霊夢ちゃん!今はいてるパンツ貸して! 作:みけさんわーきゃっと
「アンタいったい何してんのよ?」
「ん?壺焼きいもだけど?」
境内の片隅で作業をしていた俺を霊夢ちゃんが訝しんできた。
秋も深まり寒くなってきたので焼き芋を頻繁にするんだが幻想郷ではアルミホイルが貴重品(変なメーカーのが流れ着いてることはある)だから頻繁に消費できねえんだよな。
だからと言って土に埋めたり熾火に突っ込むやり方はどうしても汚れちまうし、いし焼き芋は準備がクッソ大変(準備してしまえば大量に焼くのには向いてる)だしということで――
「壺の中で炭燃やして、離れた位置に鉄串に刺した芋おいてゆるい蓋(ガチだと火が消える)して放置するだけで簡単に焼けるんだぜ?」
熱対流と遠赤外線でやわらかしっとりと焼けるぜ!
「何してるかは分かったけど……」
「まあ言いたいことはわかる」
霊夢ちゃんが言いよどんだというかツッコミを放棄したのは壺の数だろうな。
「69あるぜ!」
ずらりと並べてあるから遠目から見ても異様だろうな
ちなみにそこそこ大きい、チルノぐらいなら入れてしまうサイズだ。
「なんでまたそんな数……?」
69だからな!(変態)
まあ実は最初はちょうど70あったんだが一個割れただけだったりする。
チルノが入って倒して割ったからな。もちろん容赦なく折檻した。
そしてそもそも数が多いのは……
「だってアレ消費しきれねえだろ……」
芋自体はこっちの畑ではなく幽香さんところで作ってたんだが、なんか農家レベルで作ってくれた……
おそらく4トントラック一台以上ある。
さすがに消費しきれないので酒屋のおっちゃんに芋焼酎の作り方をそえて半分ぐらい押し付けてきた……それでもまだまだあるんだぜ……(恐怖)
たださつまいもの花という超レアなものが見れたのは良かったと思う。となりでそっと寄りかかって来た幽香さんも可愛かったしな!
「まあ、食うに困るよりはいいんじゃない?で?作ってる理由はわかったけど、作った後どうすんのよ」
「例によって配るぞ?まあ最悪幽々子ちゃんに押し付ければいいだろ」
「流石に幽々子でも……いや、いけそう感あるわね」
「本人曰く「無限に入る」そうだぜ?」
まあでもだからこそ無駄なもの食いたくはないみたいだけどな。
幽々子ちゃんは幻想郷でもかなり美食家の分類に入り、俺の料理にダメだしする数少ない人間(亡霊)だ。
「まあ、あの食べっぷりならさもありなんね、でもどうするの?冷めちゃわない?」
「いちおう取りに来させるつもりだしな、伝令はすでに放ったし」
暇をしていた魔理沙と萃香さんだ。
正直萃香さんだけで十分だと思う(能力的に)が一応魔理沙にも手伝わせることにした。
働かざるもの食うべからずだぜ?
ちなみに萃香さんは芋焼酎できたら渡すことで合意した。
あといの一番に文が嗅ぎつけて取材に来たのでそっちにも伝令を頼んだから、月以外はだいたい網羅するんじゃねえかな?
多分それでも余るが……(恐怖)
と、まあせっかく見に来てくれたんだし……
「焼けてるのあるけど食う?」
「もらうわ」
「ほい、熱いから気を付けてな」
「ありがと」
霊夢ちゃんに焼けた芋を手渡すと……まあ、洗濯は霊夢ちゃんだからいいか。
袖口でくるむようにして焼き芋を持った。
一応でんぷん質だから皮越しにくるむぐらいならいいけど、中身の部分がついたら結構とれにくいと思うぜ?
「ほっほっ……うん、いいわね。火で焼くのよりねっとりとして甘い気がするわ」
「お、さすが霊夢ちゃん。わかってるな!」
まあ火でやるとどうしても水分とぶからな、でもあっちではあっちでほくほくしてて好きだぜ?
霊夢ちゃんは芋を割って断面から食うタイプのようだ。
熱い芋を冷ましながら食うのにいいんだよな。
内部は熱いから、左右交互に食って多少冷める効果を狙ってるんだろうが、こう、断面をちびちびかじってるのは……
「霊夢ちゃん小動物みたいで超可愛い」
「またアンタは妙な褒め方するわね……ま、ありがとって言えばいいのかしらね?」
「なんなら感激してちゅーしおわちゃああっ!?」
焼き芋の断面(熱々)を口に押し付けられたんっ!?
「はい、存分にするといいわよ」
「霊夢ちゃんに直接してもらいたいんだが……」
まあ、これでも間接ちゅーにはなるから良しとするか!(ポジティブ)
ちなみに普段から食い物の共有を重ねた結果、なんというか霊夢ちゃんも俺も動じない。
いや、俺はちょっと嬉しいんだが、霊夢ちゃんは本気で気にしてないみたいなんだよな。
そもそも初期は喰いもん貴重だったし、俺が料理に凝ってからは味見だあまりものだだのなんだかんだで「口を付けた」ぐらい気にならなくなってたしな。
というか意外にみんな気にしない。やっぱ食いもんに関しては現代の感覚持ってる俺が異常なのかもな?
早苗ちゃんぐらいだろ、気にしてるの(でも咲夜ちゃんとかもちょっとためらう)
「……お茶が欲しいわね」
半分ほど食べた霊夢ちゃんが神妙な顔で唸る。
「まあ芋の最大の欠点だよな、のどかわくの」
「部屋でお茶と食べるわ、もう2.3本ほど貰っていくわよ」
「おう、ちなみに夕飯にも芋出るからあんまり食いすぎると飽きるぞ?」
「……一本でいいわ」
ちなみに薩摩汁(豚汁のさつまいも入ったバージョン)に芋の炊き込みご飯だぜ。
「というかしばらくはおやつ芋尽くしだと思うからそのあたりは勘弁な!」
とはいってもなかなかにレパートリーはある、純粋に芋羊羹なんかもうまいし、手間をかけてスイートポテトとかもいい。超手抜きだがあんことバターを載せて雑に喰うのもうまいぜ!(なおカロリー)
ちなみに華扇ちゃんはこのあんこバターいもをどんぶり単位で食えるので侮れない。
幽々子ちゃんほどじゃないが割と胃袋の容量越えてる気がする。
「アンタの作るものにハズレはないだろうし、べつにいいわよ。じゃ、アンタもほどほどで切り上げなさいね?またぞろ変なことに巻き込まれる前にね!」
「わかってるって。大体料理関係でそこまで巻き込まれてるわけじゃねえだろ?」
「……アンタこの前から三連続だからね?仏もそろそろ許さないとおもうわよ?」
姑獲鳥水あめ事件とカッパーランド料理対決事件と激盛わんこそば事件のことだな?
……うん、まああれだ
「ちょっと運が悪かっただけだ」
「もしそうならアンタの運の悪さは厄神超えてるレベルよ」
「霊夢ちゃん辛辣ぅ!?」
まあ、別に俺だけが悪いわけじゃねえとは思うんだがな……
幻想郷って週に一回なんか起きてるし……
「事実じゃない。アンタもそこそこ強くなってきてるみたいだけど弾幕ごっこと違ってアンタのは実力なんだから自分が人間だってこと忘れないでよ?」
「あー、うん、確かにな」
肉体の強度的に、いいの貰うとあっさり死ぬからな。……二回は金剛身で隕石の直撃喰らっても耐えるけど。
……あれ?いよいよ俺人間止めてね?……まあ、術は人間の使うものだからセーフな!
「そういうわけだから知らない妖怪にはついていかないこと、いいわね?」
「ついてこられた場合は……」
妖怪って一度ねらわれるとしつこいからな……
「振り切って逃げなさい、そもそも私が華扇に頼んだのってそういうことを期待して頼んだんだけど、あいつアンタ鍛えるのに心血注いでるの、なんなの?なんで真正面から打ち破れるように鍛えてるの?」
「それは俺も聞きたいんだよなあ……」
百年単位の育成計画建てられても俺そんなに長生きできないんですよ、華扇ちゃん……
「神奈子もそうだけど、なんかみんなして普通に戦闘能力高めてるのよね……、アンタの」
「まあおかげで命拾いしたことも多々あるし、多少はな?」
文が刀術使えたりするのも意外だったが、古参妖怪は大抵武術の一つや二つできるんだよな……
文曰く「義経鍛えたのうちらですし」とか嘯いていやがったからな……
「まあいいわ、ちゃんと帰ってくるなら、じゃあ私は戻るけど、くれぐれも厄介ごと持ってこないでよね」
「おう、当然だろ」
「さてどうするかな」
独白して気分を落ち着かせる。え?なんでかって?
厄介ごとが起きたからだよ!(全ギレ)
まあ何があったかというと――
「芋芋芋っっと、美味しくて手が止まりませんよねー」
とにっこにこで食べ……飲んでるのは華扇ちゃんである。
いや、幽々子ちゃんレベルの速さだぞ!?
ちなみに芋羊羹に「なる途中」の牛乳を混ぜた芋を飲んでる?喰ってる?あれだ、消費してる(酷)
華扇ちゃん昔はもう少しこう、手加減というか、ぽんこつ味は薄かったんだが、近頃本当になんというか残念になりつつある。
せめてもの救いはオンオフがしっかりしているところかな?オフ状態じゃなければちゃんとしてるからな、華扇ちゃんは。
ちなみに他にも三々五々芋を取りに来ている、向こうでは命蓮寺の面子が神妙な顔でイモ食ってるし(何があったんだろうか……?)
端っこではチルノが……
「親分次は蓋閉めて火を焚きますぜー!」
再び壺に入ろうとしていたので次回のお仕置き内容を公開したところ諦めたようだ。
ちなみに割と容赦ないようだが、こうみえても一回休みにしたことはない。
むしろ悪戯して自爆して一回休みになってる感じだ。
「まだありますか?」
と華扇ちゃんが問うてきたので「あるぜー」と次のを壺から取り出して渡そうとしたところ「ひょい」っと上空から奪われた。
「私にもいただける?坊や」
「霍青娥!?何故ここにっ!?」
敵意むき出しの華扇ちゃんも珍しいな、そういえば二人がガチあったのって初めてか?
「華扇ちゃんの分を横からかっさらっていかなくてもちゃんと青娥媽媽のぶんもあるよ、それに言えば届けたのに」
「そうです!それは私のお芋です!霍青娥……!?媽媽!?」
「ありがとう、優しい坊やで助かるわ」
華扇ちゃんが驚いているがなんでだ?
「霍青娥!貴様面妖な術をかけたな!」
「え、何のこと?急に怒り出してこわいわぁ」
「こ奴に媽媽などと呼ばせて何を企んでいる!」
それかー……いや、もう当たり前のように呼んでて忘れてたけど、この呼び方強制とかそういうんじゃなくて……
「あー、華扇ちゃん」
「待ってて!すぐに術をつきとめますから!」
「いやそうじゃなくて、俺が普通に「母性を感じる」っていったら青娥媽媽が――」
「なら媽媽って呼んでいいわって言ったらそれからそう呼ばれているだけよ。最も――」
そう言って華扇ちゃんに黒い気をたたきつける青娥媽媽。
ちょっと待って!?なんで臨戦態勢に入ってるの!?
「私とて坊やに情が沸いているの。悪い虫は払わないといけないと思わなくて?」
「毒婦がよく言う!」
んー、これはダメだな。
正直ここまで華扇ちゃんがおかしいのは初めて見たかも?
「華扇ちゃん、華扇ちゃんが知ってる青娥媽媽と俺が知ってる青娥媽媽は違うのかもしれない、でも少なくとも今の俺が客観的に見たら「いきなり喧嘩売ってる」のは華扇ちゃんだからな?」
そう言いつつ抜き身の刃を喉元につきつけるような気を放つ。
これは「本気」である、という意志表示だ。
「それはあなたが術中に――!」
「はまってたらさすがに紫さんなりなんなりが見咎めるし、パチュリーちゃんやそもそも華扇ちゃんが見破るだろ?青娥媽媽とは半年ぐらい前に出会ったけど今まで何も感じなかったろ?いま華扇ちゃんは「霍青娥」という知ってる名前だけで判断しようとして目の前の「青娥媽媽」を見てないんだよ」
「茨歌仙。今あなたは冷静さを欠いているわ。誓ってもいいけど私は坊やに危害を加える気はないわ。もちろん術などを教える過程で結果として害をなすことはあるかもしれないけど、この坊や、やんちゃが過ぎてほおっておいた方が危ないのよ」
「いやあ」
錬丹術教わってた時附子って狂言のアレ(砂糖)かと思って舐めて死にかけたぜ……
「……わかりました、しかして何かあった場合は私はふたたび鬼と化すかもしれませんよ」
しぶしぶといった感じで華扇ちゃんが闘気を収める。
俺と青娥媽媽も気を収め、元の体勢に――
「媽媽?」
ちなみに俺が青娥媽媽と言わずに媽媽という時はツッコミを入れたりする時だ。
なにせ今の青娥媽媽は俺の右肩の上に座って俺の頭を抱えて左肩に青娥媽媽の顔がある襟巻みたいな逆Uの字の体勢になっている。
なんか青娥媽媽って変な体勢とったり空中で逆さになってたりすること多いんだよなあ……
この体勢はおっぱいが気持ちいいんだが……」
「吸ってもいいわよ?坊やなら」
途中から声が出てた!ちなみになんというか本当にエロスがなくて、揉みたいとかでなく顔うずめて眠りたいとか吸いたいとか……あれだ「オギャりたい」気分になるのが青娥媽媽の母性すごいと思う。
「あなたに悪意が無いのはわかりましたが「それ」はやりすぎでは?」
「坊やが嫌ならやめるけど?どうなの?」
聞かないでほしいんだけど!?
だって――
「嫌なわけがない(真顔)」
俺の答えを聞いて華扇ちゃんが睨みつけてくるがしょうがねえじゃん!俺嘘つかねえし!
俺じゃなくてもほとんどすべての男は嫌じゃないと思うよ!(偏見)
「茨歌仙もすればいいじゃない……羨ましいのなら」
「霍青娥ぁ……!」
「でもあなたでは無理かしら?ほら、あんまりないし」
媽媽!?
なんで煽るの!?あと華扇ちゃんはたぶんDあるよ!もっとも媽媽のほうが大きいけど!(混乱)
「よし、その喧嘩買った、なんでもあり、残機ゼロ」
「いいわよ、遊んであげるわ」
せめてもの救いは弾幕ごっこで勝負をつけるつもりだろうが……絶対流れ弾で境内めちゃくちゃになるよなあ……
ここで最初に戻る。
「さてどうするかな」
独白して気分を落ち着かせる。え?なんでかって?
すでに結構被害が出てるからだよ!(全ギレ)
そして俺は本殿から霊夢ちゃんが「こらーっ!」と飛び出すのを見て説教が不可避になったことに思いをはせるのだった。
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