横島!トリガー・オン!!   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

ちょっと間が開いてしまいましてすみません。
実はこの話の前にもう閑話的な1話作っていたのですが、落ちが納得できず、結局うだうだ考えている内に時間が経過した上にボツに、概要は次話にちょろっと入れ込む予定です。





その19、対横島作戦会議前編

那須隊は那須玲(17歳高校2年生シューター)の自室では明後日のランク戦に向けてミーティングを行っていた。

病弱な玲はベッドの上で上半身を起こし、熊谷友子(17歳高校2年生アタッカー)と、人懐っこい笑顔の日浦茜(15歳中学3年生スナイパー)はオシャレな丸テーブルの前に座り、丸テーブルの上に置かれているノートパソコンからオペレーターの人見知りで引きこもり気質の志岐小夜子(16歳高校1年生)がアバター付きのボイスチャットで参加していた。

那須隊はオペレーターを含めこの4人の部隊だ。

病弱な玲に考慮した、いつもの那須隊の作戦ミーティング風景だ。

 

「明後日のランク戦、4チームとの対戦ね。香取隊と柿崎隊とは何度も戦って来たから対策を練りやすいけど……」

玲がベッドの上から今回の議題について話し始めるが、途中で言葉が途切れる。

 

「問題は横島ね」

友子は玲が言いたかった続きの言葉を出す。

次のランク戦は那須隊、柿崎隊、香取隊、そして横島隊の4部隊との対戦だった。

 

「うちの隊はトラッパーとの対戦経験が無いですから」

小夜子がボイスチャットで相づちを打ち、今回のミーティングの大きな議題であろう趣旨に触れる。

那須隊はトラッパーが所属する部隊との対戦がこれまで一度もなかった。

横島隊が結成される前まではトラッパーはA級2位冬島隊隊長冬島慎次とA級6位加古隊喜多川真衣、B級15位松代隊箱田正邦の3人だけだった。

B級中位で定着している那須隊が、A級と対戦する機会は当然ない。

B級下位の松代隊が中位に上がって来た際に対戦する機会は何度かあったが、那須隊と当たる事は無かったのだ。

 

「小夜先輩、そういえばそうですね」

茜も小夜子に同意する。

 

「それもそうなのだけど、横島さんはかなり出来る人よ」

玲はトラッパーとの対戦経験が無い事も懸念材料ではあるが、横島自身が凄腕であると認識していた。

 

「そうですね。どちらにしろ、相手を知ることから……先ずはA級冬島隊と加古隊、それに最近のB級松代隊の試合のダイジェストと、その後に横島隊の今迄3試合分の映像を流します」

小夜子はそう言ってノートパソコンに、予め用意していたトラッパーが所属しているA級冬島隊、加古隊の試合及びB級松代隊の最近の試合をダイジェスト編集したものと、横島隊のランク戦3試合分の映像を流した。

 

映像を見終えた後、第一声は友子が発する。

「トラッパーとの対戦は何時もより慎重を要するようね」

 

「それにしても、横島先輩と他のトラッパーの方の戦い方が余りにも違いませんか?」

茜は横島と他のトラッパーが所属する隊の試合風景を見て、率直な疑問を口にした。

 

「それは本来トラッパーは他の隊員のフォローや、相手の邪魔をするのが役目であって、横島隊のようにトラッパー1人で戦うなんて、本来のスタイルではないから」

小夜子は茜の疑問に自身の私見で答える。

 

「小夜ちゃん、横島さんのランク戦を見に行ったの。解説の冬島さんが話していたのだけど、横島さんのトラップの扱いは全て新戦法らしいわ。しかもトラップの設置の方法からタイミング、作戦の遂行まで、冬島さんが舌を巻くぐらい高度なものらしいの」

過去のランク戦の映像は、ボーダー隊員であれば自由に閲覧できるが、当日の実況解説は付いていない。実況解説を聞きたければ、ランク戦当日にボーダー本部に行って観戦しなくてはならなかった。

普段玲は病弱なため、個人ランク戦の参戦はおろか、他のランク戦の観戦等ほとんど顔を出していなかったが、横島の試合は全てボーダー本部まで見に行っていたのだ。

 

「那須先輩、なぜ横島隊の試合を?」

茜は横島の試合内容についてよりも、病弱な玲がわざわざ横島の試合をボーダー本部まで見に行っていたことに疑問を持つ。

 

「それは……そのちょっと気になって」

玲は茜の質問に、色白の肌に若干赤みがさして何故かしどろもどろに。

 

「ふぅ、それよりも、横島の奴は何をしでかすか分からないって事ね」

友子はそんな玲の様子に、ため息を吐きながら話を元に戻す。

 

 

 

 

その頃、同じく次の横島隊の対戦相手である柿崎隊も、ボーダー本部の作戦室で次のランク戦のミーティングを行っていた。

柿崎隊は隊長柿崎国治(19歳大学生オールラウンダー)、照屋文香(16歳高校1年生オールラウンダー)、巴虎太郎(14歳中学2年生ガンナー)の3人の戦闘員を擁する近中距離でフォーメーションを組んでの集団戦が得意な部隊だ。

 

「横島隊とは初対戦となるな」

柿崎国治はそう言ってミーティングを始める。

やはり議題は横島隊との初対戦についてのようだ。

 

「まずは参考に横島隊のこれまでの試合をチェックね」

普段から口元が緩いかんじで微笑を浮かべているオペレーターの宇井真登華(16歳高校1年生)はそう言って作戦室の大画面に横島のランク戦の映像を流す。

 

「トラッパーの1人部隊でよくもまあ、ここまでやるもんだ。三雲隊もそうだったが玉狛支部はまたとんでもない人材を拾ってくる」

映像を見終えた後に、柿崎は少々困ったような表情で話し始める。

 

「あの爆撃やばいですね。巻き込まれたらひとたまりもないなー。まるで雨取さんの砲撃並みにやばいかな」

ネコ目が特徴の小柄な少年巴虎太郎は横島の先日の試合風景を見て感想を漏らす。

 

「それは横島隊長が創作した新たな戦術で、グラスホッパー迫撃砲という名だそうよ。トリオン爆弾をグラスホッパーで射出しているの。射出の距離を伸ばし、安定させるためにトラッパーのツールを使ってその場で砲身を作ったのだとか」

真登華は予め仕入れて来た情報で巴虎太郎の感想を補填する。

 

「同じくトラッパーの箱田が所属する松代隊とは何度か戦ってきたが、横島は全く別もんだと思っていい。俺は冬島さんとも戦った事もあるが、それとも異なる。トラッパーは罠によって撃墜ポイントを上げる事もあるが、トラッパーの本来の役割は隊員のワープ等による機動フォローと、トリオン爆弾や地雷による罠を仕掛け、相手の動きを制限させる事だ。直接罠を仕掛けるにしろ待ちの戦術だ。だが横島は従来と異なり積極的に攻撃して来るトラッパーだ」

柿崎はトラッパー横島について一通り私見を述べる。

柿崎は柿崎隊を発足する前は嵐山隊に所属しており、その際冬島隊ともランク戦で戦った経験があった。

そう言う意味では、那須隊とは異なり、トラッパーとの対戦経験は豊富だと言っていいだろう。

 

「対策は、まずは横島隊の縄張りに迂闊に入らない事、落とし穴トラップは脅威だ。構成と性質は分かってはいるが、罠が仕掛けた場所が分からない精巧なものだ。現状では見破る方法がまだ見つかってない。三雲隊の三雲が使っていたスパイダーも厄介だったが、まだ見える分対処は可能だったな。次に時間を与えない事、このグラスホッパー迫撃砲を行うには砲身を作成する準備に時間が必要だという事が分かっている。グラスホッパー迫撃砲の砲撃は脅威だ。難しいがこの二つを両立させる作戦を考えて行く。先ずは虎太郎、何か意見はないか?」

 

「えっと、罠を設置や砲身を作る前に見つけて倒すのが早いと思います」

虎太郎は少し考えを巡らせてから、答える。

 

「確かにそうだが転送位置次第な上に、今回は四つ巴だ。かなり厳しいぞ」

 

「やっぱりだめですか?接近戦に持ち込めば行けると思うんですが」

 

「そうだな。接近戦に持ち込めばこっちのもんだ。所詮横島はトラッパーだ。だがグラスホッパーには気をつけたい。トラッパーなのにグラスホッパー持ってやがる。前は空閑にしてやられたからな」

 

「隊長、横島先輩はたぶんですが、接近戦もうまいハズです」

今迄聞き手に回っていたもう一人の隊員、三つ編みおさげの真面目そうな美少女照屋文香は柿崎と虎太郎のこの話を聞き、ここで口を挟む。

 

「どういうことだ、文香?」

 

「それは、その星輪女学院で……その」

 

「ああ、横島に助けられたあれか、規制が掛って詳しく話せないんだったな」

 

「はい、ですが横島先輩はきっと接近戦用の罠も用意してます。そう言う人です」

文香は星輪女学院で、横島に助けられた際の出来事や、後で木虎藍や小南桐絵の話を聞き、横島は現実でも接近で罠を仕掛けていた事や、不意打ちとはいえ素手で兵士を1人倒し拘束した手際に、そう判断したのだった。

 

「ふぅ、その情報があるのと無いとでは大違いだ。という事はだ。迂闊に近接も出来ないって事か、単独で攻めるのは危険か……、今まで通りうちの隊のやり方で集まってフォーメーションを組み人数と手数で押すのがいいか」

柿崎隊の基本戦術は、3人固まって攻めに守りにフォーメーションを取る戦術だ。

単純ではあるが安定している。

但し、守りに入るきらいがあり、攻めきれない事が多いのも事実でもあった。

 

「はい、私もそう思います」

文香も柿崎の意見に同意する。

 

「星輪のテロの時も那須も同じ現場にいたし、たしかガロプラの襲撃の際、那須隊の二人と横島が協力して、人型ネイバーを追い払ったと聞いた。那須隊も横島の近接戦については気が付いているだろう。知らないのは香取隊か……、あそこはほぼ香取の直感で動いて、後の二人がフォローしてるって感じだから関係ないと言えば関係ないか、マップ選択権はうちにある、それを生かせれば……」

柿崎は考えを巡らせながら話を進める。

 

 

 

 

そして、もう一つの対戦相手、香取隊の作戦室では……。

「次の対戦相手、那須隊と柿崎隊と玉狛支部横島隊ね」

オペレーターの落ち着いた雰囲気の眼鏡少女染井華(16歳高校1年生)はオペレーター席から静かに告げる。

 

「げっ、次の相手って玉狛支部?玉狛支部って何部隊あるのよ!」

目つきが鋭くわがままを地で行く性格だが、見た目の美少女ぷりからファンも多い香取隊隊長香取葉子(16歳高校1年生オールラウンダー、因みに染井華とは幼馴染)はイラつきを隠さずそのままぶつける。

少し前に玉狛第2三雲隊に作戦負けをし、かなり根に持っていた。

 

「ヨーコちゃん、一応横島隊の隊長の横島先輩は早沼支部だけど、オペレーターが迅さんで、早沼支部には隊が無いから、横島隊長は出向扱いなんだ」

人が良さそうなこの青年三浦雄太(17歳高校2年生アタッカー)はまあまあと葉子の癇癪を抑えてそう説明する。

 

「横島って!?もしかしてあの『痴漢・変態・セクハラの横島』!?」

 

「葉子でもさすがに横島先輩は知っていたようだが、当然ポジションは知っているのだろうな?」

インテリ眼鏡青年若村麓郎(17歳高校2年生ガンナー)は少々トゲがある風に聞く。

 

香取隊は戦闘員3人で柿崎隊と同じく近中距離を得意とした部隊だ。

だが、戦闘スタイルは集団陣形を重視する柿崎隊とは真逆で、隊長でエースの香取葉子が暴れて、後の二人がそれをフォローするという感じのかなり大雑把な戦闘スタイルだった。

しかも、香取葉子は天才型であまり練習もせず、戦略や作戦などは事前に立てず、場当たり的な感じで戦闘をこなし、しかも自由奔放でキツメな性格なため、他の隊員の苦労が絶えない。

それでもB級の中位から上位に常に位置しているのは、葉子の才能に他ならない。

 

「知らないわよそんなの。彼奴、セクハラでボーダー追い出されたんじゃないの?」

 

「ヨーコちゃん……」

「お前という奴は」

三浦雄太も若村麓郎もこの葉子の言動には流石に呆れていた。

横島は現在B級ランク戦に置いて、1人部隊トラッパーという異色な編成で快進撃を続け、三雲隊と同じく注目度が高い隊だ。

ネタという意味では三雲隊よりも話題度は上だろう。

ボーダーの隊員であれば誰でも知っているのだ。

 

「横島隊長はトラッパーよ」

染井華は静かに答えを言う。

 

「はぁ?1人でトラッパーって舐めてるの?」

 

「横島隊、横島忠夫隊長の一人部隊、オペレーターは元S級の迅さん、今期ランク戦第4ラウンドから新規参入して現在B級11位、全て圧勝で上がって来てるわ」

 

「なによそれ?どうやったらトラッパー1人で勝てるのよ」

 

「ヨーコちゃん、横島先輩って今迄のトラッパーの常識を覆す様な感じなんだよ。誰かが言ってたけど、特殊工作兵(トラッパー)じゃなくて特殊機械化兵じゃないかって」

「そう、ガロプラ襲撃の時は、那須隊の那須隊長と熊谷先輩と組んで、人型ネイバーを1人追い払ってるわ」

雄太と華はそれぞれ横島が高い能力を持っている事を説明する。

 

「私だって、やれば1人でも人型ネイバーぐらいを追い払ってやったわ」

 

「横島隊長はトラッパー能力も高いし、サイドエフェクトも持ってるわ」

 

「はぁ?サイドエフェクト?横島の癖にムカつくんだけど!」

 

「そのサイドエフェクトは葉子にとって天敵よ」

華は淡々と葉子に説明しつつこう言う。

この華の発言に、雄太と麓郎は視線を葉子から外し、だんまりを決め込む。

そう、この横島のサイドエフェクトは真に香取葉子にとって天敵だからだ。

 

「どういうことよ」

葉子は自然と目つきが鋭くなる。

 

「触れた相手の正確なスリーサイズが分かるの。しかも相手がトリオン体でも本人のスリーサイズが分かる代物よ」

 

「そ、そんなふざけたサイドエフェクト、あ……あるわけないじゃん」

葉子は先ほどまでとは異なり、珍しく思いっきり動揺していた。

 

「生駒隊の細井先輩は隊員の前でスリーサイズを暴露されて、熊谷先輩や那須先輩もその被害に、さらに小南先輩に至っては『本当の』サイズを暴露されたらしいわ」

横島が持っていると噂されているサイドエフェクトは女性のスリーサイズが正確にわかるという代物だ。

 

「………私、次の試合出ない」

葉子は血の気が引いたように顔色が悪い。

 

「それは無理よ」

華は静かにそう言う。

 

「もぎゃあああーーーーっ、嫌だ!絶対出ない!出ないったら出ない!」

葉子は子供が癇癪を起した様に、四肢を放り出しソファーの上でじたばたと暴れ出す。

葉子がなぜ、こんなにも出る事を拒否するか……。

それは横島のサイドエフェクトに起因している。

何故なら葉子はトリオン体詐欺を行っていたからだ。

要するに、トリオン体にバストを相当盛っていたのだ。

横島に試合中にでも触れられる羽目になると、それが白昼の元に暴露されてしまうのだ。

隊員の二人の男共はこの事を知って、華がこの話題を出した瞬間にだんまりを決め込んでいた。

そもそも、この話題を上げる事を華から元々聞いており、任せてほしいと言われていたのだ。

 

「でも、大丈夫。触れられる前に倒せばいいのよ。葉子だったら出来る」

華はそんな葉子を見て、こう言った。

 

「そうよ!あいつは所詮トラッパーよ。絶体に速攻でそのそっ首落としてやるわ!!」

葉子は華の言葉で、一転、打倒横島に燃えるのであった。

 

そう、これは華の誘導であった。

むらっけがあって、気分屋の葉子をいかに乗せるかというための……。

しかも、作戦は葉子が来る前にある程度、華と雄太、麓郎で決めていたのだ。

横島の排除が最優先だと……。他の隊も同じくだろうと。

横島は場を壊すジョーカー的な存在だと、放っておくと手痛いどころじゃないダメージを受ける。ならば、始めに潰してしまうのが妥当であると……。

 




次はこの後編です。

次のランク戦の対戦相手で横島くんの事を気になりだしそうな女子は?(玲ちゃん以外)

  • 熊谷友子
  • 日浦茜
  • 志岐小夜子
  • 照屋文香
  • 宇井真登華
  • 香取葉子
  • 染井華
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