コクダンの日常兼クリスマス回です。
「どうして…こんな…コンテストなんかに…。」
そうぼやくのは、珍しく仕事用の黒いツナギから着替え、もこもこのニット帽とダウンジャケットを着込んだ丸っとしたコクダンである。
忘年会のカラオケ大会にて最下位になったコクダンは罰ゲームとして年末のポケモンコンテストに出ることとなったのだ。
そもそもコンテストが罰ゲームになるなんておかしい、と思われるだろうが、Harvesterの職員は大概、バトル以外の才能が破茶滅茶になっていたり、ポケモンの癖が強かったりでコンテストに不向きであるのだ。
具体例としては所長のバンギラスや同僚のゼブライカ、マルマインなどがあげられるだろう。バンギラスは出るだけで砂嵐を巻き起こす特性、砂起こしを持つ。
しかし所長のバンギラスは、ホウエン地方の111番道路を一時期通行不能に至らしめるほどの暴風で岩石を巻き込んで砂嵐を起こしていた問題児。おまけに戦闘狂なのでバトルに関係ないと途端にふて寝する。
同僚キメジの手持ちのゼブライカは走ることにしか興味がなく、それ以外は自分のトレーナーだろうがなんだろうが、やりたくないことを強いるなら後ろ足で蹴り飛ばすこだわりの強い馬。うまぴょいである。おまけにペンキで全身真っ黒に染めようと自分自身でペンキバケツを隙あらば被るので、おちおち目を離せない。趣味はレース。
同じくキメジの手持ちのマルマインは見てわかるとおりに爆発狂い…だけなら良かったのだが、最近は有り余るスピードを生かして飛び跳ねるを活用した空中爆撃を行うようになった、そらとぶ変態爆弾である。そんなこんなでみ~んな癖の塊なのでまともにコンテストできるかどうかも怪しい。
だから、コンテストに出て恥を晒してこい、という意味で罰ゲームになったようである。
おまけに年末の特番イベントなのでポケモンリーグ組織委員会からもどこかの部署から出てくれ、とのことで…。噛ませ犬がほしいようだ。
コクダンだってそんな問題児の一人。そもそもファッションセンスに欠けているのだ。
年末特番だからと呼び出されても、寒いときはほんとにそれが顕著になる。もこもこのダウンジャケットを着込み、サンタクロースの格好で出てきたのである。白いひげもつけているのでサンタクロース感ばっちり。無論、楽屋には何パターンか衣装があったものの、全部無視してもこもこになっている。
観客の子どもたちからサンタさんだ!サンタはいたんだ!プレゼント頂戴!と黄色い歓声が上がるが、全くコクダンは反応がない。
『寒い寒い寒い寒い寒い…』
このコンテストの開催日はクリスマス当日である。夜の一般の方たちは恋人同士でデートしたり、家族みんなで集まってフライドチキン片手に団らんしてたり、友達一同でパーティしてたりするのだろうが、コクダンは最後の一つはともかく、前半2つは持ち合わせていない。え、ハプウがいたじゃないかって?そこはおいておこう。それもあって余計に出されることとなってしまい、断りそこねて機嫌が悪い。
他のコンテストメンバーの中にはキャンディ・ムサリーナやサトシやらヒカリやら…。アニメキャラばかりの中に、一人ぽつんとサンタクロース。とりあえず後でムサリーナにサインを貰いに行こうと考えつつも、自分の出番を寒い寒いと震えて待つ。しかしながら、アニメを見ていたときも思ったがこんな時期にあんな薄い服装で寒くないのだろうかとサンタコクダンは思う。思っても何もしたくないのがコクダンだが、それはさておき。
自分の出番が回ってきた。しかし一際冷たい風と、舞い込む雪に段々と機嫌の悪化したコクダンにとって、もはやコンテストに全く興味がない。と言うより寒くて頭がボーッとし始めてしまっている。
一番最後のコクダンの前に演技をしたのはヒカリとミミロル。ステージが演技によって凍りついていた。従来はそこを掃除して演技を行うのだろうが、寒空の下待たされることがもうキツかったので、頼み込んで出してもらうことになった。
『へい、チェルノボグ、とりあえず凍りついて寒い舞台、ぶっ壊すぞ。』
いつもどおり、ダイブボールから飛び出たチェルノボグ。コクダンとおそろいのサンタ服がよく似合っているが、やはりこいつもやる気が無い。主人に似すぎてご飯とバトル以外はあんまり興味がないのもあるが、このサンタ服、薄いのだ。さむがりなところまで似通っているので、全力ぷるぷるが始まっている。
『地震。』
『地震。』
『地震。』
『地震。』
『地震。』
『地震。』
『地震。』
『地震。』
『地震。』
『地震。』
合わせて十回、ちょうど地震のPPを使い切る分を淡々と命令する。早く終わらせたいチェルノボグは大地を叩き壊すかの如くの勢いで、ひたすらに揺らす。演技もへったくれもない。氷のオブジェを破壊し尽くし、ステージどころか、観客も審査員席も、全てまとめて揺らしぬく。恐怖に満ちた悲鳴が辺りからチラホラ見受けられる。
『メガトンパンチ!』
揺れが収まる気配すらなく、誰もが立っていられない。
そんな中、地面に向かって振り抜かれた拳は轟音とともに、大地を貫く。
ピタリ、と揺れが収まる。あれだけ酷い地震が、ただの一発の拳で、食い止められてしまったのだ。たまたま止まった、と言い張るには無理がある。明らかに、先程の拳こそが原因なのだろう。
先程粉砕された氷がパラパラとヨノワールのあたりを舞い散る。
舞い散るそのかけらめがけ、炎のパンチとかみなりパンチが的確に打ち当てられていく。
神々しさと力強さを感じられるような演出と彼らの堂々とした態度からはサンタたるもの、パワー無くてはプレゼントは届けられぬ。そう彼らが語っているように見えた。審査員席のスキゾーさんは一言、「好きですねぇ…。私は好きですよ。」と呟いた。
ただ、当然のことながら、最下位である。
バカの一つ覚えの力任せは、流石にコンテストではウケが悪いのだ。
ムサリーナからサインを貰い、テンションの上がったコクダンには、もうコンテストの結果なんてどうでもよく、スタコラサッサとお家へ帰ったのであった。
次の日に、部署全員に何とも言えない顔をされて、ムッとしたのはご愛嬌…なのか?
これから書いてほしい話を募集します。
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