横島!トリガー・オン!!   作:ローファイト

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続きです。


その5、勝利してもな

翌日。

『痴漢・変態・セクハラ』の横島がB級ランク戦参戦、オペレーターをあの迅が行い、単独のトラッパーで、しかも完全勝利という話題がボーダー中に広まった。

 

ボーダー本部に訪れた迅は多方から声を掛けられる羽目になる。

 

「迅、お前いつからオペレーターなんて始めたんだ。俺との個人戦はどうするつもりだ」

A級一位太刀川隊隊長にして、ナンバーワンアタッカー太刀川慶が迅に声を掛ける。

 

「いや~、成り行き上仕方なくって感じで、別に専属でオペレーターになるつもりはないよ。新しいオペレーターが見つかるか、横島を引き取ってくれる隊が現れて来てくれるまでのつもりで」

 

「そう言う事か、ならうちで預かってやろうか?冬島さんが唸るほどのトラッパーなのだろう?唯我よりも役に立ちそうだ。そうと決まれば迅、すぐにまた俺と個人ランク戦やれるな」

太刀川は迅と個人戦をやりたいがためだけにこんな事を言ってしまう。

 

「本当ですか太刀川さん、いや~、助かります。横島の実力は折り紙付きなんで」

 

「太刀川さん流石に怒られるっすよ。俺は面白そうでいいんすけど、ただでさえ唯我がいるし、余計なものがこれ以上増えるとかって」

一緒にいた隊員の出水公平は後ろで、にこやかに腕でバッテンを作る同隊オペレーターの国近柚宇を指さす。

 

「そ、そうだな。横島の件は保留だ。それよりもお前の所の三雲隊に入れればいいだろ」

太刀川は国近の圧力のあるにこやかな笑顔を見て、横島の件を白紙に戻す。

 

「いや、横島は修たちの成長の妨げになるから入れられない」

 

「だったら、早く他のオペレーターを探すか、どこかに押し付けろ!」

太刀川はそう言って、立ち去って行く。

 

「そうしたいのは山々なんですよ。はぁ、ったく、誰か居ないのか?」

立ち去る太刀川にそう愚痴をこぼす迅。

 

 

迅はこの後も、冬島には横島を紹介しろだとか、緑川には横島と戦わせろなど、声をかけ続けられていた。

女性陣からは、横島ボーダー本部入り解禁について文句を言われる始末。

 

そんなこんなで、目的のボーダー本部、本部長であり作戦指揮官の忍田真史の本部長室に漸く到着する。

「すみません、遅くなりまして」

 

「迅、昨日のB級ランク戦は見させてもらったが、横島の戦いぶりは余りにも場慣れし過ぎている。先のアフトクラトルの大規模侵攻時の早沼地区防衛にしろ、君や天羽に匹敵するのではないか?」

忍田自身、一線を退いて久しいが、未だにノーマルトリガー最強と言われる程の強者だった。

横島の戦いぶりを一目見て、そう判断したのだった。

 

「どうですかね。彼奴まだ何か隠し持ってそうなんで」

忍田の予想を超える答えが迅から返って来る。

 

「風刃を持った君でもか?」

 

「横島は、優れた武器があろうがなかろうが関係ないですね。あいつと対峙して彼奴のペースに乗せられた時点で勝負は決まった様なもんですよ」

迅は横島の戦い巧者ぶりを評してそう言った。

ブラックトリガーである風刃があろうがなかろうが、横島と戦闘スタイルは武器の優劣が重要なファクターではないと言ったのだ。

 

「うむ」

 

「そこはあまり重要な事じゃない。横島が関わった未来は皆、笑顔なんですよ」

 

「君のサイドエフェクトか……」

 

「これで、横島の遠征行きを決定できますか?」

迅は横島を遠征に行かすために専門外なオペレーターまで務めて見せた。

今日は、忍田に昨日の試合を通して横島の実力をみてもらった上で、横島の遠征の是非を問いに来たのだった。

「私に異存はない。だが各所に根回しするにしても、少なくともB級上位、せめて7位までに上がってもらう必要がある」

 

「いや、そこを何とかB級中位10位に負けてもらえないでしょうかね。途中からのランク戦参加なんでね。厳しいんですよ」

横島隊の初戦は既に第4戦、本当は第3戦からの参加予定だったが、横島の所属先を探すのに奔走したが失敗、新たに隊を結成するためにオペレーター、隊員探しに奔走し更に失敗。結果、1戦分遅れたのだ。

まあ、その分横島自身のトリオン体でのトラッパーとしての訓練やトリガーの調整など行えたのだが……。

全8戦中、残り4戦だ。しかも新設の隊でB級ランク上位に入るにはほぼすべてのラウンドをパーフェクトでやり切らないと厳しい状況だった。

 

「それは分かっている。何とか掛け合ってはみる。それにしても迅、本当に彼はトリガー無しで早沼地区を防衛したのだな」

 

「だからそう言ってるでしょ、もしトリガーを発動したとしてもC級用ですよ。それでも考えられない事ですけどね。横島はトリガー無しでトリオンを自在に操れる。これは事実です。逆にトリガーを使う事で本来の力を抑えられてしまうぐらいですから」

 

「うむ、彼は人間、いや日本人である事は間違いないのだな」

 

「検査を受けさせましたが、人間じゃない所なんてどこにもありませんし、遺伝子的にバリバリの日本人ですよ、物凄くスケベなだけで。ただ、本人曰く平行世界の人間らしいですがね」

 

「そうか……」

 

 

こんな真面目な話を迅が本部で行っていた頃。

玉狛支部では横島隊結成と初勝利のプチ祝いを行っていた。

「ふはははははっ、勝利!!イケメンどもめ思い知ったか!!ふはははははっ!!」

「B級下位で勝ったぐらいで調子に乗るな!」

絶好調に天狗になってる横島に、早速桐絵は突っ込みを入れる。

 

「でも、一人で、しかもトラップだけで勝つなんてすごい事だと思うんですが、参考にしたいので後で詳しく教えてくれませんか」

玉狛第2 三雲隊の隊長 三雲修は横島の試合運びに感嘆の声を上げていた。

修はトリオンや戦闘技術に恵まれず、頭脳を使い戦って来たため、横島の正面から戦わずに勝つ戦いぶりに興味深々なのだ。

 

「横島先輩、横島先輩、俺と模擬戦しよ」

「遊真待ちなさい!私が先よ。こいつは私がコテンパンにのしてやるんだから」

「俺、トラッパーなんだけど」

玉狛支部三雲隊の空閑遊馬と桐絵に引っ張られる横島。

昨日の試合運びを見て、戦いたくなったのだとか。

この後、各所から個人戦を申し込まれることになるのだが……

モテたい横島だが、こんな意味でモテたくは無かった。

 

「その……横島さんはスケベなんですか?本部で噂になってたので……」

「千佳ちゃん?誰じゃ――!!そんな根も葉もない噂を立てる奴は!!違うんや。そんな目で見ないでーーーー!?」

雨取千佳の純粋な目でこんな質問をされ、横島はタジタジになる。

横島はどうも年下の女の子に弱い。

それは元の世界だろうがこの世界だろうが同じだ。

 

「横島さん、短期バイト紹介して頂いてありがとうございます」

「イケメン、あんなところで良かったのか?オカマバーのウエイターって、身の危険感じない?」

「バイト代が物凄くいいですし、お客さんからチップも貰えるし、大助かりです、人手が足りなかったら是非、行かせてください」

「……イケメン、お前苦労してるんだな、ううううっ、お前はいいイケメンだ」

どうやら横島は早沼支部の伝手で、家庭の事情で金銭的に余裕がない烏丸京介に少々怪しいバイト先を紹介したらしい。

 

「横島~、ちょっといいか」

横島は玉狛支部の面々に声を掛けられる中、林藤支部長に軽い感じで声をかけられ、支部長室に呼ばれる。

 

「早沼支部の支部長や本部との話し合いで、横島の処遇は今迄通り、早沼支部だ。お前、早沼支部の連中に慕われてるようだな。女性陣にはまったくうけないけど」

 

「やっと、あのマッチョメンとおネエの巣窟から抜け出せると思ったのに!」

横島は血の涙を流していた。そう早沼支部には女性が1人もいないのだ。

しかも、支部のメンバーはボディービル専用のジムなのかという程、皆マッチョな方々なのだ。

何故か横島はそこの方々にかなり可愛がられていたようだ。

本人の意志は別にして……。

 

「理由はシンプル、先の大規模遠征の結果、やはり各支部に手練れが必要だという結論になった。だからお前を早沼支部から離すわけには行かなくなった。まあ、ランク戦やら本部がらみについてはこっちでレンタル所属って事になってるから、大いに玉狛の施設は使ってくれ、ただ面倒ごとは起さないでくれよ。まあ、お前さん何だかんだと一線をわきまえてるし、女性陣もそれに気が付いてるしな。小南以外はな。あんまり小南をからかうなよ。本気にしちまうぞ」

 

「………」

横島は林藤の話を最後までちゃんと聞いていなかった。

早沼支部から抜け出せない事のショックがデカかったのだ。

それに横島は思う。

あの早沼支部のマッチョメンとおネエ共も、下級トリオン兵を筋肉で押しつぶし、撃退していたのにと……。

トリガーも身体強化というか防御強化というか筋肉に極振りした特別仕様なのだ。

俺、別にいらないんじゃないかと心の中で思うが口には出さなかった。

 




女の子にはモテない横島くん。
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