生物が住まう事が不可能な原始惑星時代の地球に転生してきた「ルーミア」
第二の誕生から途方もない時間を過ごし、いつしか地球は第2の氷河期を迎えようとしていた。前世の記憶からその事を知っているルーミアは地下へとその身を潜める。
しかしそんな彼女の体内に10枚のコアメダルが入りこんでしまうのだった……
音も無く岩が解ける。地下に広がる空間が闇に触れて広がっていく。闇の中心地点いるルーミアは紫の輝きに包まれ、額には夥しいほどの汗が流れており、身体のあちこちから妖力やら魔力やらがあふれている。当の本人には意識は無く、闇の力がひとりで働き地球を蝕まんと少しずつ広がる。魘されるルーミアの瞳から一筋の雫が___
そこに神々しい光と共に現れる人影。その人物はルーミアの涙を親指で拭い、頭部に巻かれた札に手を添える。すると人類には到底理解する事の出来ない光の文字が新たに刻まれてゆき、新たな効果を付与させた。その効果なのか、広がり続けていた闇が止まりルーミアの中へ。
その事を確認した人物はホッとため息を付きながらルーミアの頭を撫でる。腰ほどまで伸びる落ち着いたブロンドの髪を一つに束ね、ルーミアを妹や娘を見つめる優しい虹色の瞳。その場に座りルーミアの頭部を膝に乗せた女性は優しい手つきで髪を撫でる。
それから約一時間後、ルーミアは女性に膝枕された状態で目を覚ました。
「あ、起きましたか?」
「…………………………誰?」
欠伸をしながら女性に訊ねるルーミア。しかし次第にこの時代に人がいる事実に跳び起きて女性から距離を取る。膝元からルーミアが離れたのを名残惜しそうな表情で見つめながら女性はゆっくりと立ち上がり名乗りを上げた。
「こうして顔を合わせるのは初めてですね。改めてリアです、今後もよろしくお願いしますね」
頭を下げるリアに会釈しかえすルーミア。闇を支配する妖怪と輪廻を管理する女神は、初めて顔を合わせたのだった。
リアさんが出した座布団に座り込む。周囲が岩に包まれている洞窟中、座布団に座り対面する現状に違和感を家事ざる負えないがメイのお姉さんなので仕方ない………
そもそも原始惑星時代から生きてる僕も不思議生物だし気にしたら負けか。
「さて、私がなぜあなたの前に姿を現したのかを説明させてもらいますね」
そういって真剣なまなざしを向けてくるリアさん。メイとは違う凄みに思わず背筋を伸ばす。
「結論から言いますとメイがあなたに与えたコアメダルにイレギュラーが起きたからです」
「イレギュラー?」
コアメダルと言われて思わず闇の中から適当に数枚メダルを取り出す。取り出したメダルを掌の上に乗せまじまじと見つめるも変わったところは無い。ちなみに取り出したメダルはタカ・パンダ・ゴリラ・クワガタ・コンドル・エビ・シャチ・チーターの八枚だった。
「イレギュラーが起きたメダルは紫のメダルです」
思わず息をのみながら収納用の闇の中に意識を向ける。食料の生肉、焚き火用の火種、偶々拾った宝石の原石らしき物、オーズドライバー、セルメダル…………………… 何でもかんでも放り込んでいたからいろいろな物が散らかっている。
普段なら意識した物を自動で手元に引き寄せているから気にしてないけど、いくら探しても紫のメダルが手元に引き寄せない。こんなことなら闇の中身とリンクするリストアップ魔法を開発しとくんだった……
「どんなに探しもメダルは見つかりませんよ。あなたの体内に有るんですから」
「え………………え?」
リアさんの言葉に思考が一瞬止まる。手に持っていたメダルが地面に落ちる音で再び頭が回転し、慌ててメダルを拾い闇の中へしまうとリアさんへ再び視線を向けた。僕の視線を受けリアさんは言葉を選ぶように視線を逸らしたのち、視線をこちらに向けて説明を始める。
「そもそもメイがあなたに授けたメダルはグリードを誕生させないようにしたものです。しかしそれが何の影響か独りでに動き出し、収納空間に穴を開けあなたの内部へと入り込んだ」
その説明を受けそっと胸に手を当て瞼を閉じる。妖力や魔力の流れを感知するように内に流れる力に集中。こちらの様子に気が付いてかリアさんは何も語り掛けない。口にはせずとも心使いに感謝し、何処までも深い穴を進むかのように内部を見つめる。
「…………ッ!」
そして見つけた今まで感じた事の無い力。脳内浮かび上がるは紫の稲妻と熱を奪う冷気。弾かれるかのように自然と開かれた瞼、動揺を隠すかのようにリアさんに視線を向け続きの言葉を待つ。
「原因はいくつか考えられますが…… あなたに渡す際にメイが何かしらのミスをした事。光を無に帰し闇の空間を生み出す力と共鳴。あなたの理性で表に出てこない妖怪としての本能が引き寄せた。有力な説はこのぐらいでしょうか?」
顎に手を添えながら説明してくれるリアさん。「他にも」と声を続け様々な説を出してくれるが僕にはいまいち理解が出来なかった。
「…………原因解明はひとまず置いといて、今のあなたは妖怪でありながら10枚のメダルに身体を蝕まれている状態です。メダルの浸食については頭部の札に追加で浸食を抑える術を刻んだためしばらくは持つでしょう。しかし応急措置でしかない為、過信はしないでください」
「はい………… 待って!?恐竜メダル10枚全部僕の中にあるの??」
「えぇ。その為、術も効力は装置よりも薄いと考えられます。そのメダルの力を行使する際はそれなりの覚悟を持って下さいね。封印を外し本気を出す際も」
今まで説明よりも目力を強くさせ警告してくるリアさん。その言葉に僕は頷く事しかできなかった。
「どうにか出来ないかこちらも策を練っておきます。イレギュラー転生に得点の想定外のイレギュラー、過去に例を見ない今回の騒動。特例としてルーミア、あなたには過剰接触を行う事を転生神リアの名のもと宣言します」
「お、お願いします」
リアさんが宣言を言い始めた頃から洞窟、細かく言えば妖力と霊力で張った二重結界内にリアさんから溢れる神力とも呼ぶべき聖なる力に押されながらもなんとか返事をする僕。この時点でリアさんには敵わないと肌で感じ取った。
まぁ、そんなリアさんが知恵を貸してくれるというのだ。ノアの方舟に乗った気でいよう。
…………………同種メダルの10枚を体内に持つ事に対する不安が少し軽くなった気がする。
お久しぶりです。説明会を執筆するのも大変だと思いました(小並感)
数多あるオーズの二次小説でも主人公に同種10枚のメダルを入れてるのはここだけだと思う(多分)。
これからも不定期に投稿していくので、思いだした時にでも読みに来てください。