出来についてはあまり期待しないで頂けますと…。
ウルトラビーストをはじめ、いわゆる準伝説・伝説・幻と呼ばれるポケモンには、一般的なポケモン保有資格よりも上位の資格が必要となる。
たとえば、ある地方ではカイオーガの幼体を手持ちに入れているジムリーダーがいたり、フロンティアブレーンのジンダイ氏のように、レジロック・レジアイス・レジスチルを保有しているケースもある。
ジムリーダーであれば定期的に資格を更新するため、この資格を保持していないことによるトラブルはほとんど発生しない。
しかし、この資格を持たない状態で上記のような特殊なポケモンを捕獲すると、リーグ運営から各種問題へのサポートを受けられなくなる。
代表的な例を挙げると、
その都市の象徴的なポケモンを捕獲したことによる観光名所の喪失。
特性によって周囲に与える悪影響。
他団体からの過剰な干渉。
捕獲による生態系・環境への悪影響。
信仰対象の捕獲による宗教の崩壊、または新たなカルトの発生。
以上を踏まえ、コクダンがカミツルギを捕獲したあとの話をご覧いただこう。
ウルトラビーストに関わる主要団体として、エーテル財団と国際警察が挙げられる。
現在、イッシュ地方・ヒウンシティで手続きを進めているコクダンの両脇でうるさくしているのが、その二組織の代表。国際警察のリラと、エーテル財団のビッケである。
どうやら二人とも、捕獲されたカミツルギの引き渡しを求めてコクダンを説得しに来たらしい。
前世の知識を多少持つコクダン的には、「預けてしまえば楽だろう」と一瞬思う。
だが、国際警察は動きが遅い。
【国際】というだけあって手は広いが、そのぶん足が追いつかない。頼りにするには不安が残る。
一方のエーテル財団は、その裏で犯罪組織としての側面を持っている。ゲームをプレイしたものなら記憶に残っているであろう、氷漬けのポケモン。そんな場所に渡せば碌なことにならないのは明白だ。
ということで、コクダンは光の壁で二人を押しのけ、黙々と書類手続きを続行する。
一応、彼はこの組織に入る際に特殊個体捕獲資格および保持資格を取得しているため、膨大な書類と一定期間の監視を受ける代わりに、ウルトラビーストをはじめとした特殊ポケモンの管理を行うことができる。
そんな中、コクダンの隣の席に慌てて駆け込んできたトレーナーがひとり。
ちらと目をやると、アニポケを見たことのある者なら誰もが知っている、公式が用意した伝説厨。そう、あのタクトであった。
どうやら野良湧きのダークライをうっかり捕獲してしまったらしく、近隣住民に甚大な悪夢被害が発生。
しかも資格を持っておらず、その存在すら知らなかったようで、ジュンサーさんが後ろから駆け込んでくるほどの緊急事態になっていた。
その場で手続きをすれば済むと思ったのだろう。
確かに、コクダンが書類を記入していたため、勘違いされても無理はない。
しかしこの資格の取得は非常に面倒である。
まず確認されるのは、トレーナー以外の職業を持っているかどうか。
特殊ポケモンの食事は専用のフーズが必要で、きのみだけでは必須栄養素が不足する。
幻やウルトラビーストの専用フーズは、情報不足による精密検査や特別配合のため、非常に高価だ。
したがって、資金を安定して確保できる職業、たとえばジムリーダーなどを持っていることが望ましい。
コクダンはリーグ下部組織に所属しているのでこの条件は達成している。
鋼・岩・毒タイプなどにもリーグ販売の専用フーズはあるが、こちらは市販品も多く、価格も一般フーズと大差ない。一般フーズと違う点は必要とする栄養素が違うところだろう。毒タイプならば毒系成分、鋼タイプなどなら金属成分等だ。メーカーによって毒性が異なるためポケモンの好みにすり合わせることをお勧めする。
次に必要なのは、トレーナー歴6年以上である。
「1年目で伝説を捕まえて無双だ!」などという夢を抱く者も少なくないが、実際には手持ちのポケモンの健康管理すら満足にできない初心者に、特殊個体を託すわけにはいかない。
バトル技術だけでなく、感情の機微や相性、環境変化への対応力など、長年の経験でしか培えない要素が多いのだ。
また、2年ごとに行われるポケ免更新時には、育成・医療・倫理の各分野にわたる詳細なチェックが実施される。
そのため、トレーナー歴の長さは実力と責任感を兼ね備えた証明として、資格審査でも重視されている。
そして最後に必要なのが、バッジ8個以上の保有である。
これは1地方につき8個を集める必要があり、単なるコレクションではなく、地域ごとの強豪ジムを突破したという実績の証明だ。
コクダンはイッシュとカントーでそれぞれ8個を獲得しており、トレーナーとしての総合力は折り紙つきである。
この条件が設けられているのは、万が一ポケモンが指示に従わず暴走した際、自らの力で鎮圧・保護できることを示すためだ。
なお、アローラ地方ではリーグ制度が発展途上で、バッジそのものが存在しない。
そのため、アローラ出身者は他地方で修行を積み、バッジを取得して資格申請を行う必要がある。
この格差に関してだがリーグ開催時に地元ならではのZクリスタル集めをはじめとした島巡りをバッジの代用として申請を行ったらしいのだが、その点を精査したところ極めて脱落者の多い内容かつそのサポートがない。さらに中身がぬしポケモンや守り神ポケモンの意向重視ということで正確な判断に支障が出るとなったため、現在は準公式リーグとして処理されている。他にもオレンジリーグなどのそもそも内容がバトルの強さと関係ないものが多い地方は準公式リーグとして認定されている。
この三条件に加え、保証人の提出や長期的な審査期間も存在するため、捕獲後に慌てて資格申請を行うのは極めて危険であり、無謀と言わざるを得ない。
特にウルトラビーストや幻ポケモンの場合、国際条約レベルの規制が関わるため、書類不備ひとつで不法捕獲扱いになることもある。
なお、この規則を破って捕獲したうえで隠匿したり被害を出した場合は普通に捕まる。
「ゲットだぜ!」ではなく「逮捕だぜ!」である。
罰金に加え、社会奉仕活動、そして一般的なものよりも苛酷な資格試験が課せられる。
資格試験を受験できるのは捕獲したポケモンとの絆が確認できた場合である。なつき度が一定値に達していれば無理やり引き離すことでの被害を考慮して特別に許可が出る。ただし前述の3条件は遵守される必要がある。どれか一つが満たされていない場合はその地方のリーグに所属させられ、達成させられるまでは特殊なポケモンはリーグ預かりとなる。
中でも最も厳しいのがバトル試験だ。
五対一での三連戦、上位クラスでは七対一の耐久戦も実施される。
これは、ロケット団やポケモンハンターのような犯罪組織が複数体で襲撃してくる現実的リスクを想定した訓練でもあるのだ。
かくしてタクトは、ジュンサーさんに手錠をかけられ、連行されていった。
哀れな……という顔でそれを見送ったコクダンは、自分も資格の更新をしなければならないことを思い出し、項垂れる。
「異動申請もしないとなぁ…。」
横のうるさい二人に目をつけられたということは、すなわちその組織にマークされたということ。
国際警察はどこにでもいるが、エーテル財団がアローラから移動してくることは稀だ。
少しでも被害を減らすためには、それも考えなければならない。
疲れた顔のコクダンは、明日も書類を抱えて役所へ向かうのだった。
これから書いてほしい話を募集します。
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カミツルギ捕獲作戦
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コクダンの日常
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Harvesterの他メンバーの話
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コクダンvsタクト
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コクダンの設定