横島!トリガー・オン!!   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

今回は香取隊との交流ですね。
交流?……交流?……うーーん。


その26、殴り込みって今時ある?

B級ランク戦ラウンド7中位夜の部は横島隊の勝利で終えた。

その後、ボーダー本部横島隊の作戦室に那須隊の那須玲が横島にちゃんと戦ってくれなかったのかと涙ながらの抗議に訪れたのだが、横島が心情を語り、一応の解決を見た。

 

その後、作戦室にまたしても訪問者、いや乱入者が現れる。

「もぎゃーーーっ!横島殺す!!殺して私も死ぬーーーー!!」

巷ではクールアンドビューティーで通ってる美少女の香取葉子だが、横島のように涙をちょちょ切らせ、まるで子供が癇癪を起したように、美少女にあるまじき醜態をさらしながら乱入してきたのだ。

 

「ひぇーーっ!でた~!ランク戦の狂暴ねーちゃん!!こんなところまで~!!」

横島は何故かその姿に恐れおののくが、恐ろしいというよりも普段の葉子の姿を知っている連中からすると幼い感じの醜態に微笑ましいやらと笑ってしまうのだが……

まあ、こんな葉子の姿を知っているのは香取隊の隊員ぐらいだ。

 

「殺す!私の為に死んでーー!!」

葉子は子供の様に腕をぶんぶん振り回して横島に迫る。

もはや、錯乱しているとしか言いようがない状況だ。

 

「ヨーコちゃん!ダメだよ!」

「葉子、こんな所で醜態をさらすな!」

香取隊の三浦雄太と若村麓郎が葉子を慌てて追ってきて、葉子を後ろから二人で両腕と肩を掴み止める。

 

「離せーーー!!こいつを殺して、私も死ぬーーーー!!」

それでも葉子は掴まれたまま、じたばたと暴れ続ける。

 

「葉子、落ち着きなさい」

そこにオペレーターの染井華も息を切らせて追って来ていた。

 

 

「はっはっはっ!まいったね。とりあえず横島、香取ちゃんに謝っておけ」

この状況に迅は半笑いし、横島にこう言った。

 

「えーーーっ、俺、この狂暴ねーちゃんに何かした?俺、追いかけまわされてただけなんだけど、うーん。階段の下からパンツ見たとか?本部の女子更衣室は覗けなかったし……、ナンパした覚えもないし……うーーん」

横島は横島で葉子が半狂乱になって自分に迫って来る事に思い当たる節が無い様だ。

横島にとってさっきの人質の件など、美神令子という悪魔や神すら認める非常識と日常過ごしてきていたため、カウントに入っていなかったようだ。

 

「お前な~、とりあえずいいから謝っておけって」

迅はそんな横島に呆れつつ、横島の肩を後ろからポンと叩く。

 

「何かごめん」

横島は後頭部を掻きながら、軽く謝る。

 

「もぎゃーーーっ!許さない!絶対許さなーーーーい!!」

葉子は余計に暴れ出す。

どうやら火に油を注ぐ行為だったようだ。

 

「ほら、横島先輩も謝ってるし、ヨーコちゃん。それに横島先輩、一応、約束を守って葉子ちゃんのスリーサイズとか言わなかったでしょ」

「ああ、一応な。大体お前が1人で突っ込んで捕まるのが悪い」

雄太と麓郎は暴れる葉子を抑えながら、説得を試みる。

 

「横島先輩、横島先輩もです。葉子も乙女なんです。女性のスリーサイズと葉子の秘密を盾に人質に取るのはどうかと思います」

華は華で静かに横島に迫っていた。

やはり、葉子を人質に取った事を怒っているようだ。

 

「へ?秘密って何?……うーーーん!あっ!トリオン体詐欺か!?小南と一緒で盛ってたんだ!!」

横島は華に葉子の秘密と言われ、疑問顔を浮かべながら、醜態をさらす葉子をじっと見て、こんな事を言ってしまった!

 

「もぎゃーーーっ!もぎゃーーーっ!!もぎゃーーーっ!!」

それを聞いた葉子は涙をまき散らしながら益々暴れ出し、もはや日本語になってない何かを叫んでいた。

まあ、今の葉子を見れば、横島では無くてもわかる人には分かってしまうだろう。

戦闘体時にはちゃんと盛ってるし、普段のオシャレな恰好の時はちゃんとそれなりにパットを入れて対応しているが、今の葉子は普段着で、しかもかなりラフな格好だ。

それは、かなり明らかなものだった。

 

「え?……横島先輩は気が付いて葉子を人質にしたのでは?」

「触れた相手のサイドエフェクトで戦闘体でも本人のスリーサイズが分かるんじゃ?」

「………知らなかったんですか?」

華と雄太と麓郎は横島のこの言動に逆に驚き、皆聞きなおす。

横島が葉子をロック(試作品)で拘束した際に葉子に一瞬触れていたのは確かだ。

 

「今気が付いた」

 

「え?」

「へ?」

「なんと……」

横島のこの答えに華や雄太たちは目が点になる。

そう華の先程の言動は逆に横島に葉子がトリオン体を盛っている事を知らしめる結果になってしまったのだ。

 

「はははははっ、横島のサイドエフェクトってあれ、噂だから。そんなサイドエフェクトは存在しない」

迅はここですかさずフォローを入れる。

 

「あははははっ、そんなサイドエフェクトが無くたって見ればわかるし、戦闘体の時のえーっと、葉子ちゃんだっけ?スリーサイズは85・58・84のボン・キュ・ボンだけど。今の葉子ちゃんは77・58・80のスレンダーだから」

横島は半笑いしながら、迅の言動に捕捉するが……こんな事をクリティカルに言ってしまった!

 

「もぎゃーーーー!!もぎゃーーーー!!もぎゃーーーー!!」

もはや葉子は言葉にもならないぐらい涙を垂れ流し、暴れる。

 

「…………」

「…………」

「…………」

香取隊の3人もその横島の言動に沈黙というか唖然としていた。

 

 

「横島、お前な~」

迅は、自分のフォローを台無しにする横島の言動に、呆れ顔で横島を見据える。

 

「あれ?まずった?あははははっ、大丈夫。皆には言わないから!葉子ちゃんがトリオン体詐欺をやってて、小南よりもかなり盛ってるってことは!」

 

 

ポクポクポク、チーーーン

何故かそんな木魚とおりんの音が脳内に再生され……

 

「………………」

暴れていた葉子だったが、その場で涙を滝のように流しながら真っ白になり脱力する。

どうやら、横島の言動は葉子にトドメを刺したようだ。

 

 

 

 

この後……

横島隊の作戦室のあまり使われていない作戦会議室の椅子に香取隊の面々は座らせ、迅が大きな会議テーブルに、ほうじ茶とぼんち揚げを皆の目の前に出す。

因みに葉子は魂が抜けたように真っ白になり、口を開けたまま天井を向き、一向に動かない。

横島は反省と書いた段ボールで作ったプラカードを首から下げ、会議室の端で床に正座させられていた。

 

「ごめんな、こいつ空気読めなくて」

横島に代わり皆に謝る迅。

 

「こちらこそ醜態をさらしまして、すみません」

華が行儀よく頭を下げ、それにならって雄太と麓郎も頭を下げる。

 

「横島先輩のサイドエフェクトは存在しないんですね」

まずは雄太が迅に質問する。

「ただの噂さ」

 

「では、横島先輩は見ただけで女性のスリーサイズを服の上からでもわかるというのは?」

今度は華が質問する。

 

「それは事実だな」

 

「では、トリオン体に触れて、本人のスリーサイズがわかるというのは?」

最後に麓郎が質問する。

 

「それこそ、ただの噂だ」

迅はさらりとそう言うが、横島の煩悩力と霊視をフルに使えばトリオン体でも本人のスリーサイズがわかってしまうのだが、それをここで言うわけにはいかない。

 

「と言う事は、私のスリーサイズも既に横島先輩に知られていると理解した方がいいんですね」

華は静かに冷静にそう迅に聞いた。

 

「まあ、多分ね。本人が意識して見ないとわかんないようだけど、可愛い女の子はあいつは必ずじっと見てるし……」

 

「私がですか?」

華はあまり言われ慣れていない言葉に聞きなおす。

 

「そう!眼鏡が似合うクール可愛い君、華ちゃんだっけ!僕横島!よろしく!!」

さっきまで反省のプラカードをかけ、端っこで正座していたはずの横島がいきなり華の両手を掴みナンパを始める。

 

「改めまして、私は香取隊オペレーターの染井華です。葉子とは家が隣で幼馴染です」

だが、華はそんな横島のナンパなど意に介さないかのように、普通に挨拶を返していた。

 

「僕は、香取隊アタッカーの三浦雄太です。ヨーコちゃんと華ちゃんの一学年上の高校2年で、華ちゃんとは従姉弟です」

「同じく、香取隊ガンナーの若村麓郎。高校2年で、葉子の兄とは友人でその関係でこの隊に参加しています」

雄太と麓郎は華に習って改めて横島に自己紹介をする。

 

「早沼支部所属、玉狛支部出向の横島忠夫18歳!高校3年。一応隊長やってるけど、迅に無理矢理やらされてて、俺は本当は女の子がいる隊がいいんだけど!何故かオペレーターは迅だし!なぜなんだ―――――!!」

横島もつられて、自己紹介を行うが何故か現状の不満をぶちまける。

 

「お前のそう言う所だよ。女の子が来てくれるわけないだろ?」

迅が呆れ気味にそう言うと、雄太はくすっと笑い。麓郎は大きく頷いていた。

意外と和やかな雰囲気だ。

 

「それで、この子が幼馴染の隊長の香取葉子16歳、オールラウンダー。性格は我がままで自由奔放で、見栄っ張りでどうしようもない所もあるけど、良い子です」

華は真っ白になった葉子の代りに、葉子の紹介をする。

良い子の要素が少ない気がするが、華流の愛情表現なのだろう。

 

「俺の紹介はいい?実力派エリート迅悠一、よろしく」

迅は自己紹介などいらないだろう。ボーダーなら誰もが知っている実力者である。

ある意味横島も有名人だが、マイナスのイメージで。

 

 

「ところで横島先輩、なぜ葉子を人質にしようと?」

華は横島にここでこの質問をする。

 

「いや~、何故か凄い怖い顔で逃げても逃げても追ってくるし、何故かみんな俺を狙ってくるからさ、トラップも真面に設置出来ないし、時間稼ぎにね」

 

「成る程、私達の対策自体はそれほど間違ってなかったんですね」

華は結果的に地力で負けはしたが、対策の方針は間違っていなかったと納得する。

 

「時間稼ぎであんなことを……、葉子をどうやって拘束したんですか?」

麓郎はずっと気になっていた葉子の拘束方法を横島に聞く。

 

「あ~、スパイダーとロック(試作品)かな」

 

「初めて聞くトリガーだ。ロックとは?」

そのトリガーは麓郎にとって初耳であった。

「ロック(試作品)は冬島さんが開発した人型ネイバー捕縛用のトラッパー用のツールトリガーですね。私も葉子が捕縛された時に検索かけてようやく知りました。戦闘体を維持したまま捕縛しベイルアウトを阻止。トリオン体の中枢機関を阻害し、トリガーを使わせなくさせるだけでなく、トリオン体も上手く動かせなくなる高性能な捕縛装置です」

華が横島の代りと言わんばかりに説明をする。

 

「それよりもトラッパーの横島先輩は、オールラウンダーのヨーコちゃんをよく捕縛できましたね」

雄太も華の話題に乗り、横島に質問をする。

 

「あーー、葉子ちゃんって動きが速いけど単純で分かりやすって言うか、だから罠も仕掛けやすかったし、捕縛もしやすかったかな」

 

「なるほど、だから葉子を人質に」

「マスタークラスの葉子をそんな言葉であっさりと……」

華はその言葉にある意味納得し、麓郎はオールラウンダーマスタークラスの葉子を捕縛するのが簡単だったと言い切る横島に驚きを隠せないでいた。

 

「そうだな。香取ちゃんの動きは単純だ。早い判断力と即応力でトリッキーな動きに見えるが基本の型をなぞっている。戦術も攻勢一辺倒だから単純に映る。香取ちゃんは師匠が居ないって聞いてるし、師匠無しで元々の素質だけでここまで出来るのは凄い事だが、師匠に習う事で師匠の持つ経験も学べる。香取ちゃんが今伸び悩んでいるのは1人でやってるからだ。師匠について戦い方や練習方法を学べば香取ちゃんはもっと強くなる」

迅は先輩としてここでこんな指摘をしている。

まあ、本人は上の空だが、華はメモを取りながら大いに頷いていた。

そんな先輩らしい意見を言う迅に、雄太と麓郎は尊敬のまなざしを迅に向けていた。

 

「葉子は師匠を頑なに拒みますが、やはり迅さんの言う通り葉子にはちゃんとした師匠が必要ですね。では、葉子の師匠にはどなたが相応しいですか?」

 

「そうだな。香取ちゃんの戦闘スタイルからスコーピオンを使う歌川(風間隊歌川遼)とか、機動力と攻撃力が高い京介(烏丸京介)は良さそうだが、香取ちゃんはプライドが高いから同級生は厳しいか……、秀次(三輪秀次)は性格的に合わないだろうな、だったら草壁隊の佐伯なんか香取ちゃんもコントロールできるだろう」

迅は葉子の性格的な問題を考慮しながら候補者を並べて行く。

だが、真っ白だった葉子は、ある人物の名にピクっと反応していた。

 

「なるほど、佐伯先輩がよさそうですね」

華は迅の言葉に大きく頷くが……

 

「か…烏丸くんだったらいいかも」

葉子は京介の下りから意識を取り戻していたようで、ぼそっとそう言う。

結構ミーハーなところがある葉子はボーダーきってのイケメン烏丸京介に気があるのだ。

 

「よ、ヨーコちゃん!?」

葉子に惚れている雄太にとって、この事態は許されるわけがない。

 

「香取ちゃん、気が付いたか?京介か、なら横島に頼めば早い」

 

「よっ!横島!!!」

葉子は正面の席にいつの間にか座っているニヤケ顔の横島に気が付く。

 

「落ち着きなさい葉子、既に横島先輩からは謝罪を頂いたわ。こちらの誤解も大きくあったようだし」

華は立ち上がって襲い掛かる勢いの葉子の肩をすっと押さえつけ座らせる。

 

「よ……横島め……暴露したら許さない…横島め…横島め……」

葉子は涙目で恨み節をブツブツと横島に向かって唱え続ける。

 

「迅さん、烏丸くんに師事するのに何故横島先輩に頼めば早いんですか?」

 

「京介はメガネくん…三雲修の師匠もやってるし、プライベートも忙しい身だ。だが横島の言うことなら大概聞くだろう。横島とはバイト先も一緒だし、何かと一緒の事も多い。横島、お詫びも兼ねて京介を紹介したらどうだ?」

 

「え?烏丸くんは横島先輩の言う事だったら何でも聞くんですか?」

華は何か誤解しているようだ。

普段冷静な華もお年頃でそういう事にも多少の興味はあるようだ。

横島と京介のBL的なアレを……。

因みに華は嵐山准に憧れを抱いている。

さらに言うと、嵐山と元嵐山隊の柿崎国治が一緒にいると何故かキュンとくるとか……。

まだ、BLの沼にハマっていないライトな物だが、これは親友の葉子にも話してはいない。

 

「京介か~、うーん。あいつマジで忙しいしな。イケメンだし。普段は修の事で手一杯って感じだし。たまにだったらいいんじゃないか?木虎ちゃんも一緒だけど」

何方かと言うと京介の方が横島に懐いている感じだ。

家庭環境において同じ苦労人と言うところで共感するところがあるのだろう。

木虎藍の件は、藍が修の練習に付き合う事を条件に京介がたまに手ほどきをする話となっていた。

 

「木虎が!?……ふっ、ふふふっ、そう言う事、わかったわ。……よ、横島……横……横島せ…先輩。烏丸くんによろしく頼むわ……ふはっふははっ、絶対よ」

葉子のいろんな感情が入り混じった引きつった顔で横島に京介への師匠の件をお願いする。

横島には頭を下げたくはないが、京介と伝手を持ちたいのと、どちらかと言うと気に食わない木虎藍が既に京介に手を出そうとしていると知り……泣く泣く横島に頼まなくてはいけない状況にこんな感じになっていた。

 

「な、なんか怖いんだけど」

横島はそんな葉子の様子に引いていた。

 

 

こうして、なんとか香取葉子殴り込み事件は解決に至った。

この後、何かと香取隊の面々は横島や迅と交流を持つことになる。

三浦雄太や若村麓郎は他のボーダー隊員と交流はあるが、香取葉子や染井華は他のボーダー隊員や他の隊と交流が殆んど無かった事も有り、また、変わり者ではあるが横島が噂程酷い人物ではなく、年上だが偉ぶった所も無く話しやすい人物であったことに、特に華は横島や迅に作戦室へとアドバイスを貰いに来る姿がしばしば見られるようになる。

葉子だけはしばらくは横島を毛嫌いしてはいたが……。

 

 




次回はほのぼの回です。
きっと、ちゃんと那須隊と横島隊の交流も書く予定です。
そして、いよいよランク戦最終ですね。

次のランク戦の対戦相手で横島くんの事を気になりだしそうな女子は?(玲ちゃん以外)

  • 熊谷友子
  • 日浦茜
  • 志岐小夜子
  • 照屋文香
  • 宇井真登華
  • 香取葉子
  • 染井華
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