸血鬼姉妹の妹である。

そしてなぜか俺の事をお兄様と呼ぶ。

このあたりは俺に妹がたくさんできたという話をいつかすることがあるかもしれない。

 

「うん!お姉さまと咲夜が選んでくれたの!」

 

紅魔館にいるときの服装も可愛らしいが、外に出歩くようになってからはパーソナルカラーである赤はそのままではあるが薄手の動きやすいワンピーススタイルが多くなった。

ナイトキャップもかぶっていない。

 

「それと、はい!お兄様!」

 

 

と、勢いよくスカートをまくり上げてパンツを見せてくる。

どうも俺がパンツを見るのが好きだと誤解しているようなんだよな。

ちがうんだ、パンツは確かに好きだがリアクションも込みで好きなんだ、しかもフランぐらいだと興奮以前に罪悪感が……ってえっぐいの履いてるな!?

生えてたら間違いなく毛が見えるような、というかぎりぎりスジが隠れてるような面積の少ない超ローレグ。

シルクなのだろう、つやつやした光沢にフランの白い肌、そしてスカートをたくし上げているというのが合わさって実に背徳的な代物だ。心なしかむわっとした熱気すら感じる。

(紅魔館のメンバーはさすがお金持ちというか基本シルクでレミリアさん以外はショーツタイプである、()()()()()()()ので間違いない)

 

だが、流石にフランぐらいだと顔をうずめて嗅ぐわけにもいかない(混乱)これぐらいの距離があっても、ほんのりミルクっぽい香りがするのは気のせいだろうか?

 

「うーん、もうすこし大きくなってからのほうが嬉しいかな?」

 

「これでもすこしは背も伸びたのよ、お兄様」

 

「体の大きさを言ってるうちはまだまだかなー」

 

手を添えてスカートを下ろさせた後、フランの頭をわしわしとなでる。

髪の毛が乱れる位わしわしと撫でられるのがフランのお気に入りである。

日向ぼっこをしている犬のように目を細めてされるがままに撫でられている、可愛い。

 

「そういえば咲夜ちゃんは?今のフランは人間と変わらないんだから、一人で出歩くのはだめだって言っただろ?」

 

そう、今のフランは人間と変わらない。俺が吸血鬼の特性と程度能力をフランから借り受けているからだ。おかげでスペカ4枚切りくらってもすごく痛い程度ですむし、闇を纏えるルーミアの能力が手放せない。

 

フランはフランで程度能力を手放して以降は狂気に侵されることも無く(推測だが、気に入らないものを壊せるってのはある意味恐怖だと思う。一時の感情で大切なものを失ってしまうのだから狂気に侵されても仕方ない気がする)、心身ともにすくすくと成長している。

人間の子供と同じ成長スピードのようで、レミリアさんが身長で抜かれそうなことに苦悩しているのは別問題ではあるが……(ちょっと萌える)。

 

「咲夜ならお兄様の後ろにずっといるよ?」

 

「はい、先ほどより控えております」

 

「うおっ!?相変わらず気配もなくっ!?」

 

 

俺の叫びに「メイドですので」と答えになっているようないないような返答をしてからスカートを摘まみこちらに問うてくる。

 

「本日はシンプルな白ショーツにガーターストッキング及びナイフベルトですが、ご覧になられますか?」

 

「……誰に言わされた?」

 

「レ、レミリアお嬢様に……」

 

クールに言ったつもりだろうが、白ショーツのくだりからどんどん耳が赤くなっていっているため言わされたのがまるわかりである。ありがとうレミリアさん!

 

しかし、なんでみんな俺にパンツを見せるのか……?そんなにパンツ見て喜んでたかな?……喜んでたわ!(自己解決)

 

「咲夜ちゃんも無理しなくていいからね、見せたいっていうなら別だけども」

 

「み、見せたくはありませんけど……見られても別に不快ではないですが……

 

咲夜ちゃんがなにかぶつぶつ言っているが、またテンパったのだろうか?

いつもは何でもそつなくこなす咲夜ちゃんだが、えっちなことに関してはかなりポンコツになってしまう。紅魔館が女子高みたいなもんだからしょうがないのかもな。

 

「そういや、フランはなんでここに?」

 

初手パンツでかなりペースを乱されたが、わざわざパンツを見せに来たってことも無いだろう。

いや、フランならありうるのか……?ちなみにチルノはわざわざ見せにくる。馬鹿には見えないパンツとか……

 

「えっとね、おつかい!お姉さまから招待状だよ!」

 

綺麗に封をされた手紙を渡してくれる。いつもの事なので開けなくても中身はわかるな。

 

「あーレミリアさんに献血の時期か」

 

献血とは言っているけども直吸いである。結構な金額をもらえたりするし、飯と快適な寝床までついてくる、こっちにメリットしかないんだよな。

 

「いつ頃に致しましょう?お嬢様は早い方がいいと……」

 

「言ってたのか?」

 

「いえ、態度で」

 

あー、そわそわしながら、「別にいつでもいいのだけれど」とか言っているレミリアさんが目に浮かぶな……

 

「さすがに今晩は無理だな、準備がある。明日でいいか?」

 

「それぐらいならお嬢様も待てると思います」

 

レミリアさんはなー……準備しておかんとやばいんだよな、吸われるとなんでかめっちゃ勃つからな……

しかも無理に迫っても「不遜ね」とか言いながらもさせてくれそうなところがやばい、物理的に入るかは知らんが(下品)

とりあえず今夜も霊夢ちゃんにパンツ借りるしかないな!(とばっちり)

 

「ねえお兄様」

 

「どうした?フラン」

 

「なんでお姉様にはさんづけなの?」

 

エロスを感じるからだよ……とは言えんな。

基本対象外は呼び捨て、性(セクハラ)の対象になったらちゃんづけ、女性として意識している(ただし相手の推しが強い)と思うのがさんづけというある意味最低の区分けをしている。

紫さんとかはこの呼び分けに気付いているようだけどもいつもの胡散臭い笑みしか見せてこない。

もしかしたらさん呼びに優越感を持っているのかもしれない。

 

ちゃんとさんの間は結構遠い、少なくとも性的な事だけではさんづけすることはないんだがそのあたりは言葉にしづらい感覚的なものがある。

ちなみにこの前妹紅ちゃんがさんづけに昇格した「竹林にて蓬莱人の永遠に涙するを見る」をいつか語る時が来るかもしれないな。

 

「お前のお姉様はいい女だってことさ」

 

「私はー?」

 

「将来に期待ってとこかな?フランは可愛いけど、可愛いだけじゃいい女にはなれないからな」

 

「わ……私は、どうでしょうか?」

 

まさかの咲夜ちゃんまで聞いてきた。

 

「もう一歩ってとこかな」

 

「いえ、その、かっ……かわっ」

 

「咲夜ちゃんは綺麗系かな?個人的には可愛いとおもうけど」

 

「そ、そうですか。ありがとうございます」

 

はにかみながら礼を言う咲夜ちゃん、うんやっぱりかわいい。

 

「お兄様あそぼーっ!」

 

「おう、いいぞ何する」

 

「お昼寝ーっ!」

 

「それは遊びなのか……?」

 

しかも俺さっきまで気絶してたから眠れる気がしないんだが!?

勝手知ったる他人の家とばかりに俺の手を引いて家に入る。

部屋に行くと片づけたはずの布団が敷かれており、フラン愛用らしきタオルケットを持った咲夜ちゃんが待機していた。

相変わらず便利な能力だな……

 

「んーっ!」

 

率先して横になったフランが自分の横のスペースをぽんぽん(バシバシ?)叩いてここに寝ろと要求してくる。

何を言っても無駄だろうしあきらめて横に寝るとフランが抱き着いてきた。

 

「ぎゅーっ!」

 

俺の腕を両手でしっかりと抱え込んでくる、人間と変わらない状態なのでぬくやわこい。

体温が高めなのはまだ子供の証だろうか。

 

「お、甘えん坊だな」

 

「うん!ぎゅっとしてもなにも壊さないのとっても嬉しいの!」

 

「……そうか」

 

抱えられてないほうの手でわしわしとフランをなでると「えへへ」と本当にうれしそうな声をあげぐりぐりともっとなでろとばかりに頭を押し付けてくる、うん、可愛い。

 

「失礼いたします」

 

咲夜ちゃんが大きめのタオルケットをお腹のあたりにかけてくれる。

 

「咲夜ちゃん……」

 

「はい、なんでしょうか?」

 

「このアングルから見るパンツもいいね」

 

「えっ、あっ!?きゃあっ!」

 

パンツ、頂きました!

幻想郷の女の子たちはスカートにもう少し気を使ったほうがいいと思う。

まあ、おかげで頻繁にパンツが見えてうれしいのだが。

 

「お兄様!いまはフランを見るの!」

 

「ああ、ごめんな」

 

わしわしと撫でを再開する。

その間に咲夜ちゃんは二歩下がってしまった、残念。

 

撫でているうちにだんだんフランの目がとろんとしてくる、もう寝落ちる寸前だ。

それを見ているとさっき気絶していたはずなのに俺もまた眠気を誘われ……意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

揺り動かされて目が覚めた。結構な時間寝ていたのか逆に眠い。

微妙に腕がチクチクすると思えばフランがかみついていた……吸血鬼の本能……?

 

「妹様も起きてください」

 

「んにゅ……甘くない」

 

「そりゃ俺の腕はスイーツじゃないからな」

 

「んぅ……?あ、お兄様おはよう」

 

「はいおはよう」

 

夕方におはようと言っていいのか……?

吸血鬼的には早朝なのかもしれないけど。

 

「あ、飯の支度しないと」

 

「僭越ながら私が終わらせておきました、お口に合えばいいのですが」

 

「ありがとうな咲夜ちゃん、俺は咲夜ちゃんの味が好きだし、霊夢ちゃんは食えれば文句は言わない性格だし、問題ないよ」

 

「んにぃ……お兄様咲夜食べたの?」

 

まだ寝ぼけているフランがある意味すごいことをぶっこんできた。

いや暗喩とかできるような子じゃないけども。

 

「はっはー、食べてないぞー?」

 

咲夜ちゃんは暗喩が通じたのかまたテンパっている。

やだ、ムッツリ……!

 

「咲夜ちゃん」

 

「はっ、はいっ!なんでしょう?」

 

「えっち」

 

「そ、そんなころはにでひゅよっ!」

 

「めっちゃ動揺してるよね!?」

 

「し……知りません!妹様行きますよ!」

 

「お兄――」

 

フランが別れのあいさつの途中で主従ともに消えた。

時間停止してまで帰るとか相当動揺してたみたいだな。

 

日も傾いてきたし、暗くなる前にいろいろやっとくかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーだから洋食なのね」

 

咲夜ちゃんが作っていったのはホワイトシチューと刻み野菜の入ったしっかり焼いたタイプのオムレツ。

しかし、ここは紅魔館ではないのでパンなどの買い置きはないので俺は飯を炊いた。

七分搗き位の米はシチューをかけて食うとうまいと思いやってみたところ大正解だったようだ。

 

霊夢ちゃんも最初は行儀が悪いと言っていたが騙されたと思ってやってみてと言うと警戒しながら(なぜなら俺はたまに騙すからだ)試してみて、気に入ったのか丼を持ち出してきた。

 

「霊夢ちゃんってたくさん食べるのに太らないよねー。まあ、幽々子ちゃんほどじゃないけど」

 

「あれだけ食べたら太る太らない以前にお金が続かないわね……」

 

「白玉楼の主だから食っていけるんだよな、それでも妖夢ちゃんの目が時々死んでるけど」

 

「ああ、まあ文字通り金銭が湯水のように消えてくものね……」

 

「ま、うちはうちで十分食ってけるんだから」

 

ちなみに俺が来る前と来た後では明らかに博麗神社の食糧事情は向上しているはずだ。

神鶏(ただし雌多し)という名の卵兼肉供給用の鶏を飼い。

生ごみと鶏糞とを混ぜた発酵堆肥を作り、作った畑に使ったり交換で幽香さんところで質のいい種を分けてもらったりと少なくとも俺と霊夢ちゃんだけなら米と調味料だけ買えば問題ないレベルで食べていける状態になっている。

 

まあ、あうんやらクラウンピースやら萃香さんやら三月精やら魔理沙にも食わせるので(前者ほど頻度が高い)そこまで余裕があるわけでもないが、俺の収入の半分はお賽銭(直接渡すとなぜか受け取ってもらえない)になってるし、困窮することはないと思う。

 

「アンタには感謝してるのよ?スケベなのはどうかと思うけど」

 

「俺からスケベを取ると何も残らんぞ」

 

「アンタねぇ……こんだけいろいろできるんだからそんなことないでしょうに

 

「ん?どうした?おかわりか?」

 

「そういうところはだめだけど!」

 

「なんでいきなり罵倒されたの俺!?」

 

「うっさい馬鹿!死ね!ハゲろ!」

 

「死ねは良いけどハゲろはよせっ!」

 

「死ねは良いんだ……?」

 

博麗の巫女にハゲろとか言われたら本当にハゲる可能性もありそうだしな、人はいつか死ぬから死ねは問題ない(暴論)最悪映姫ちゃんとこで働けばいいしな。

 

 

 

 

 

 

にぎやかな食事も終わり後片付けをしていると(今回は手伝ってくれた)、

霊夢ちゃんがお風呂をすすめてくれた。

 

「お風呂沸いてるけど入る?」

 

「一緒にか!喜んで!」

 

は?

 

「ごめんなさい」

 

いまの「は?」はすっげー怖かった。

 

「私はさっき入ったから」

 

「つまり霊夢ちゃんエキスが溶けているお湯……閃いた!」

 

「殺すわよ」

 

「死ねじゃなくて殺害宣言っ!?」

 

「はぁ……で、どうするの?」

 

「もちろん入らせていただきます」

 

「そ、少し追い炊きしておいてあげるから湯加減見ながら入りなさいよ」

 

「霊夢ちゃんありがとう!大好き!」

 

「はいはい、ありがとありがと」

 

そういいながら薪を一束(……おーいそんなに入れたら俺茹で上がっちゃうぞー)持って霊夢ちゃんは風呂釜に向かっていった。

 

神社には温泉も湧いているが夜にゆっくり浸かれるのはやはり内風呂である。

あと温泉だと俺が気兼ねなく入れない。セクハラは自分の意思だから良いけどラッキースケベは俺迄しどろもどろになるからな!

なのでこのお風呂も何とかして楽にしようと一生懸命改造したのだ。

 

上流から黒塗りの竹で水を引いているため夏場は沸かさなくても入れるぐらい熱くなる、この工事のお話「オペレーション朝〇ソーラーじゃけん」はいつか語る時があるかもしれない。

 

ところで「しどろもどろ」って妖怪ぽくね?

妖怪しどろもどろ……うん、いそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぃー……いいお湯だった」

 

ほんのり霊夢ちゃんの残り香のあるお風呂は心身ともにリラックスできた。

……脱衣籠に霊夢ちゃんのパンツがなかったのは残念だったが。

 

 

ぺたぺたと廊下を歩いていくと縁側で霊夢ちゃんがお酒を飲んでいた。

 

「アンタもどう?」

 

「一杯だけな」

 

俺はそこまで強くないし好きじゃない。萃香さんに言わせれば人生の120%損してるということだが……「なに?俺来世の分まで損してるの?」と思ったが酔っぱらいの言うことだし深くは気にしないことにした。

 

 

ぐい飲みになみなみと注がれる。

つまみはない。

 

軽く一口、すこし水で薄めてあるのか飲みやすい。

目で霊夢ちゃんに確認すると「アンタならそのぐらいがいいでしょ」と目で返事された。

 

最初から俺が飲むと思って準備されていたようだ。

少女が酒を飲む。異常な光景かもしれないが霊夢ちゃんが静かに酒を飲む姿は儚く、美しさすら感じられる。

 

宴会の時のにぎやかな霊夢ちゃんもいいのだが、この一人飲んでいるときの霊夢ちゃんは……

 

「綺麗だ……」

 

「そうね」

 

月か星の事を言ったのだと思ったのか霊夢ちゃんは返事を返してくれた。

いつもの俺なら「霊夢ちゃんの事だよ」と軽口をたたくのだろう、でもその言葉は出なかった、出せなかった。

 

俺はただ幻想郷で幻想のような美しい少女を眺めながらゆっくりと杯を干すことしかできなかった。

 

 

 

 

「寝るわ、おやすみ」

 

「あ、ああ。お休み霊夢ちゃん」

 

ふいに夢から引き戻された。

名残惜しいが、もう夜も遅い。

そういえば、と予定を思い出して俺は霊夢ちゃんを呼び止めた。

 

 

「あ、そういえば言うことがあったんだ」

 

「ん?どうしたの?」

 

怪訝そうな、それで何か待ち望んでいるような霊夢ちゃんに俺はこう告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




エピローグから始まるようなお話を書いてみたかった。
あとパンツ。

感想、続き(エピローグ前の話)など読みたいというものがあればぜひご連絡ください。

投稿後何回か加筆修正しました。

ねくすと(次は呪いとか祟りとかなんとかしてみた話)

  • 魔理沙とデートした話
  • 決戦!星海恐怖異変
  • 因幡の白兎した話
  • 屋台で駄弁るだけの話
  • 人里で遊んだ話
  • 新聞記者に振り回された話
  • 白蓮ちゃんと愉快な仲間たち
  • 神奈子ちゃんにシゴかれた話
  • かわいいクソガキに子分にされた話
  • 白玉楼で料理した話
  • 本編

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