横島!トリガー・オン!!   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

今回は、星輪女学院編の後日談というか結末を語る回です。


その15、美女にもてたいのに、なんでおっさんばっかり!?

星輪女学院の人質テロ事件はボーダーの活躍により、人的被害ゼロでテロ勃発から短時間の内に解決に至った。

 

メディアからはボーダーのお手柄として、概ね好感触を得て報道される事になる。

テロリスト達の本来の目的はボーダーが持つトリオン技術ではあったが、表向きはお嬢様学校に対しての身代金要求であり、それを大々的に宣言していたからだ。

これが、テロリストがボーダーを狙ってる事を示唆する宣言をしていたのなら、180度態度は変わっていただろう事は考えに易い。

これも、テロリスト側にテロリストが所属する本来の立場や日本政府との立場が入り混じり、ボーダーを狙ったとはいえない事情があったためでもあったのだが……。

 

 

事件解決後からしばらくして、この件について改めて迅と横島にボーダー本部から出頭命令が下る。

事件解決直後には迅は直ぐに本部に出頭し、経緯と報告を既に済ましていたのだが……。

 

ボーダー本部上層部の面々の前で、横島は大目玉を喰らう事になる。

特にメディア対策室長の根付栄蔵にはかなりの叱責を喰らう羽目に。

確かに横島の活躍で人的被害ゼロのボーダー単独で短時間で事件解決に至った。

だが、その過程が悪い。

横島がボーダーナンバー1を名乗ったりしたのはまあいいだろう。

ずっとパンツ一丁だったからだ。

星輪女学院側からは感謝されつつも、ボーダーの隊員は著しく風紀を乱している人材を登用しているのかという疑いの目で見られたのだ。

女子学生による目撃も多数あり、これらを払拭するために、根付室長は寝る間も惜しんで情報操作や説得に当たり、テロリスト側のせいにし、テロリストの中にはとんでもない変態が混ざっていたという事で収まりがついたとか……。

迅の説得で何とか怒りを収めたのだが、横島本人はどこ吹く風かの如く、いつも通りギャグをかましてばかりだ。

 

横島は本来この事件解決の功績で、個人ポイントがかなり加算されて、遠征に行ける資格が手に入ったが、パンツ一丁行為で功績はプラスマイナスゼロとなってしまったのだ。

まあ、当然の結果と言えば当然の結果だろう。

わざわざ自分は変態ですと言い触れ回っていたような行為だ。

いくら、テロリストに最初にひん剥かれたとはいえ、何度も服を手に入れる機会はあったはずだからだ。

 

 

 

この後、ボーダーの外部交渉を一手に担い、今まで日本政府や海外各国の政府や組織を抑えて来た凄腕の外務官である外務・営業部長の唐沢克己に、横島は個人的に声を掛けられる。

 

ここは唐沢が交渉事などによく利用する市内にある高級レストランの個室。

「君は本当に高校生かい?」

唐沢はこんな言葉を横島にかける。

 

「いや~、唐沢さんのお陰で、ちゃんとこっちの世界の戸籍も貰って、高校も通わせてもらってますよ」

横島はボーダー本部上層部には自分の素性を語っており、唐沢の情報操作のお陰で、こちらの日本人としての戸籍を取得し、普通に高校に通わせてもらっていた。

 

「いや、君の元居た平行世界での話だよ」

 

「ちゃんと高校通ってましたよ。バイトでサボってばっかりだったけど、そのバイトで霊能者やってただけで」

 

「ふむ。それは聞いた。君の今回の手腕の話だよ」

 

「いや~、あははははっ、根付さんには大目玉くらっちゃいましたが」

 

唐沢は真剣な眼差しで横島を見据えゆっくりと語りだす。

「………テロリストの正体は北米の大国の特殊部隊だった。ボーダーの技術を奪取するために、裏では日本政府に対しての何らかの交渉カードを使い、こんな騒ぎを起こした。よっぽどボーダーの技術が欲しいのだろう。いや、当然と言えば当然だ。トリオン技術一つで世界の軍事バランスは一変する代物だ。本来私がこの件を抑えないといけなかったのだが、なかなか厳しい。君や迅君には改めて感謝するよ」

 

「はぁ、まあ、なりゆきで」

横島はそれに気の無い相づちを打つのみ。

 

「横島くん、君の目が何を見据えていたのかが気になってね、この場を設けさせて貰った。人的被害は無し、しかもスピード解決だ。確かに迅君と君のこの功績は素晴らしい。とんでもない方法とはいえトリガー無しで特殊部隊を制圧する手腕は流石に城戸さんや忍田君も驚きを隠せないでいた。一見、裸でテロリストを抑えるなどと喜劇にしか見えない。しかもその必要性は無く、自分を貶める行為にしか他ならない。………しかし、その行為は君が見据える先には必要だった。違うかい?」

唐沢の視線は自然と鋭くなる。

 

「いや~、さっきも説明しましたが、テロリスト相手に俺もギリギリでして、つい服を着るのを忘れるぐらい焦っちゃって、失敗しちゃっただけですよ。そのせいで根付さんには迷惑かけちゃって、俺も大目玉喰らっちゃいましたけどね。あはははははっ」

 

「ふう、見くびって貰っては困る。君の狙いは別にあった。だから道化を演じる必要があった。……私はこの程の件で北米の大国の上層部とも話し合いの場を設けてね。政府高官は「君らの所は変態を飼ってるのかね」と憮然としていたが、ペンタゴン(国防総省:軍のトップ)は全く違う印象をボーダー、いや、君に持っていた。ボーダーはとんでもない化け物を飼いならしていると。……ペンタゴンは今回の作戦に置いて、アジア系を中心とした日本語に堪能な兵士を集め部隊を結成し、テロリストに扮して星輪女学院に送り込んだ。飽くまでもテロリストを装うために……。日本政府に裏取引でボーダーを抑えさせ、ボーダー隊員とテロリストと直接対峙させないためにね。あの日本政府や自衛隊、警察の再三の介入はそう言う意図だった。そこまではペンタゴンの作戦通りだっただろう。忍田君はそれを理解し、一早く直接自分に命令が下る前に迅君を送り込んだのは流石としか言いようがない。ただ、それもある程度漏れることは、ペンタゴンも予想していただろう。だから、学生全員を人質に取り、トリガーでの攻撃をさせないための防備体制だった。しかし、ペンタゴンは予想もしていない事態に陥った」

唐沢はここまでの話を一気に横島に聞かせ、一息つく。

 

「それは君だ……」

唐沢の視線は更に鋭くなる。

 

「君はトリガーを使わずに次々と精鋭兵を無効化していった。道化を演じながらね。終始パンツ一枚の意味は、君はトリガーや武器も持っていないことを示すためだったのだろう?兵士には十分伝わったよ。だが君は兵士に自分が道化であるという事を示したわけじゃない。君は今後ボーダーに対しこのような事を起こしても無駄だぞとこの作戦の命令を下した国家上層部に知らしめ、君自身をアピールするために最後まで道化を演じきった。君という脅威を周囲には隠しながら、ボーダーを狙う軍事組織にのみに示したかったからだ」

 

「いや~、そんな大層な……」

 

「誤魔化さなくていい。ペンタゴンには十分伝わった。君を脅威とみなし、ペンタゴンは君の身辺を調べたはずだ。だが、何も出ない。当然だ。君は平行世界の人間で、身内だけでなく経歴すらこの世界には無い。私も君がボーダーに推挙された際調べさせてもらった。平行世界の人間と言われ、はいそうですかとは行かなかったからね。まったく痕跡がなかった。君はこの世界に突如現れたかのようにね。それで私は君を平行世界の人間であるとほぼ確信したのさ。君は自分にこの世界に身内が居ないという事すら利用し、外部の脅威の目を自分自身に向けさせた。ボーダーを、いやボーダーに集う若者たちを守るために、違うかい?」

 

「買い被り過ぎっすよ」

 

「………君の意図した通り、ペンタゴンはしばらくボーダーに手を出さないだろう。君がいる限りね。日本政府や北米の大国政府は君を唯の道化として見ているが、世界各国の軍部は何れペンタゴンと同じ見解に行きあたるだろう……そこで最初の質問だ。君は何者だい?ただの高校生にこんな事が出来るはずがない。私には分かる。私も裏社会を骨の髄まで見て来た人間だ。その若さでどれまでの修羅場をくぐって来たんだい?」

唐沢はじっと横島の目を見据える。

裏社会を渡って来た交渉人である唐沢だからこそ、横島の凄みを理解出来てしまうのだ。

唐沢の言う通り横島はボーダーという脅威の目を自分に向けさせたのだが、それは緻密な計画に基づいたものではない、過去の経験則からの行為だった。

自分が悪目立ちすることによって、周りが受ける影響はどのような物かと理解していたからだ。

時には相手にたいした事が無い奴だと油断を与えたり、時には実力以上の警戒心を煽ったり、と様々な効果を表す事を知っている。

さらに過去の人魔戦争時には意図せずして、人類の敵に仕立て上げられ、そのヘイトを一手に受けた事も有り、そんな経験の蓄積が今回の様な行動に現れたのだ。

 

「うーん。木虎ちゃんにも言われたけど、何者って言われてもな~」

横島は自分が何者なのかと藍の問いが未だに引っかかっていた。

 

唐沢は横島のとぼけた態度を気にすることなく、話を続ける。

「ボーダーは確かにネイバーの脅威に対して必要な組織ではある。一方トリオン技術が漏洩すれば、一気に世界の軍事バランスが崩れ世界大戦に発展しかねない危険もはらんでいる。トリオン技術にそれ程の脅威を私は感じている。幸いにも、城戸司令にトリオン技術を軍事技術に転用する意思はないのが救いだ。ボーダーのトリオン技術は漏洩してはならない。同族世界の争いに利用してはならない。これからもだ。私がここに所属している理由の一つだ」

 

「……それって、滅茶大変そうっすね」

 

「横島くん。君をボーダーの一隊員としておくにはもったいない。どうだい。私と手を組まないかい?今のままでは何れ私一人では限界が来る。君がいれば、ボーダーを同族世界の外敵脅威から守る事が出来る」

 

「俺は、いずれこの世界から消える人間っすよ。それと唐沢さんは買い被りっすよ。そこまで大層な事は考えてないっすよ。俺は、迅や玉狛の皆や、ボーダーの皆が笑ってられれば、それでいい……」

 

「……横島くん。わかった。今は引こう。だが、勧誘は諦めないからそのつもりでいてほしい。君の真の価値を分かる人間は私の様な裏の人間か、同じ修羅場を通って来た強敵だけだろう。とりあえずは君のプライベート番号とメール番号は既に登録済みだ。何かあったら連絡するからその時はよろしく頼む」

 

「ちょ、断り文句だったのに!」

 

「何を言う。私は君を大いに利用する気満々だ。その見返りは必ず報いる」

 

「はぁ、もうなんなんっすか?人の話きいてないし!俺の周りこんな人ばっかり!」

唐沢のこの強引な進め方に美神美智恵を思い起こす。

 

「もう一つ聞きたい事がある。普通にしていればモテるだろうに、君はなぜあんな下手なナンパをするんだい?」

 

「このおっさんはーーっ!!下手で悪かったな!!モテないんだよ俺は!?」

 

「ふむ?おかしいな、そんなはずはないだろう」

唐沢は本気で疑問に思っているようだ。

 

「くそっーー!バカにしてるのか、このおっさん!!」

 

 

今後横島は唐沢に付きまとわれる事になり、横島は唐沢をおっさん呼びとなり、なんだかんだと仲が良くはなるのだった。

 




何故かおっさんとか玄人とかにモテる横島くん。
唐沢さん深く考えちゃだめ。
横島くんとはそう言う奴だという程度に考えないと、思考が爆発しちゃいますよ。



次こそはランク戦w
早くやりたい。

構想はほぼ出来上がってます。
後は書くのみ!
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