横島!トリガー・オン!!   作:ローファイト

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ラウンド7がようやく終わりに……


その25、たまにはシリアスも

実況席では……

「よ、横島隊長、なんて狡猾なのでしょう!!まるでどこかの悪役ライバルキャラのように無慈悲に香取隊の二人を利用するだけ利用して撃破!!これで4点目です!」

実況の武富桜子は驚きながらも興奮しながら皆に向かって伝える。

 

「横島の奴、グラスホッパーの使い方が尋常じゃないぞ!?本当にトラッパーか?」

当真も驚きっぱなしだ。

 

「くはははははっ!なんだそりゃ!トラッパーなのに近接できるのかよ。横島パイセン!!こりゃ、後で対戦してもらわないとな!」

米屋はどうやら横島と戦いたくてうずうずしているようだ。

 

 

 

那須隊では……

「香取隊の三浦隊員、若村隊員、横島隊長により撃破です」

オペレーターの志岐小夜子は皆にこの事実を伝える。

 

「横島さんに先にやられたわ」

玲は横島に2人がやられる前に先に倒したかったが、そうはいかなかった。

 

「ごめん、横島を完全に見失っていたわ」

友子は横島の行動を目視で確認をしていたが、柿崎隊と香取隊が戦闘開始した直後から見失っていたのだ。

 

「仕方がないわ。横島さんだもの」

玲は思う。相手があの横島なのだと。

 

「横島さんの位置を探らないと……」

 

「柿崎隊の照屋隊員がバッグワームを起動、レーダー上から姿を消しました。……狙いは」

「文香ちゃんの狙いは恐らく茜ちゃん。先ほどの香取隊への狙撃で位置が特定されてるから」

1人逃れた柿崎隊の文香の狙いは、小夜子と玲は茜だと判断する。

文香は普段攻撃援護ポジションではあるが1人になれば意外と大胆に攻めてくるのだ。

 

「先輩、移動を開始しますね」

「わかったわ。くまちゃんは茜ちゃんのフォローに行ってあげて」

「それだと玲が横島一人と対峙することになる」

「グラスホッパー迫撃砲は無いわ。距離に注意すれば大丈夫よ」

「いや、横島の居場所が分からない。隠れながら距離を詰めてくるぞ。3人合流した方がいいんじゃないか?」

「それこそ文香ちゃんと私達3人が纏まると横島さんの思うつぼかもしれないわ。私が横島さんを引き付けてる間に、文香ちゃんの対応をお願い」

「了解よ」

玲は皆が集まる方が危険だと判断し、わざわざ周りに見えやすい3階建ての住宅の屋上に立ち、横島の意識を引き付けようとする。

 

 

 

だが、文香の行動は早かった。

横島から逃げ切った所で、茜にターゲットを移し移動を開始していたのだ。

オペレーターの宇井真登華のフォローもあり、茜を正確に追尾、友子と茜が丁度合流したのと同時に襲い掛かったのだ。

茜は不意を突かれトリオンが漏れだす大ダメージ。

友子と文香は一騎打ちとなる。

形勢は文香が有利に進める。

文香は友子の弧月と旋空を警戒し少々距離を置きつつ、目まぐるしく移動しながらサブマシンガンのガンナートリガー射撃で友子を前に出さないようにけん制しつつ削って行く。

友子はシールドを張りつつメテオラで対応するが、射撃戦では文香にはかなわない。

 

その頃、玲は目立つように建物の上に立っていたが、横島は一向に姿を現さないどころか、攻撃も仕掛けてこない。

友子たちが形勢不利を知り、救援に向かおうとするが、その前に決着がつく。

 

茜がトリオン流出過多でベイルアウト寸前に、近距離狙撃で文香の片足を吹き飛ばしたのだ。

チャンスと見た友子は弧月で旋空を放つが、文香は自ら倒れて旋空を避ける。

友子は倒れた文香にメテオラを飛ばしつつ距離を詰め、トドメを弧月で刺そうとする。

文香もメテオラを何とかシールドで防ぎ、ガンナートリガーの乱射で友子をけん制するが、友子に距離を詰められる。

 

友子が弧月を振り下ろし、文香も倒れたまま弧月に持ち替えカウンターを狙いで友子の腕を切り落とすが、友子の弧月は文香のトリオン中枢を確実に貫く。

文香はその場でベイルアウト、同時に茜もトリオン流出過多でベイルアウトする。

だが、文香を貫いた瞬間、友子にも四方からバイパーが降り注ぎ大ダメージを受ける。

先ほどの文香の乱射は友子を直接狙うのではなく、自分に向けて軌道変更を設定させたバイパーだったのだ。

自分にトドメを指すだろう友子に対する相討ち狙いだった。

 

「玲、ごめん」

友子も程なくしてトリオン流出過多でベイルアウト。

 

 

 

 

実況席では……

「おーっと!!撃破された照屋隊員のバイパーが熊谷隊員に突き刺さる!相討ちだ!!これで柿崎隊2点に那須隊は2点となります。そして、那須隊長と横島隊長の一騎打ちか!?」

桜子の実況は絶好調である。

 

「照屋ちゃんもやるな、何より思いっきりがいい、個人技もなかなか良い感じじゃないか」

米屋は文香の思いっきりの良さを褒める。

 

「日浦もあきらめずに最後までスナイパーの職務を全うしたな。それと照屋には元々素質はあった。ただ隊の方針でそれが表に出にくかっただけだ。柿崎隊は照屋をエースとした陣形があってもいいんじゃないか?結果論だが、那須隊は横島を放っておいて3人纏まって照屋の対処をした方がよかったのかもしれないな」

当真は茜を褒めつつ、文香を大きく評価した。

 

 

 

 

この状況に横島とオペレーターの迅は……

「お前がうだうだ考えるうちに、照屋ちゃんが相討ちで熊ちゃんと日浦ちゃんを撃破したぞ、いい加減に覚悟を決めろ!」

「いや、流石にあれだ。全員ロックで縛り上げようかなと考えていたぞ。それよりも照屋ちゃんがああも大胆だったなんて、星輪女学院で会った時はなんかすごくお嬢様ぽかったぞ」

どうやら、横島は身を潜めたまま行動を起こしていなかったようだ。

 

「……縛り上げるって横島、撃破するよりも絵面がシュールじゃないか?」

確かに迅の言う通りだ。

4人の美少女を縛り上げて高笑いする横島は、イメージは最悪だろう。

 

「はぁ、後は玲ちゃんか……」

「ちゃんと撃破してあげろ。それも先輩の務めだぞ横島!」

「いや~、ボーダー歴からすれば玲ちゃんの方が先輩だし」

「いちいち上げ足とるなよな。覚悟決めたんだろ?」

「ふ~、まあ、なんとかなるか」

迅が言う事はもっともだ。

だが、横島の心情としてはどうしても過去の悲劇が頭に巡ってしまう。

特に玲に対してはとある人物とダブって映る。

顔や雰囲気は似てはいないが、髪型や戦場に出る凛とした姿が彼女とどうしても被ってしまうのだ。

そう、かつての恋人にして横島を庇い死した彼女に……。

 

 

 

 

那須隊では……。

「那須先輩ここは撤退するべきです。横島先輩は危険すぎます。ポイントの事も考えても今が撤退のしどきです。」

小夜子が1人となった玲にそう進言する。

玲が1人で戦ったとしてもやられるだけだと暗に言っているようなものだが、それでも小夜子は効率優先でこう進言したのだ。

那須隊は今B級上位に行ける射程圏内にポイントを稼いでいた。

ここで横島に余計なポイントを与えるよりもここで撤退した方がいいからだ。

 

「わかってるわ小夜ちゃん。横島さんが私よりもずっと強い事も、……でも戦ってみたいの」

玲は我がままを承知でそれでも横島と戦う事を望んでいた。

 

「小夜、玲もこう言っているし、戦わせてあげて」

友子も玲の意志を尊重する。

 

「あなたもそれでいいの?」

小夜子は茜に問う。

 

「那須先輩がしたいようにさせてあげたい」

茜の答えでこの件について小夜はもう口を挟まない事を決める。

 

 

 

玲は横島を待ち構えるべく、先ほどの3階建ての家の屋上で堂々と姿をさらしていた。

そこに少し離れた道路に横島が無防備に現れる。

 

「横島さん、覚悟してください」

玲にしては大きな声で横島に宣言する。

そう言った瞬間、玲は多量のトリオン弾を展開し、横島に向かって発射する。

玲のバイパーだ。

 

「玲ちゃん……」

横島は四方から襲い掛かるバイパーを避けるが、そのバイパーが上空へと上がり、再び横島に襲い掛かる。

その間に玲はメテオラを横島の周囲にまき散らし、横島の回避を妨げようとする。

横島はバイパーとメテオラの攻撃を不格好に避けきるが、先ほどまでとは違い所々若干被弾していた。

明らかに動きが鈍い。

 

そして、横島のこの顔だ。

横島の玲を見上げる顔には、苦渋が満ちていたのだ。

しかも、手も震えているように見える。

 

 

玲はその横島の顔を見て、踵を返し大きく後退し……。

そして、自らベイルアウトし、撤退したのだ。

 

 

 

 

 

実況席では……

「おっと!!那須隊長!横島隊長と一騎打ちかと思われたが撤退!B級ランク戦ラウンド7中位夜の部、横島隊の勝利です!!横島隊は撃破点4、生存点2で6点!柿崎隊は照屋隊員の奮闘で撃破点2、那須隊は日浦隊員と熊谷隊員の撃破点1点づつで2点となります!尚、横島隊はB級上位の本日の試合結果次第では上位にランクインする可能性があります!」

 

「あの横島の戦いぶりを見れば、那須の撤退はいい判断だ」

当真は玲の撤退を肯定する。

 

「というか、横島パイセン強くないっすかね。トラッパーじゃなくて、弧月とか持ってもやれそうだな」

米屋は当真に横島がアタッカーも出来るのではないかと聞いたのだ。

 

「さーな」

当真はそう言ってあやふやな相づちを打つ。

当真としてはアタッカーの横島を容易に想像できたが、そちらの方が厄介かも知れないとも感じていたからだ。

 

「それにしても横島隊の新戦術がまたしても炸裂しましたが!人質戦術、これは有りなのでしょうか!?」

 

「いや、これは上の判断に任せるしかないな。それは置いといてだ。横島の動きは異常だ。あの効率の悪そうな回避でほぼ全ての攻撃を避けきっていた。影(影浦隊隊長)のような感知系の何らかのサイドエフェクトを持っているんじゃないか?」

当真は横島の変態回避が何らかのサイドエフェクトに関係しているのではないかと予想していた。

 

「当真さん、横島パイセンのサイドエフェクトってあれっすよ、アレ」

「ただの噂だろ?」

「アレは本物っすよ。たぶん香取ちゃんはそれをネタに人質になってたようだし」

「………どちらにしろ、横島のあの回避は厄介だ。風間さんや太刀川さんに通用するかは別にして、A級でも通用しそうだ」

米屋は女性のスリーサイズがわかる横島のサイドエフェクトは本物だと主張するが、当真はどうやら眉唾物だと判断しているようだ。

だから、横島は別に感知系のサイドエフェクトを持っているのではないかと勘ぐっていたのだ。

当真の予想は凡そ当たっていたのだが……、あの変態回避とは別物である。

 

 

こうして波乱のランク戦を終える。

 

 

 

しかし……

ランク戦を終え、玲が横島隊の作戦室に直ぐに訪れたのだ。

しかも、何か怒っているようなのだ。友子もそんな玲に慌ててついて来ていた。

 

「横島さん、何故私と本気で戦ってくれないんですか!私の体が病弱で弱いからですか!そんな事を気にしない方だと思っていたのに!!」

玲は息を切らせ、涙ぐみながら横島に怒鳴り込んできたのだ。

 

「玲ちゃん……」

横島はそんな玲の様相に面を喰らっていた。

 

「那須ちゃん、そうじゃなくって、此奴は女の子と戦いたくないだけで……」

迅がそんなフォローを入れようとするが、横島がそれを遮る。

 

「玲ちゃんごめん。そんなつもりじゃなかった……」

 

「では、何で戦ってくれないんですか!!」

 

横島は涙目の玲に対し意を決したかのように語り始める。

「……俺、玲ちゃん達を見ていてさ、どうしても思い出しちゃって……。1年ほど前……俺の事好きだって言ってくれた子がいてさ、その子は玲ちゃんみたいに凛としてて、かっこよくて、強くて……優しくて……俺みたいな奴に勿体ない子で……俺のせいで死んじゃったんだ……。俺は彼女を助ける事も出来たかもしれないのに……。どうしても彼女の事を思い出してしまって、手がとまっちゃった。言い訳にしかならないけど……玲ちゃんに不快な思いをさせてごめん」

横島はまたあの悲し気な顔をし、こう語ったのだ。

もちろんその彼女とは横島の命を助けるために自らを犠牲にしたルシオラの事だった。

 

そんな横島の姿に迅は衝撃を受ける。

その事実は迅も知らなかった事だった。

横島の世界のことだ。

妖怪妖魔や悪魔と戦って、その彼女は横島を庇って死したのだろうと容易に想像できた。

横島が練習試合とはいえ、女性を撃破することに躊躇する理由が分かった気がした。

 

「横島さん……………横島さんはズルい人です。そんな顔をされたら許さないわけにはいかないわ。……でも私はその女の人とは違います。だから次は本気で戦って下さい。これは模擬戦なんです。力を試す場なんです。そんな場所でも私と戦っていただけないんですか?」

玲も横島のこんな姿と過去の出来事に衝撃を受けていた。

いつもおチャラけて、楽しそうに笑っている姿しか想像できなかった。

それでも玲は横島と戦ってほしいと願う。

それは病弱な玲にとって、ランク戦は横島と対等で居られる場であると思っていたからだ。

 

「玲ちゃん……」

 

「横島、那須ちゃんの言う通りだ。何度も言っているだろ?これは模擬戦だと、まあ、気持ちを切り替えろってのは直ぐには難しいかもしれないが、今度はちゃんと戦って撃破してあげろよ」

迅は横島に軽い感じで諭す。

 

「迅さん、私達が撃破される前提なんですか?……今度はそう簡単にいかないわ。横島も覚悟はいいわよね」

友子も横島の過去に衝撃を受けていたが、迅の言動に不敵な笑みを浮かべる。

 

「…………わかったよ玲ちゃん、それと、本気で怒ってくれてありがとう」

横島ははにかんだ笑顔で玲にお礼を言う。

 

「あっ……その、私も事情知らずに怒鳴ってしまって、ご、ごめんなさい」

玲はそんな横島の笑顔に、顔を赤らめ慌てて謝罪する。

 

「というわけでだ。今日は横島のおごりで皆でどっかに食べに行かない?」

迅はそこでこんな提案をニヤケ顔でする。

 

「迅さん……また、ナンパですか?」

友子はジロリと迅を見据える。

 

「いやいやそうじゃなくって、この和やかな雰囲気のまま、那須隊と横島隊の親睦を深めようと」

 

「横島さんと食事……」

「まあ、いいわ。横島には色々と聞きたい事があったしね。香取をどうやって捕縛したとか、あの訳が分からない回避とかね」

玲は顔を赤らめたまま、友子は今度は横島をジロリと見据えてこう言った。

どうやら、迅提案の那須隊の親睦会は実現するようだ。

 

 

 

待ち合わせの場所と時間を約束し、玲と友子は一度自分たちの作戦室に戻る。

 

残った横島と迅は……

「横島……お前、それで模擬戦とはいえ女の子を傷つけたくなかったのか……」

「…………こんな俺を彼女が見たら怒るだろうけどな……いつもバカやって一生懸命な俺が好きだって……」

「その子の事を今も?」

「ああ」

「そうか……」

横島と迅はこの後、お互い黙ったままだったが……

迅は横島の心情が聞けたことに、横島は迅に自分の心情を語った事に、この沈黙の余韻は心地よくもあった。

 

 

 

 

だが……この沈黙を破る様に作戦室に来訪者、いや乱入者が現れる!

「もぎゃーーーっ!横島殺す!!殺して私も死ぬーーーー!!」

 




次回は葉子ちゃんが乱入!

次のランク戦の対戦相手で横島くんの事を気になりだしそうな女子は?(玲ちゃん以外)

  • 熊谷友子
  • 日浦茜
  • 志岐小夜子
  • 照屋文香
  • 宇井真登華
  • 香取葉子
  • 染井華
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