横島!トリガー・オン!!   作:ローファイト

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というわけで、那須隊との食事会。


その27、たまには和やかなのもいいよな。

ランク戦ラウンド7の後、香取葉子の殴り込み事件はあったが、何とか解決に至る。

 

迅の提案で、横島のおごりで横島隊と那須隊との交流会と言う名の食事会がハンバーグステーキ専門店の個室で催される。

 

「那須隊スナイパーの日浦茜でーす!」

少々ゆったり目の可愛らしいトレーナーにパンツズボン姿、トレードマークのハンチング帽を取りながら茜が元気よく挨拶をする。

 

「ほら、小夜ちゃんも」

「……ひっ……そ、その、あの……オペレーターの志岐小夜子で……す」

玲の後ろに隠れ、ロングヘアで前髪が右目に掛かり少々猫背気味の少女、玲とお揃いの可愛らしい白のワンピース姿の小夜子は、玲に促され少々前にでて、怯えるように挨拶をする。

オペレーター時は堂々と自分の意見を言えるのだが、公衆の面前、しかも男性の前ではどうしてもこんな感じになってしまう。

小夜子は男性が大の苦手で特に年上の男性とは真面に話す事も出来ないぐらいで、普段の高校生活でも支障が出る状況であった。

しかしながら、ただでさえ引きこもり体質の小夜子が年上の男性と一緒の食事会に出るなど今迄なかった。

引きこもりで普段ボーダー本部にも滅多に現れない小夜子でも、ランク戦では作戦室でオペレートを行わないといけないためボーダー本部へと足を運ばなくてはならない。

玲と友子の勧めで、ランク戦終わった後と言う事もありボーダー本部の作戦室から半場強制的にここに連れてこられたようだ。

これは小夜子に、男性に少しでも慣れてもらおうという思惑があった。

しかも、普段着は高校ジャージ姿なのに、オシャレに玲の服を着させられ……

 

「実力派エリート迅悠一、志岐ちゃんとは初顔合わせかな、よろしく」

「僕、横島!女性のお着換えから、身体測定まで全てお任せを!!」

 

「あはははははっ!」

「ひっ……!?」

茜は横島の冗談に笑っていたが、小夜子は迅のさわやか笑顔と横島のニヤケ顔に何故か圧倒され怯える。

 

「はぁ横島、そういうのはいいから、小夜が怯えているでしょ?」

「小夜ちゃん怖くないわ。大丈夫よ」

友子は横島を睨みつけ注意し、玲は怯える小夜子を落ち着かせようとする。

 

「あはあはははっ、そんなつもりはなかったんだけどつい」

「なるほどね」

横島と迅は事前に小夜子が年上の男性が極度に苦手なのを玲と友子から聞いていたのだ。

 

席順は色々考慮した結果、6人掛けの席の片側に玲、横島、迅。玲の正面に小夜子、そこから友子、茜と続く。

 

皆思い思いに注文してから、改めて迅が音頭を取る様に皆に言う。

「皆、ランク戦お疲れ~」

 

「迅さん、結局、まんまとやられたわ」

友子が迅と横島を見据えてそう言う。

 

「俺は何もやってないよ。すべてこいつだ」

 

「途中まで作戦通りだったのに、横島があそこで香取を人質にとるとか予想外も良い所よ」

友子は少々憮然とこう言う。

 

「へぇ~、くまちゃん達は香取隊と柿崎隊の横島狙いと、さらに横島が逃げ切ると予想していたってところか……」

迅は素直に感心していた。

 

「横島さんなら、何らかの方法で対処できるとは思って……」

「そうね。香取のあの猛攻はさておき、横島があんなとんでもない回避を行うとは思ってもみなかったわ」

玲は横島なら香取隊と柿崎隊からの狙い撃ちにも対処可能だと予想し、友子は横島のあの変態回避には流石に面くらったようだ。

 

「いや~、やばかったけど、慣れと言うかなんていうか」

横島は軽い感じにでこんな事を言う。

まあ、横島は妖怪妖魔に毎回これに匹敵、それ以上の猛攻から逃げおおせていたのだ。

鬼上司美神令子に囮作戦をさせられたり、自業自得で自らピンチを招いたりと。

 

「慣れ?」

友子はそんな横島の言動に疑問を浮かべる。

 

「しかし、横島が民家に逃げ込んでからのメテオラの爆破による追い出し、横島が民家から逃れるのを狙いすましたかのような狙撃、そしてバイパーによる流れるような追撃は、流石にしびれたね」

迅はあの時の那須隊の流れる様な攻撃を褒めたたえる。

 

「迅さんに褒められるのは素直に嬉しいのだけど、あれを避ける?横島あんたどんな感覚をしてるのよ」

「狙いはばっちりだったのにーー!」

「横島さんなら避けられるかもとは思ってましたが……流石に……」

友子は迅に褒められた事には顔を綻ばせていたが、横島のあの回避が未だに信じられないと言った感じだ。

狙撃を行った茜はあの狙撃が避けられたことは相当悔しかったようだ。

玲も全て避けられるかもしれないとは思っていたが、多少なり悔しい思いをしたようだ。

 

「本当にやばかった。狙撃はマジで直前までわからなかったし、玲ちゃんのバイパーが厄介過ぎる。だから、グラスホッパーで地面に向かって突っ込んで逃げるしかなかったし」

 

「横島さんも驚いてくれたんですか?」

 

「ほんと、ヤバかったって、玲ちゃん達の居場所が全く分からないから、何処から何が来るかわからないし」

 

「そうですか横島さんでも」

玲はその横島の答えに嬉しそうだ。

 

「他の隊と横島との乱戦を予想して、中長距離からの徹底した攻撃の作戦は中々大胆だし、横島の事をかなり研究したようだ。横島じゃなきゃ、とっくに落ちてる。いや、A級の隊でもここまでの作戦は立てるのは困難だ。この作戦を考えたのは那須ちゃんかい?」

迅は今回の横島対策がかなり優れていた事に、誰が考案したかを聞いた。

 

「小夜だな」

「小夜先輩です」

「小夜ちゃんが根本的な作戦の流れを考案してくれて、それで私達で細かい所を練った感じです」

友子、茜、玲が一斉に、今迄一言もしゃべらず皆の話を聞きながらちびちびとストローでミネラルウォーターを飲んでいた小夜子の方を見る。

 

「ほう、それは凄いな。志岐ちゃんが……。かなり横島の事を研究したんじゃない?」

迅は小夜子を褒める。

 

「あ、あわわわっ、そ、その……あの」

急に迅に振られ、慌てふためく小夜子。

 

「小夜は、ガロプラの女ネイバーと私と玲、横島と対処した時のログを解析してから、どうやら横島のバカらしく見えるあの戦術的な駆け引きに興味が持ったらしく、それ以降作戦立案は小夜が積極的に関わってる」

友子は小夜子が横島の戦いが切っ掛けで、隊の作戦立案を積極的に行う様になった事を語る。

 

「成る程ね。近頃那須隊が勝ち続けてる理由はそれか」

迅は感心したように小夜子に頷いて見せる。

那須隊は現在勝ち進んでおり、現在今季ランク戦ポイントは28のB級9位。

横島隊がランク戦ポイント29の8位続いてである。

因みに7位の弓場隊は横島隊と同率のポイント29、6位の東隊も同率のポイント29で、5位の王子隊がポイント30と接戦だ。

次の今季ランク戦最終戦次第では、那須隊はB級上位入りも可能なのだ。

 

「そ……そのあの……」

小夜子は何か話したい様子だが、話し出す事が出来ないでいた。

 

丁度ここで、それぞれの料理がテーブルに運ばれて来る。

「うははははっ、今日は俺のおごりだし、いろいろ注文しちゃって!」

「いいんですか横島先輩!ここって高級そうですよ」

「横島にしてはいい所ね、あんたのバイト先かなにか?」

「横島さん、ありがとうございます」

「いいって、いいって、うはははははっ!」

因みにこのハンバーグ専門店は、横島が外部・営業部長の唐沢克己に無理矢理連れられ密会していた高級店だ。横島は唐沢にここの会計を付けておく気が満々だった。

 

食事の途中に皆の元にボーダー支給のスマホにメールが届く。

次のランク戦の組み合わせだ。

 

「あれ?なんで俺ってB級上位とやる事になってんの?俺って8位だよな」

「スケジュール上の都合と書いてあるな。俺達の隊は途中参加だし、ズレを起こしているのだろう。それに6位から8位までポイントは同じだから問題ないんじゃないか?」

届いたメールには、B級2位影浦隊と5位王子隊、6位東隊と8位横島隊が対戦する事となっていたのだ。

本来B級上位は7位からだ。

確かに6位から8位までポイントは同じであるが、ポイントが同じの場合はランク戦開始時の順位が優先される事になっており、この順位であった。

実はこれはボーダー本部の計らいと言うか、横島隊の実力をもう少し上で見て見たいというボーダー本部の思惑だったのだが……。

 

「私達は、香取隊、諏訪隊とね」

玲は次の対戦相手の組み合わせを口にする。

 

「香取か、私が何とかするしかないか……、そういえば横島、どうやって香取を拘束したの?」

友子は思い出した様に横島に葉子を拘束した方法を聞く。

 

「ああ、あれね。スパイダーとロック(試作品)を使ったんだ」

横島は軽い感じで答える。

 

「ロック?」

 

「熊谷先輩、ロックはトラッパー用トリガースイッチボックスのツールトリガー。今季から採用された冬島さんが作成した対人型ネイバー拘束用トリガーです。手錠の様な形状でこれを嵌められた人型ネイバーはトリオン伝達系を阻害され、トリガーが発動できなくなり、トリオン体も上手く動かせません。さらに戦闘体を維持したまま拘束でき、自発的なベイルアウトも出来ないものです。ですが、直接手首に嵌めないと発動できないため、戦闘中に嵌めるのはほぼ不可能です。人型ネイバーを随分と弱らせ、反撃がほぼ不可能な状態でないと拘束できません。それでも横島先輩が香取隊長を拘束したのは、相当技量差が無いと難しいはずです」

ここで小夜子が先ほどまでとは一転、饒舌に語りだしたのだ。

 

「おおっ、志岐ちゃん詳しいね」

迅は小夜子を頷きながら褒める。

 

「あっ!……その……あの」

小夜子は気が付いたように隣の席の友子の影に上半身を隠れようとする。

 

「葉子ちゃんは突っ込んできてくれるからやりやすかった。スパイダーで動きを止めて、ロックで拘束って感じかな」

 

「あんた、簡単に言ってるけど、あの香取を手玉に取るって相当よ?」

 

「うーん。なんて言うか。葉子ちゃんは隙が多いって言うか、油断があるというか。その点くまちゃんの方がやりにくいかな」

 

「ふーん。そう」

友子は横島にそう言われてまんざらでもないようだ。

 

「…………そ、その、横島先輩は……戦術をどうやって……その、考えるのですか?」

ここで小夜子がとぎれとぎれだが、おっかなびっくりと言う感じで横島に自らの言葉で質問を投げかけたのだ。

 

「戦術?うーーーん。うーーーーーん。うーーーーーーーん」

戦術と聞かれて悩みだす横島。

横島の戦い方は生き残るすべだったため、明確に戦術と問われると困るようだ。

横島の過去の戦いは、相手の方が圧倒的な力を持っていた事が殆んどだ。

生き残るためには、何らかの策を講じないと即死につながる。

馬鹿らしい事から卑怯な事や、普通じゃあり得ないような事まで、生き残るためにどんな手でも使う。

それが横島の戦い方だった。

 

「ああ、横島のはあんまり参考にならないかな」

迅は横島が平行世界の人間だという事を悟られたくはないため、こんな事を言う。

迅は理解していた。横島が以前軽く語った平行世界での体験は、こちらの世界では考えられない程のもので、横島自身凄まじい経験を積んできた事を……。

 

「そうだ。自分がやられないため、みんながやられないための方法を考えることかな?」

横島ははにかんだ笑顔でこう語った。

 

「ん?そうなんだろうが……」

「そうなんですね」

「………?」

友子や玲、小夜子もこの言葉にいまいち理解が及ばない。

だが、迅だけはその重みが伝わっていた。

迅も生死を分ける戦いを前ボーダー隊員として行って来たからだ。

師匠最上の死を目の当たりにしたことも。

 

「まあ、あれだ。折角こうやって交流がもてた事だし、何か聞きたい事があったらこっちの作戦室に来るのもいいんじゃない?もちろんくだらない事でも遊びに来るだけでもいいさ。志岐ちゃんも横島に聞きたいことがあれば、スマホでもいいし、まあ、彼奴バイトも結構いれてるから繋がりにくいかもしれないけど、作戦室や玉狛支部に居る時は大丈夫」

迅はこの話は終わりだと言わんばかりにこう締めくくる。

 

「玲ちゃん達だったらいつでもいいし!なんなら玉狛に遊びに来てもOK!……早沼支部は……やめておいた方がいい……あそこは筋肉の地獄じゃーーーー!!なんでゴツイマッチョメンとゴツイおネエしかいないんやーーーー!!」

横島も歓迎と言わんばかりだったが、早沼支部の実情を思い出し叫び出す。

やはり早沼支部は地獄らしい。

しかしボーダーは何故、マッチョとおネエを早沼支部に集めたのか……謎だ。

 

 

食事の後のデザートの時には、小夜子は横島に対しては、まだまだおっかなびっくりではあるが、多少声を自ら掛けられるようになっていた。

 

そんな小夜子の姿に茜と友子は少々驚き、玲は微笑んでいた。

 




えっと、ランク戦の各隊のポイントは原作とはちょっと異なってます。(弓場隊と那須隊)

次の次からランク戦最終に突入かな。

横島と個人戦をするとすれば、誰が見たいですか?

  • 迅悠一
  • 木崎レイジ
  • 小南桐絵
  • 空閑悠真
  • 太刀川慶
  • 風間蒼也
  • 出水公平
  • 天羽月彦
  • 米谷陽介
  • 生駒達人
  • 村上鋼
  • 影浦雅人
  • 三雲修
  • 熊谷友子
  • 香取葉子
  • 照屋文香
  • 黒江双葉
  • 木虎藍
  • 忍田真史
  • その他
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