エレンが地下室に閉じ込められてまもなくの頃のお話。
一応、腐向けではない。
こちらへ居ない間、いろんな事がありました。素敵な人と知り合ったり、美しい場所に行ったり。
まぁ、そんな事を活かしてこれからも書き散らかしたいと思います。
巨人になれるというその少年が閉じ込 められた地下室は、彼の故郷とよく似て いる。
拘束された少年を目の前に、その場所の暗さをリヴァイは懐かしんだ。久しく嗅いでいない地下の空気。不正と不道徳とが溢れる、日の光の射さない場所。
まるで、母が子を慈しむように、闇と湿った空気にリヴァイは育てられたのだった。
「お前、シガンシナの出身だそうだな」 リヴァイが口を開くと、鎖に繋がれたエレンは彼の方を見た。
闇の中でもはっきりとわかる、翡翠の 色をした瞳。
「…えぇ、」
その声は心持ち掠れている。
若い彼にとって鉄格子に囲まれた日々は余りに辛いものだろう。リヴァイには、エレンはまるで植物のように伸びやかに見えた。
「…リヴァイ兵長は、何処の出身なん ですか」
躊躇いがちに、エレンの声は響く。
あぁ、この反響。まるっきり地下街の それと同じじゃないか。
「暗い場所だ。此処みたいにな」
リヴァイがそう返すと、エレンは、ため息をついたように見えた。
「シガンシナはとても綺麗な街ですよ。川が流れていて…」
故郷の事を話すエレンの声には酷く懐かしい響きを持つ。
それに、少しの哀しみと。
「それなら、お前外に出たいだろう?」
なぜだかほんの少しいたたまれなくなった。
「はい、とても…空と、太陽が見たいで す」
「此処からは空は見えねえからな」
別に、見えたところでどうにかなるも のでもない。リヴァイは円く切り取られた空の事を思う。
その空は見上げるばかりで、人類の手 には届かない。
「切り刻まれて、届かない空なら、いっそ無い方がいい」
リヴァイは小さく呟いた。呟いたつも りだったがその声は大きく反響し、エレ ンの耳にも届いた。
突然、闇の中に乾いた笑い声が響いた。
エレンが笑っているのだった。
「俺の友達が、アルミンって言うんです けれど、昔、ある本を読んでいたんです よ。そこにある言葉を思い出して…」
彼は、笑いを鎮めて言葉を重ね る。 「他の動物達は四つん這いで、地面を見 ているのに対して、人間は、2本の足で 立ち、空を見つめるように言いつけられ た…」
そう語る彼の表情はすこしだけ恍惚としているように見えて。
「…俺は、人間なら、空が無いと生きていけないのだと思います。ましてや、誰よ りも強く自由な貴方なら」
エレンは、繋がれた腕を掲げ、天を仰 いだ。その視線の先には黒ずんだ天井し かないのに、その瞳は本物の空のように 澄んでいた。
それを見て、リヴァイは思わず目を上げた。しかし、そこにあるのはやはり、黒く汚れた天井に過ぎない。
もし、彼の言うとおりなら、彼は人間 だ。リヴァイは思う。
もし、エレンが人間なら地下室に囚われたままではいないだろう。
けれど、俺は。
俺は本当に人間なのか?
読んでくれてありがとう!
エレンとリヴァイはとても対象的な存在で、それ故に惹かれ合うものだと思います。エレンが植物なら、リヴァイは地面の下でその上を支える岩、といったところでしょうか。どちらも美しいものだと思います。
エレンの言葉は、教科書に載っていた一文です。進撃にぴったりの力強い言葉。