横島!トリガー・オン!!   作:ローファイト

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その3、ラウンド開始しちゃう?

「ボーダーのみなさんこんばんは!海老名隊オペレーター武富桜子です!」

元気良い声と共に本日のB級ランク戦が始まろうとしていた。

 

桜子はまずは解説者の紹介から始める。

「本日の解説には、現役最年長にしてA級二位冬島隊、皆の兄貴、冬島慎次隊長にお越しいただきました」

 

「よろしく」

冬島慎次(29歳)、つなぎを足だけに通し、上半身Tシャツという何時も通りの姿のシブメンが渋い声で挨拶をする。

 

「もう一方は玉狛支部から、解説枠としては初めてですか、オペレーター枠から宇佐美栞先輩が来てくださいました」

 

「よろしくね」

笑顔で対応する栞。

 

「私も少々驚いております。なぜ、このお二人なのかと、私も上のからの指示としか言えません」

冬島の特殊なポジション(トラッパー)という立場もあり解説に来ること自体のあまり例がなかった。ましてやオペレーターの栞が、実況では無く解説者として参加することは例外中の例外だった。

だが、この二人がこの試合の解説に回るには意味があった。

 

「驚くのはそれだけではありません。本日B級ランク戦は異様な空気に包まれております。例外中の例外、ラウンド途中で結成された隊が今期のB級ランク戦に参加することになりました。それが!ボーダー創設以来の問題児、いえ、すべての女性の敵、あの『痴漢・変態・セクハラ』で名が通っている横島忠夫隊員が隊長となって、このボーダー本部に帰ってきました!!というかよく戻ってこれましたね。てっきり警察にご厄介になっているものとばかりと!」

ギャラリーの女性陣からブーイングのあらし、今期新人は横島の事は知られていないため、半年前から隊員となった女性陣からである。

そう、今日はB級ランク戦、横島のデビュー戦だったのだ。

 

「戦闘員は横島隊長一人という、漆間隊とおなじですね。これはどういう事ですかね宇佐美先輩。横島隊長がそれ程の実力者という事でしょうか?」

 

「そ、そうだね。何処の隊も入れてくれなかったし、隊員になってくれる人がいなかったからかな?」

栞は苦笑気味に事実を答えるしかなかった。

 

「言い難い事を言っていただきありがとうございました。私もそう思っておりました!さらにです。オペレーターはあの実力派エリートで名を通ってる迅さんです!!通常オペレーターは並列処理能力の加減で女性が圧倒的有利な立場でしたが、これも例外中の例外です!!どういう事でしょうか宇佐美先輩!!」

 

「そ、そうだね。誰もなってくれる人が居なかったし、特にオペレーターは……。迅さんは今はどこの隊にも入ってないし、迅さんが横島さんをボーダーに誘ったから責任感じて自分でオペレーターになった感じかな」

栞はまたしても苦笑気味に事実を答えるしかなかった。

 

「成る程、当然の結果という事ですね!!よーくわかりました!!しかし、横島隊長をボーダーに誘った迅さんは後程女性陣から責められるのは必定ですね」

桜子は大いに納得していた。

 

 

「本日のB級ランク戦ラウンド4下位夜の部、地形は市街地Aとなっております。それではメンバーを紹介します。先ずは現在ランク17位早川隊、オールラウンダー早川悟隊長、ガンナーの船橋了吾隊員、同ガンナーの丸井星司隊員と近距離での戦闘を得意としております。次に現在ランク20位間宮隊、間宮柱三隊長、鯉沼三弥隊員、秦稔隊員と全員シューターという尖った編成、中距離戦が彼らの主戦場。早川隊は如何に間宮隊を近距離戦に引きずりこむか、一方間宮隊は如何にして中距離を保つ事ができるかがポイントでしょうか?そして、横島隊横島隊長は……情報がありません。横島隊設立に宇佐美先輩も関わっていたとお聞きしてますが、宇佐美先輩何かご存知ですか?」

 

「あははははっ、横島さんはトラッパーなんですよ」

栞は半笑いでそう答える。

 

「ええええっ!?トラッパー!?意外も意外です。それで冬島隊長がこの席に呼ばれたんですね。それは納得ですが、トラッパーは特殊工作兵というポジションで、所謂援護職ですよね。攻撃ポジションの隊員がいてこそのトラッパーではないのでしょうか?」

桜子が驚くのも無理もない。

トラッパー、特殊工作兵というポジションは前に出て戦闘を行うポジションではない。

味方の移動補助や戦術補助を行うポジションだ。罠を仕掛けたりと攻撃要素もあるが、それは飽くまでも戦術を一つにしか過ぎないからだ。

冬島がここに呼ばれた理由は、このポジションの第一人者でもあるからだ。

さらに、このトラッパー、かなり特殊なポジションでトリオン量の消費も激しく、さらに味方と息の合った連携や、緻密な戦術眼が無いと全く機能しない難度の高いポジションで、成り手も少なく、ランク戦参加者の中で冬島を含め3人しかいないのだ。

本来は近界遠征や基地防衛に能力が発揮されるポジションであり、小隊戦であるランク戦での扱いはかなり難しいのだ。

 

「迅さん曰く、攻撃的なトラッパーらしいのよ」

 

「なんですかそれは!?攻撃とは?そもそもとても器用に見えない横島隊長にトラッパーが務まるのでしょうか?さらに、単独でトラッパーというポジションでどのような戦い方をみせるのでしょうか?横島隊長。これはこれで注目です!」

 

 

 

 

その頃、ボーダー対戦会場の横島隊の控室では、迅と横島はもめていた。

「何でオペレーターが迅なんだよ!!年上の美人ねーちゃんはどこだ!?」

「仕方が無いし。誰もやってくれないんだから」

「ふぅ、なんか急にやる気なくなった。帰っていいか?」

「ダメだって。これはお前の為でもあるんだぞ」

「しかも、相手は全員男って……はぁ」

横島は試合開始前からテンションが駄々落ちだった。

 

「これで横島の有用性を示す事ができれば、勧誘が来るかもしれないし、入ってくれる隊員もいるかも知れないぞ」

「ほんとうか!?加古の姉ちゃんとかからも!?」

「お前次第だ」

「本当だな、嘘だったら泣くぞ!」

横島のテンションは上がって行く。

またもや迅に乗せられてしまう横島であった。

 

「横島、わかっていると思うが霊能力を使うな。トリガーにセットした物だけで戦ってくれ」

「わかってるって」

 

そして……

「それではB級ランク戦ラウンド4下位夜の部、開始です」

対戦がコールされる。

 




何故か迅と仲がいい横島くん。
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