横島!トリガー・オン!!   作:ローファイト

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感想、誤字脱字報告ありがとうございます。

続きです。


その7、見ただけで手に取るようにわかる!

「攻めてくるのは先の大規模侵攻のアフトクラトルの属国、ガロプラかロドクルーンと判明してる。大規模侵攻から三門市は傷が癒えていない。住民や住宅街に被害を出さずに抑えたいというのが本音だ。外部に悟られない様に夜の部のランク戦は通常通り行う予定だ。なんとか、通常のネイバー侵攻程度に見せかけたい」

迅は横島にネイバーが攻めてくる事は事前に説明していたが、本部作戦会議で決定した事項についてはまだ詳しくは話していなかった。

 

「それって、前みたいに大規模で攻めてきたらとてもじゃないけど無理だぞ」

 

「そこまでの戦力は無い様だ。少数精鋭で攻めてくる。とは言っても通常のネイバー侵攻に比べれば大規模だ。だが、相手の狙いも凡そ判明してる。ボーダー本部の心臓部、或いは遠征艇、もしくは彼女が狙いか。何れにしろボーダー本部になる。こちらもそれに備えA級をメインに防衛体制を整えてる」

「なんでまた、ボーダー本部のそんなもん狙うんだ?」

「ボーダー本部は要だからな、ボーダーに深い痛手を負わせれば、それだけ今後の侵略に有利になる」

「ボーダーの壊滅が目的じゃないのか……」

「まあ、相手国にも事情がある」

「もしかして、本気で喧嘩を売るつもりはないって事か?」

「そのとおりだな」

「はあ、アフトクラトルとかいう国のせいで、その相手国もここ(ボーダー)も巻き込まれたって感じか」

「そう言う事だ」

迅は横島の答えを苦笑気味に肯定する。

本部作戦会議で出した答えは、攻め込んで来るアフトクラトルの属国が本気で攻めてくるとは考えにくいと結論づけたのだ。

軍事大国アフトクラトルが精鋭部隊と大軍を送っても、撤退に追い込まれたのだ。

かつてアフトクラトルに敗れ属国となった両国の軍事力では、真面にやって勝てるとは考えにくいだろう。

アフトクラトルの命令で致し方が無く攻撃部隊を出したに過ぎないと踏んでいたのだ。

それならば目標を絞り、最低限の戦力で一点突破を狙い、アフトクラトルに対しても面目が立つ戦略となれば、狙われるとすればトリオンで形成されているボーダー本部の心臓部、若しくは遠征艇、そして迅が彼女と呼ぶ存在は忍田瑠花が狙われる可能性が在ると踏んでいたのだ。

 

迅は一息ついてから、横島に真面目な面持ちで頼む。

「横島は本部(ここ)で待機してくれ、忍田さんには横島の特性を活かすため単独遊撃、ようするにだ自由に動けるようにしてもらった。本部で誰かがピンチに陥った時に手助けをしてやって欲しい。俺もその立ち位置だが、未来の分岐によっては本部から離れなければならない可能性がある」

 

「うーん……。や、やばっ、やっぱ返却今日だった!まだ時間ある?エロDVD返しにいっていい?」

迅の話を聞きながら横島は何か考え事をしてる風だったが、迅の話を聞いていないかのようなこんな言動をする。

どうやら、エロDVDの返却期間は何時だったか思い出していたようだ。

 

「はぁ、いいよ。だが一時間以内に戻って来いよ」

こんな時でも緊張感がない横島に呆れ気味に返事をする迅。

 

 

 

夜7時を回った頃、予想通りボーダー本部に向かって、トリオン兵の集団が侵攻してきた事を迅のサイドエフェクト未来予知で察知し、ボーダー本部は直ぐにボーダー隊員を集め防御陣形を組む。

 

敵の構成は、集団戦闘用人型トリオン兵アイドラ、偵察、戦闘用犬型トリオン兵ドグの構成だ。その数ざっと200体程度が防御シールドを張りながら迫ってくる。

 

待ち構えていたボーダー隊員の防御陣形は、ボーダー本部屋上からスナイパーによる狙撃、ボーダー本部前方でスナイパーが漏らした敵をシューターとアタッカーが連携して各個撃破するとシンプルではあるが堅い防御陣形を取っていた。

 

開戦当初、敵の方が数で勝っていたが、地の利を活かしたこちらの防御陣形が有利に事を運び、相手の侵攻を阻止していた。

だが、敵側に人型ネイバー(近界民)が現れ、ボーダー屋上のスナイパー隊の上空にワープトリガーの様なものをばら撒き、次々とワープゲートが開き、ゲートから犬型トリオン兵ドグが次々と現れ、スナイパー達に襲い掛かる。

 

屋上のスナイパー隊はドグに何とか対応するが一時的に防御陣が崩れ、その隙にトリオン兵団が一気にボーダー本部に押し寄せ、3体のトリオン兵がボーダー本部壁にトラッパーのホールの様に、穴を開けボーダー本部内部に侵入したのだった。

 

 

ボーダー内部に侵入したトリオン兵は、ネイバー(近界民)が何らかのトリガーでトリオン兵に化けた姿だった。

彼ら3人はアフトクラトルの属国、ガロプラの精鋭兵士だった。

ガタイのいい中年の偉丈夫が、今回の遠征侵攻の隊長ガトリン。

黒髪の利発で真面目そうな青年が、遠征隊員のラタリコフ。

髪を短めのポニーテールで纏めた生真面目そうな如何にも軍人という風格の女性が、ウェン・ソー。

ボーダーのS級隊員天羽月彦の強さを色で識別できるサイドエフェクトで見るに全員がA級以上の実力者だという事が判明。

 

彼らは建物に穴を開けるトリガーを使用しながら、どこかへ一直線へ進む。

その様子はボーダー本部司令室からも確認され、進む方向から狙いは遠征艇だと判明し、それに対応する防御人員を配置。

 

「横島はまだ動くな、まだ大丈夫だろう。俺が様子見をして来る」

単独遊撃人員の迅は、横島に待機するように言い、自らは侵入者の侵攻を阻止するために動き出す。

 

迅はブラックトリガー風刃を手に持ち、侵入者を一瞬捕捉するが建物に穴を開けるトリガーで逃げられる。

「太刀川さんや小南たちが防御配置についた。他のメンバーも追ってる。忍田さんも天羽もいる。それに横島もいるし、こっちは何とかなりそうだ。それよりも外か」

だが、迅は侵入者を追いかけずに、今もトリオン兵と一進一退の攻防を行っているボーダーの外周部へと向かう。

 

先へと突き進む3人のガロプラのネイバー達を、後ろから2人の女性隊員が追い付き迫っていた。

弾道を設定できるトリオン弾バイパーを狭い通路の中、正確無比にガロプラの3人に後ろから襲い掛かかる。

 

その攻撃にたまらず、ウェン・ソーが追撃の足止めを行うため、広い場所で追手の二人の女性ボーダー隊員を向かい撃つ。

 

「来な、お嬢ちゃんたち」

ウェン・ソーはそう言って、犬型トリオン兵ドグをゲートから召喚させながら、自らは両手に円盤状の近接トリガーを展開し構える。

 

追手の二人は……

「侵入者の一人を捕捉」

儚系美形美少女、ボーダーB級中位那須隊隊長那須玲、17歳シューター。

本人は病弱で普段はベッドの上で過ごしている事が多いが、いざトリオン体での戦闘となると、豊富なトリオン量と、パイパーで正確無比な弾道を引き、マクロスのバルキリーのミサイル弾道を思い起こす様なド派手な攻撃を得意とする弾道美少女だ。

 

「戦闘開始」

もうひとりは、スタイル抜群男前美少女、同じくボーダーB級中位那須隊隊員熊谷友子、17歳アタッカー。

その豊満なバストが故、良く迅や横島にセクハラ被害に遭い、鉄拳制裁を行ってるのが彼女だ。

アタッカーだが隊員を守るために防御を得意としたりと、何かと男前な美少女だ。

この二人はお互いをくまちゃん、玲と呼び合う程仲がいい。

 

ウェン・ソーは犬型トリオン兵ドグ8体の内4体と連携を取りながら、前衛の熊谷友子に攻撃をしかけ、残りの犬型トリオン兵ドグは後衛の那須玲にけん制攻撃を行う。

ウェン・ソーとしては、熊谷を先に倒す作戦だ。

 

一方、那須隊は、前衛の熊谷友子で敵の攻撃を捌きつつ、後衛の那須玲によるバイパーによる多量のトリオン弾の一斉掃射でウェン・ソーを攻撃しつつ、犬型トリオン兵の数を減らしていく作戦だった。

 

玲の攻撃はウェン・ソーをけん制しつつ、犬型トリオン兵を一体づつ倒していくが、ウェン・ソー自身の力量が高いため、友子の負担が激しく、徐々に削られて行く。

また、犬型トリオン兵を追加で出現させることが出来るため、一体づつ倒した所でじり貧である。

 

だが、ウェン・ソーからすれば、粘る那須隊に少々焦りを覚える。

早々に倒して合流しなければなら無いからだ。

 

ウェン・ソーは一気にかたを付けるため、作戦を変更する。

何らかのトリガーなのか、辺り一帯に煙幕をはり、那須隊の視界を奪う。

那須隊の二人は視界を奪われ、ウェン・ソーと犬型トリオン兵の位置が分からなくなるが、犬型トリオン兵は煙幕の中でも友子の位置を把握し、確実にトリオン弾を当ててくる。

友子もシールドで防ぐもどうにもじり貧状態だ。

 

そんな中、後衛の玲はそんな友子の元へ合流しようと、視界の悪い煙幕の中移動を試み、友子を見つけ、近づいて行くのだが……。

「くまちゃん!まだいける?」

 

その時だ。

後方から声が飛ぶ。

「玲ちゃん!そいつはくまちゃんの偽物だ!」

 

その声と同時に、友子だった姿がウェン・ソーへと変わり、円盤状のトリガーで切りかかったのだ。

そう、これは倒す順番を友子から攻撃が厄介な玲に変更し、変装用トリガーで友子に変身し、玲を騙し打ちをしに来たのだ。

 

だがその瞬間、玲は何者かに抱きかかえられたまま、後方へ飛びのき、ウェン・ソーの攻撃は空を切る。

もし、何者かに抱きかかえられなければ、確実に玲は大ダメージを受けていただろう。

 

そして、煙幕が晴れる。

お姫様抱っこのように抱きかかえられた玲が顔を上に向けると、そこにはいつものニヤケ顔では無く、真剣なまなざしで前を見据える横島の顔があった。

「え?横島さん!?」

 

「横島!?」

友子も、煙幕が晴れた先に、ウェン・ソーと対峙する玲を抱きかかえた横島の姿が目に映る。

 

「ちっ!」

ウェン・ソーは仕切り直しと言わんばかりに後方に飛びのき、それと同時に犬型トリオン兵もウェン・ソーの元に集まる。

 

友子もその隙に、日本刀に模したアタッカー用トリガー弧月を構えたまま、横島の横に移動する。

「助けに来てくれたのはいいけど、何時まで玲を抱きかかえてるつもり?」

友子は横目で横島を睨む。

 

「あれ?あはははっ!」

横島は笑って誤魔化しながら、抱きかかえていた玲を、すっと立たせる。

 

玲は玲で若干顔が赤かった。

玲はボーダー隊員の女性には珍しく横島にそれ程悪印象を持っていなかった。

病弱な玲は、ボーダーの男子隊員からは優しく接してもらえるが、友子や他の女性隊員様に気軽というか、気が置けない感じでは接してもらえる事が今迄なかったのだ。

だが、横島だけは、他の女性隊員同様に玲にも接してきた、というよりもナンパを敢行してきたりしてきたのだ。それが玲にとって今迄なかった事で、皆と同じように接してくれる横島が、新鮮に映っていた。

 

「横島さんありがとう。でもくまちゃんの偽物ってよくわかりましたね。私でもわからなかったのに」

玲もトリオン弾を生成し構えながら、横島に質問する。

 

対するウェン・ソーもそれに疑問を持ったのか、じっとその答えを待つかのように、構えたままだった。

 

横島はその疑問に答えたのだが……

「当然!!わからいでか!!偽物のくまちゃん、いや、そこのかっこいいお姉さんと本物のくまちゃんのバストのサイズがまったく違っていたからだ!!」

こんな事を平然と熱く語りだしたのだ。

 

その答えに、ウェン・ソーも友子も玲も、一瞬気が抜け、構えが解ける。

 

更に横島は続ける。

「そこのお姉さんのバストは84!!くまちゃんのバストはななななんと91、この違いはあまりにも大きい!!」

こんなセクハラ言動を堂々と熱く語る横島。

そもそも、トリオン体でしかも煙幕が張り視界が悪い状態でそんな事を見抜けるものなのだろうか?

 

「なんで、あんたは私の胸のサイズを知ってる!!」

友子のこのつっこみは当然だ。

因みに友子が年上に敬語を使わないのは横島だけだ。

 

「この横島、服の上だろうがコートの上だろうが分からないものは無い。一目見ればバストサイズは手に取る様に分かる、人呼んで人間メジャー!因みに玲ちゃんはバスト83!」

横島は何故かかっこよさげにこんな変態発言を行う。

 

「このド変態!!」

「………」

友子は右手で弧月を構えたまま、空いた手で横島の右頬を拳で殴り、玲は恥ずかしそうに片手で胸を隠そうとする。

 

「ぐぼっ!!」

横島は友子に殴られ、クリーンヒットしその場に倒れる。

 

 

そんな漫才の様な展開にウェン・ソーは唖然とするが、気を取り直そうと首を振り、再び正面の玲達を見据えようとすると……。

何時の間にか殴り倒されていたハズの変態男が、目の前に立っていて、自分の手を取りこんな事を言ってきたのだ。

「バスト84のポニーテールが似合うかっこいいお姉さん!僕、横島!実は生まれた時から好きでした!!続きは近くの喫茶店で!!」

こんな状況で、こんなとんでもないナンパをし出したのだ。

 

「横島!時と場所を選べ!!」

友子から怒声を浴びせられる横島。

当然である。

 

ウェン・ソーは一瞬何が起こったか理解できなかったが、友子の怒声で我に返り、横島の手を振り切って、円盤状のトリガーで横島に切りかかる。

「この変人が!!」

 

「うわっち!!」

しかし、横島はその場に倒れながら、攻撃を除け、地面を這うゴキブリの如きカサカサと、玲と友子の元に戻る。

 

 

ここで仕切り直し……

ガロプラの戦闘員ウェン・ソーと那須隊那須玲と熊谷友子+横島の戦い、第2ラウンドが始まろうとする。

 




さてさて、どんな結末になるのやら。
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