横島!トリガー・オン!!   作:ローファイト

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その4 はぁ?なんじゃそりゃ?

「それではB級ランク戦ラウンド4下位夜の部開始です!!」

実況者である武富桜子の掛け声と共にB級ランク戦が開始される。

 

 

市街地A、平地の住宅街を模したマップだ。

地形の相性による優劣が付きにくいマップでもある。

このマップに早川隊、間宮隊、そして横島の7名が一定の距離を保った場所にランダムに転送される。

 

「これは、あーーっと!横島隊長転送先がマップのど真ん中、いきなり不利な状況か?早川隊と間宮隊も入り混じっております!早川隊も間宮隊もおたがいけん制しつつ、合流する気配!横島隊長はその間に、この窮地を脱することが出来るのか?」

横島はマップのど真ん中に転送され、その周りを囲むように早川隊と間宮隊の6名が転送されていた。

だが、早川隊と間宮隊は、先ずはお互い本格的な戦闘をせずに隊員全員合流する動きを見せる。

横島はその隙は、逃げ隠れする猶予が出来たのだ。

 

 

だが……

「あれ?横島隊長、家の中に隠れてから動かない!!家の中の様子までは確認できませんが、横島隊長の反応は家の中のまんまだ!!しかも、トラッパーの要であるバックワームを起動していないようです。トリオン反応が駄々漏れで丸見えです!まさか、これで隠れているつもりなのか!?」

 

「いや、違うな」

 

「違うとはどういうことでしょうか冬島隊長?」

 

「ダミービーコンを起動させ、ここにいるように見せかけ、とっくにその場からバックワームで逃げているだろう。しかもご丁寧にトラッパー用トリガー、スイッチボックスに収納されているマイン系のトラップを仕掛けてな、俺ならそうする」

冬島の予想は、オプショントリガーの一つで、トリオン体反応を発っし続ける球状のビーコンであるダミービーコンを一つ放ち、相手のセンサー上に自分がそこにいる様に見せかけ、本人はセンサーに映らなくなるオプショントリガーバックワームで既に脱出し、さらにダミービーコン周囲には罠としてトラッパー専用のマイン、要するにトリオン爆弾を仕掛けておき、ダミービーコンに騙されてやって来た他の隊員を罠に駆け爆破するというものだ。

因みにトラッパー用トリガー、スイッチボックスとは特殊工作用の様々なトリオン兵装を使用できる。

マイン系のような時限爆弾や地雷、移動補助用のジップラインやカタパルトの設置、そして、建物を通り抜けするためにトリオン体で出来た構造物に穴を開けるホールなど、多種多様な兵装を収納できるアイテムボックスである。

様々な兵装が使用できるという強みがある一方、トリオン使用量は凄まじいため、他のトリガーとの併用はよっぽどトリオン量に余裕がないと出来ないのだ。

 

「なるほど、ですが、もしその場から移動しているのであれば、上空から映しだしている映像で横島隊長が移動する姿はバックワームを使用したとしても見えるはずですが?」

 

「方法は2つある。トラッパーのトリガー、スイッチボックスに収納されているホールを使い、トリオン体で形成されている建物に穴を開けて密接している家と家の間を通り抜けている可能性。もう一つはテレポーターで建物の窓から、視界に入る建物の中へ移動している可能性だ」

 

「それならば、可能ですね」

 

「あくまでも予想だが」

 

「ですが、同じB級下位でお互い何度も戦っている松代隊の箱田隊員もトラッパーです。両隊ともこのような経験があり、これが罠である可能性を疑うのでは?」

 

「横島はトラッパーだとバレていない。単独の彼奴がトラッパーだと誰も予想できないだろう。それすらも狙いの中にあるのであれば、相当手慣れた奴だ」

 

「おっと、ここで早川隊、間宮隊共に合流成功です。ん?どうやら、2隊とも横島隊長の反応を示している場所に遠巻きに様子を伺っております。どうやら2隊とも横島隊長狙いの様ですが、直ぐに動きません。罠を警戒というよりも、早川、間宮両隊どうしをけん制しあっているようです」

桜子の見立て通り、早川、間宮両隊の狙いは単独の横島だったが、お互い横島が隠れているだろう家を挟んで、動けないでいた。

 

 

 

その頃、横島とオペレーターの迅は……。

「横島、予想通り早川、間宮隊共にお前狙いだ」

「そりゃそうだ。俺だってそうするし、だから騙しやすい」

「まあ、なんていうか、早川隊、間宮隊はご愁傷様だな」

通信でこんな会話を交わしていた。

 

 

早川、間宮両陣営は横島がいる家を挟んで膠着状態だったが、間宮隊が先に動いた。

近距離主体の早川隊よりも、射程で有利な間宮隊は、中距離射程を活かし、横島が隠れているだろう家に、早川隊をけん制しつつ一斉射撃を行った。

この膠着状態を回避するために、ターゲットである家に隠れている横島をあぶり出す作戦だ。

横島が隠れていた家は間宮隊の一斉射撃で徐々にボロボロになって行く。

間宮隊だけでなく、早川隊も横島が家から逃げ飛び出すところを注視するが、横島は一向に家から出てこない。

更に、家の中で爆発が起こり、家は崩れ落ちて行く。

どうやら、冬島の予想通り横島はマイン系(トリオン爆弾)を仕掛けていて、それが間宮隊のメテオラ掃射に反応し、爆発したようだ。

それと同時にセンサーで横島の反応が消えた。

しかし、横島のベイルアウトのコールが無いため、横島が今の攻撃で倒れたわけでもない。

冬島の予想通り、ダミービーコンとトリオン爆弾を残して、既に家を脱していたようだ。

 

 

「おーっと、冬島隊長の予想通りマインを残し横島隊長は既に家から脱し、どこかに逃れたようだ!!」

桜子は興奮気味に実況する。

 

「結果的に間宮隊の判断は良かった。家に乗り込んでいたのならマインの餌食になっていただろう」

その横で冬島が冷静に解説を行う。

 

ここでようやく、早川、間宮両陣営はこの家の反応はダミービーコンだと気が付き、横島が既にこの場に居ない事を理解する。

こうなると、単独の横島の居場所を特定するのはほぼ不可能だった。

しかも、早川、間宮隊は既にお互いの位置を把握し、けん制とは言え、戦闘状態でもある。

もはや、両陣営の本格戦闘は避けられないだろう。

射程距離で優位に立ってるのは中距離主体の間宮隊だ。

 

間宮隊から、早川隊へ本格的な攻撃を開始。

間宮隊の隊長間宮柱三はどこにいるか分からない横島の奇襲を警戒しつつ攻撃を行っているが、現れる気配はなかった。

 

そのうち、早川隊が間宮隊と距離を詰めだし、乱戦模様となった時だ。

 

間宮隊の一人が地面に降り立った瞬間にその場から消えベイルアウトのコールが鳴り響いたのだ。

そこからは、まるで怪奇現象のように間宮隊、早川隊の隊員が次々と、その場から消えベイルアウトしていく。

 

「こ、これは、ど、どういう事だ!?隊員が消えて、次々とベイルアウト!!」

桜子はこの状況に困惑気味に実況する。

 

「やばいなー、あいつ。こんな事をさらっとやってのけるか?」

冬島は参ったと言わんっばかりにこんな声を隣で漏らしていた。

 

「え?これは横島隊長の攻撃なのでしょうか?」

 

「そうだ。だが、種明かしはやめておこう、精々自分達で考えてもらおう。俺もどういう仕組みなのかはまだ正確には把握しきれていないが、かなりやばい」

冬島は横島がやったことをある程度把握してはいたが、その仕組みの詳細を今も考えていた。

種明かしはこうだ。

横島は落とし穴を設置していたのだ。

本来トリオン体の建物に穴を開け通り道を作るためのホールという移動用トラップトリガーを落とし穴に応用したのだ。

しかも、仕組みは三重構造。

先ず、ホールで地面や構造物に人がすっぽり入る程の穴を穿ち、そこにマインを仕掛け、落とし穴に落ちた者は確実にマインの餌食となる。

ただ、この状態だと、落とし穴が何処にあるか直ぐにバレてしまう。

そこでホールのオプションとして、ホールドアという物がある。

特定の人物だけがホールを通り抜け出来るようにホールの入口にトリオンで蓋をするという物だ。

その蓋は周りの風景と同化するため、一見するとそこにホールがある事が分からない。

特定の人物がその蓋に触れると蓋は解除され、ホールを通り抜けられるという仕組みだ。

本来は遠征で、潜入調査等に使用するためのスイッチボックストリガーなのだが。

これを応用して、見かけ上ホールは見えず、ホールの蓋であるホールドアに触れた隊員は蓋が解除されホールの落とし穴に落ちて、マインの餌食になるという仕組みだったのだ。

地面にマインだけ仕掛けても有効ではないかと思われるかもしれないが、確実に仕留めるために蓋つきの落とし穴は必須だった。

マイン自体、半透明であるため非常に見づらいが、よくよく見ると見えない事もない。しかも、マインに攻撃が当たると爆発を起こしてしまう。

なまじマインに引っかかったとしても、ダメージだけで逃れられてしまう可能性もある。

確実に仕留めるには閉鎖空間で逃れられない状況で爆破を起こす必要があった。

しかも、この落とし穴、設置できるのは地面だけではない。家の屋根等に設置して、家の中をマインだらけにしてもよし、応用範囲は広い。

だが、リスクもある。

これを作成にするには、繊細な調整が必要なのと、それなりのトリオン量を消費するリスクがある。

しかし、横島にはそれを作成できる器用さと、複数作成できるトリオン量(霊気量)が十分にあった。

何よりも、誰にもバレずに設置してのけ、しかも設置する位置が絶妙だった。

この仕掛けを考える横島の柔軟な思考力と過去の経験値があってこそなのだ。

普通の人間では、こうもうまく人を落とし穴にはめる事は出来ないだろう。

 

こうして、さらに最後に残った早川隊、早川隊長も状況を把握しきれずに横島の落とし穴にはまり、ベイルアウトとなり、ランク戦終了のコールが鳴り響く。

 

「なななな、なんと横島隊の勝利です!!しかも、全員倒してポイント6点に生存点を合わせ8ポイント!!完全勝利です!!」

桜子も興奮気味に横島隊の勝利を宣言する。

会場の観戦者も驚きと困惑の声を上げていた。

 

横島は一回も姿を現さずに全員を倒したのだ。

 

その後、横島がフィールドに姿を現し……。

「うわはははははっ!平安京エイリアンの術!!イケメン共め!!全て駆逐してやったわ!!」

高々と笑い声を上げている姿が映し出される。

 

 

「意外な結末でした!横島隊長は一度も姿を現さず、まさしく攻撃的トラッパーの名に相応しい勝利です!!横島隊長が叫んでいた平安京エイリアンの術とは!?冬島隊長、横島隊長はどのように倒したかは教えてもらえないのでしょうか!?」

 

「ああ、ただ、横島は罠を仕掛け確実に仕留めたとだけ伝えておこう。初見で横島に当たった間宮隊と早川隊は不運だった。しかし、これでトラッパーの重要性が高まる。各隊もトラッパー対策を十分練る必要があるだろう」

冬島は横島に感心しつつ、各隊に注意を促していた。

 

「宇佐美先輩は何かご存知ですか?」

 

「あははははっ、冬島さんが答えないのに、私が答えるわけには行かないかな」

栞は愛想笑いで誤魔化すしかなかった。

栞は横島にこの落とし穴トラップについて聞いてはいたが、ランク戦でこうもうまく行くとは思いもしなかったのだ。

 

「ご存知なんですね!!気になるな~、次回の横島隊の次の試合まで答えはお預けという事で、それでは本日のB級ランク戦、これにて終了いたします」

こうして横島の圧倒的勝利で本日の夜の部のB級ランク戦が終了する。

 




トラッパーのトリガーが良くわからなかったので、オリジナル要素とか改変が入りまくりです。
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