誤字脱字報告ありがとうございます。
横島と桐絵・京介との模擬戦は桐絵の先制攻撃から始まり、横島がスコーピオンで防いだところで、再び距離を取る。
桐絵は横島の反応を見て、笑みを浮かべていた。
まずは様子見が終わったといったところだろう。
「楽しくなってきたわね!!トリマル!けん制任せたわよ!」
桐絵は京介にそう言いつつ、桐絵は横島目掛けて、左右にステップを踏みながら突進していく。
京介は突撃銃を構えアステロイドを横島に向けて連射しながら、桐絵の後を追う。
横島は避けずに、スコーピオンでアステロイドの弾丸を避けながら、一部を切り落とし、余裕をもって迎撃態勢に入る。
「おっ、やっぱ使い勝手はハンズ・オブ・グローリーに似てるな~、耐久力は低そうだけど」
桐絵は突進しながら大斧を振りかぶっていたが、横島がシールドを張らずにアステロイドの連射を避けながら一部をスコーピオンの刃幅を大きくし盾のようにし弾く、それを見た桐絵は攻撃を止め、振りかぶった勢いを使い横島の右横へとジャンプしながら移動する。
「シールドごとぶった切ってやろうと思ったのに!!やるわね!!」
桐絵は京介のけん制で横島がシールドを張ったところを狙うつもりだったようだ。
けん制で相手にシールドを張らす意義は大きい、トリガーは片手につきトリガーホルダーに4つセットできる仕様で、両手で最大8つセット可能である。
但し、セットしたトリガーは片手につき1つずつしか展開できないため、両手を使って同時にトリガーを展開できるのは2つまでだ。
先ほどの横島の攻防では、スイッチボックス(トリオン爆弾)とグラスホッパーを使用して回避しているのだが、もしけん制でシールド使わせると、片方しか使えなくなる。
要するにシールドを使わせている間、手数を減らすことができる。
さらに両手でシールドを使わす事によって、反撃させないこともできるのだ。
今の、京介のアステロイドのけん制で横島がシールドを張った場合、グラスホッパーで逃れるか、トリオン爆弾もしくはスコーピオンで反撃するか、どちらか一方しか行動ができなくなる。
それだけで、桐絵の突進による攻撃が相当やりやすくなるだろう。
だが、横島はシールドを張らずに、回避しながらスコーピオンでアステロイドを弾くことにより、スコーピオンともう一つ、何かしらのトリガーを発動させることが出来るようになるため、それだけで、攻めにくくなる。
ましてや、横島は桐絵の先制攻撃をあっさり避けただけでなく、避けると同時に反撃してくるような相手だ。厄介極まりない。
よって桐絵は、横島にシールドを使わせられないと分かった時点で、真正面からの突撃は効果が薄いと判断し、突撃を止め回避行動に移った。
横島は、スコーピオンを上手く使うことで、桐絵の攻撃を未然に防いで見せたのだ。
「横島先輩、さすがですね」
京介はそう言いつつも、間合いを取りながら横島の左側へと滑り込むように回り込み、横島を桐絵と挟み込むような立ち位置に移動する。
「あんた、本当に戦い慣れてるわね」
桐絵は再び双月を二丁の手斧に変形させ両手で構える。
「いや~、慣れてるのは慣れてるかな?逃げるのとか超得意だし」
「ふん、とぼけちゃって」
こうした攻防戦がしばらく続く。
丁度その頃、玉狛支部に来客があった。
しかも相当珍しい人物だ。
「なんて常識はずれな……ふむ、悪くはない」
ボーダーの制服をピシッと着こなした女性は、居丈高ではあったが、出迎えた陽太郎の勧めで雷神丸のお腹をさすり、無表情ながらどこか満足気であった。
その後、支部長室で林藤が彼女の相手をする。
「あれ?君がこんなところに来るなんて珍しいね。まあ、そこらへんに適当に座って」
「今日訪問することは伝えてあったはずだ」
「うん?聞いてないぞ、たぶん小南あたりだろうか?それはすまない。で、君がわざわざこんなボーダーのはぐれ者支部に何の用かな?」
「ふう、まあいい。例の件、そちらにも通達があったはずだ」
「ああ、あの件ね」
「準備に時間がない。打ち合わせのため、こうして訪問したのだが」
「しまった~。そういえば、まだ横島には言ってなかったな~、まあ、当日でも大丈夫じゃない?」
「ふう、貴方は上に立つ者としての自覚が足りないようだな」
「ははっ、まあ、そういいなさんな」
ボーダー上層部の支部長に対してこの言いようだが、彼女はボーダーの一隊員にすぎない。
端正な顔立に17歳の少女とは思えない威圧感を備える彼女はボーダーA級2位冬島隊のオペレーターである。
冬島隊の隊長はもちろん冬島ではあるが、実質この隊の指揮を執っているのは彼女だ。
彼女の名は真木理佐、数多いるボーダー隊員に恐れられる存在だった。
「これでは先が思いやられる」
「ははっ、打ち合わせか。ゆりとレイジの奴はちょっと出かけてるし、小南と京介と横島は今模擬戦中なんだよな。ちょっと待ってくれる?」
「時間がない。早々にと」
理佐は支部長室のソファーで足を組みなおし、林藤に鋭い視線を向ける。
「わかったわかったって。あ~、迅、来客があってさ、ちょっと急ぎなんだわ。そう例の件、小南と京介、横島、模擬戦中断して来てくんない?」
林藤は内線で訓練室に繋ぎ、迅に模擬戦中の桐絵と京介と横島を急ぎで支部長室に来させるようにと伝える。
しばらくすると……
「ちょっとボス!模擬戦中に急ぎって何よ!まだ、横島との勝負はついてないのよ!!」
桐絵が文句を言いながら支部長室に入ってくる。
その後に京介も続く。
「小南、お前、俺に報告することがあっただろ?」
林藤は乱暴に扉を開けて入ってくる桐絵に呆れながら聞く。
「何よ!って、あれ?真木ちゃん?なんでここに?」
桐絵は林藤に食って掛かろうとしたが、ここでソファに座っている理佐に気が付き、声をかける。
そんな桐絵に、理佐も無表情ながら呆れた物言いをする。
「小南、先日君に今日例の件で打ち合わせに玉狛支部へ行くと伝えてくれと言ったはずだが?」
「あああ!忘れてた!ご、ごめん」
「君に伝言を頼んだ私がバカだった」
「ごめんって真木ちゃん」
桐絵と理佐はどうやら、そこそこ親しい仲のようだ。
真木理佐はそのとっつきにくさから、自然と同年代の女子から孤立しがちであったが、誰に対しても手厳しい理佐に対しても、誰に対してもマイペースな桐絵は、理佐にとっても接しやすい人物だったのかもしれない。
「まあ、ソファーに座れや」
林藤はそう言って二人にソファーに座るように促す。
桐絵は理佐の隣に、京介は桐絵の前に座る。
「うい~っす」
そこに横島参上。
「おっ来たか横島、後はレイジとゆりだが、先に始めるか…」
林藤がそういって、支部長席を立とうとしたが……。
「あれ?こ、こんなところに美女が?…かっこいいお嬢さん!!僕横島!!近くの喫茶店で僕とお茶しませんか!?」
お約束通り、横島はソファーに座る理佐の前に片膝を付き、手を取りナンパをしだした。
「横島!!あんたまた!!」
そんな横島を見て桐絵はいつものごとくワンパンチを入れようと立ち上がる。
だが、理佐は目の前の横島を汚物を見るかのような蔑んだ目で睨みつけ、こんなことを言いのける。
「なんだお前、そんなに警察に厄介になりたいか?罪状は…そうだな。セクハラに恫喝、猥褻、婦女暴行というのはどうだ?」
「いっ!?……いや~、ただ、ナンパしただけなんだけど」
流石の横島も、握った理佐の手をさっと外したじたじとなる。
「まあいい、今回は不問に処す。次やったら、先ほどの罪状で警察に突き出すからそのつもりでいろ」
理佐は横島を睨みつけながらそう言って、視線を逸らす。
「ふははははははっ!警察が怖くて、ナンパやってられっかー-!!」
横島は堂々とこんなことを言ってのける。
「ふむ」
理佐はうなずきながらスマホを取り出し、110番を押そうとする。
「この、バカ者!!」
間髪入れず、桐絵の拳が横島の右頬に突き刺さる。
「ふごぱっ!!」
横島は椅子から吹き飛び、床に倒れる。
「あはははっ、真木、冗談だ。こいつの冗談だから、間にうけないでくれ」
林藤は笑いながら、この場を収めようとする。
「ふう、先が思いやられる。そこの獣の手綱をしっかり握ってほしいものだ」
理佐はそう言って、スマホをポシェットにしまう。
「横島、真木は冗談が通じないからな、気をつけろよ」
林藤は、床に転がってる横島に軽く注意をする程度に収める。
これが横島と真木理沙のファーストコンタクトだった。
本編に追いついちゃったので終わらせようとおもったのですが、ちょっとだけ続きます。