ドヒドイデとヒドイデというポケモンがいる。彼らの主食はサニーゴであり、被食者と捕食者の関係にある。しかし、彼らを捕食する生物はいないため、近年個体数が増加傾向にある。
現在の生息域はアローラ、ガラルであり、ガラルでは原種のサニーゴが生息していないため、通常の珊瑚を捕食することが多いそうだ。
ただ、ドヒドイデたちが他の魚ポケモンを食べないか、と言われればそれは違う。珊瑚だけでは足りないらしく、例えばジョウト地方に住みついた個体はテッポウオやチョンチー、更には甲殻類のクラブに貝類のシェルダーまでもを喰らうようになったため、生態系が崩壊するようなことが各地方で多発している。
おまけにドヒドイデは通常の卵による繁殖以外にも、分裂という繁殖方法が存在している。というより、再生能力が高すぎて、真っ二つにするとそれぞれのパーツが再生して二匹になるのだ。
おそらくはオニヒトデの性質と同類であると思われる。オニヒトデは30−40%の部位が残っていれば再生できる、という性質があり、ドヒドイデも類似した性質を持つために、そういうものなのだと私は思う。また、非常に強い毒性もその一つである、と考えられる。
浅瀬でヒドイデを踏み付けると毒を浴びてしまうことがあるが、さらに怒ったヒドイデによる攻撃により、命を落とすということはよくあることである。これが起きる理由として、【人でなし】という特性がある。
効果は毒状態の相手に与えるダメージが2倍になる、というものであるが、これにベノムショックが組み合わさると通常のベノムショックの4倍威力になり、レベルの低いヒドイデでも十二分に人体に致命傷を与えられることが推測できる。
この毒を利用して他のポケモンを狩って生活しているようで、図鑑説明によればドヒドイデの毒はホエルオーすらも三日三晩苦しめるものであるらしい。毒だけでは死にはしないだろうが、群れで襲われたらもう手遅れというしかないだろう。
今回の依頼は、そんなドヒドイデとヒドイデの群れをアサギシティの海岸沿いから一掃することである。
が…。
駆除方法がかなり厳しい。
オニヒトデで言えば見つけ出し、酢酸を注射して陸地で放置すると溶ける、という性質がある。しかし、ポケモンである彼らに酢酸を注射しても少し体調を崩す程度でなんの意味もないことが確認されている。
そして、駆除方法といえるものが確立されていない。ヒドイデの段階であれば頭の部分を破壊すれば再生が止まるが、ドヒドイデに至ってはトーチカ、と呼ばれるわざとその再生力が猛威を振るいすぎているため、破壊しようにもまともに技が通らない、というものである。水中の彼らは異様なほど硬いのだ。
じゃあどうするか、と駆除チーム一同は考える。
そもそも海中では命令を出すのも、ポケモンの技も普段と違って威力に支障が出てしまう。
水タイプ相手だから電気タイプの技を使えばいいじゃないか、と思うだろうが、海中では電気が分散してしまい、まともに技として成立しないほどに弱っていることが多い。
そこで、わざわざ海で戦わなくてもいいのではないか、という考えに至った。以前も言ったが、相手の土俵に乗るほど馬鹿らしいことはないのだ。
ではどうやって引き上げるか、という方向に話が移る。テレキネシス、サイコキネシスで持ち上げる、という案もあるが暴れるポケモンを拘束できるほどあの技に器用なことはできない。
なら、暴れさせなければよいのだ、という方向に意見が動いた。だが、今回の群れはかなり多く、催眠術程度では足りない、ということが明らかになってしまった。ここで何故麻痺ではなく眠りが選ばれたのかというと、特性が人でなしではなく、じゅうなんの個体もいるからである。つまり麻痺しない個体がどれだけいるか見当もつかないので、眠らせるしかない、となるのだ。毒タイプなので毒状態にもならないから、仕方のないことである。
会議は振り出しに戻った、ように見えた。
そんな彼らの会議室に一人の研究者が飛び込んできた。彼の名前は…なんだっけ…。コクダンの記憶能力は割と微妙なのだ。それはさておき、この駆除チームはポケモンリーグやシルフカンパニーの開発した研究段階の製品を試験運用することもあり、どうやら今回もそういったものらしい。
今回の製品はガラル粒子を貯蓄し、周囲に散布することで擬似的にガラルのジムスタジアムと同類の環境にできる、というものだ。ただ、研究段階の製品なので一回分ダイマックスできるかどうか、というものだ。
が、コクダン含め、駆除チーム一同はダイマックスバンドを所持していない。ガラル出身のトレーナーは一人いるが、彼と相棒のオーロンゲは幼い頃に療養も兼ねてアローラに行ったためにジムチャレンジなんてしていないのである。
しかしそこは抜かりのない研究者。願い星と呼ばれる特別なアイテムを運良く拾うことに成功しており、ダイマックスバンドを制作していたのだ。なので早速オーロンゲとそのトレーナー、ディアンに使ってもらうと決まった時に判明したことなのだが、このオーロンゲ、キョダイマックス個体であった。
つまり、眠らせる問題が解決してしまったのである。広範囲にあくび状態を付与するキョダイスイマを数度使わせておけば水中でも十分に眠らせることは可能になる。おまけに、ダイマックス技なのでトーチカの防御を貫通できるため、一石二鳥である。
仮に全部眠らなかったとしても、大半は眠るだろうことは目に見えており、取り逃しはラプラスの歌う、などで眠らせることとなった。
ただ、エスパータイプのポケモンが駆除チーム一同の手持ちにそんなにいるわけではないので、カントーのヤマブキジムへと協力要請することとなった。
あいにくジムリーダーのナツメさんは映画撮影中で現在イッシュにいるため、本人が参加するのは無理だが、ヤマブキジムのジムトレーナーに手伝ってもらうことは了承を得た。
意外にもあっさりと駆除は進行してゆき、海底に一匹たりともドヒドイデの群れが残ることはなかった。
一応ミミッキュに頼んでトリックルームで探しては貰ったものの、少なくともアサギシティの海岸沿いからは一掃できたことがわかった。
陸地に引き上げられたドヒドイデの群れは研究者たちに引き取られたり、毒タイプの専門家として呼んだ四天王のキョウさんに満面の笑みで貰われていったり、水タイプ愛好家にデレッデレの顔で頬ずりされていたりと、今回は殺処分する必要がない結果に終わった。
もらわれていった先でどうなろうと、そんなものコクダンたちの知ったことではない。
最後の人に持っていかれた色違いのドヒドイデには、哀れみを覚えたが。
外来種に情けはかける必要はないが、殺さなくていいのは気が楽である。
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