一つ、研修中の神・メイの手により戦姫絶唱シンフォギア世界における原始惑星地球へ、人食いの妖怪・ルーミアとしてオーズの力と共に転生!
二つ、生物が住めぬ灼熱の星から変貌し緑豊かな惑星となった地球で確実に力を付けながらも、第二の氷河期を乗り越えるべく地底奥深くに身を隠す。
そして三つ、恐竜の滅びの叫びとルーミアの持つ闇の力に呼応し、紫のメダル10枚すべてが体内へ。それに対処するべくメイの姉、リアの加護を受ける事となる…
8話:観測と襲撃と交流
雲一つない青空に浮かび上がる一つの点。
それはありとあらゆる光を無に帰す闇。それはあらゆる色を染める黒。まるで絵が描かれた画用紙に空いた穴の様に不自然に浮かんでいる異物。
存在すること自体があり得ないそれを避けるかのように陸に生きるものは距離を取り、空を泳ぐものは何十メートルも距離を取る。その物体に名をつけるなら闇、闇の塊だろう。すべてを拒む闇の中、一つの影が浮かんでいた。
その人影の正体はルーミア。この闇を生み出した張本人だ。ルーミアは瞼を閉じ、光閉ざされた闇の中で静かに浮かんでいる。両手両足が力なくぶら下がる中、呼吸すら忘れたと思うほどに音を出さないルーミアはその意識を闇の外の空間へと向けていた。
「_________」
ゆっくりと瞼が開かれる。その瞳は淡く、優雅に、そして不気味に輝いていた。その瞳が映すは周囲に広がる暗闇……… そして闇から遠ざかろうとする生物のシルエットだった。その内の一つに狙いを定めたルーミアは音を置き去りにして接近。加速した衝撃が闇の外に広がる雲を吹き飛ばす中、その瞬間には翼を持つ生物の頭部をその爪で切り裂いた。
突如として現れ、群れの仲間を殺したルーミアから逃げるように思い思いに飛び去って行く鳥と翼竜に近しい生物。それを他所に自身が絞めた生物の足を乱雑に掴むと切口を地面に向け、麵の湯切りするかの如く死体を上下に振り、大地に小規模な血の雨を降らす。
「………肉無いな」
乱雑に血抜きをしたソレを噛み千切ると顔をしかめボリボリと口の中の骨をかみ砕く。正面の毛も羽も気にも留めず、食し胃の中へ納める。やがて掴んでいた足を口の中に入れ咀嚼、ゴックンっといい音と共に飲み込みと赤黒い液体で汚れた掌を合わせると言葉を紡ぐ。
「ごちそうさまでした」
その言葉は彼女がただの日本人だった頃のなごりだ。
両腕を上にあげ背伸びするルーミアの姿がモニターに映される。画面には他にも文字らしき物や数式らしき物の羅列が次々と浮かび上がる。その画面を見ているのは人に酷似した人で無い生物。その人型生物は言葉らしきものを発し、周囲にいた人影が一斉に動きだした。
その人型は確かに二本足で立ち、両腕に武装し、容姿も人間じみたものだが一部が違っておりルーミア以上に人外感を醸し出している。そんな彼らが向かう先はルーミアの元、人一人入れるカプセルの中へ入りテレポートしていく。その転送先は地球。それもルーミアが歩いていた荒野だった。
「およ?」
突如として周囲に現れた人型に驚きの声を零したルーミア。その手に持っていた果実を地面に落としながら自身を囲む彼らに視線を向ける。
「なんだのだ~~?」
「▼×#$&*<!」
「あ~~ 悪いな、僕は英語は分かんないのだ~」
「______!」
「けどお前ら僕と仲良くしようとしてないのは、その欲望で良く分かったのだっ!」
未知なる言語と共に向けられた殺気。それに対して自身の記憶の中にある[ルーミア]らしい言動を取りながら笑みを浮かべ、ほんの僅かに腰を落とし構える。握りしめた右手を正面へ、鋭く指を曲げた左手を顔の横へと持っていく。
その立ち姿は10代前半の少女にしては低い身長の少女とは思えない程に凄みがあった。どこかの兄弟戦士が合体となった戦士を想起させる構えを取る彼女の姿に数歩後ずさる襲撃者ら。怯えの表情すらうかがえる彼らに向け、無慈悲にもルーミアから仕掛けに行った。
地面スレスレの超低空飛行の体勢から放たれる拳が襲撃者の間を通り抜ける瞬間に襲い掛かる。襲撃者2名が地面へ倒れ込むのとほぼ同じタイミング、包囲網を抜け出したルーミアが地面に跡を残しながら着地。体内に秘めた妖力を開放し無数の弾幕を襲撃者達へと放つ。
「?$#%&◆*」
「やるな~~」
迫りくる色とりどりの弾幕を迎撃や飛翔などで回避していくその様に感心し思わず声を零すルーミア。そんな彼女の様子を他所に弾幕群から抜け出した一部の襲撃者が接近戦を仕掛けてきた。放たれた蹴りを身体の小ささを生かして優に回避。身体をねじり人間では不可能な軌道を取りながら踵で顎を蹴り上げた。
小さな身体からは信じられない程の威力を秘めた一撃は襲撃者の意識を刈り取り、後方へと大きな音と共に吹き飛ばす。その図体に後に続くように接近していた別の襲撃者が巻き込まれ失神。その様子を他所に出鱈目な軌跡を描きながら次から次へと打撃を与えていくルーミア。
薄茶色のキャンパスが襲撃者の血液で塗られていく中、上空へと上昇したルーミアが必殺の一撃を放つ。自身を中心に青・緑・赤の米粒弾を波紋状に放ちながら、ホーミング性能を持つ青い弾幕を撃ち出す。[闇符「ディマーケイション」]が絶え間なく襲撃者達を襲う。
その景色に見惚れていた者から地に伏せていき、残ったものは光の嵐をくぐりながら背後から迫る弾幕を対処する。それでも振り切る事は出来ず、襲撃者達は次々と数を減らしていった。
「&%@*>▼#!」
これ以上の戦闘は割に合わないと判断したのか、リーダー格と思われる襲撃者の合図によって次々と姿を消していく。
「結局なんだったんだアイツら~~?」
戦いの爪痕のみが残る地でルーミアの呟きが静かに響き渡る。首をかしげながらもなんとなくその場にとどまる気は起きず、風に身を任せ空を飛び去っていったルーミア。
それから幾日か過ぎた頃……
「う~~ん、この辺はあまり植物が育ってないな~~~」
赤土の荒野の中、手の中に銀色のメダルを遊ばせながらルーミアが歩く。天から降り注ぐ太陽の光を薄く周囲に張った闇で防ぎながらのんきに独り言をつぶやく。そんな彼女……?の前に一筋の光が現れる。
「へ?」
口を小さく開き唖然とするルーミアではあったがその光を数日前、自身を襲ってきた襲撃者達と同じものであると記憶から引き出す事に成功しすぐに戦闘態勢を取る。
「_____ッ!」
光が晴れるとそこにいたのは人形のような白い肌、長く伸びた白い髪、爬虫類を想起させる赤い瞳の女性。警戒するルーミアの視線を受けながら彼女は言葉を紡ぐ。
「我が名はシェム・ハ。シェム・ハ・メフォラス」
流暢な日本語で。
人類が誕生する遥か昔、言葉を発する妖怪と異星人が交流が始まろうとしていた。
他の作品の合間に執筆してたら一年経ってました。だが私は誤らない(某社長風)。来年はもう少しだけあげれるように努力はします。